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natsu no aza
夏之痕
って、帯の惹句そのままですが。
それぞれの季節に出会った、それぞれの恋模様。
宮本佳野さんなので、ただ甘く切ないだけじゃなく、ヤクザだのカルトだのドラッグだのと、おなじみな感じのハードな背景が登場します。
「夏の痣」
毎年夏になると遊びに来る父の従弟の京介。
高校2年の由はいつの頃からか、京介の事を意識するようになっていて、、、。
この後は、京介と由のカップルをベースにお話が広がっていきます。
「冬の兎」
京介のいる東京の大学を受験するため、冬休みを利用して上京してきた由。
京介のアパートで恋人らしいこともしたりしています。
そこへ京介の元彼・澪が現れて、、。
京介の職業はフリーライター。
アンダーグラウンドのルポなんかもやっています。
澪の今彼はどうもヤクザのようで、澪は彼氏から逃げたがっているようです。
「秋の繭」
無事に東京の大学に入学した由。
京介との同居生活も順調です。
京介が久しぶりに大学時代の友人で元ヤクザの秋山の家に遊びに行くと、そこにはキヨと呼ばれるどう見ても未成年の子が同居していて、、、。
「春の蝉」
由も大学の2年。
二人の関係は順調ですが、京介の仕事はネタに困っているらしく、由の大学で何かネタがないかと聞かれ、危険なことはするなと止められたにもかかわらず、ドラッグの噂のあるサークルに由は首をつっこみます。
そこで出会った伊藤に惹かれる由ですが、、。
で、結局のところ、京介と由は、いずれ親にもカミングアウトして、不承不承でも認められて、添い遂げそうです。
【夏の痣】【冬の兔】【秋の繭】【春の蝉】という順で掲載されていまして、どの作品にも京介と由という遠縁関係のゲイカップルが登場します。
それぞれ以下のような内容で展開されています。
【夏の痣】京介と由がくっつくまでの過程と、そこに近所で発生した連続殺人事件が絡めて描かれています。
【冬の兔】京介の元カレが登場し、薬物と裏社会についてのお話。
【秋の繭】京介の同窓生・秋山(元ヤクザ)が登場し、秋山が拾ってきた少年とカルト集団との関わりについてのお話。
【春の蝉】は由が大学内で蔓延していると噂されているドラッグの実態を知るために伊藤という学生に接触するお話。
【夏の痣】は京介と由が中心となってお話が進むのだけど、残りの3つは京介の知人だったりと第三者がお話の核となって動いているので、作品における京介&由カプの恋愛の印象は正直薄いです。
だけど【夏の痣】でまだ京介への想いを胸に秘めている由が、京介に英語を教えてもらった際、ふわっと京介の香りが漂ってきて「うわ…大人の男の人ってこんな匂いすんのかぁ」とドキドキしているところ、私も一緒にドキドキ&萌えます。由が京介のことを「兄ちゃん、兄ちゃん」慕ってる様子も可愛い。
京介と由というカップルは遠縁といえども親戚関係だし、由の母親はゲイである事を隠さない京介の存在を快く思っていない。おまけに実の息子である由自身もゲイなのですが当然、母親や父親には秘密です。
息子が実はゲイで、前々から快く思っていないゲイの京介と出来てしまった…という事が由の家族側にバレた時のことを考えると空恐ろしいものがありますが、この作品では、そういった恋愛の葛藤とかにはあまり重点を置かず、京介と由の身の回りや知人に起きた出来事、事件のほうを生き生きと描いていて読みものとして面白いです。
京介の元カレが登場したり、友人の秋山と京介は過去関係がある事がバレたり、由のほうも【春の蝉】で関わった伊藤に何となく惹きつけられるものを感じてしまったり…と京介と由という不動と思われるカプですら他の男に揺らいでしまう様子が描かれていて、ここが実に宮本さんらしいなぁと思いました。
宮本さんの作品のもどかしい感じが好きなんですが、ここ最近の作品は私にはあっさりとしすぎていて物足りませんでした。今回はどうかな?と楽しみにしていたのですが、残念ながら私には物足りませんでした。
夏を皮切りに四季を巡る物語。軸になるのは京介と由のカップルです。
一応、男同士やら親戚関係という障害?はありますが、さほど。あっさりとくっついてしまいます。
その後も京介のライターという仕事に絡むあれこれはあるものの、二人の関係性の中では何の問題もなく。それに絡むゲイカップルはそれぞれ面倒な問題があるんですが、それも意外にあっさり片付いてしまいます。
お話の上で盛り上げる要素はあるんですが、気持ちのアレコレが掘り下げられていないのであっさり感じてしまうんだろうと思います。
元々そんなにねっちりした作風の方ではないですが、漂わせる雰囲気に魅力を感じていたんですよね。それも拍子抜けするほど淡々で。
結局何が伝えたかったのか私にはよくわかりませんでした。作者が大人になりすぎて私がついていけなくなってしまったのか、単に私の感性が鈍ってしまったのか。
宮本作品の飄々としたところは相変わらず好きなんですけどねぇ。
四季にちなんだタイトルがつけられた
全四話の物語。
高校生の由と、
父の従弟でフリージャーナリストの京介。
自分はおそらくゲイと自覚する由は
同じくゲイの京介のことが好きで…。
由の告白をきっかけに付き合い始め
やがて由が大学生になると
一緒に暮らすようになる二人。
そんな安泰な二人が出会う
ちょっと大変な人々にフォーカスして
四つのお話が綴られます。
出てくるのは
京介の昔の恋人や、元ヤクザの友達
由が大学で知り合った学生など
二人にとって身近なようで
(生き方という点では)遠い人々。
親身にはなるけど、二人が彼らの問題に深入りすることはできないため、全体としてはゲイたちの群像劇のような作品集となっています。
DV、新興宗教、ドラッグ…。
出てくる題材はもちろん
いつ誰の身に起こるか分からない
リスクを伴うものだけど
一冊に詰め込まれるとお腹一杯感が。
ゲイ=上記のようなイレギュラーな問題を抱える人たちと結びつけるようなアプローチも、紋切り型に思え目新しさを感じません。
これが例えばJune全盛の頃だったら面白く感じたのかもしれませんが…。
ただ、主人公カップルの描かれ方は好きでした。
ゲイ同士、手近なところでくっついて、そのまま何年も付き合って…というのは現実でもありえそうな話。
そして、冒頭ではカッコいいお兄さんだった京介が、最終話ではちょっと老け込んで、記事のネタがないから収入も減って苦労気味。
この先の二人がちょっと心配になるような、哀しくもリアルな経年変化が良かったです。
BLというより同性愛者の人々を描いたオムニバスドラマという印象です。
物足りなさはありますが、宮本さんらしい落ち着いた作品だったと思います。
一冊を通じて漂う空気そのものが
敢えて軽い口当たりに仕上げて
あるのかどうか定かではないと言う感じで、
どうも掴み所が無いと言う読後感です。
言わんとする所は感じるのですが、ね。
例えばこれが別レーベルだったら
また踏み込み加減が違ったのだろうかとも
思うのですが…然程変わりは無いのかな。
断ずるのではなく提示すると言う描写が
多いのですっきりしていないだけなのかも
知れません。
軽めの口当たりだけど腹持ちの良いものが
欲しい、と言う時には程好い一冊かも。
面白かったです。でも萌えとはちょっと違う、ストーリーが面白かったと思う作品。恋愛ものというより、人情事件モノです。
連続殺人事件、ドラッグの売人、カルト集団から逃げてきた少年…などなど。
アングラな事件の記事ばかりを仕事の題材にしているライターの京介と、その遠縁である子供、由との歳の差カップルのお話です。
京介が、危ない事件ばかり追っていて、必然的に由も巻き込まれていきハラハラします。由は田舎で育った健気で世間知らずな少年なのに、都会に出てきて京介と住みはじめてから生活環境がガラリと変わった感じですね。
恋愛ものとしては、京介と由は親戚だし、親に言ってないしで、子供に手をだした…ことになってしまう危なかしい関係ではあるのですが、あんまり恋愛のゴタゴタに重きを置いていないからか、そのへんは悲観なく読めます。なんだかんだでラブラブなので、うまくやっていくんだろうなあという感じでした。
恋愛ものが読みたい!て方にはもしかしたら不向きかもしれませんが、お話は面白いです。事件モノがお好きで、ちょっといつもと違うお話が読みたいときにはよいと思います 。
ザ・宮本佳野!という感じの、ゲイがいて、日常があって、寂しさや悩みや、同時にある種の逞しさを繊細に静かに描いている作品。
本作は、1組のCPがいて、その周りの人間模様を順々に描く連作的な物語です。
「夏の痣」
基本CPの物語。
高校生の由(ゆう)は男が好きなのかもというモヤモヤ、イヤ、はっきり言えば父親のいとこでゲイを公言している京介に恋していて色々悩んでいた…
…という設定。
初めての同性への恋、心の痛みや揺れ、そんなもののリアル。
由は京介に告白し、京介は否定せず受け入れてくれて、まだCPではないけれど由の悩みの一つは一歩前進というところ。
「冬の兎」
由は東京の大学受験のため、京介のマンションにしばらく居候。
そこに京介の元カレという澪が何度も何度もやってくるようになった…
この澪の抱える問題が思いがけず重い。
宮本先生の作品って、こういう実は重い話や事件をズンっと入れてきますよね。
今回の澪の問題は、違法薬物の取引。京介が奔走して澪は起訴を免れて実家に戻ることができました。
「秋の繭」
1年後。由は大学に合格し、京介と同居している。
このエピソードは、京介の大学の時の友人で元ヤクザの秋山と、秋山が一緒に住んでいる家出少年・キヨのお話。
こちらも大変重い背景のお話です。
というのは、カルト教団と洗脳の話。
途中でキヨの母親が怒鳴り込んでくる事件があり、秋山はキヨと共にいる選択をします。
「春の蝉」
由は大学2年。
京介のネタ探しで力になりたくて、ドラッグの噂のあるサークルに近づくが…
知り合った陰のある学生・伊藤は本当にヤバい。だけど由は何となく目が離せないような惹かれるような…
宮本先生はこういう「ゆらぎ」を描くのが本当に上手いと思うのですよね。
由は素直で京介のことがずっと大好き。
京介は誠実で、多分由のことは「責任を取る」という部分も多いんだろうとは思う。でも由の事は本当に可愛いんだろうな。