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hana to suit
花与西装
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
スーツの蓮池さん(受け)はアッチの人で、市役所に勤めていましたが関係を持った上司の家庭を乱してしまい、左遷の形で役所の管理する公園事務所に異動して来ます。
公園の植物の世話をしている嘱託職員の平岸くん(攻め)は、異動の理由もわからない、いつも無表情でスーツのまま草むしりをするような蓮池さんが気になってだんだん好きになり、話しかけたりお茶に誘ったり一緒に帰ったりと近づこうとします。
蓮池さんもそんな平岸くんに心を開いてゆき、めでたくお付き合いの運びとなるわけです。
絵もきれいで、表情もすごくいい。蓮池さんのうっすら笑顔や心情を打ち明ける場面や、ただ抱きしめるだけの場面にドキドキします。
描き下ろしは、平岸くんちにお泊まりした蓮池さんが、自分のオールバック用のワックスを忘れて借りますが固まらず、「一緒に住んでたらそんなこともないのにな」とさりげなくプロポーズ!イヤ〜(≧∇≦)蓮池さんたらー!
いつもきっちりオールバックがラフに前髪下ろしてるのはいいですねぇ。
平岸くんは、キャッスルマンゴーの若い頃の十亀さんと万くんをmixした感じ。
同録の「白紙」「紙風」は、書けなくなった作家がどこかの島に逃避して、そこで出会った作家志望の少年の原稿を見てあげているうちに気持ちが救われていくというようなどこかスピリチュアルなところもあるお話です。
エッチはなく(表題作もほぼ無い)、事件が起こったりもしませんが(台風はあった)、短くてもしっかり読めて大満足。
そして、蓮池さんはmy好きなリーマン顔上位に躍り出ました!
「ロマンスの箱庭」から作家買いしていますが、
それ以降は違った雰囲気の作品を描かれてたので
この作品待ってましたという感じです。
この方向性で間違いないと思います。
今後も作家買いします。
こちらはちるちるユーザー様からご紹介いただき
すぐに購入を決めた作品です。
表紙には植物を抱えているスーツ姿の蓮池さん(受け)、
裏表紙にはバラの花にキスをしている平岸くん(攻め)。
表紙を広げると、二人は隣り合っています。
人好きのする市営公園の嘱託職員・平岸くんにとって、
役所から公園事務所に配属された堅物上司・蓮池さんは謎の人。
無愛想にスーツ姿で草むしりをし、人との接触は最小限、
彼の配属は訳アリらしいとの噂もあって。
でも、公園での仕事を通して
蓮池さんの不器用な優しさに気づいた平岸くんは彼に魅かれ
蓮池さんも、平岸くんと過ごす時間を大切に想うようになり...
過去の事情により、
相手を傷つける事、大切な人を突然失くす事が怖い蓮池さんを
太陽みたいにまっすぐな言葉ですくい上げ、
しっかり手を取る平岸くんはとても格好良いし
普段は堅物の蓮池さんが、平岸くんの前で照れたり笑ったり
又、考えながら大事なことを伝えようとする姿を見ると
微笑みがこみ上げ、読み手の心を温めてくれます。
無理に主張しすぎることなく、朴訥と
お互いに想いを寄り添わせる姿に、とても好感が持てました。
私的萌えポイントは、
忙しくて出来ていなかった草むしりを二人でしている時、
平岸くんが『よかったなあおまえら 気にかけてもらって』と
指先で花にちょんと触れ、それを横目で見て照れる蓮池さん...
こ、この人たちセットで可愛すぎる!きゅーん!
巻末『雪とスーツと次の春』の二人もとても良かった...
この本にはもう一つ、『白紙』『紙風』と題された
前後編作品が収録されています。
書くことから逃げるように遠い島へやってきた小説家と
作家になることを夢見る少年が交わした触れ合いの物語です。
画がきれいで、人物の魅せ方も素晴らしい一冊。
特に表題作は、花やぐ季節の公園を散歩をしているような
そんな爽やかな読後感でした。
おすすめいただいたユーザー様、ありがとうございました!
読み終えて初めて、『花とスーツ』というタイトル・カバーイラスト・扉絵に、さりげなくも作者の強い気持ちを表現として感じますし、自分のなかでそれをしばらく考えておりました。やはり、じっくりゆっくり読みたくなる一冊だなぁと感じてしまう。おそらくこういうあたりも含めて私にこの本をおすすめしてくれた方に、ありがとうの気持ちでいっぱいです。
しかし細やかな人物描写で、これはぐいぐい惹き込まれますね。喜怒哀楽以外のニュートラル時の表情まで、驚きの豊かさだなぁと思わせる。
舞台は実に手の行き届いた公園なのでしょうが、そこにも作者のすばらしい表現力と、命あるものを大切に思う愛情を感じます。
ただそこにいてくれるだけで安心できるような温かな人柄の文ちゃん(仕事仲間が皆こう呼びます)と、表紙のような洗練されたスーツルックで奥まった暗がりの草むしりをしているため不審者といわれたりするが、実は静かに燃える想いを持ち太陽を求める蓮池。私は最初の数ページで、文ちゃんが太陽のようなやさしいワンコなのだと受け取りました。なので、心を開くまで時間がかかりそうな蓮池の正体を探るべく、読み進めが楽しい表題作となりました。
始まったぐらいですでに失う瞬間のことを考えてしまうような人は、そこから抜け出したいと思っていても抜け出せないものなのでしょう、相手がよほど諦めずに入り込んでこないことには。表紙で蓮池が抱えていた "花" の入っていないバケツに、文ちゃんが花を一輪ずつ足していくようなイメージでしょうか、そんなことを思わせる扉絵。この物語そのものだと私は感じました。
で、あんな描き下ろしが用意されているなんて...もう反則ですよ。
嬉しい涙です。
詩雪さん
こんばんは。
詩雪さんの『花とスーツ』のレビューが読めるなんて、とっても嬉しい金曜日の夜(正確には土曜日)。
萌えポイントもわかって頂けて嬉しいです~♡
”布手袋が迫ってくる”前後のシーン、わたしももう一度確認して読んでみたのですが、やっぱり良いですよね。杉(シダー)の香りは精油の中でもすごく好きな香りだし、蓮池さんのイメージにもぴったりだと思います☆
あと、くちなしの香りも、ノスタルジックでとっても素敵なんですよ。甘くて切なくて、どこか懐かしくて...(沈丁花、金木犀と並んで、”3香木”と言われているほど香りの強い木のお花です)
今の季節だったら、まだ大きな公園等で見ることができるかも知れませんよ。
こちらこそ、作品を手に取って共有してくださってありがとう♡そして、物語を読んだ後の気持ちが鮮明に蘇るような、幸せなレビューに感謝を込めて...
冬草
他の本を買った時にサンプルペーパーとして入ってたのを読んで
発売されるのを楽しみにしてました。
このキャラたちの性格もあるのか
ガツガツした恋愛じゃなくて、ゆっくりと進んでいく感じが良かったです。
本当なら市役所でバリバリと働いてるだろう蓮池さんが
市営の公園に配属されてきた(いわゆる左遷ですね)
何があったかわからないけれど
スーツで草むしりをする蓮池さんが気になってしかたがない。
最初は嫌われてると思ったもの実は超不器用で、超真面目な人でした。
でもその不器用さがなんだか可愛く思えてしまうんですよね。
恋愛にしてもそんな感じで、左遷された理由も不倫関係…
だけど無愛想な表情が文といる事によって少しずつ柔らかくなって
照れたり、微笑んだりしてる表情が増えてきていい雰囲気に。
このスローペースがたまらない!!
後半は煮詰まった作家が逃げた島で少年と過ごすお話
不思議な感じの少年で本当に存在するキャラなんだろうな???
と、途中思ってみたり…
最後もハッキリと完結したような雰囲気じゃなくて
なんだか不思議で終わりました。
表紙のイメージそのまま、穏やかな展開と穏やかな登場人物たちに、ゆったりと癒される物語です。
・『花とスーツ』1~3話
表紙の蓮池は無愛想な公務員。出向先の嘱託社員の平岸は、不思議な存在感を醸し出す蓮池が気になっている。台風の夜に蓮池の別の一面を知った平岸は、その時から感じている自分の胸の高鳴りの正体と、蓮池という人を知りたいと、彼にどんどん近付いて行く。
なんといっても蓮池が可愛いです!!不器用な蓮池が赤面したり、困り顔したり、微笑んだり、きゅんと来ちゃうんです。正直なところ、私はこんな可愛い蓮池が攻めだったらいいなーって思っていました。可愛い人がベッドでは牡になるのって、萌ますからね。
年下わんこも大好きなので、平岸攻めでもいいのだけど、この平岸、私にとっては蓮池より謎人物なんです!明るくて屈託なくて、人に好かれて、自分の気持ちにも素直で、だけど蓮池のことを考えているときの「アッチの人ってこと?」というモノローグだと、平岸はノンケだと思うので、いくらなんでもやすやすと壁を超えすぎじゃないの?と思ったりして。だけど、この先のストーリーと、同時収録の作品を読んで感じたんです。これはお伽噺なんだなーって。描かれる花々が美しすぎるから、余計にそんな風に感じるのかもしれません。
・『白紙』『紙風』
表題作よりも好きです!夢か現か幻か、すごいバランスで描かれた秀逸な作品です。彼らの現実的な会話。少年の描く物語。作家が見る夢。名前のなかった彼らの名が明かされて、現実がより濃くなったように思えたのも束の間、また夢に取り込まれてしまうような、伊東先生の絵柄にぴったりな透明感のある展開に、とてもドキドキしました。
市の公園管理事務所に勤務している二人のお話です。嘱託社員の平岸くんと市役所から公園事務所に飛ばされてきてスーツで草むしりをしている蓮池さんという組み合わせです。
こちらは札幌市の豊平公園(作品の中では日平公園となってますが)が舞台になってまして、実際も早春のカタクリとエゾエンゴサクから始まる春夏通して花が美しい公園です。
公園が舞台になっているので草花がこぼれ溢れるように描かれています。
薔薇が咲き始めて、宿根草が次から次へと咲き溢れて、一週間毎に公園の色が変わっていきます。
冒頭ページは花の様子からいって6月10日前後でしょうか。そろそろ春から夏に切り替わっていく頃です。
待ちに待った夏がやってくる!という北国の人間独特の高揚感に浮かれた平岸君。その高揚感に絡めて平岸君が蓮池さんの事を気になっていく…人物だけを取り上げていえばワンコと過去持ちのゲイという珍しく無い組み合わせなのだけど、季節の移り変わりに絡めた恋模様の描き方が秀逸だと思います。(実は台風は滅多にこないのだけど)
札幌の一番良い季節、それは19時過ぎてもまだ薄明るくて、屋外が心地良くてなかなか帰りたくない、公園のベンチでいつまでも佇んでいたい…さらりと澄んだ風はどこまでも爽やかで針葉樹の香りも芳しい(蓮池さんのつけている香水がシダー系でそこも絡めて上手だと思います。)
そういう空気を捉えてそれを紙面で満たしてくれている。私はこの時期の札幌を心の底から愛しており、今は遠く懐かしいその空気を感じられて幸せでした。
そして無愛想で近寄りがたいと思っていた蓮池さんが実は超不器用な人だと判って、実に愛おしい。
答姐の「ちるちるのランキング圏外だけど、心の琴線に触れた作品を教えてください」で教えていただいたのが、こちらの作品です。
もう一つの収録作はガラリと舞台が変わって南国。こちらも細部まで丁寧に描かれたアートのような絵柄がお話の世界を支えておりお話はもちろんですが、絵に惚れ惚れしました。
教えてくださり本当にありがとうございました。
表題作は途中まで雑誌で読んでいたけど、こんな展開になろうとは。
スーツの蓮池さんが人見知りっぽい態度で、わかりづらい人だったけど、知ってしまうとその意外性に惹かれていく。
わかるなあその気持ち!
同時収録の、スランプの作家が逃げ込んだ島で知り合った中学生との話。こーれがすごく私には響いた。最後の余韻を持たせた終わり方も素晴らしい。
電子のお試し読みで表題作の冒頭を読んでまんまと続きが気になって買ったのですが、読み終わってみれば、表題作より同時収録作に心揺さぶられてました。
なので、表題作のレビューは他のレビュアー様にお任せして、私は同時収録作の方を。
『白紙』『紙風』(約65ページ)
書けなくなって現実から逃げ出したジュブナイル作家が再起するまでのお話です。
伊東七つ生さんは、非常にリアリティのあるお話をファンタジー仕立てにして魅力的に描かれる作家様、という印象なのですが、こちらもまさにそんなお話です。
そもそもファンタジーってリアルの上に成り立つと思うので、リアリティあるお話を描ける作家様がファンタジー仕立てなお話を描けば魅力的な作品になるのは当然かもしれませんね。
逃げた先のとある島で小説家志望の若者と出会い、彼の小説の手直しを手伝ううちに、主人公は失くしていた情熱をじわりじわりと取り戻していくのですが、幻想を混ぜて描かれるその過程がとてつもなくリアルです。
今現在迷子になっている人だとどう映るか分からないけど、過去に迷子になった経験がある人には「神様の御袖に触れて裏と表が翻る瞬間」がきっと鮮やかに浮かぶんじゃないかなと。
登場人物達の発言の全てに重みがあります。
表現・ストーリーともにとても美しいお話でした。
表題作は全3話+描き下ろしで、約115ページの作品。
BL的な萌えの物差しで言うとこちらの方が良いんだろうなと思いますが、私はこちらは「萌」かな。
この間からほのぼのした気持ちになりたくて、本棚を漁っておりました。
やっと見つけた。
植物園のような市営公園を舞台にした話と、離れ小島の話が収録されています。
【花とスーツ】【花とスーツとそのその秘密】【花束とスーツ】
【雪とスーツと次の春】(描き下ろし) 萌2
市営公園の嘱託職員として働く文と、役所の偉いところから左遷されてきたらしい蓮池。
生真面目で無表情、言葉数が少ないせいで誤解されがちな蓮池の真意や意外な一面を知るうちに、文はもっと蓮池を知りたくなって…。
市営公園という場所のせいか、作画のせいか、静かで穏やかな独特の空気感があります。
図書館やプラネタリウム、美術館や博物館に行ったときに通じるような、適度なわくわく感と特別な場所にいるという適度な高揚感もあって。伝わりますかね?
適度なんです。ほんのり。うーん、伝えたい、この空気感。
そういう雰囲気の中で2人の距離が近付いて、お互いを大切だと言えるようになるまでが丁寧に描かれた作品です。
蓮池には、職場の上司と不倫関係になって、相手の奥さんが自殺未遂をしたせいで、市営公園の管理という閑職に飛ばされたという事情があります。
どろどろしてるんだけど、この作品自体にはそういうどろどろ感がなくて、ただ不器用で、「仕事に行くならスーツ」という考えを曲げる柔軟さもない男の人が、凝り固まった心をほぐしてくれる相手に出会えたという、素敵な話なんですよ。
作中に出てくる飲食店や家の雰囲気もいいんですよ。
レトロって言うか、味があると言うか。
ああ、言葉で伝えることができないもどかしさ!!
ディズニーランドより明治村に興奮する方は絶対に好きな雰囲気です。
【白紙】【紙風】 萌2
こちらも胸に沁みます。
長年続けてきた冒険小説の新作行き詰まった作家が、締め切りから逃げるようにやって来たある島。
そこで出会った小説家志望の少年との交流で、作家の創造力がまた動き始めるという話です。
島という遮断された世界で創造の翼を広げる少年は、エキゾチックで不思議な魅力に溢れていました。
「またね」という言葉通り、またいつか2人が再会することはあるのかなあ。
魔法も怪獣もいないけれど神様はいる島なら、きっと2人をまた会わせてくれるんじゃないかなという余韻も楽しめる作品でした。
表題作にはちょこっとだけえろすなシーンがありますが、同時収録は恋とかそういう感じではなくて、才能と才能が呼応し合うようなストーリーなので、「えろすはなくてもいい」「とにかく癒されたい」という方におすすめです。
ささくれだったこころが、あっという間に穏やかになりますよ。