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gestalt
爱的完全形
表題作のほかに3つの短編が入っています。どれもちくっとした苦しさが効いていました。
「ゲシュタルト」
表題作は、不思議な設定でどうなるのかハラハラしました。二人の慧の間で揺れ動く心理
が切なくて苦しくて。室内慧は願望そのものだったのかな?設定は不思議なのにストーリーはリアルで、心地よい浮遊感のある作品でした。
「君に一番近い場所」
自分たちのセックスの様子を「覚えておいて」という黒江がきれいで切なくて、印象的でした。会えなくなってからの攻めのモノローグもじわじわきました。
「星くずの街」
片思いのお話。ラストの言葉が非常によくて、はっとしました。
「シースルー」
最後のお話は、ハッピーエンドの予感で終わっていて、読後感もよかったです。
短編はほんとに短い場面を切り取ってるんですが、詩情があってすごくよかったです。長さが、---、--、-、・、とだんだん短くなっていっておしまい、という1冊の中での構成もあってか、ふわふわ・ゆらゆら・とん、と着地する感じで1冊を読み終えました。
大槻さんの世界にダイブして、夢見心地になれるような1冊です。
他の女に、何度玉砕してもアタックする慧をひそかに思い続ける聡嗣。
片想いをこじらせた結果、聡嗣の目の前にもうひとりの慧が現れるという、不思議でなんともファンタジックな、そして切ないお話。
タイトルのゲシュタルトは…ゲシュタルト崩壊って同じ字をずっと見続けてると字が崩れてきてなんだかおかしい見え方になってくるということですよね。つまり、思い続けるあまりなにかが崩れておかしくなってきたということなのかな。
聡嗣の部屋に突然現れた慧は、しゃべるしご飯も食べるし寝るし普通の人間と変わらないように見えるけど、聡嗣の部屋から一歩も出ない。
理想が具現化したかのような、部屋の中の慧とのセックスに溺れる聡嗣。
現実の慧と室内の慧は同じなのか違うのか、どうして室内の慧は聡嗣の前に現れたのか。
終わり方も、完全なハッピーエンドというわけではなくて…
切なく、もの悲しく、でも聡嗣と現実の慧との関係に今後を感じさせるようなエンディングで感慨深かったです。
”想い合う男達が結ばれる”そんなBLセオリーからちょっと外れている一冊。
「ゲシュタルト」
聡嗣は、ある女の子に何度振られても想い続ける慧を密かに想っている。
そんな時、慧にそっくりな慧が部屋に居て、そっくり慧は本物が女の子に向けている恋する瞳を自分に向けてくれて…
好きな人とあれこれしたいって妄想を実体で体験するファンタジー。
聡嗣はそっくり慧に溺れるけど、現実の慧への想いにも揺れて、「消えろ」と叫んでしまい、そっくり慧は消えてしまう…
そっくり慧がなんだったのか明かされてないし、世界に聡嗣しかいないあやふやな存在だけど、その聡嗣から「消えろ」と言われてしまうのは切ない…
本物の慧の「好きなことはやめられない」って言葉にうなずく聡嗣、この先も慧を想っていくのがうかがえます。でも慧からの「失恋した?」って質問にうなずく聡嗣は、そっくり慧にもちゃんと想いがあったんだなって、ただ消えたそっくり慧が無意味じゃないように思えて救われました。
「君に一番近い場所」
高校生の映二がエロ本を隠している裏山の小屋で男同士がヤッてる!
今度は男同士のセックスを覗くために小屋通い。それが受けの黒江にバレて…
「あいつが俺を抱いていたことを覚えていて」って映二に頼む黒江。
攻めの竹村が遊びでそのうち捨てられるのをわかっているから、黒江は抱かれていても実感が持てないのが切ない。そして、そんな黒江に惹かれてしまう映二。
黒江は消えてしまうけど、二人がした約束は守られそうなエンディングが用意されてます。
黒江が綺麗で切なくて、この話がすごく好きです!
「星くずの街」
人妻と不倫してる先輩にパシリとして使われてる後輩。
切ない恋をしてる人に片思いしているテーマは表題作と共通。
二人がどうこなることはない短編です。
「シースルー」
雨宿りしている高校生。雨に濡れて洋服が透けてしまうように気持ちも透けて…
なにかが始まりそうな短編です。
想いが通じあうハッピーエンドが書かれてない、BLとしては珍しい一冊じゃないかと思います。その分、片思いの切なさがつまっていて余韻が残ります。
中々に面白いお話でした。
面白いといっても愉快な面白いでなく、シリアスでシュールでユニークな着眼点という意味での面白い。
そして切なさも持ち合わせ、この物語の終わりは一体始まりなのか?それとも交わらない終わりなのだろうか?不思議な余韻も残すのです。
題名が”ゲシュタルト”となっていますが、読みはじめこれはドッペルゲンガーなのでは?という疑問点も抱きながら、一体どういう意味でこの題名なのだろう?と疑問に思います。
そうした不可解な部分も考えながら読み進めるうち、主人公の言葉と心理によって腑に落ちるこの題名。
聡嗣の親友・慧は中学校の時からずっと片想いしている女子がいます。
何度も告白しては玉砕して、そんな繰り返しを続けて二人は大学生。
再び慧が女子に振られた夜、聡嗣が帰宅すると別れたはずの慧が部屋に!?
彼は慧と名乗り、聡嗣にすがり求め、それから彼とのセックスにのめり込んでいく聡嗣。
一体この突然現れた慧は誰?
友達が訪れても消えない、本物の慧が現れても消えない。
聡嗣はわからなくなるのです。自分が好きな慧は一体誰?
報われない片想いをしている慧を見ているうちに慧が好きになったのであり、
自分の今まで知っている慧は、家にいる慧みたいに媚びたりしない。
この慧は、本物の慧の一部分なんだろうか?(するとゲシュタルトという言葉がしっくりくる)
ひょっとして慧も聡嗣が好きという感情を持っているのだろうか?
改めて本物の慧が好きだと認識するラスト、聡嗣は慧を取り戻した?選択した?ことになるのだろうか。
ここで題名の意図が明確にわかりました!
苦しむ聡嗣の表情と心理描写が秀逸でした。
いつもだと、かわいいとかミゥさんの色っぽい表情やエロ表現などを中心に見てしまう所、かなり心理を読ませる話しとなり、その点が新鮮だったのです。
世にも奇妙な物語とでもいいましょうか?
【君に一番近い場所】
拾ったエロ本を隠す為に学校の敷地にある高台に来た主人公の高校生。
彼はそこで、男性同士のセックスを見て興奮してしまいます。
当の男は大学生で、この高校生にそれを見に来いといい、そしてそのセックスを覚えておいてほしいと言います。
高校生の育つ恋心と、傷を持つ大学生の、ちょっとした触れ合いは大学生を救います。
主人公同士のエッチはありません。
約束した通りに背の伸びた元高校生は大学生になり、二人はきっとこれから新しい恋をはじめからやり直すのでしょうね☆
【星くずの街】
先輩の悪い恋の手助けをさせられる後輩。
でも、ほんとうは後輩は先輩が好き。
面倒見の良い後輩ですw
【シースルー】
友達への片想い、雨の日は透けてしまいそうで怖い。
服が濡れて透けるのと、心が透けるをかけた、非常に短いショートですがキュンとするお話でした。
萌×2に非常に近い萌えです☆
なかなか興味深い作品で不思議感アリでしたね。
好きな相手が二人いたら、それも同じ名前で同じ顔、もちろん双子なんてオチでは
ありませんよ、相手が好きで好きで精神的なバランスを崩したらもしかしたら
視えてくるかも知れない現象な気がして読みました。
そして、読んでいて感じたのが彗が片思いしている相手を見つめる時の彗が
聡嗣の好きな彗だったりすること、その顔と同じ彗が突然現れて、
聡嗣にとって理想でエロくて夢中になってどんどんのめり込む。
本物の彗が悩み事で訪ねて来ても部屋にいる自分だけの彗を選んで肉欲に耽る。
その不自然さに聡嗣が気がつけるのか、意外にドキハラでした。
サスペンスと言うよりは思いが高じた故の精神的な現象みたいな不思議系の作品。
片思いもあり、横恋慕もあり。
特に表題作は読後感が不思議でした。寂しいのだけど、寂しくないような。
そのぶん、他収録作品には望みがあって救われます。大槻先生の描かれる水滴はエロティックに見えますね。濡れてこそ。
[ゲシュタルト]
あの慧は願望の産物だったとするにはあまりにも虚しいから、現実だと信じていたいなと思います。
聡嗣自身も困惑しているように、読者側も混乱しました。結局、あの慧がなんであったかは誰もわかりません。
途中で聡嗣がきちんと意思をもって『これは慧ではない、俺の好きな慧を集めてはいるけれど慧ではない別物だ』と判断した瞬間に、ああこれで終わるのだなと虚しくなりつつも安心しました。あのまま、囚われていれば聡嗣自身が堕ちてしまいそうでしたから。
麻耶ちゃんにフラれたあとの慧と、あの慧を失ったあとの聡嗣が抱き合って慰めるシーンはとても印象的です。慧は麻耶ちゃんに対する思いを語り、聡嗣はそれにあの慧を重ねて頷く。愛する慧を抱きしめながら。
聡嗣が愛しているのはこの慧なのに、聡嗣にとって愛らしい存在であったのはあの慧。
慧に慧を重ねて失った存在を想って胸を軋ませる。ううん、不思議な話です。
愛する慧を追いかけすぎたからこそ『崩壊』してあの慧が生まれたということでしょうか。タイトルはそういうニュアンスなのかな。
何年経ってもこのふたりは平行線かもしれないです。いつかは、慧にとって麻耶ちゃんが、聡嗣にとって慧が、それぞれ良い思い出となるような気がしました。
表紙のふたりは、【あの】慧と聡嗣なんですね。読後の今だからこそ、分かりました。
[君に一番近い場所]
そんな場面に出くわしてしまったが運のつき(笑)
映二には忘れられない人になるに決まっています。色んな意味で初めてのヒトですもの。
大槻先生のあとがきもありましたが、確かにチビ攻めはチビのままこそ美しい、同意見です。この映二はそうではなかったけれども。
[星くずの街]
横恋慕に横恋慕。
好きだからこそまともな相手と、きちんと恋愛できる相手と幸せになってほしいですよね。
欲を言えば『俺にしておけばいいのに』なのだろうけれども、そこには踏み込めない。きっとそれは好きだから。そして好きだから諦めることもできない。
一方通行恋愛、良いですね!
[シースルー]
他作品が横恋慕していたり片思いしていたりばかりだったからこそこの作品に癒されました! とても短いお話ですが、良いです甘酸っぱくてかわいい!
水も滴るいい男、シャツが透けて心も揺れる! いっぱいいっぱいな感じも、そして嬉しそうな顔も、すべてに癒されます。
表題作が持つやや変わった雰囲気は、一冊通して読み終わったあとでもいまだ残っています。
あとがきで二人は同じ慧と書いてあったんで、生き霊?なのかと思った。タイトルがゲシュタルトだから、聡嗣の好きすぎて自分でもわからないうちに精神崩壊しての幻覚なのかと思ったりもした。
慧がフラれて泣いていたけど、二人が同じ慧なら聡嗣に消えろと言われたから?とか思ったりもしたけど…それなら、女の子の意味ないし、理解力足らなくて苦しんだ。
どんなに問題のある恋でも最後は出来るだけハッピーで終わってほしい。
雨宿りしてるのに車に水かけられて乳首が透けちゃう話が一番好き。眼鏡の子が可愛い。
扱われているテーマやタイトルから、いろいろ考えすぎてわけがわからなくなってしまう作品ってありますね。
筋道が立つように解釈をしようとしても、自分が立てた仮説にそぐわないシーンがあったりすると、また1から仮説を組み立て直さないといけません。
そんな感じで、組み立て直しまくって、何度も読み返した結果、「もしかしてそこまで深い意味はない?」と思った作品がこちらです。
【ゲシュタルト】中立
長年抱えた「好き」という想い。
何度も何度も伝えたのに受け入れてもらえない慧の気持ち。
一度も伝えたことはないし、これからもきっと伝えない聡嗣(あさつぐ)の気持ち。
頭と心中でずっと繰り返し想っているうちに「好き」がゲシュタルト崩壊を起こします。
突然、聡嗣の部屋に現れた「聡嗣が好きなところだけの慧」。
聡嗣が見つめられたいと願った恋する視線を聡嗣に向け、聡嗣だけを欲する慧。
でもそれは現実の慧ではなくて…。
難しいですね。
好きなところも嫌だなと思うところも全部引っくるめて慧なわけで、中学からずっとひとりの女の子を一途に想い続けている部分や、「友人として」聡嗣を一番頼りにしているところ、聡嗣の想いを受け入れてくれないであろうことを排除した慧は、果たして慧と言えるのか。
現実の慧とここにいる慧と、自分が好きなのは…?という妄想かファンタジーか、線引きが曖昧なラインで物語が進行していきます。
自分に都合の良い部分だけの慧を消しても、結局残った想いは、慧という存在そのものに向けたものだから、ということなのかな?
「ここが好き」「それは嫌だ」とパートに分けるのではなくて、全部ひっくるめた慧が好き、むしろ聡嗣の存在が「慧を好き」という意識に統合されたような?
報われない恋に飲み込まれていくようで、美しいラストシーンが物悲しく見えました。
【君に一番近い場所】萌
やっと来ました、チビじゃない攻め。
秘密基地にしようと思っていた高台の廃墟で、男同士のえろすを見てしまったDK。
その後、何度も覗きにいくうちに…。
恋に夢みがちで性に多感な年頃の少年と、自分の恋心をある程度割り切らざるを得ない大学生の対比が切ない話でした。
ラストはしあわせになれる予感でいっぱいです。
【星くずの街】しゅみじゃない
こっちの都合なんてお構いなしに呼び出しては、わがままばかり言う先輩と、そんな先輩を好きな後輩。
本人が良いなら、それでいいんじゃないでしょうかという話。
【シースルー】萌2
女子にモテるイケメンな友人のことが好きな眼鏡くん。
ある雨の放課後、雨宿りをしていた2人は…。
瑞々しい!初々しい!ときめきます!!
短い話ですが、この2人、続きが読みたい!と思わせる可愛い2人でした。
まだ未読という方にひとつだけアドバイスを。
表題作は深く考えれば考えるほど、自分の仮説の辻褄合わせの要素を探してしまって萌が遠のく危険があります。
大槻さんが提示しているものをそのまま受け入れて考えないのが、ベストな読み方です。
連載中にすっきりしなくて
書き下ろしに期待をして
やっとコミック。
書き下ろしはなかった・・・
いつものミゥさんとは少し毛色が違ったお話でした。
目が硝子のような潤んだような
とても印象的なミゥさんのイラストにびっくりするくらい
はまった作品だったなと
思います。
自分が大好きな親友には
振られても告白を何十回もしているほど、大好きな女の子がいる。
大好きな女の子を見ながらうっとりしている、その親友の顔にドキドキしている。
もう一人の彼を生み出してしまったのはやはり、自分自身なのだろう。
決してどこにも行かない彼
部屋の中にいる彼
幸せで満たされた日々。
自分だけを見てくれる。
怖い。人を想う気持ちって怖い。
でも、何十回も告白するのってすっごく迷惑。
それがハッピーエンドなら
美談かもしれないけど
ずっと思われるのは
自己対処ができていない自分本位な愛情。
怖い。
ひたすら怖かった。