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カタブツ武士×小悪魔襲い受v 素直になれない男達の恋の行方は?
ichigo no yume
一期之梦
まさか宮本さんまでお江戸描きになるとは…と言う
軽い驚きはあるものの想い筋捌きの巧みさに舌を巻いて
いる評者です。
確かに帯の文句に釣られて前のめりになるとそのまま
つんのめって起き上がり難くなる可能性はあるものの、
四角四面に治めるよりも粋に治めてくれそうな人に
ちょいと頼んでみましょうかと言う気にさせる空気を
本文中で醸し出すのは流石の手腕かと。
それに恋の道行きも理詰めじゃなくて情を適度に
絡ませて無粋も粋にしてしまう様な手管で最後まで
持ち込んであるのですから舌を巻かざるを得ない。
このお二方がふらりと戻って来たならば、徳利一本でも
黙って差し出しましょうかね。
幕末も近いお江戸の町で、始末屋稼業を営むハンパ者の利助は、吉原の揚屋(花魁と遊興する店。江戸末期には廃れてたらしいけど…?妓楼?)の依頼で、店に現れるという化け物だか幽霊だかの正体を調べていた。
そこで知り合った旗本の次男坊で国学の徒・宗次郎の助けを得て、謎の正体に迫る……
といった展開の、お江戸を舞台にしたあやかし退治譚BL。
細かいツッコミはともかく、オカルト時代劇として読んでも面白かったです。
絵が上手いだけでなく、オカルト描写も雰囲気出していて(特に呪怨顔!)良かったと思います。
BLとしても、宗次郎の生真面目で朴念仁なキャラと間の悪さが面白かったし、酸いも甘いも噛みしめた大人な相馬の旦那のキャラも良かったです。
(相馬の旦那と利助の関係は、恋人同士っていうより保護する者とされる者の関係だと思うので、旦那の綺麗な引き際もらしくて良いかな、と。)
でも第三話は、なぜ「起き上がり」をする必要があったのか、利助への逆恨み的復讐とどう関連していたのか、気になって仕方ありません。
中国の殭屍ネタとのことですが、日本だと死体を跨いだ猫が犯人っつーのがデフォ…と、どうでもいいオカルト知識も邪魔して、さっぱりわからないんですけどーっ。
宮本佳野さんによる時代もの。
それも、お江戸の怪異ものです。もうそれだけで面白いですよね!
で、「麗人」レーベルですがエロは非常に控えめ、いやほとんど無く、宮部みゆ○作品的な読後感です。
内容は、短編のオムニバス。
「一期ノ夢」
江戸の何でも屋・利助登場!
吉原のある揚屋で立った妙な噂。そして目撃してしまう空飛ぶ首!
ひょんな事から知り合ったカタブツ旗本の宗次郎が怪異に対しての知識があり、共に調べることで少しづつ距離が縮まっていく。
この一編は「ろくろ首」ではなく中国の「飛頭蛮(ひとうばん)」が題材で、支那から売られて生き別れた兄妹の絆がテーマです。
BL的には、利助は妻持ちの同心と情を通じている(←セフレ?)が、酔って宗次郎にちょっかいを出します。カタブツの宗次郎にしてみれば、利助が気になるけど同心の存在が…というところですね。
このように、各編ひとの思いが起こす怪異に利助と宗次郎が関わって…という展開で続きます。
「柳ノ雨」
柳の木の精が護りたいのは、旅籠の跡取りの女装男子⁉︎
これは切なくていい話でした…しみじみと。
柳の精さん、もっと早く出て来ればよかったのに、とか。でもそれだと少年の成長譚にならないし、とか。
さびしいね…でもがんばれ、亮吉!
さて、利助と宗次郎。お気楽な利助はお気楽に宗次郎にチュ〜。
「雪中ノ柩」
死人が通夜の床で起き上がる!ゾンビか?いやキョンシーだ!
例によって怪異の知識がある宗次郎と騒動を追う利助。この一編では利助の出自と過去が明かされます。そしてずっと会ってなかった従兄弟の新之丞が突然現れる。新之丞が呪いの術者なのか?
恨み、復讐、同じだけの愛着。悲しい結末です。
宗次郎の生真面目さも好きな利助。同心の旦那とは関係解消を選びます。さて次は心置きなく宗次郎へ!…ってそういうのも宗次郎は苦手なんだって!
「八十八夜」
今回、仕事の依頼主は宗次郎!座敷童子が出るという旅籠に一緒に泊まろうという。
夜半、2人きり。宗次郎を誘う利助。ついに2人は結ばれます!
「猫又ノ夜」
新しく深川、利助の長屋の近くに居を構えた宗次郎。庭に住み着く猫は珍しいミケのオス。
毎日やってくる利助にやっと!ここに住んだらどうか、と言う宗次郎。
ミケちゃんが忍び込んだコソ泥を退治してくれます。どうやらミケちゃんは猫又らしいですよ。
そして、宗次郎と利助も収まるところに収まるハッピーエンディング。
いつもぼかしたような色遣いのカラーが、今回の時代モノに合わせたマット感のある版画調の色遣いとデザイン。
このカバーイラストに、この一冊の主要登場人物が全て入ってる♪
思わずドキドキしました☆
物語は、黒船が来航した頃の幕末江戸が舞台。
同心を旦那にしている、赤い髪を散切りにして頭巾をかぶっている始末屋の利助が主人公。
始末屋って今で言う所のなんでも屋?探偵稼業みたいなものかもしれませんね。
その持ちこまれる事柄が、奇異でな怪異なモノ。
遊郭で発生する空飛ぶ首の謎解きの折、そこへ太夫の身請けの為の下調べに来た旗本の次男坊で国学者の宗次郎と出会った事で、一緒に調査にのりだすが。。
といった、そんな不思議を軸にして展開していく物語。
あとがきをみると、それぞれの話しに登場する怪異の由来などが書いてありますので、参考になります。
最初は空飛ぶ首、次が柳の精霊、そして利助の過去が明らかになるそれにまつわるお話にはゾンビというよりキョンシーなのか(笑)そこには執着と悲しい怨念と、お口直しに座敷童子、ラストが猫又。
それぞれが人の気持ちというものにまつわるものゆえに決しておどろおどろしいものではありません。(ラスト2話は楽しいものですが)
利助、奥さんのある同心とねんごろではありますが、寂しがりなんでしょうね。
誘いながらも奥さんを気にしていますから、本当はいけないと思ってる。
そこへ現れたのが独身の宗次郎ですから、利助は盛んに誘うのです。
だけど宗次郎は朴念仁なのか初心いのか、なかなかそれに乗りません(残念w)
はっちゃき者の利助と、学者さんだけあって色々物事を知っている宗次郎が何となくいいコンビになっています。
座敷童子の調査に利助を誘って旅籠に行くのですが、これって本当は・・・?じゃないのか(笑)って勘ぐりましたが、座敷童子の正体に爆笑しました♪
ここで初めて結ばれます、二人v
そしてラスト、これってプロポーズよね♪なちょいツンデレで不器用な宗次郎が、可愛らしいと思ったお話。
最初利助の髪が赤い設定があったので、ひょっとして異人とのハーフとかそんな生い立ち設定かと思いましたら違いました(汗)
そして、家族が亡くなって一人ぼっちになった彼が何とか生きてきて~というのと同心が旦那という設定に、ひょっとして色子をした?とか思ったのですが、これも外れました(汗)
そういう意味で、予想を裏切らられたのはある意味、とても新鮮でよかったのだと思います。
時は幕末ですから、世は移り明治になって洋装になった二人が活躍するお話も見てみたいかな~♪なんて欲張ってしまいます♪
いつもと違う宮本作品、萌×2に非常に近い萌えです☆☆
いつもの宮本さんの絵の雰囲気とちがったこの表紙の着色、とても気に入っています。
内容はお江戸怪奇捕り物という時点で人を選ぶ気がしますが、
私こそ選ばれし人間!ということで大好き路線なので読みましたw
このお話、帯や本体あらすじに「妖怪」捕り物ではなく「怪奇(怪異)」捕り物と記述しているところがにくい。妖怪は民族学では怪奇現象であって厳密には具体物ではなく現象のことを指すカテゴリーがあります。とくに現象を強調した学者もいますし、そのことを踏まえて小説を書いている人(京○○彦)もいます。ちょっとしたことですが「妖怪」と記述せずに「怪奇」と書いたところに妖怪オタクは心がくすぐられました。
時は幕末江戸の町。堅物な旗本の次男坊・宗次郎×ビッチな始末屋・利助の迷コンビが事件を解決するお江戸怪奇捕り物。
以下ネタバレ満載でお送りいたしますので閲覧注意でお願いします。
『一期ノ夢』
ビッチな利助と堅物宗次郎の出会いの序章。
利助は同心とセフレな関係。堅物な宗次郎は何だこいつは?といった目つきで見ています。
怪しげな女童の首が飛んでいますw
これまたろくろ首ではなく中国の妖怪「飛頭蛮」とするところが小にくい!!
そうです、日本の妖怪ろくろ首の元は飛頭蛮と言われています。
飛頭蛮は首から上が浮遊する現象を指します。特に子供に多いのだとか。
『柳ノ雨』
ビッチな利助は宗次郎にのっかるも自分の気持ちに気がついておらず、まだまだ進展のない二人。
柳の精のお話でした。
どちらのお話を参考にされたのかは不明ですが木魂婿入に近いお話かなと思いました。
あとがき解説には柳の精は男だと書いてありましたが、確かに男が多いですが地方に行くと女の精のお話もあります。
『雪中ノ棺』
死んだ人が起き上がるというお話でした。
どうやら利助の知り合いがこれに関係しているらしく…。
利助はセフレの同心とはお別れを決め、ついに宗次郎一本に決めます。
現代人のイメージでは起き上がりと言えばゾンビですが、
あとがき解説によると「子不語」のキョンシーのお話を元にされたとか。
キョンシーといえば霊幻道士!!霊幻道士オタクはみなぎりましたwww
『八十八夜』
座敷わらし…と見せかけた子供のお話でした。
おぉ、ついにオーソドックスな妖怪が!と思ったのですがニセモノでした。
そして利助と宗次郎はついに体をつなげるのでした。めでたしめでたし。
『猫又ノ夜』
描き下ろしです。
宗次郎の家に住み着いているネコが実は猫又だったというお話です。
宗次郎はやたらと妖怪を引き寄せる体質のようでした。
妖怪フリークとしてはマニアックな心を刺激して下さってありがとうという気持ちと、
宗次郎の研究の仕方がたるんでいるのが気になるwのと、
あとはこういう漫画につきものな調伏する人間がいないのが少し物足りなかったので、
中をとって萌評価です。
オーソドックスかと思いきやなかなかにマニアックなところを突いてくる、
マニア心を刺激する作品でした。
萌ですか?ゆる~い感じの利助と堅物宗次郎の面白い関係もなかなかにツボでしたよ♪
怪談と言ってもトラウマになるほど怖い話はなくw
悲しみを背負っていたり、ユーモラスで可愛らしかったり、
愛着をもてる様々な妖怪が出てくる一話完結型の連作短編集。
深川で始末屋を営むチャラ男・利助と
旗本次男で学者のカタブツ「宗さん」こと宗次郎。
正反対な二人が江戸でおこる妖怪がらみの事件を解決し、
少しずつ互いの距離が縮まっていくというお話です。
(いつもいいところで邪魔が入りますが…w)
気のいい同心・相馬(利助とはセフレのような関係)との
微妙な三角関係や、意外と苦労人な利助の過去など
軽妙な空気の合間に漂う切なさが江戸情緒って感じでイイです。
【柳ノ精】と【雪中ノ棺】が特に印象的でした。
◆【柳ノ精】は、女として育てられた旅籠の息子と謎の青年の純愛が切ない。
◆【雪中ノ棺】では、飄々とした利助の、意外と苦労人な過去が明らかに。
再会した唯一の身内(従兄弟)に憎まれ、
体調を崩して宗次郎に甘えている弱った姿が可哀想だけどカワイイw
辛いけど何とか立ち直ったラストで、
いい雰囲気なのに逃げる宗次郎は本当にヘタレ…w
でもその優しい人柄が、辛いことも一人で抱えてきた利助の救いになっているんだろう。
利助に「そんでも大好きだぜー!」って叫ばれて照れるシーンが好き。
そして、最後の【八十八夜】でようやく!一線を越えます。
薄暗ーい部屋で、互いの息遣いしか聞こえないようなイイ雰囲気。
「いいか…?」「ウン…」とか、
相馬の旦那にもう会わないでくれ、とヤキモチ焼く宗次郎とか、
(というか、まだ会ってたのね…w)会話がいちいち可愛くて萌え。
↑例によって、またしても邪魔が入りますが…w
座敷童子が出る宿で…って時点で予想はつきましたが、
最後くらい、もう少しBLらしい見せ場が欲しかったかなー
(利助と相馬、利助と従兄弟など、想像をかきたてられる場面は
ちょいちょいあるんですが、本命とのソレが少ない…)
描き下ろし【猫又ノ夜】では
「なーそろそろ俺の荷物も運んで来て良いか?」と、
番になる?二人の今後を匂わせておしまい♪
サラッとした終わり方でしたが、続編出ないかなー。
学者で妖怪オタな宗次郎をきっかけにいくらでも話が広がりそう。
もっと宗次郎と利助のラブラブも見たいし…w
※特典ペーパーは、有隣堂版と通常版の二種あって、
私が買った有隣堂の店舗では二枚とも貰えました。
どちらも、妖怪がらみの4コマです。
始末屋の利助と旗本次男坊で学者の柳本が偶然知り合い吉原で起きている
怪奇事件を調べるうちにくっ付いてしまうストーリー。
現代で言う所の便利屋と学者って感じでしょうか、江戸時代の探偵ものの
雰囲気もあり、あけっぴろげな利助は同心の旦那と今で言う不倫関係。
それもセフレ的な感じでノリも軽いのですが、そこに柳本が加わり三角関係もどき。
もっとも利助と同心の関係は簡単に終われる間柄なのですが、利助に柳本が
天然で振り回されてる気がします。
利助も初めは単なるノリ的な感じで柳本に迫っていたりするのですが、
柳本は初心で生真面目、同心に嫉妬したりと悩める日々。
お江戸を舞台に怪奇現象を解決しながら二人が相愛になるまでを描いていて、
ラストの雄の三毛猫さんが出てくるお話は個人的に好き。
下手な番犬よりも頼もしい存在は是非とも逢ってみたいと妄想しちゃいました。
江戸時代であやかし退治!!
大好きですこういうお話。
ですが今回はあやかし退治より(勿論面白かったですよ!!)も、
人間同士の関係の方が気になって気になって(笑)
便利屋を営んでいる利助との三角関係的なのが面白い。
泥沼化するような内容ではないのですが
最初は利助が北町奉行所の相馬という人物と関係を持っていたのですが
ある事件で旗本の次男坊で学者の宗次郎と出会い、そこからいろいろと…
カップリング的には宗次郎と利助なのでしょうが相馬も結構いいキャラでして。
宗次郎と相馬それぞれの小さなヤキモチが可愛いな~と。
お話的にはまとまって終了してるんだけど続きってあるのかな??