東雲月虹
hi-fi
夢の中で赤い川の岸にひとり立つ政宗様を
ひきとめようとする小十郎ですが
川に足をとられ思うように動けず、消えてしまう政宗様…。
その“言い知れぬ不安、焦燥、恐怖”。
翌日は晴天に恵まれご機嫌な政宗様ですが
寝不足で目の下にクマがある小十郎に小指を立てて
「コレかぁ?」とからかいます。
真面目な小十郎は
「…朝方まで六韜を読み返していただけです!」と誤魔化しますが
向けられた背中に夢がプレイバックして
突然無言で政宗様の左腕をとります。
「ご無礼を…っ」焦る小十郎、
驚きながら「寝惚けてんのか?」と政宗様。
動揺しながらも、いつか政宗様があの赤い川に立つ日が来たならば
共に飲まれようとも、その手をとると改めて思うのです。
乗る馬の顔を撫でてやり、小十郎の熱のある手を反芻して
茶化しても心が波立つ政宗様でした。
色っぽい事は何一つないんですよ!!本当に!!
でもまた脳内で帝王と中井さんのお声を再生すると
これがもう悶えずにいられるかっていう!!!
こういうのは便利な頭で良かったなぁって思います。(こういうのだけ!は)
内表紙の華の和柄が美しいですし、
心配性すぎる小十郎が愛しくてかなわんのです。
少し短めですが、丁寧な鉛筆描きで
勿論モノクロだと言うのに暗い赤い川の色が浮かんでくるようでした。
シリアスなんだけど、ほんの少しの笑いを入れて下さって
尚更心にずしっとくる九號さんです!!
小十郎には戦の前に必ず見る夢がある。
赤い岸辺に立つ政宗を引き留めようとするのだが、叶わず、政宗は川面の下へと消えてしまう。
この度の戦の前にも同じ夢を見た小十郎。
不安や恐怖を抱えたまま、出立の日を迎える。
その日はまさに戦日和の晴天で、寝不足の小十郎を明るくからかう政宗。まるで小十郎の心配を取り除こうともしているような…
夢の場面と政宗が去っていく姿が重なり、政宗をつい引き留めてしまう小十郎は、正に戦場に夫や恋人を送り出す妻や女たちのようで、政宗を心配している小十郎に萌えました。