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「大切で得がたい人間との邂逅は唐突なものだ」
fushigi na tomodachi
店頭で作者の名に惹かれ、そして帯に引用された
一コマで購入を決意。
そして紐解いた感想はと言うと…よくぞここまで
描き切られたなぁ、と言う感嘆の溜息交じりの
ものとなりました。
最終的には肌を重ねている二人なのですが、
その過程は何とも不思議な味わいに見えるかも
知れません。
そしてその先行きも恐らく不思議な味わいに
感じられるのかも知れません。
ただ評者はこの作品と似た様な手応えを、
BL創作界隈の草創期に味わった覚えがあります。
性衝動のぶつかり合いと言う説明だけで
収められない様な、かと言って友情と言うには
いささか深い仕舞い所のない関係。
そう言う関係描写の進化形として、この作品は
位置付けられるかと。
発売されたその日から、気がついたら毎日読んでいる本です。
昔から気に入ると何度も何度も繰り返し読む癖があります。
あぁ、私はこういう作品を心から欲していたんだと実感しています。
内容はなんの変哲もない大学生二人のなんの変哲もない日常のお話です。
二人の出会いにはどこにもドラマチックな部分はありません。
DVD見る? 見たい。 じゃあ連絡先教えて。 いいよ。
そんな始まりです。
でも、そんな他愛もないことが友達になるきっかけだと思います。
私自身も3人くらい親友と呼べる人がいますが、きっかけは由岐と和みたいにアニメの話をしている時に共通の好きなアニメがあることが発覚して、そして友達になったんですよね~。3人のうち1人は友達になったきっかけすら覚えていないし。
「友情」って自分の中ではおろそかに出来ないテーマなんだろうと思います。
由岐はオタクだし、自分の好きなことに没頭すると周りが見えなくなるようなマイペースタイプです。
なので何かにハマって没頭してしまい、和に連絡をしなくなって、和がそれをさみしく思うような場面もあります。
でも由岐という人間は、自分の内側にいない人間には距離を置くけれど、一旦友達認識し、心の内側に入れた人間に対しては少しのわがままも聞いてやるし、自らその子のために何かをしてあげようとする、そういう面もあって、そこが彼の良さだと思います。
和も由岐とは違うマイペースさがあります。和は鈍行で東京から九州まで行ったりするような、思いついたこと実行してしまうタイプ。急に江の島に行こうと言ったり、髪を切りに行こうと言ったり、思いつきで相手を巻き込むような面があります。無邪気な性格と言ってもいいかもしれません。でも和は単に良いと思った何かを相手に伝えたい、共有したい、それだけなんだと思います。そんな気持ちをくったくなくストレートに表現してしまう、そういうところが彼の良いところです。
別々のマイペースな部分を持った二人が、不思議なことにそれらがぶつかり合うのではなく、上手くかみ合うんですよね。
お互いがそれぞれに持っている個性の部分に魅力を感じています。
由岐は和のことを理由は分からないけど特別だと感じているし、和も由岐が自分に対して心を開いてくれていると感じています。
やがてお互いに一緒にいることに遠慮がなくなり、一緒にいることに心地よさを感じるようになります。
そしてある時気がつくのです。
お互いに「特別」だと思っている感情が、友情だけではないことに。
初め、言葉ではなく行動に現れて、
やがてその感情を言葉で形にするに至るー。
だってこんな関係が作れる人って家族以外では滅多にめぐり合えるもんじゃないと思いますし。
そもそも身内でさえ分かりあえないとかソリが合わないとかあるのに;
あかの他人でここまで空気感がピッタリ合う人がいたら、それはもう「特別」!!
自分のツガイですよ!!!
レンアイ関係とかラブラブとか、そんな形容ではなく、
友情の先にあるものが「かけがえのない存在」というのがいい!!
半端な恋愛ものよりもよっぽど強い絆を感じます。
そしてあの照れくさい感じがたまりません~!!
いよいよ二人が…の時に、
和も堂じないように見えて、実は相当照れていたことが発覚するシーンはニヤニヤが止まりませんでしたニヤニヤニヤニヤエンドレス(笑)
やっぱりそこにツボがあるらしい!
あと、沖縄のホテルでバスタブに一緒に入っている二人も良かったです。
決していやらしい描写はないけれどドキっとしました。
それと同時に二人の自然な空気感も感じる、印象的な場面でした。
他にもこの作品のそこかしこにオタクの心をつかむセリフやタイトルが入っているところにニヤニヤしてしまいます。
あとがきにて先生が仰っていた「一人のこころからの友達がいればたいていのことはなんとかなる」、これこそがこの作品のテーマなんでしょうね。そして私が深く共感する部分でもあります。
最近のBLの中では珍しいような新しいような作品なのに、どこか強烈に懐かしさを感じます。
でも決して古臭くはありません。
一周回って戻ってきたような、なんとも不思議な気分になった作品でした。
そして私の好きなものの原点はこういう関係なんだと感じる作品でした。
*先生のプロフを見ていて気がつきました。
新井先生本日がお誕生日なんですね~、おめでとうございま~す!
なんだろう。何かわかんないけどすごい好き。ちょう好き。
たぶんこの作家さんはずっと追いかけるだろうなという予感。
絵はIKKIとかで描かれてそうだなと思ったら、ほんとに別名で連載されてるみたいですね。
オタクと非オタクなんですが、そこの違いの葛藤とか壁とかはなくて、もうほんとシンプルに趣味の違う人間同士が友達になって、他の人にはない共感でもって特別になって、お互いにとって唯一無二の関係になるという、その過程が特別ベタベタもキラキラもしてないのに、何か読んでてたまらない気持ちに。
素の自分を受け入れてくれる感とか、そういうのって相手が普通にやっちゃうほど、自分には特別になるよなって思う。
二人のキャラクターのテンションが自然で、表情が、特に目が持ってかれる感じによくて、何度も読み返しちゃいそうです。
初レビューです。
表紙のデザインと、裏表紙の二人のんめ楽しそうな笑顔と、オビに惹かれて購入。読み始めて10ページぐらいで「あ、私この話好きだ」と思いました。
オタクの由岐とオシャレで今風な和。小さなきっかけで知り合い、驚く程自然に仲良くなっていく2人。なぜか、学生時代に学年一秀才な真面目くんと、正反対でクラス1のおちゃらけものだった子の二人がとても仲が良かったことを思い出しました。
お互いが好きだ、と自覚した後も恋人というよりは仲の良い友達って感じがします。「ふしぎなともだち」というタイトル通り、友達の延長線のような。
私は、BL漫画を読み終えると、「この人たち10年後も付き合ってるのかな…」とか真剣に考えてしまうのですが、この作品の二人はきっと10年後も続いていくんだろうなぁと感じました。
全体的に優しいお話で、読了後の満足感はすごいです。
お気に入りの作家さんが増えました。大好きです。
大学の学食で、和が由岐に声にをかけたのは、アニメのストラップが目に留まったから。
物怖じせず屈託のない和は、取っ付きにくい由岐のオススメアニメDVDを見るために、メアドを交換し、忘れずにメールを送って、由岐のアパートを訪問することになる。
そのアニメを見て号泣した和は、由岐にとって特別なアニメを「わかってくれた」存在になり、二人は友達になったのだった。
そんなこんなで、同人エロマンガ家でもある由岐のイベント参加を和が手伝ったり、実は無自覚乗り鉄(普通、鈍行で九州まで乗ったりしない。笑)だった和に誘われて出かけたりして、急速に二人は親しくなっていく。
だが、事故のようなきっかけでキスしたことから、二人はお互いを意識するようになって……
という展開の、オタク大学生×非オタ大学生の不思議な恋愛関係を描くストーリー。
いやぁー、由岐がホントにもうオタクらしいオタクで、でも嫌なオタクらしさがなくていい感じなのが上手いなぁと思いましたっ。
あの、言動や行動がマイペースなところとか、直情的なのとか、即売会直前の生活環境とか、見た目とか、オタクあるあるだと思う(笑)
だけど由岐って、見た目も含めて結構男前だと思うんですが、どうでしょう?
和にとって由岐は、中学時代に(結果的に)ひとりにしてしまった友達への罪悪感もあったんだと思いますが、由岐が和の今まで知らなかった世界を持っているとかだけじゃなく、由岐のある意味まっすぐでさっぱりした性格も心地よくて、居心地が良かったんじゃないでしょうか。
コミュ力高いらしい和だけど、たぶん変わってる部分(鈍行で九州行っちゃう、とか)を受け入れてくれた友達って、今まであまりいなかったんじゃないかなぁ。
自分の気持ちを素直に出してしまう和と、めんどくさい性格の由岐は、ある意味「割れ鍋に綴じ蓋」なのかもしれない。
「お前に出会えてよかった」という言葉が、心にしみた作品でした。
各話のタイトルも、アニメ映画タイトル→鉄道ゲームタイトル→ホラー小説タイトル→古典的恋愛ゲームタイトル→ロープレゲームタイトル(コレは知らんかった!)→恋愛ゲームタイトルを使ってるお遊びになっていて、ニヤリとしました。
(いや、元は映画や小説のもプレステやTRPGでゲーム化されてるから、全てゲームタイトルでそろえてる?)
実は絵柄は自分の好みではなかったんですが、この作品は「おれの魂」的親近感を感じてしまい、かなりお気に入りです。
気持ちの良い、不思議な読後感の作品でした。
何故この二人が?っていう
組み合わせの二人がすごく仲がいい、
っていうのは現実でも意外とよくあったりする。
そんな人たちもこんな風にそれぞれの出会いが
あったんだろうなぁと思わせてくれます。
由岐と和は思い合い、
最終的にはセックスもするけれど、
自分たちでもその関係を一言では言い表せない。
普通の恋愛マンガやBLだったら、
そこで「恋人」って言わなきゃ、不安に駆られたり、
一波乱起きちゃったりするんだろうけど、
この二人はそうならない。
友達とか同級生とか恋人とか全部だ、って、
それってすごく幸せだよなぁって思った。
この物語の、二人の世界観・距離感を
すごくよく表している。
だからこのタイトルに行き着くんだね。
全体的に日常話でほのぼのなんだけど、
やけに現代を映していてリアルさがあった。
オタ用語とか言葉遣いとか。
由岐の「かまわんよ」とか「解せぬ」とか
変に語尾敬語なとことか
たまに会話中自分もやるなって…
あ、あと「40秒で支度…」って
ラ◯ュタだね(笑)!
そういうのがとても自然だったから、
なんだかBLコミックな感じも
やっぱり良い意味で薄く、
青年誌に載ってても本当に
そんな違和感ないんじゃないかとまで
思ってしまった。
なんてことない日常、
アニメや同人、コミケ。
感傷的になり過ぎない過去の回想。
一話ごとに視点が変わる展開。
こういうのが全部、ふたりの関係の発展を
ごく自然に読ませてくれる。
どっちの気持ちも自然に理解ができるのだ。
BLっぽい恋愛恋愛にフォーカスしすぎず、
自分を構成する要素が周りに沢山あって、
(アニメ、同人、大学、
そのほか色んな好きなこと)
自分たち二人もいるんだっていう、
そういうのがこのマンガの全てに
繋がるんじゃないのかなぁ。
だから他のマンガに比べて
不思議な読後感なのだと思うのです。
帯にある言葉
「大切で得がたい人間との邂逅は唐突なものだ」
という由岐の言葉にものすごく納得。
由岐にとって和はそういう存在で、
和にとって由岐はそういう存在なんだ。
BLっぽさは薄めで、絵も独特だけど、
じんわりとよい気分が広がっていくお話です。
萌えを重視するならば期待はずれかもしれないけど、
単純に「いいマンガ」読んだなぁという本に
めぐり合いたい人におすすめ。
そしてこれ、読む毎にじわじわきます。
私にとってはスルメ系だったようだ。
読み重ねてますます好きになる。
また読んでどんどん萌えてきた…
最終話のセックスするまでの過程が特に。
なんか数日読み重ねて神になってしまった。
二人の関係がとても羨ましい。素敵だ。
ちなみに別名で描かれている非BLのほうを
先に読んでみてたのですが、
そんときもかなり衝撃的でした。
他の作品も見てみたい注目の作家さんです。
自然と友達になり、自然ととなりにいて、自然と好きになる日々が流れるように描かれています。
現実にありそうなリアリティーがある。
会話がほんとにナチュラルで読んでいてひっかかるところがない。
絵は好き嫌い別れると思います。
(個人的にはガサガサした線が好きなのでイラスト買いした)
でもそんなこと関係なくなるくらいストーリーが良いです。
目新しい設定や展開じゃないのに初めてBL読んだ時のドキドキ感がありました。
これが初コミックスなんですね。
次もかなり期待してます。
購入してから2年以上たった今でも未だに何度も読み返します。最も好きな漫画の内の1つです。
絵に関しては最早言うまでもないくらい上手で、デッサンがしっかりしているからこそ、がさがさとした線でもすっと情報が入ってきます。
とにかくキャラクターが非常に魅力的で、和は現実にはいそうでいない、とてもまっすぐでいい性格をしています。
対して由岐は、こちらが思わず共感してしまうような、1つに夢中になったら他には目をくれることも出来ない典型的なオタク。
この二人が出会ってからかけがえのない間柄になっていく間に、何か特別で衝撃的なドラマは一切ありません。
ただ、日常を共に過ごしたり、過ごさなかったり、そういった何気ない小さなシーンの積み重ねの描き方が非常に上手いです。
最近では受け攻めの2人以外にもたくさんの登場人物が出てくる漫画が多いですが、この本に関しては、フォーカス当てられてるのは本当にたった2人だけ。
だからこそ、濃密な関係がゆっくり築かれていく過程を楽しめます。
難しいことは考えずに、ああこれいいなぁ、いい話だなぁって思います。
通常であれば接点がないガチオタクと非オタの二人が些細な共通点を見出し言葉を交わすようになっていく。
今までいろんな人に見せたのに誰も泣いてくれなかったけど、自分にとっては神作品のアニメをアイツに見せたら号泣してくれた。
アイツの話を聞いていると何だか面白い。
だから自分が好きなもの、感動したものを共有したい。
そしてアイツがどう感じたか聞きたい、知りたい、他の誰でもない「アイツ」の感想が聞きたい。
特別何が起きるってわけでもない。
日常を過ごして、時間を共有して感動を共有して過ごす。
少しずつ少しずつ色んな思い出が積み重なっていく。
「あのとき あのとき たくさんのあのとき」
ここを読んだとき、そうそう!そうなの!と感動しました。「たくさんのあのとき」が意味をなしてそれが積み重なっていくんだと。
この作品を読んでいると、人と人が付き合うってシンプルで単純で、そしてとても意味深い事なんだなぁと思えます。
私がトピ立てした「ちるちるのランキング圏外だけど、心の琴線に触れた作品を教えてください」
http://www.chil-chil.net/answerList/question_id/4967/#IndexNews
で教えていただいたのが、新井煮干し子さんの作品「ふしぎなともだち」と「因果の魚」でした。
私はこちらの「ふしぎなともだち」がとても気に入りました。
同じ新井煮干し子さんが描いた「アラウンド」も読んでみようと思います。
教えてくださり本当にありがとうございました。
なんとなくノーマークで見逃していたこの作品ですが、
2014このBLがヤバイにランクインしていたので、改めて購読しましたら、
おぉーッ!
これ私、絶対神に評価しちゃう本だ!
まず、画力がいいでしょ、
こういう、デッサンのしっかりした絵にはプラス評価!
そして、ストーリーもいい!
「アニメのストラップ」をきっかけに仲良くなる導入部、このストラップの微妙なレア感と、いきなり弾ける由岐のオタ語りにナチュラルについていく和。
そして、由岐の部屋で、知り合ったきっかけのアニメを見て泣く二人。
もう、この時に、恋に落ちていたのよね。
この二人が、いつ恋を自覚して、
どうやってその恋を実らせるのか、
最終的には朝チュンだけど、それで充分。
今更だけど、この作品、読めてよかった。