かえっちょ
c・darwin 3 noma dao
震えがくるほど素晴らしい一冊です。
もう傑作としか言葉が出ません。
『EINSTEIN』に続き、完全オリジナルキャラによるストーリー。
絵柄は勿論のこと、話の展開がこれ以上とないほど上手い。
女性が描く戦記寄りのファンタジーとして、最高傑作であると言わせてください。
但し、BLではありません。それでも評価はこのままにさせてください。
我が儘を通してしまい、申し訳ありません。
ちなみにこちらは4部作のなかにあって番外編でもあるので、この1冊だけでも読むことは可能であると思います。
この作品をグランゾートファンの間のみで留めておくのは勿体なさすぎますよ~。
炎、水、風の精霊王たちが初代魔道戦士を作り出したところまで話はさかのぼります。
初代魔道戦士たちは出会い、人々に求められるまま闘いに身を投じていきます。
身寄りのない彼らは生きるよすがであったり暖かな暮らしを得たかっただけであったのに、過酷な運命を辿ることになるのです。
戦いが終わり平和になれば戦士は用済みの存在となってしまい、力あるものは邪悪なものとして封じられ、必要なときだけ請われる。
人はなんて勝手で残酷なのでしょう。
そして3人が出会った頃の、戦いも無く暮らしていた小さな世界がどんなに幸せだったのか。
彼らの思いと絶望に思いを馳せ、ラストには例えようもなく打ちひしがれます。
しかし哀しく苦しいシーンばかりでなく、3人の魔道戦士たちの日常の様子がとても面白いのです!
アインやアディ(♀)に振り回され、父親役になってしまう常識人のサイレスが楽しくてw
アインとサイレスがとにかく格好良くて、ステキなのですよー♪
戦いにより人々の心が疲弊し、その絶望が新たな闇を生み連鎖していくのですが、それと同時に人は想いや命を繋いであらたな世界を生み出すことが出来る。
それが希望であって、生きるということなのかなと思い至りました。
そして3代目の魔道戦士である大地とラビが男同士の関係であったのは、この戦士たちの宿命の輪を断ち切る意味もあるのではないかと考えます。
星の数がまだ足りないです。
せめてあと一つ付け足したい!(笑)
この話に出会えて本当に良かったと、心から思える作品です。