黄金の川岸 坂の上の魔法使い(3)

ougon no kawagishi

山坡上的魔法使

黄金の川岸 坂の上の魔法使い(3)
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神149
  • 萌×28
  • 萌7
  • 中立2
  • しゅみじゃない6

--

レビュー数
18
得点
800
評価数
172
平均
4.7 / 5
神率
86.6%
著者
明治カナ子 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
大洋図書
レーベル
H&C Comics ihr HertZシリーズ
シリーズ
坂の上の魔法使い
発売日
価格
¥695(税抜)  
ISBN
9784813030164

あらすじ

H&C Comics/ihr HertZシリーズ

魔法使いが多く住む町・ゲルの外れの荒れ山に、魔法使いのリーと弟子のラベルは住んでいる。
リーのもとにずっと捜し続けていた元使役・リリドが見つかったとの報せがはいる。
リリドは王・カヌロスの亡骸とともにいると。
王の復活を目論むリリドの狙いはラベル。リーとリリドの最終決戦が始まる。
リーとラベルの運命は!? 坂の上の魔法使い堂々の完結。

(出版社より)

表題作黄金の川岸 坂の上の魔法使い(3)

その他の収録作品

  • 杭と杖
  • 使役Ⅱ
  • 来襲!
  • 歌をうたう人
  • 再会
  • 生まれてきた理由
  • 生への執念
  • ラベル
  • 冬休み
  • 湖上へ

レビュー投稿数18

ほんとうの姿

素晴らしい作品でした。
王家の人間にリーがかけられた呪い(といっていいでしょう)をそうとしらずラベルが解くシーンには唸らされました。ほんとうの姿…なんと巧妙な。明治先生ありがとう…
ゾラと王がしっかりと心を通わす点も救いがあって好きです。創作物の王族の愛の器は、広くて深い方が好み。彼女は無事母国に逃げられたのかなぁ。それは高望みかなぁ。

BL作品でこと恋愛について曖昧な完結は苦手なたちですが、この作品についてはそういう話ではなかった。そもそもBLとしてのアレソレをあんまり求めていないし、漫画として充実した作品を見られたので全く問題なし。そもそも明治先生はBLに限った作家さんではないですからね。

0

旅路

魔法使いシリーズ完結。
二巻の無二の王から心待ちにしていました。
今回もぶ厚い(OvO)
キラキラした魔法使い的なBLではないですが、カナ子さんの練られた世界観が好きです。
私もリリドのこと嫌いじゃなかったよ。。
親子ものには弱い......王とリーも形は変えてもちゃんと繋がっていたなって泣けた( ; ; )
広い世界があって、様々な人が繋がって、そして2人の今がある。
これからも愛に包まれてラベルもリーも幸せな生活を送っていくのでしょう( ・ ◡ ・ )

(2013.3.1)

1

素晴らしいファンタジー超大作

素敵でしたー
あっという間に読み終わりました!
今回もシリアスとほのぼのが絶妙なバランスで、
とても素晴らしい作品だと思いました。

ついに元使役と対峙することになったリー。
そして、ラベルの元に現れる使役。
ラベルののん気な様子はちょっとした癒しになりました。

彼の地で王と再会するリーですが、
ラベルのために生きることを宣言します。
ラベルと生きていくことを決めたリーは、
ようやく王と決別出来たと思います。
そして王も、ようやくリーと決別し妻の元へ…
ちょっと寂しい気もしましたが…

幸せに暮らすリーとラベル…
ラブはないけど家族愛みたいなものを感じました。
壮大なファンタジー作品を読ませていただきました。
心に残る作品の一つです。

1

成長したラベルの姿が嬉しい

 最後までよく練られた世界観を見せてくれたこの作品に、とても感謝しています。リーとアレットが愛し合える日々はアレットの生きている間にはついぞ訪れませんでしたが、この最終巻で2人がどんなに深くお互いを愛し合っていたかはしっかり読者に印象付けられます。アレットは復活したいなんて願わないだろうと思っていたので、彼らが会話を交わし、穏やかな表情で再び別れへと向かうシーンには安堵しました。この瞬間、リーの中でアレットへの想いは過去の大切な愛として刻まれ、今最も大切な存在であるラベルを守ることに人生を捧げると決めたんですね。

 個人的には中盤のラベルとリーの別れがとても美しい形で終わりを告げたので、正直リーの最期はここでも良かったようにも思いました。基本的にはハッピーエンドが好きだけれど、あまりにも素晴らしい余韻の残る展開だったので…。けっしてキャラの死を望んでいたわけではありません。ただ、それこそロミジュリのようにここで終焉を迎えていても、アレットにもラベルにも愛を貫いたリーの姿を胸に、心地良い読後感を味わえていたと思います。が、シリアスな展開の一方で、ラベルを取り巻く環境の明るさ、可愛らしさも1つの魅力なので、今はこの終わり方で良かったのだと受け入れています。リーが争いの日々からこんなに穏やかで心安らぐ日々に生きられるようになったことが、心から嬉しいですね。

1

一気読み推奨

めちゃめちゃ面白かった!伏線がすべて回収され、すごく前向きなラストだった。彼の地で王とラベルが語り合ってるシーンは、王の気持ちを思うと泣けてくる…。王とリーの再会は、言わずもがな。やっと、やっと対等になって別れを告げることが出来ました。そして王は、王妃と共に黄金の川へ…。もーこの下りが大好きすぎてもう!何度も読んじゃう。現実世界に戻ってきたリーが自分の身体を刺して裂くシーンはヒィィとなりましたが、後から脱皮と分かってほっとしました。人間と魔法使いが共存できる世界を二人で作っていって欲しいなぁ。

1

長髪キャラ萌えファンタジー

長髪キャラ萌えの原点は、『バナナブレッドのプディング』の御茶屋峠ではないかと思うことがある。いや、厩戸皇子か?『パタリロ!』のバンコラン、『楊貴妃伝』の九曜久秀、『愛してナイト』の大川里美。etc.。昔の少女漫画には長髪の素敵男性が多かったなぁ…。なんて同じ世代の方々にしか伝わらない少女漫画ノスタルジーに浸っている場合ではないのだけれども、明治カナ子さんの描く、リーという登場人物に萌えられるか否か、がこの作品をBLとして読むに耐えられるかの分かれ目のような気がします。

魔法使いリーと弟子ラベルの養父子兼、年の差師弟関係の謎。ラベルの成長物語。リーのセロハン王への固い忠誠心。この世を去った人々に馳せる想い。夜の散歩。死者の国への入り口へと繋がる彼の地、黄金の岸辺…。外にも諸々萌えを感じてしまったわたしとしては、ファンタジーとしてもとても楽しめた物語だったのですが、そこらへんとは別の部分にBL萌えを抱いている方々には「あ゛?なにこれwエロすらねーしっ(怒)」で終わってしまう可能性が高い。でも、王宮に仕える魔法使いは恋をしちゃいけないので、身体のラブにも至りようがないのです。

三巻とはいえ、大長編並みにお話に奥行きを持たせるための要素が色々と盛り込まれており、なかなか読むのに集中力が必要です。ミステリーとファンタジーは、読むプロセスにこそ楽しみがあるのであらすじは控えますけれども(素晴らしいレビューが既に出ていますし)、ひとえにこの物語の読ませどころへ導くキーパーソンは、リー様なのではないかと申し上げたかったのです。とろ~んなラブはないけど、ストイックなラブ。愛する人への想いを我が身に封じ込めることで充溢しちゃう皮肉な、そして哀しい愛のカタチを堪能できる方には、思わず涙してしまうとても素敵な物語だと思います。

2

すべての望みが叶う時

リーと、リーの元使役リリド、そしてカヌロス王。
セロハン王国が滅亡する時、王は自分の子をリーに託し、王子とリーを城から遠ざけるために、初めて自分の目の力を使います。
王に遠ざけられ、城が攻め落とされるのを、湖の対岸からただ見ていることしかできないリーは、目の支配が及ばない、ただ一つの手段として、自分の使役に名前を付け、杖まで託して解放し、王を助けることを命じます。
しかしリリドの到着は間に合わず、王は死に、王の亡骸を黄金の川岸に留めたリリドは、王を復活させる器にしようと、ラベルを狙います。

リーとリリドの対決、リーとカヌロス王の再会。
そしてカヌロスとラベル。

この世とあの世を隔てる黄金の川。

すべてが終わったかと思えた時、ラベルのちょっとした不注意から、ラベルはまた黄金の川岸に一人戻ってしまいます。
ラベルを助けるために自ら死ぬリー。
そして脱皮して生まれ変わったばかりのリーに、ラベルは命じるのです。
無自覚なまま、
王家の血を持つ者として、
目を使って。
今までリーを縛っていたすべての物から解き放つ命令、
「ほんとうの姿に…本当のお前に 戻れ!」と

愛と、魔法の力を描いたファンタジーとして、最大級の賛辞を送りたい。
このシリーズ全体をまとめて、BLの萌を超越した「神」です。

3

本当に言葉通り、末永くお幸せに。

とうとう最終刊。
王を復活させようとする自分の分身とリー先生が対決します。
これは、矢張り王への想いに終止符を打つって事なんでしょうね。
リリドがあの頃の先生の本心で、今の先生はラベルと過ごした事であの頃とは違ってしまったと。

とてつもなく素敵なハッピーエンドでした。
大人になったラベルの方が、父親より好みです。
大きくなっても使役があのままでこれもたまらない!

そういえば、先生が黒髪のあの姿の意味って説明ありましたっけ?
本当に言葉通り、末永くお幸せに。

3

解き放たれる愛

読み返す度、涙が出るシーンが変わります。
その都度気が付くこともあり、各シーンにこめられているそれぞれのキャラクターの、にじみ出る思いに触れると身震いします。

リーの流した涙が印象的です。
そして、リーを遠ざけるためだけに、リーを護るためだけに使われたあの王家の目。悲しくて切なくてどうしようもありません。
ゾラ王妃との一夜のあの日以来、きっとほんとうにただの王と魔法使いであり、もうなにも変わらずまことの主従関係だったのでしょう。
でもあんなにも使いたくないと拒んだ王家の目を使ったときはリーのことだけ、もちろんリーに託した王の子のこともでしょうが、信頼し心を寄せほんとうは繋ぎとめていたかった無二の魔法使いのために、使ったんだと考えれば考えるほど涙が止まらなくなりました。

最終巻でもまだ考えてしまいます。なにかこのふたりを変えられなかったのか、と。
でもそれこそ尊きお方の言う、それではラベルがこの世にいない、となるわけで。今のリーはラベルを生きがいにし、ラベルを大切にしているから、ラベルあってこその彼だから……。
そのラベルが、勘違いではあったけれどもとても成長しましたね。
大切なリーの死を目の当たりにし、守ろうと立ち向かいました。リーにだけれども。
おかげでリーを縛っていたすべてを解き放ってくれました。リーは【かつて存在した大魔法使いリーの代わり】だということを私はここでようやく理解しました。だから、姿を変えているんですね。真の姿を隠し、はそれなのかと。
過去の大魔法使いリーは、どのような恋に落ちたんでしょう。少しだけ、気になるけれどもそれはまた別のお話なのでしょうね。

黄金の川岸で最期に語らうことができたリーとカヌロス、そしてラベル。
ラベルにとってはリーが親のようなものですから、カヌロスが親とわかったあともまるで絵空事のように捉えていたのは納得です。父という存在に憧れずとも、ラベルのそばには必ずリーが居ましたものね。リーは決して子育て、間違ってはいません。
カヌロスとリーの会話に関して、語れることがひとつもありません。今でも、読んだ時の衝撃と感動の大きさ、そしてこのシーンが好きすぎてうまく言葉に表すことができません。
リリドの存在がとても悲しく、しかしなくてはならないキャラクターでした。あれもまた、リーの半身リーの一部ですものね。リーのどろどろの本心が、あそこにあるのかもしれません。愛と憎しみと欲と業と本音と建前と綺麗事と信念は紙一重です。

とても重厚なストーリーでした。
耐える愛、偲ぶ愛、結ばれぬ愛、実らぬ愛。
けれどもそれで構いませんでした。王、魔法使い、そして弟子、彼らの生きた世界が見られたことを幸せに思います。
つつがなく暮らしていること、健やかであることが、心からの願いです。

11

魔法使いの愛

とうとう最終巻、感動しすぎで感情がマヒしてしまってます。

自我を持つと分かっていながら、
リーが使役に名前を付けた理由が明らかになります。
しかし、王を助けたい一心だったその最終手段も間に合わず、
静かに涙を流すリーの姿に胸が打たれました・・・

彼の地での、王とリーの再会シーンは、感動しながらも痛かったです。
王に最後の別れを言うために、葬るために来たと告げるリー。
リーが出した答えは「私はラベルを育てるために生まれてきた」だったんです。
そして、リーとのささやかな生活の夢を語り、自分の子が夢を叶えることを喜ぶ王。
リーの涙を拭いながら「ここにきて、ついに主従を超え対等になれたな」
と言った王に、本当に感動しました。
結局リーはあの一夜の言い訳もせず、お互いに愛を口にする事も無い最後の別れ・・・
リーはラベルの元へ、王の魂はゾラの元へ、
振り返らずにそれぞれが自分の場所へ戻って行く・・・
あれ程心の中で想い合っていたのに、最後まで伝え合う事の無かった愛。
なんかもう、哀しすぎて上手く感想が書けません。

最後、ラベルを助けるために、自ら施術を行うリー。
リーは初めて死が恐ろしいと感じます。
ラベルとのやさしい約束を想いながら、自らの胸を裂くシーンは壮絶でした。

ファンタジーですが、重い話だったと思います。
最後はハッピーエンドですが、どこか哀しさが残ります。
リーとラベルが今後幸せであることを願って止みません。

9

そして永遠の愛

すっかり魂を奪われて読んだこの作品の、感無量の完結編です。
まずは、タイトルと表紙の美しさ、そして裏表紙の水面に浮かぶ王の表情!

あまりにも心揺すぶられて、2巻から3巻に読み進むのにもインターバルは必要で、
読み終わってからも暫く、この3巻のレビューを書く事ができませんでした。
今も言葉に尽くせない思いで溢れているのですけれど、拙いながら書いてみたいと思います。

これがBLなのか?と言われると、
その答えは何をもってBLというか?という価値観の話になると思います。
いわゆるHシーンも、明らかなカップルもない、
殺戮シーンやグロテスクな描写もあるので、そういう意味でも読者を選ぶかもしれない。
しかしプラトニックな、リーが言葉にすらできなかった深い愛の物語ですし、
様々な呪縛から解き放たれて、伝えられなかった抱き合えなかった愛が昇華していく様は、
大きな感動を誘うすばらしい物語でした。


                 :


前巻の最後で、長年探していたリーの使役の居場所が見つかる。
王を愛し、肉体は滅びても魂をつなぎ止め、なんとか生きかえらせようとする使役は、
紛れもなくリーの分身で、リーの強い想いそのものの存在だ。
しかし、半世紀以上の時間の中で、ラベルを守り育てたリーは違う選択をする……
リーの選択、そして王の選択、二人の愛と絆に涙を止めることができない。

ストーリー全体として、1,2巻で張られた伏線がちゃんと回収され、
全ての登場人物の想いが、まるで宇宙の摂理のようにあるべきところに収まっていく。

最初は王への思い入れが強過ぎたため、素晴らしい終結だと頭では思いながらも
なかなか感情の波立ちが収まらず、
どうしていいのか分からない思いで胸が苦しくてたまらなかった。
時間が経ちゆるやかに心のさざ波が消えていくに従い、
ようやく本当にこの結末が自分の中で収まりどころを得た感じだ。
その気持ちの経過もまた、この作品を読んで良かった!と思えた部分であった。


「彼の地」での会話は、本当に心に沁み渡る。
そして「山羊は飼ってはおりませぬ」の一言で、とめどなく涙が溢れ出す……

過去の悔いに決別し、またラベルの為に生まれ直したリー。
それは、彼にとっての無二の王カヌロスの為の生まれ直しでもあった。
リーが、淡々と以前と同じように生きている様、
その傍らでラベルがラベルらしく成長していった様を想像すると
涙を越えて、暖かな思いが胸一杯に広がる。


全編を通じて切なく壮厳な世界が描かれながら、ところどころで挟まるコミカルな描写、
のほほんとしたラベルや彼の小ちゃな使役の可愛らしさにクスッと和む。
ラベルの使役は物語の最後まで小ちゃいままで、成人した彼の肩にちょこんと乗っている様は
まるでラベルの選んだ生き方を象徴しているようで、微笑ましい。


王の願いを叶える命を継ぐもの。
身を切るような切なさと、限りない慈しみと光さす救いに満ちた最終巻でした。

21

涙の先に掴み得たもの

やっとこの結末を受け入れられそうに思えてきたので、レビューさせていただきたいと思います。

結局、王もリーも、想いを直接言葉にすることはありませんでした。
だからこそ深いものを感じられるのかもしれません。
でも一言だけでもリー答えてあげて!と思ってしまう、女々しくて嫌な自分がいます…。
だからといって失ったものばかりでなく、手に入れられたことも沢山あった訳でありますが、”これでよかったんだ・・・”と、すとんと胸に落ちてくるまでに非常に時間がかかりました。
得てして、これほどの辛さを強いられる物語は、ずっとずっと心に残り続けるものであります。

ラベルという存在により新たな道が開け、やっと主従という呪縛から解き放てることができた彼等。
ラベルが自分の夢を実現してくれることを喜ぶ王。
・・・もうそのことに涙するしかありませんでした。
また、何らかの方法で王を待ち続けた王妃の存在も。

そしてリーは、王のために一度生まれ変わり、またラベルの為にもう一度生まれ変わる、この展開の巧妙さ!
明治さんの才能を見せ付けられる、重要なエピソードだと思います。



さて、非常に心捕らわれた作品でありますが、私としては不満箇所もあるのです。
単なる王への愛故の、戯れ言ですけれども。

不満その1:王がリー達魔法使いを戦争に駆り出さない為に兵力を用いることの葛藤が出てこないこと。
魔法でなく兵士を使うことでより多くの血が流れるのはわかりきっているし、それをわからない愚鈍な王ではないでしょう。
それに急に国のシステムを変えようとすれば反発が起きるのは判っているはず。
若さゆえもあったのでしょうが、やり方が時期尚早。
クーデターが起きることに気付かない人ではないように思えるですが。
このままでは、愛により国を滅ぼした王になってしまう~(>_<)
もしや国を滅ぼしてよいと考えていた?そうであっても、もっとよいやり方があったと思うし…。
王のリーへの想いは語られるものの、他方への心情はなかなか表面化されないんですよね。
意図的なものかもしれませんが。


不満その2:あれだけ戦争があった土地で、50年程度?で戦争のない世にあっさり切り替われるのか?
そう状況が切り替わるには王家のみならずの大きな痛みがあったはず。
どの国の傘下に入ったのか分かりませんが、その辺りの諸事情も知りたく思えました。

とまぁ、何点か不服とする部分はありはするものの、
BLな関係が主軸にある作品にあって、親から子への受け継がれる想い、そして生きるということを考えさせられる、大変成熟した素晴らしい作品であることは間違いありません。
また3冊にすっきりまとめられていることについても賛辞を贈らせていただきたいと思います。

これからも二人穏やかに、尽きるときがくるまで暮らしていくのでしょうね。
どうか幸せに、と願います。

10

明治先生ワールドが炸裂している最終巻!

濃厚なファンタジー色に胸躍る最終巻です。
某K先生が表紙でネタバレしていないかとツッコミ(笑)をしておられましたが、大丈夫です!!
中身を読んで表紙を見返して真の意味を悟ると思われます。
今回も表紙、タイトルが良いです。

そして内容は明治先生らしいグロさも濃かったと思います。
元使役の綺麗な顔してスパスパ人を斬り殺していく姿や、リー様の生まれ変わるシーンもかなりのものかと。
詳細には書きませんが、グロ注意と申し上げておこうと思います。

ところでこの巻ではリー様の「元の姿」が何回か描かれていたと思うのですが、
その姿がとてつもなく綺麗なので、やっぱり王さまとリーのナニがあったら萌えただろうなと思ったのでした。性描写については物語の内容やバランスを考えると必要ないと思うのですが、ついつい思ってしまうのでした。
それにしても明治先生といえば濃厚な性描写がお得意というイメージがあるのですが、この物語ではそういった描写を避けたところに、逆に明治先生の本気を感じます。

終わりのページのほうのラベルが大きくなった姿(50歳!?)が王に似ていて格好いいですね!
あの衣装も好きでした。帽子も格好良いです。
ラベルも少しは大人になったようでしたが、性格のほうは相変わらずでした。
リー様の大きな愛に包まれて健やかに育ったのだなと嬉しく思いました。

そして最後のアレ!ラベルは早く結婚して、育てのお父さん(リー)を安心させて欲しいところですが、ラベルが「リー様より綺麗な人じゃないと結婚できない」なんて…きたきたきたー!?(キタキタおやじかお前はっ)
BL名鑑「パパより綺麗な人なんていない!」の巻?擬似近親相姦的な臭がするセリフでした。
無邪気にそう思っているラベルが無自覚系できゃっほー可愛いぞ!

それにしてもこの先リー様とラベルのこの二人はずっと穏やかな関係を壊さずに続いていくのかな、なんて。
リー様は王に似てきたラベルの姿に何事か思わないこともないんじゃないの!?なんて妄想を。
あわわ破廉恥な方向に妄想してしまいました。

とにかくファンタジーとしての完成度の高さや大きな愛について考えさせられる素晴らしい内容だったと思います。ファンタジー好きの人にお勧めの一冊です。

14

24年組を思い出しました

評価が高いので読んでみました。漫画で感涙したのは久しぶりです!!
ホモ題材だけどエロ描写が薄く、かつお話が良く出来た作品ということで、昔でいう24年組を想いおこしました。(24年組:萩尾望都、竹宮恵子先生等々)。そのなかでも、ファンタジーってことから坂田靖子先生を連想しました。坂田先生の絵はもっとライトですけど。

わたしはエロがなくても大満足でした。
恋をゆるされなかった、王妃の魔法使い:リーの過去の行動は---本当は想いあってたのに---王子カヌロスにとっては酷いことだったけど…長い長い年月を経て、許しあい「愛」に昇華された、と感じました。
少年ラベルは救いであり希望の光ですね…。

お話も細部まで良くできているし(さりげない伏線が回収されているうっ)
絵も、タッチが世界観を良く表現していたと思います。柔らかで、懐かしいような…でも少し寂しさのある雰囲気がとても良かった!

細かい笑える部分にもクスッとウケましたv 笑いがあるおかげで全体が陰鬱にならず良かったのでは。ラベルの使役カワイイ~!!背中のトゲトゲを自慢する魚もカワイイ~!!

文句があるとすると、セロハン王国などのネーミングくらいかなあ。どうしたってセロハンテープを思い起こしちゃう。「セロファーン王国」程度でいいからヒネってくれたらな。少しですが、残念に思いました。ちょっとしたことなのだけど、ファンタジーってネーミングは大切ではと思って。

自分自身の影との闘いなど、本格ファンタジーの雰囲気たっぷりで。いろんな意味でよくやったなあ、と思いました。(←う、上から?;エラソウ~;)
BLって懐が深いな~。もちろん実績のある作家のみ等、縛りはあるんだろうけど、SFもFTもなんでも 萌えがあれば「有り」なところが好きですv

15

やっと巡り会えた私の神作品【最終巻】

この作品を初めて読んだ時の感動が未だに忘れられません。
3巻すべてを何度も読み返しています。
ずっと、ずっと探していたのはこういう作品なんだと思いました。
人それぞれに個人的な嗜好はあるので、評判が良いからといって、
あるいは評判が悪いからと言って、自分に合うかどうかはまた別だったりするのですが。
しかし、これほど全てが個人的なツボにはまる作品は他にありません。

線の多い独特の絵も、ダークでファンタジックで切ないこの作品にとてもマッチしています。
内容やキャラクターの設定がとてもよく考えられているので、どこにも無駄がなく、
あの伏線がここで回収されるのか、とか、あの謎の裏にはこんな事情があったのか、
など、様々な場面で驚かされたり、ストーリーの深さに感動するのでした。

この作品は久しぶりに漫画を読むときの「わくわく」感を思い出させてくれました。

まるで童心に返ったような不思議な感覚を味わいながら読みました。
ラベルの子供らしい可愛い性格や、不思議なものの存在がそれらを呼び起こしたのかもしれません。

明治さんにしては、内容に性描写がほとんど無いに等しいので珍しいです。
でも私はこれでいいのだと思いました。
というのも、この作品のテーマは恋愛よりもっと大きな愛について考えられているからです。
カップリングと言えば王子×リー様ということになるのでしょうが、
そんな言葉で関係を表すのがおかしいとさえ思えるほどです。

でもちゃんとBLらしい萌どころや切なさもあります。
リー様の髪に接吻する王子など、他にも随所に王子カヌロスの恋心や独占欲が見えて、
そうしたところは萌えると思います。
また、わけあって王子に対して表すことができなかったけれど、
リーの心の声も画面から伝わってきて切なかったです。これは本当に切なかったです。
さて、萌どころ・切なさに関してはこれぐらいにしまして、あとは読んでのお楽しみということで^^*

最後に大きくなった姿のラベルと、そしてリー様のやり取り。
ここもキュンキュン致しました。なんでしょうね。中身はあのラベルのまんまなのに、
格好良くなってるからトキメク~!
ラベルが成長しても、リー様とラベルの関係は崩れておらず、とてもほっこりしました。

しばらくは余韻に浸って、また何かの折に何度も読み返しそうな気がします。
久しぶりに「わくわく」感を下さった明治先生ありがとうございました!

13

明治カナ子さんの漫画は誰も真似できない

改めて明治カナ子さんの魅力にどっぷりはまりました。
読んで下さい。
それだけです。
面白い漫画に説明はいりません。
ここまで完成した世界観を提供してくださった明治カナ子さんに感謝。BL作家の中で一番大好きな作家です。

10

私はいつかあなたに還る、その黄金の川岸で

私はこのマンガが大好きです。どれくらい好きかってーと、このマンガのためだけに2ヶ月に一度の雑誌の発売日を心待ちにしていたくらい。しかも地方で発売日が一日遅れるのにも関わらず、うっかり発売日当日に遠方の書店に足を運びガッカリする、というのを2回やりました。すべてのBLを好きなひとたちに、声を大にして叫びたい!面白いです。だまされたと思ってぜひ読んでほしい。大人になってからこんなにも続きが待ち遠しかったマンガなんて他にないよ。希代のストーリーテラー、明治カナ子の真骨頂、ついに完結したのでとくと味わってください。

何が凄いって、世界観の完成度が凄い。ファンタジーなんですけど、とってつけたような感じがしない。細部にまで血が通ってる感じがして、生活感がある。坂井靖子『ベル・デアボリカ』や、佐藤史生『夢見る惑星』(こっちは非BLでSFだけど)が好きなひとは迷わず買いです。

そして全ての伏線が回収されてゆくのが実に快いです。「あ!!あれはここにつながってるんだ!」っていうカタルシス。一切無駄がないです。ネタバレはしない方が絶対楽しめるよ!!!そんな訳で以下、ネタバレです。

この物語の何が好きって、時の流れの中でひとが生きてゆくことを真正面から描いてるとこです。人生は選択の連続で、選ぶことは捨てることです。リーも王も、共に生きることを選べなかったし、選ばなかった。でも、だからこそある「今」のかけがえのなさが際立つ。ミミカラが魔法使いにならずに商人になったことや、王女が最後まで王に寄り添おうとしたこと。そうしたすべての選択の積み重ねで今があるんだっていう感動が一気に押し寄せて来る。ひとは生きてゆくんだ、そして生きてゆく限り変わっていくんだ、っていう感動でした。無性に切ないのに、なんだかスッキリする不思議な読後感。

特に王と魔法使いの再会の場面は涙なしには読めなかった。特にとある台詞には目頭が熱くなった。この場面は切なくて、でもほんとに嬉しかった。よくぞ言ってくれたって感じでした。この場面だけはぜひとも読んでほしい。そしてネタバレなしで読んでほしいので書きたいのに書けないジレンマです。

BL的観点からすると、明治カナ子にしては汁気少な目です。濡れ場はあるけど薄めです。恋愛よりももっと大きな絆って感じで、性的な部分にはあまりフォーカスしなかったです。明治カナ子は萌える濡れ場を描くのが上手い作家なので残念っちゃ残念ですが、この物語はこれでいいのかも。

完璧に完結してるんですけど、もうすこしこの物語の世界に浸っていたかった。完結してしまったことが寂しくてたまらない。雑誌で追いかけていた数年間、ずっと楽しませてくれたし、結末も期待通りだったけど……連載再開してくれないかなぁー。もっと読みたいです。同人でも良いから……ふたりのその後が知りたいですね。

14

あらたなる旅立ち

感無量です!
そうかーそうだったのかー、と思うと共に後半からラストにかけて涙があふれてきちゃって。
エッチはなかったけど、愛がたくさんたくさんありました。
「愛する人を守りたい」その一言につきます。
過去回想のシーンでは首を切り落とされる兵隊や民衆など、残忍なシーンも登場しますが、それすらも愛ゆえの。執着ゆえの、ある種のリーの王へ持っていた愛の形の一つだったのだと思います。
そして、そんなシリアス展開がラベルによってとても救われるのです。
お伽話めいた展開で、BLというよりは匂い系なのかもしれないのですが、本全体に流れる色んな「愛」がこのお話をとても魅力的にしています。
もちろん、キャラクターもね☆

国が滅ぶ時、遠ざけられたリーは自分の使役に名と杖を与え、王を守ることを命じて放つのですが、時すでに遅し。
その使役リリドは王の遺体に結界を張り、王を生き返らせようとその子供ラベルを狙っていたのです。

1巻で謎で、2巻で見えてきた全容が3巻によって全て明らかになりました。
ラベルがリーのうんちから生まれたというのは、ラベルを守る為リーがその身体を自分の身体の中へ隠したことからあながち間違いではなかったのだと思わずクスっと笑いが(笑うところじゃないんですがw)
リーの元へしょっちゅうお茶を飲みに来ていた魚は、その人の姿と茶の約束を王としたからだったとか。
他にも色々な部分、回収されており再び1巻から読みかえしたい気分がわいてきます♪

さて、この本の大きなテーマとなった「愛」について
王への愛は、王の死によってラベルを育てたことによりラベルへの愛情へと変化していったリーであるということ。
またラベルの生き方は王のかなわなかった望み全てであり、何にも縛られないラベルは王の身代わり?と考えてしまうと元も子もないが、リーが自ら育てた子だからそうではない。
また王はラベルへの親としての愛情もあり、
リーと王の主従愛は、対等な友情へ変化した。
リーの使役であるリリドは、リーの王への執着愛の権化だったかもしれないと思ったのですが、彼が滅びることでその気持ちに決着がついたととることはできないだろうか?

何より素敵だ!と思ったのは、この悲しくも感動的な決別を経てリーが新しく生まれ変わり、ラベルの元に現れることです!
王との別れからこのシーンまでもう涙の連続でしたから!!

セロハン王国の滅亡の原因の、その過ちを犯さないように、魔法使いと人間の共存を願うラベルの姿が、あのかわいらしい子供時代の純粋さを残したまま、相変わらずのリーとの関係に、思わずほっこりするのでした。
リーってツンデレだよね♪絶対。
ああーとても良いお話でした。
恋愛云々もいいけれど、こうしたグローバルな愛情の元、大事な人という存在を描いた作品、それが朴訥とした独特な明治カナ子という作家さんの筆から繰り出される、まるで絵本のような絵柄が魅力を倍増していたと思います。
異色ではあるけど、とてもとても満足な作品でした!

20

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