生きることに無気力な羽良多と、小さな罪を犯してしまった森崎。 うまく社会に適合できない二人の逃避行の終着地とは――

悪玉

akudama

恶玉

悪玉
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神20
  • 萌×214
  • 萌21
  • 中立8
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
13
得点
227
評価数
64
平均
3.7 / 5
神率
31.3%
著者
吉田ゆうこ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
プランタン出版
レーベル
Cannaコミックス
発売日
価格
¥657(税抜)  
ISBN
9784829685303

あらすじ

高校生の森崎は、ほんの出来心でしてしまった
初めての万引き現場を社会人の羽良多に写メで撮られてしまう。
秘密にしてほしいと嘆願する森崎に、
「僕の言うことを聞いて、暇潰しに付き合ってくれるならいいよ」と
羽良多が"ゆすり"をかけてきて……!?

表題作悪玉

羽良田陽平,高校生を脅迫する会社員
森崎正彦,有名私立校に通う高校生

同時収録作品ノンフィクション

一之瀬啓,同性愛ドラマを撮影中の俳優
田淵文世,共演俳優

その他の収録作品

  • an ordinary day
  • カバー下表紙1【表】:「悪玉」イラスト付き後描き
  • カバー下表紙4【裏】:「ノンフィクション」イラスト付き後描き

レビュー投稿数13

恋愛へ至る過程の物語

1冊に2編の物語が収録されているのですが、どちらの話も言葉少なくストーリ展開されています。
私は吉田ゆうこ作品に合う合わないがあるのですが、『悪玉』は合う作品でした。ショート映画を観ている気分になります。

表題作は静かに謎は謎のまま終了する形でした。
魔が差し万引きをしようとしたところを写真に撮られた受けは、黙っている変わりに攻めからの要求に応えることになります。

受け側の感情はしっかりと描写されており、脅されているにも関わらず、攻めに対する感情が”愛”に変わっていく過程が見事でした。

どちらもはっきりとした言葉を使わないため、とても危うく脆い関係性。
彼らのバックボーンに関する情報はとても少なく、散りばめられた要素から推測することしかできません。
この不透明な部分が物語により雰囲気をプラスしています。

言葉少なく進むので、読み手に解釈が委ねられていると思います。
一度は攻めの毒牙から抜け出せたはずの受け。
けれど結局”彼の手から逃れる”ことを放棄してしまうところが、この物語の結末としては一番合うなと思いました。

個人的に、『悪玉』の後日談がないところがまた良いですね...あの2人の行きつく先を知っているのは彼らだけなんです。


同時収録は、若手俳優の2人がドラマを通して感情を交わしていく話。とてもぴゅあな恋の話です。
めちゃくちゃに明るい話では無く、演技と真実の恋で悩む若者の脆い感情がほろほろと零れ落ちてくる話でした。


どちらの話も、恋愛感情をはっきりと描写しているというよりは、そこへ至る過程を濃く描いていました。
人間の脆さとか危うさを織り込みつつ、自分たちの世界だけで完結する道を選んだ2人と、不安定さを乗越えて明るい道を選んだ2人の物語。

答えのないしっとりした物語が読みたいときにおすすめです。

0

小さな罪から大きな贖罪に

◆悪玉(表題作)
 冒頭の展開でもう面白そう、と思わせてくれるのはさすが吉田先生。万引き現場を押さえられてしまった優等生・森崎がどうなっていくのか、すごく気になって。警察や学校に突き出さない代わりに、一緒に映画を観るような健全な遊びに付き合ってもらったかと思えば、フェラをお願いするなど健全なばかりでもなかったり。未成年の森崎は初めてフェラさせられた後泣くんですが、これは己の愚行のせいで他人の性の捌け口になったからというより、自分に好意を持っていない相手へ奉仕することへの虚しさからのようにも見えました。万引きするほど度胸がある子、というわけじゃなく、むしろかなり繊細な男子なんですよね。

 2人の関係にはずっと引き込まれていましたが、最終的には些細な矛盾を感じるところもあったので、すごくハマった作品とまではいきませんでした。恨まれて仕返しされたかったのなら、羽良田が中途半端な優しさを見せたのはなぜなのか、とか。優しくしたら惚れられる可能性だって十分あるはずですから。互いに好意を抱くきっかけも曖昧なままなので、そこは雰囲気に乗って、気付いたら好きになってたんだなと受け入れるしかないですね。ただ、ストーリーは最後まで面白かったですし、2人とも独特の魅力があるキャラだったので、萌評価にしました。

◆ノンフィクション
 こちらはさらに気に入った作品。同性愛を扱うドラマで共演中の啓と文世。演技のためにプライベートでも親密になってみるんですが、どこまでが演技のためで、どこからが本心なのか、互いに境界線が曖昧になっていく。文世は結局すべて演技だったのか?といえば、そんなわけはなくて。どんなに演技の上手い人でも、カメラもセットもない所で、2人きりの相手に演技してみせるなんてきっと難しいでしょう。ドラマの結末とは違う結末を、現実の2人が見せてくれて安心しました。

0

悪玉

嘘と本当が混じり合ってるのが世の中というもので。
普段はその社会の輪の中で疑問もなく過ごしているのに、相手がその他大勢からトクベツに変わった瞬間、相手を好ましく思えば思うほど本当だけを欲しがってしまう。
マイナスからのスタートだから彼らにはお互いが交わるこれからの道が作れたんだと思う。
痛みを抱いて、それでも繋げる手があったなら......淡々とした画から淡々と流れ出る彼らの感情、最後に残るのは...

(2013.3.16)

0

普通の高校生

普通の高校生が泣き出しそうな顔をしてる表紙。
下は帯で隠れてるしズボンは履いてるとしか思ってなかった。

裏返すと高校生の下半身だけが描かれている。
素足で制服のシャツでお尻が隠れてるけどたぶんパンツ履いてないんだろうなと。

ハラタさん自分のことおじさんと言ってるけどおじさんには見えないな。
季節は冬で外にいて鼻の頭が赤くなっていくのが可愛いな。

ノンフィクションのほうが好きです。
切ないけどハッピーエンド。

若手俳優たちが同性愛をテーマにした映画を撮影していて、一ノ瀬が告白のシーンで何度もミスをしてしまう。
相手役の文世と距離が縮まったことから上手くいくようになるんだけど、文世の表情が可愛いすぎて萌えます。
これは好きにならずにはいられないと思う。
キスシーンを演じるのに、文世に前に演じたキスシーンを再現してもらうんだけど、ソファに頭を預けて上目使いで見つめてくる文世に思わずキスしちゃう一ノ瀬。
その表情はキスせずにいられないですね。
さすが俳優さん。
恋は始まったばかりの二人が可愛いです。

0

背表紙の脚がたまらなく綺麗。

吉田ゆうこさんは最近の「HEARTY」を読んでとてもすきだったので
ずっと以前の作品も読んでみたいいなと思っていたので
こちらの「悪玉」を本屋で見かけたので買ってみました。

「HEARTY」の作風と似ている感じがありました。
登場人物が心に何かしらうしろめたさだったり、見せない部分であったり、こういうミステリアスな雰囲気を醸し出す感じの人が自分はすきなんだと思わされました。
一冊を半々に二作品入っているのですが、他のレビューでもあるようにどちらも短編映画を観ているような感じで、読んだあとはあの映画館の明かりがつくときのようななんともいえない静寂さのようになりました。
わたしは表題作よりも後半の”ノンフィクション”の方がすきです。
場面展開が現実だったり夢だったり撮影のシーンだったり...何度か読んで、あっこの服だからこれとこれは別だ、と気づけました。
一ノ瀬くんの部屋で文世くんが眼鏡をとってソファに頭を持たれたところの色気にはやられました。
あまり書くとこのお話の展開がきっと楽しめなくなると思うのでこの辺で。

「ドラマみたいにやり直しがきかない
 台本もないから次の言葉もでてこない
 けれどそれこそがノンフィクションの醍醐味なんだろう
 人の 幸せなんだろう」 ああ、この言葉いいな。
わたしには吉田ゆうこさんの作風が合っているだと思います、なのでこれからの作品も読み続けていきます。 !是非!

2

ぅ~ん・・・

一冊に2つのストーリー入りでした。

まず絵がちょっぴりニガテなタイプ。
1つ目の作品も2つ目の作品も、2人の区別が付きにくい。

でも正直、似た絵の作家さんもいらっしゃって、
その作家さん達がキライ・・・と言うわけでは無いので
このストーリー自体が合わなかったのかな~?という感じ。

心の奥底とか、日々生きていく中での「縛り」「ストレス」と言った
部分が描かれているんだろうけど、
ストーリーの割にその重みが感じられなかったです。。。

ぅ~ん、なんかスッキリしない読後感っす(^^;

0

相対的な

表題作の真意は、静かに暈されています。
決して難解な韜晦をされている訳ではありません。
きっと無造作に提示されてはいるのでしょう。
しかし見えない。
見える様な道筋が、静かにはぐらかされている。

表題作の二人の間には確実に何らかの感情は
あります。
二人にとっての初めての共同作業は、きっと
それを見極めて行く事なのでしょう。

併録作とその続編は表題作に比べると読んでいる
こちらが恥じらってしまいそうに素直ですね。
そう感じるのも表題作があってこそ、の
からくりかも知れませんが。

1

短い映画のよう。

何よりカメラワークに惚れました。
台詞も少なめで、収録作二作どちらも短かい映画を見ているようでした。
どちらも、読んだ後の切なさがたまらないです。
特に表題作は、加害者への気持ちが愛情へ変わっていく流れが自然で見事でした。共依存、たまらないです。

「ノンフィクション」は書き下ろしもあって、このまま二人は纏まるんだろうなあと思うので安心なのですが、表題作の二人の今後が心配で。
寄る辺のない似た物同志の二人の行く先は、何処になるのでしょうか。

5

黒髪で、いい子、でもそれ故にいろいろ溜め込んじゃう受け

珍しい、オレンジの表紙に受けのピン絵という表紙が気になって購入しました。
ここでの神評価の多さに期待して読みましたが、良くも悪くも同人誌の延長、という印象を受けました。
ここの神評価の数字はちょっと疑問です。

辛そうな表紙から、もっとえぐいのかな、暗いのかな、と思っていましたが、想像以上にあっさりでした。内容にも突っ込みどころは少なくないです。『悪玉』は、人物描写や設定を細かくじっくり書いて良い長編にしたらとても面白そうなのに残念です。
同人誌を読むように雰囲気を楽しむことができれば、オススメできる本です。
個人的にはこの本の雰囲気はとても好きで、例えば些細な小道具(メリーゴーランドや風船)とか、繊細な表情とか、少し薄暗いマイナーな映画のよう。
実際、『悪玉』は万引きしているところを撮影されるところから始まり、『ノンフィクション』はドラマのワンシーンから始まり、どちらもカメラに映った表情から始まっているのが面白いなぁと思いました。狙っているのかはわかりませんが。

個人的には、表題の『悪玉』より、好意が演技か真実かわからなくなってしまう『ノンフィクション』のほうが好きでした。
基本的に攻め視点で描かれているので深く描写されてませんが、性格が良さそうで、いろいろ溜め込みそうで、かつ色っぽいこの受けの子がとてもいじらしくて萌え!
これは『悪玉』の受けの子にも共通なので、「黒髪で、いい子そうで、でもそれ故にいろいろ溜め込んでていじらしい子」というのが吉田さんの萌えなのでしょうね。
私もそういう子大好きです。そんな男の子が好きなら是非!
また、商業誌らしい安定した作品を読み慣れちゃったな、独特な新しい雰囲気を味わいたいな、という人にはお勧めしたいです。

2

繊細な絵だなぁ

お話の方も、繊細。
表題作の「悪玉」は、微妙にテレビの連続ドラマっぽいストーリー。
後半の「ノンフィクション」はTVドラマに出演中のタレントさんのお話。
どちらの作品も、登場キャラたちの動きや佇まいが、年若いアイドルタレントさんの演技がたどたどしい感じに通じる物があって、絶妙に連続ドラマっぽくて、生もの系や中の人系の薄い本みたいなドキドキ感が味わえる。
これがもし、本当に中の人系とか生もの系の薄い本だったら直接頒布価格で約6倍相当の感じだから、そう考えると商業コミックスって実にリーズナブルよねぇ。

1

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