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horeta otoko ga warukatta
医者の息子として生まれ、親に敷かれたレールを進むだけの人生に絶望していたゲイの青年・五反田がひょんな事からヤクザの組長の命を助けて、伊牟田組の部屋住みになる。
そこは血よりも濃い絆で繋がれた男同士の世界だった。
ゲイの五反田にとっては男の園でヤロウどもと触れ合えて文句のつけようがない状態なんだけど、ヤクザたちはそんな事は露知らず。あいつは有能で文句ひとつ言わずに何でもやってのける!と信頼を寄せていく。
五反田にとってもヤクザ達にとっても結果的にwin-winになっちゃってるところが何とも可笑しい。五反田はやがて組長にまでなってしまうんですが、組長になった今でも部下達の下着の手洗いを続けていて、「組長は俺たち『家族』を肌で感じるために、組長になった今も自ら洗ってくださっている…!」と部下達は感激してくれているんだけど、何てことはない、彼にとってはそれが至福のひとときな訳であります。そういうギャグノリが九州男児さんらしくて好きです。
そして組長になる前に童貞を捨てようと決意してナンパ相手と一夜を共にしたら、その相手がまさかの敵対する組の会長だった。
さらに襲名の際に刺客として現れたのは、ずっと忘れることができなかった初恋相手だった。
五反田の前に現れた二人の男。さてどうする!というお話でして、敵対する組の好きでもない相手に抱かれながらも、初恋の相手のことを思い続ける五反田組長が切ない。
表紙の「衝撃と官能の極道トライアングルラブ!!」というのは九州男児さん流のギャグで「(ちょい)衝撃と(ちょい)官能の(なんちゃって)極道トライアングルラブ!」といった感じでしょうか。そして思っていたよりも純愛なお話でした。
ちょっと衝撃だったのが最後に収録されていた【ルームシェア】
新居がまさかのキャンセル扱いになっていて、入居予定だった部屋には別の人が引っ越しをしてきて住むところが無くなってしまった男性。
しかし入居予定だった部屋の住民の申し出により新しい部屋が見つかるまで一緒に住むことになります。
入居の条件は「冷蔵庫を常にいっぱいにしておくこと」
全く見知らぬ相手、そして生活時間が完全に異なる相手との同居生活が始まるのですが、これが一切のギャグ抜きの真面目ないいお話でして、じんわりくるものがありました。
いつギャグをかましてくるんだろう?いつ来るんだろう?と思っていたら、まさかのギャグなしで終わってビックリ。
ギャグなしの九州男児さんのお話、初めて読みました。
九州男児さんの作品は毎度毎度
「読み直したくならない、リピート性がない」
という理由で激辛評価をしてしまうのですが、それって
「表紙を手に取ったら内容がフラッシュバックしてしまう」
ほどインパクトが強いという事でもあるんですよね・・・
毎度毎度「何度も読めないんだから買ってもコスパ低いだろ」と思いつつ
今回もかってしまったよ、畜生!
ということで、あまりにもハイスペックなのに医院の跡取りという道を蹴って飛び込んだ五反田がそのヤクザの道が男まみれでそこに欲望塗れのスーハー状態で
しかも組にとってはあまりにもなんでもできるために有能すぎる男がうっかり組長なんかになる事になって組長が童貞はアカンだろと男を買ったらそれは敵対組の組長、了徳寺で。
うわー、なんというスーパーベタすぎて誰も描かないよ!と言いたくなるべた。
襲名式に飛び込んできた鉄砲玉がまた男好きにしてしまった原因である喜久田という恐ろしいほどのねーよ級予定調和。
この「スムーズ過ぎてねーよ!と思う」のはまさに九州クオリティというべき。
もうここまで乗せられてしまったら喜久田とくっつこうが了徳寺とくっつこうが自然すぎてどっちでもいい、幸せになっちまえと思ったら了徳寺にはうまい事相手発生。
なんというかなぁ・・・まぁいいか。面白かったから。
とにかく松山花子名義で4コマや1ページという短期決戦で落ちをつける技を日々磨いているので、ページが長くてもすきなくバンバン飛ばしてくるので読み疲れしますw
citron掲載の時、一体自分は何を見ていたのか?
何か中途半端な感じがして、どうして?なんて思ってしまったのは思い込みだったのです。
こうして一冊になったモノを読んだとき、いつものサラっとトンチンカンな主人公が登場しながらも、その実筋が通っていて、実は純愛物語だったという。
表題の他に2本入っているが、それもまたイイ話だったりする。
しかして、この1冊は九州男児さんなりの、かなりイイ話になっていたのでした。
ついつい、いつものスベり一歩手前なのか妙に男色にこだわるギャグめいた作りに目がいって、今ひとつを感じることも少ない中、この本はその路線も周到しながらも、かなりまっとうな一冊になってたのです!
それがいいか悪いかは別にしても、これは他の作品で受け付けなかった人もイケるんじゃないだろうか?
少年の頃、ゲイの性癖に気がつきながらも医者の家に育った為に、望まない女性との結婚を前提とした見合いを勧められ絶望した主人公・五反田が、
飛び降りようとした場所で、具合を悪くしたヤクザの組長を助けたことで、そこの組で部屋住みなる。
その才能と人脈で一本独鈷の組の経営に役に立ち、皆の信頼を集め、時期組長候補になった彼の、唯一の思い残しは、脱童貞w
組長襲名の前夜、童貞を捨てるべく行きずりの相手と初体験をするのだが、なんとそれは五反田の組を狙う四元会会長の了徳寺だった。
そんなとき、鉄砲玉として四元会から送られてきた破門された男・喜久田は実は中学のとき、五反田が好きだった相手。
喜久田の悪意のなさと、彼もまた五反田に憧れていたのを知り、組に入れることにするのだが、了徳寺の五反田への執着が組への嫌がらせとなって・・・
とまあ、こんな具合にストーリー展開がスラスラかけるんですよ!?
普段の作品だと書きづらいモノが多いのですがw
つまるところ、五反田の初恋の成就と、了徳寺もまた本当の恋人を得るという、ふた組みの幸せの展開になっているのです。
そして、まっとうなストーリーの中にキャラクターの持つ天然面白設定がクスっとさせるという、非常にわかりやすい見せ方をしているのです。
五反田はゲイである後ろめたさがあるのに、入った組は男の園で、嬉しくてつい喜んで仕事に励んでしまう→結果、皆の信頼と愛情につながるという、結果オーライな本末転倒設定が愉快の元。
そんな純粋な五反田と真逆なのが了徳寺。
彼は生まれがヤクザであり、苛めにあっていたこともあり、反動で傲慢な男になってしまい、なんでも力で屈服させ、組員のほとんどをてごめにして、唯一拒んだ喜久田をだから、破門にしたという経緯。
彼はトラウマに囚われて、本当の愛が傍にあるのに見えてない人に描かれていました。
こうした、対比があるのも、実にわかりやすい設定だと思います。
表紙に「衝撃と官能の極道トライアングルラブ!」なんて書いてあるけれど、これは冗談コピーですから間に受けないでね(笑)
その証拠に裏を返すと、DVD設定になってますから。
これに騙された人がひょっとして・・・www
同時収録【電気男】は、とても強い静電気体質を持つために人に触れることのできない会社社長が、触れても大丈夫な新任の警備員と出会ったことで、トラウマ克服する話。
【ルームシェア】は手続きの不備でダブルブッキングになった部屋の住人が生活時間帯がずれることで同居することになるのだが、そこで、それぞれに抱える不満や理不尽を、二人暮らしによって、ポジティブに変えていくと同時に愛が芽生えるというちょっとあったかいお話です。
これらは、10、11年のまだ手描き感満載の絵柄だったころの作品なので、線が太いです。
この萌え萌え評価は、九州男児基準で、他作品基準と違うのでご注意をwww