酒屋が風呂屋に恋をした――。恥ずかしくて愛おしい表題作ほか珠玉の短編集。

近距離恋愛

kinkyorirenai

近距離恋愛
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神6
  • 萌×211
  • 萌12
  • 中立4
  • しゅみじゃない2

--

レビュー数
16
得点
114
評価数
35
平均
3.4 / 5
神率
17.1%
著者
伊東七つ生 

作家さんの新作発表
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媒体
漫画(コミック)
出版社
海王社
レーベル
GUSH COMICS
発売日
価格
¥600(税抜)  
ISBN
9784796403375

あらすじ

「好きだ。ケッコンしようぜ」
酒屋の息子の大輔が、風呂屋の息子の河に告ってフラれ続けること二十年。今回もまたフラれると思っていたら、笑顔で「わかった。よろしくね」と告げられた。バカげたことに大輔は、その先のことを何一つ考えていなかったのだ。(緊張しすぎて、何も考えられん。うう…困った!)
昔なじみの男たちが織りなす青春ワールド。

近距離恋愛/影のわずらい/床屋のカノン/発熱地帯/近距離恋愛後日談(描きおろし)

(出版社より)

表題作近距離恋愛

その他の収録作品

  • 影のわずらい
  • 床屋のカノン
  • 発熱地帯
  • 近距離恋愛数日後
  • あとがき

レビュー投稿数16

ジリジリ行こう

短編集。

「近距離恋愛」
タイトルが最高。幼馴染から恋人へ、の距離感ドンピシャ。
ただの習慣で告白し続けた20年、いざ受け入れられてどうしたらいいのかわからない。ならお相手はハシゴを外されたの?それが違うんだな。
2人の大きな約束は、ひとりで行かない、せーので一緒に。
これから20年かけて近距離の恋愛を育てていく2人よ、がんばれ!

「影のわずらい」
これはちょっと難解。
父親のいとこと異常なほど感覚が同調する。
主人公がそれを嬉しい事とは思ってない事が伝わってきて、恋物語というよりも微かなホラー風味すら感じる作品。オチも特に無く、どう取るかはアナタシダイです。

「床屋のカノン」
一転、可愛らしいお話。
高齢者ばかりの土地で床屋を営むイケメン理容師と、わざわざ一山越えて散髪に来る少年との細く長く淡い結びつき。路線バスの廃止と共に来店は途絶え…
周囲は時と共に変化したけれど、2人は再会を果たします。

「発熱地帯」
壁の薄いボロアパートで、隣人の立てる規則正しい生活音を好ましく聞く絵師さん。
ある日壁が壊れて2人の生活が交わり始める…
微々BLのおもむき。隣の芝生は青くて褒めあって。距離近めの友人ってとこかな。
彼らは近距離友人だ。

「近距離恋愛後日談」
ちょっとは進んでる2人。さて、どっちがどっちのBL命題がありまして、ゲームやジェンガで勝負するけどまだ決まってません。
ジリジリ行くよ。

エロは無し。ノスタルジックなニュアンスがいい。キュンときます。

0

短編集

◾️近距離恋愛
とても珍しい始まり方で、終わり方も珍しくて、後日談含めスッキリしなかった。スッキリしない話も好きなんですけど、それにしてもというか。

◾️影のわずらい
全体的に暗いので、終わり方もストレートに読んだら"気持ちを確かめ合う"って流れなんでしょうがどうもホラー。

◾️床屋のカノン
この話が特に好きです。田舎の寂しさがギュッと詰まった最後に希望がある。表題同じくスッキリはしていないけれど、こちらは自分の好きなスッキリしなさでした。

◾️発熱地帯
こちらもスッキリはしない作品。個人的に、あえてこの先のラブは想像したくない。あくまでも人と人の関わりの作品で自分の中では消化したい。
みんながみんな同じことが出来ないから、世の中回ってるのよ。

0

ノスタルジックな雰囲気がたまらない

伊東さんの作品に漂う不思議な雰囲気が好きです。
作画なのか、背景なのか、全体的に暖かいノスタルジックな空気感がありますよね。

【近距離恋愛】(2話+後日談) 萌
幼稚園の頃から風呂屋の河(コウ)にプロポーズしては、断られ続けて来た酒屋の大輔。
そんなやりとりが続いて20年、突然返ってきた「いいよ」という返事に大輔は…。
大輔が考えなし過ぎて…。
考えなしで、思い立ったらすぐ行動!なのに、いざとなると男らしくない大輔にモヤモヤイライラしてしまいます。
踏み出すと決めたときに覚悟も決めている河とは大違いだけど、これまで2人が一緒に過ごした時間の楽しさや、2人にしか分からないことなんかが回想を通じて伝わってくるので、「大輔、早く覚悟を決めろ!」なんてつい叱咤激励してしまいます。
幼馴染らしさが全開の描き下ろしが楽しいです。

【影のわずらい】 萌2
父の年の離れた従兄弟の覚(さとし)と三千彦は、昔から考えることが何でも同じ。
好きな食べ物、本や音楽、転ぶタイミングまでシンクロしている2人だが、三千彦には覚に言えないことがひとつあって…。
15才の年の差、海外を奔放に旅する覚と、就職活動がうまくいかず1年無職の三千彦。
立場や年の違いはあっても、ここまでいろいろなことがシンクロするってどんな感じだろう?
自分の分身がいるみたいでわくわくするんだろうなあと思う反面、ここまでシンクロするからこそ親しみ以上の感情も湧くんだろうなあとも思う。
お互いに言っていないこともきっとシンクロしてるはず、という余韻のあるラストでした。

【床屋のカノン】 萌2
寂れた田舎町の美容室を父から継いだ宗祐の店に、隣町から自転車でやって来た少年・鹿ちゃん。
夏は自転車、冬は電車で鹿ちゃんが来るのを楽しみにしていた宗祐だったが、電車の廃線が決まって、高齢だった常連客も1人、2人と減っていって…。
長髪の鹿ちゃんがイケメンすぎる!
長髪好きにはたまりませんよ。
この先も読みたい!雰囲気が素敵すぎる短編です。

【発熱地帯】 萌2
世界と窓や壁を一枚隔てて、ボロアパートの一室で自分の世界を描き出すイラストレーターのミヤモトは、隣人の峯の生活音と心の中で会話する日々。
押し入れを隔てて向こう側にいる存在だった峯が、ある日押し入れの壁を破って、ミヤモトの世界に入って来て…。
「当たり前」をふつうにできるだけの峯と、「当たり前」が出来ないけれど絵を描けるミヤモトという対極にいる2人が親しくなって、自分にあって相手にないものを認め合いながら、世界がじんわりと広がっていくような作品。
ボロアパートの昭和っぽい雰囲気が良いです。

ちょっと古いような雰囲気が好きな方にはたまらない1冊です。
その空気感のせいで、描かれている以上のことを妄想してしまうくらいの居心地の良さ。
この世界に浸っていたくなります。

0

表題作がもっと読みたい

◆近距離恋愛(表題作)
 この作品のページ数がもっと多かったらなぁと思わずにはいられませんでした。先のことを何も考えずに、ただ河と一生仲良く遊んでいたいという理由だけで、幼い頃から彼に結婚しようと言い続けた大輔ですが、いざ本当に受け入れられたらどうしていいか分からない。でも、河も大輔が考えなしに求婚していたのは分かっている上で、自分はそういう意味で大輔を好きだと伝えるんですね。

 その後は少し気持ちがすれ違って寂しいけれど、大輔も河のことは大好きだから、恋人をやってみようと決意する。そんなすぐに2人の日常ががらりと変わるわけではないけれど、今までとは少し違っていて。幼馴染だからこそ距離のとり方が難しいでしょうけれど、互いを知り尽くしている2人なら、なんだかんだ上手くやっていけるだろうなと思います。

◆床屋のカノン
 床屋や美容院を舞台にした作品って、素敵なものが多い気がします、個人的に。髪を切るのに失敗して、勇気を出して床屋に来た癖っ毛の少年がとても可愛くて。そんな彼と、大人な美容師が徐々に関係性を築いていく。一度は離れても、少年の方から探してくれて。少し苦味もある作品でしたが、そこもいいなと思いました。

0

味のある短編集

短編がお上手ですね。読後、余韻が残るお話が多くてなかなか良かったです。

小さい時から兄弟のように仲良く育った幼なじみ。青年になって付き合うことになったら、どうやって恋愛していいか分からない、最初はそんな二人のお話でした。
酒屋さんの息子と、お風呂屋さんの息子。下町情緒がいい。

他に、何か不思議な感覚を共有する年の差親戚同士のカップルや、ボロアパートのお隣さん同士のお話がありました。
その中で、かっこいい床屋さんに憧れる天パの少年との交流を描いたお話が印象的でした。

おすすめです。

0

“2人だから”の関係性

距離が近すぎて互いの関係が見えない幼馴染の恋。
近くにいるから何でも知ってる、分かり合えてるって幻想。
相手のこと本当にちゃんとわかってる?と考え始めてやっとスタートライン。
他収録作も関係の再発見、再構築な一歩踏み出すまでの話。

(2013.3.16)

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「いい感じ」「いい雰囲気」のお話ばかり

一番好きなのは【床屋のカノン】
床屋さんとそこに通ってくる男の子のお話。

自分で切って失敗したという酷い頭で隣町から飛び込んで来た男の子。それから夏は自転車で、雪の季節は電車で髪を切ってもらいに通うようになります。
床屋さんも彼がきたらあの話をしよう、この本を教えてあげようと来店を楽しみにするように。
この男の子が次第に少年から青年らしい顔立ちに少しずつ変化していくんです。
そして床屋さんだけあって、ご自身の髪型がとても素敵で惚れ惚れします。(しかし誰が切ってるのだろう?)それに靴がとてもおしゃれだしパンツ丈もベスト!
どっちのキャラもそれぞれ異なる色気が感じられて好きです。

表題作の【近距離恋愛】は、幼馴染のお話です。
20年間結婚しようと言い続けてようやく相手が「わかった、よろしくね。」と了承してくれたものの、言い続けて来た当人はその先を何一つ考えておらず、ポカーン状態。
幼馴染としては好きだけど、もしかしてこれからは恋人としてあれこれするの?と今更ながら気づいた次第で…。
ええっ!?今更!?ですけど、プロポーズを了承した方も、そんな今更状態を予想通りだったと答えるあたりがさすが幼馴染。

あと個人的に大好きなのがあとがき(ロマンスの箱庭のあとがきも同様)です。
作品ではとーっても繊細でロマンチックな絵を描かれるのに、あとがきはちょいギャグ調で作品とのギャップが甚だしくて笑えます。

「原作者(ご自身のこと)が『色々あっていい感じになりおしまい』とうすらぼんやりとしたプロットを書き、それを元に先生(ご自身のこと)が『いい雰囲気の古臭い背景でいい雰囲気になっていい感じに』とぼんやりしたネームを起こし…」と漫画を作るまでの様子を描かれてまして、まさにそういう感じでなるほどーと。
現代ものなのになんだかどこかノスタルジックな雰囲気を湛えていて、感情が生々しくなく、絵の美しさに浸れる。まさに各作品もそんな「いい感じ」「いい雰囲気」のお話ばかりです。

答姐の「ちるちるのランキング圏外だけど、心の琴線に触れた作品を教えてください」で教えていただいたのが、こちらの作品です。
教えてくださり本当にありがとうございました。

4

幼馴染っていいなあ。

二次同人誌でずっとファンだったのですが、創作BLとなると萌え要素が足りないなあと思っておりました。1stと2ndコミックスを発売日に買ったのですが、部屋の片付けを機に何故か2ndから読んでみました。

あ、これ、一番好きかも!
正直、伊東さんはBLでない方が好きなのかもと思ってましたが、これの表題作みたいなのはいいですね!
幼馴染っていいなあ。
せーので飛び出すシーンがとても好き!
ああ、可愛らしい。

他は最近のコミックスもほんわかですが、あ!これいい!というシーンがあってよかったです。最近よりも、このコミックスの方が私は好みみたいです。床屋さんに通ったり、押し入れぶち抜いたり、いいですねえ。

とても好きな作家さんなので、自分の中で「ときめきたい!でもエロはなくてもいい!」というポジションみたいです。
とても上手い方なのは勿論なので、あとは好みですかねえ。

あ、影のわずらいのめまいの意味がよくわからなかったです。読み込みが足りないのか!?

2

せーので、一緒に

美しく優しい画、肌触りの良い世界観で
読者を魅了する伊東七つ生さんの2ndコミックスは
4つの物語が収録されている、柔らかい色合いの短編集です。

○近距離恋愛
酒屋の大ちゃんとお風呂屋のかわっちが
幼馴染みから一歩、新たなスタートを切る話。
踏み出したと思ったら、元の場所に引き戻されて
あやふやになったり迷ったり。でも、忘れてはいけない。
二人には幼い頃からルールがあった。
『スタートラインは明確に』『ひとりで勝手に線を越えないこと』
二人ではじめる『せーの!』に、心が躍りました!

○影のわずらい
三千彦くんと、いとこ違いの覚さんは
好みも感覚も、驚くほど似すぎていた。ある一点を除いては...
でも、伝えなければ、同じではないかどうかなんて分からない。
眩暈の描写が印象的で、とても巧く作用していました。

○床屋のカノン
床屋の宗佑さんと小鹿くんの、切なくて優しい触れ合いの物語。
成長していく小鹿くん、留まる宗佑さん、去りゆく懐かしい人々...
でも、二人には『次』がある。
めんどくさいなあって笑ってしまうような、とびきりの『次』へ!

○発熱地帯
絵描きと会社員、普通なら交わらない二人の人生が
押入れを越えて交わるとき、新しい世界が開ける。
朝、同じ時間に起きて支度をして出掛ける、夜帰ってくる、
ごく普通のこと。でも普通のことができない人だっている。
そしてその普通のことが辛くなってできなくなる人もいる。
時には普通から外れてもいい。寝坊したり、ズル休みしたり
押入れを越えて共にお酒を飲んで笑って...
個人的に、すごく元気をもらった物語です。

私的萌えポイントは、『近距離恋愛』から。
二人でスタートラインを踏み出して、
大ちゃんがかわっちにキスをするシーン。
唇が切れてしまうところが妙に良かった...!

BLとしては『その先』を期待したくなるけれど
それ以上に、自分自身が『次』へ向かいたくなるような
そんな爽やかな読後感の一冊でした。

1

BLこころのバイブル

短編がいくつか。
一番の魅力はとにかく線が繊細で美しい
髪などの明暗表現なんて白黒なのに色が見えてきそうな程です。
黒髪が映える日本男児
旅から旅への逞しい男
スマートを気取るオシャレな大人…
色んなタイプの美人を描かれます
あと靴の描き方に強そうなこだわりを感ずる。

作品に関してですが、一押しは「床屋のカノン」
日常に訪れた新たな出会い
その出会いが去って行ってしまった時
元通りになっただけ、と自分に言い聞かせる

そんな体験をした事がある人は共感できるのでは
カノンというよりは、切な目のカントリーソングって感じ。

最高の一冊です

2

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