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utsubora
最後まで勢いを失わずに読者をミステリーの渦に引き込んでくれた作品でした。やはり己の命を削りながら物を書く職業というのは、どこか鬼気迫るというか、常に死と隣り合わせにあるようなものなのだなぁと改めて感じました。藤乃朱は溝呂木に対して恨みは微塵も持っていなかったのですね。彼女の溝呂木に対する感情の複雑さ、慕情の純粋さはまさに創作のキャラクターにもってこいなのではないでしょうか。1人の女性にここまで想われる作家。罪深いですね。
本格的サスペンス『ウツボラ』完結巻です。
登場するすべての人がストーリーに絡んでいて、謎が解けるどころか更に深まる展開でした。
1回読んだだけでは把握しきれず、不明な所を何度か読み返したのですが、それでも正確に把握出来ているか自信がありません…(汗)。
ただ単純に事件を解決するというものではなく、人の深層心理が関わっている作品なので、ほんとに先が読めません。
そういうところもこの作家さんの大きな魅力ですね。
作家の溝呂木が普段和装でちょっと昭和の時代を感じさせる雰囲気を持っているのですが、昔の作家さんもこんな雰囲気だったのかな~?と想像しながら読んでました。
なかなか一筋縄ではいかないお話でした。
ウツボラで初めて中村明日美子先生の作品を手に取りました。
表紙は1巻は赤が基調で、この2巻は青が主です。
表紙に描かれている女性にぴったりの色をチョイスされていますね。
「ウツボラ」という1つの作品を巡るお話なのですが、
緻密なストーリーで一気に惹きつけられました。
このウツボラは中村明日美子先生だからこそ、描ける物語だと思います。
BLではなく、男女での行いの描写もありますが、
いろいろな作品を読んでみるのもいいかもしれません。
どうも受けが女っぽいのが嫌で読んでなかった中村さん
非BLですが、矢田部+溝呂木、辻→溝呂木の関係性はラノベBLよりよっぽど「ヤオイ」してると思います
※ただし男女の性描写がかなりあるので注意して下さい
冒頭で自殺する正体不明の美女と、その「双子の姉」を名乗るもう一人の美女、
そして往年の人気作家溝呂木とその新作「ウツボラ」を巡る物語。
誰が生き、誰が死に、誰が「ウツボラ」の本当の作者なのか?
この二巻では、これらの謎を巡って周囲の人々が動き始め、謎が解き明かされて行く…
のだが、むしろ真実はどんどん分からなくなっていく。
表現者として生きる苦しみ、人を愛する悲しみ、そして希望はどこに…
ラストシーンが鮮やかに印象的。
墓参りを終えて帰り道を行くコヨミは、長い黒髪の喪服姿の妊婦とすれ違う。
ただ、すれ違う。
それだけのシーンだが、この作品の総てを象徴しているようなシーン。
読み終わって、『ヒャイイイっ…』って叫んでしまいました。
感想、難しいのです…拙い表現になります。すみません。
中村明日美子先生の描いた『ウツボラ』じゃなくて…作品の中の『ウツボラ』を読んだ気分です。溝呂木舜が書いたウツボラなのか、藤乃朱が書いたウツボラなのか…誰が書いたウツボラなのか分からないけど、『ウツボラ』っていうお話を読みました。っていう…。
そもそも藤乃朱って何だったんだろうって思いました。それを知るために読んだのにね!
そして、二巻は桜のメッキがどんどん剥がれていきます。それが手に取るように分かって、破綻に向かって進めば進むほど桜が人間の女になっていきます。
溝呂木舜が藤乃朱にも三木桜にも狂おしい程愛されていて、狂気にさらせるようなの作品を産み出せなくなったから今度は女の狂気である『ウツボラ』が出来上がって、ウツボラの周りで沢山の人生が少しずつ狂っていって…あああ、ウツボラって何なんだ~ってなりました。
これは、読んだ方が良い。改めて『中村明日美子』の幅広さに驚嘆します。
読んだらどっと疲れました。時間も掛かった。正直読後感の『爽やかさ』なんて欠片も無いです。けど、まさに『貪り読むように読んだ』作品です。
あ、爽やかさは『空と原』で供給するために同時期に出したのかもしれない!
面白かったです。