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超人的な能力で国を左右する厩戸皇子でさえも、
まがまがしきものに囚われて身動きができなくなったり、自分だけの力ではどうしようもないことが起き、一人で苦悩する。
そんな時に現れる毛人の存在は、皇子の力を助け、それを増幅し、皇子の苦悩をも救う。
過去3巻の間でもそんな場面が多々見られ、皇子は、毛人は一体なんなのだ?
と無意識に彼を片われとして、自分が完全に一個として成り立つための必要な存在として求め始める姿が描かれるのだが、
今になって、これがなんなのか、おぼろげに自分の中に言葉として浮かんできた。
それは 「陰陽」ではないだろうか?
皇子が苦悩し引きずられるものは、死であったり怨念であったり負の方向に引っ張られるものだ。
毛人は皇子に引き込まれるようにその能力を見せ、皇子の精神の中に入り込み彼を引っ張り上げる。
毛人が傍にいると、皇子は幸せななんともいえない気分を味わうことができる。
毛人の能力は、陰陽の、陽なのではないか?
と、はたと気づいたのだ。
だから、二つが融合することで計り知れないエネルギーを発し、尋常でない事が可能になる。
光と闇、太陽と月、そんな陰日向の部分を互いに持つから、それを認識してる皇子は無意識に彼を求めるのではないか?と。
皇子は陰であるから、それは酷い仕打ちへ持って行く。
石上の斎宮である布都姫と毛人が互いに想い人であることを知ると、激しい嫉妬により泊瀬部をけしかけ、布都姫を后にめ取るように仕掛ける。
皇子は鬼だ。
本当は、彼は彼の個人的感情で物事を動かしているはずなのに、それが国政に絡んで国家をうごかしてしまうことになるのだから、皮肉なものだ。
クライマックスは、雨の降らない夏に雨乞いの儀式をするシーンだ。
それに布都姫を抜擢し、わざと失敗させる。
言葉のはずみで自らが雨乞いをしなければならなくなった皇子。
ここで夢殿の原型が登場し、皇子はそこにこもり気を動かそうとするのだが、自らだけでは何ともできない。
そこへ毛人の意識が入り込み。。。
しかし、ラストにて、せっかく皇子は毛人との一体感で幸せであったものが、打ちのめされることに・・・
次から次へと読ませる展開は、素晴らしい!
毎度毎度のことであるが、カラーページの王子の妖艶なこと(表紙しかり)
着物の柄も、毎度違う柄が容易され、眼福なのです。
尚、今回の推薦帯は、岡野玲子氏だ。