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muni no ou
山坡上的魔法使
1巻はラベルとリーのほのぼのライフでしたが、2巻では不穏な空気が増し増しの、王とリーのどろどろライフでございます。2人が友好を深める様など微笑ましいところもありますが、立場が、制約が彼らに本音を語らせない。大変うまく作ってあるなぁ。使役の設定やら、1巻で出した流れを踏襲しつつ違う見せ方をする構成などセンスの塊。
大方のBLらしい作品ではないですけれど、男と男が命もかけられるでっかい感情を抱えているという意味では紛れもなくドツボの作品。リーが男かっていうと…そもそも人ですらないのか?
オジデ様が彼方へ渡るとき、子どもの姿というのがとうにもこうにも胸にきました。
ヤキモキしながら読んだ2巻です。
ほとんど寝ているリーの昔の回想がメインの巻です。
リーは、王は、お互いをどう思っているのか…
1巻はB Lではなかったと思いますが、
2巻はちゃんとラブがありました。
王はリーのことが好きだと自覚しましたね。
そして、リーもまた王のことを慕っています。
ただ、魔法使いは操るものに縛られており、
自分の意思に反したことをしなければならないところが、
とても切なかったです。
最後には、ついにリーの使役が見つかりました。
3巻では2人が対峙することになると思うので、
そこを楽しみに読みたいと思います。
ラベルの父であるかつての王・アレットとリーの過去の話がメインでした。魔法使いを操る力を備えている王家の血筋。しかし、アレットはその力を使うことを良しとせず、魔法使いの自由性を尊重すること、魔法使いに頼らず軍力を上げることが重要だと考えています。セロハン国には誰一人その考えに同調する者はおらず、リーですら自分はただの下僕であると言い続けます。
アレットはリーへの恋心を抑えきれず、彼の長髪にキスを施しますが、リーは自分に扮した王妃をアレットの部屋へ寄越し、ついぞアレットの気持ちに応えることはありませんでした。魔法使いは恋をしてはならない、という規則を守り続けたリーの苦しみはアレットよりも一層深いものだったでしょうね。自分という存在を心から愛してくれた唯一無二の王に応えたい、でもそれは破滅への道の始まりでもある。今でもその頃の懊悩を夢に見るリーが、救われることを願ってやみません。3巻でリーがアレットの亡骸と、今後のラベルにどう向き合うつもりなのか見届けたいと思います。
リーにとっての「無二の王」、アレット王子のちのカヌロス王との物語。
二人の出会いから別れを描いた第2巻。
BL的にはこの巻がピーク。
リーに想いを寄せる王子。
王家の血による絶対の支配のため、恋愛そのものを封じられたリー。
王は王家の血を引く者だけが持つ目による魔法使いへの支配を嫌いますが、それこそが二人の間の障壁を破る最大の鍵だとリーは知っていて、目を使っての命令を願うのですが、王はあくまでも対等の人として愛し合いたいと、目による支配を拒みます。
私の王
唯一無二の かけがえのない者
私のすべて
王家の血による支配からは、逃れられない魔法使い。
自分の意志ではどうしようもない。
決して自分で望んでしたわけではない。
リー様とラベルのお父さんの過去話。
王妃とリー様の入れ替え以外は、ファンタジーならばよくある話ですが、これがあの先生とラベルのほのぼの生活の礎だと思うと切ないです。
明治さんの両片思い(いや、この場合はただの身分違いな両思い?)の残酷さは半端ないですね。
リー様の行動全てが王の為なので、あの入れ替わりも彼ならやると王も後になってちゃんと気付いていると願います。いや、もうあの時点で分かっていましたよね。それでも想いの成就が未遂だった事がやるせなかったから、あんな事を云ったのかもしれません。
どちらにせよ切ない。
次で最終刊です。つらい。
1巻でも少し触れられた、尊きお方(龍)の来訪をきっかけに、誰もが気になったであろう【リーと王子】の話がはじまります。
王子とは具体的に何者なのか、リーは王子にとってどのような存在であったのか、彼らの関係はどこまで進んでいたのか、そもそもリーと王子の間になにかあったとしてではラベルは一体どのようにして生まれたのか…練り込まれたお話が少しずつ開かれてゆきます。
のちの王となる、当時はまだ王子であったアレットの性格はどうしてあすこまで曲がらずにいられたのでしょう。
セロハンという国において、魔法使いが王家の下僕であることが幼いころから意識づけられているであろうに、なんら差別することがありませんでした。少しやんちゃな一面とそして好奇心が旺盛であったことが起因するのかもしれません。
そしてアレットの聡い一面こそ、リーを唸らせるところでもありましたし恋愛でなくとも人として仕えるものとして惹かれていく大きな理由だと思いました。自分の立場がなんであり、自分がゆくゆくは王として玉座に掛ける者であるからこそ、国のことを幼いころから考えていることもまた、リーが王子を大切にする一因であったのでしょう。
側を離れるなと命じて、はめられた腕輪。
いつでもすぐ側にあると感じられるそれ。忙しく常々共に在れないからこその腕輪。
パイを与えてくれる売り子とのやりとりを、いっそ嫉妬してくれればどれだけ良いか、と王子は思っていた…のかな。
このときのマキとリーの会話で分かったのですが、マキはリーを尊敬していた(敬うことが憧れと重なり、そしてその強さを知るからこそのちのちは畏れもあった)、でもリーは王子のことを気に掛けすぎているようにみえた(事実そうであった)、そして王子もまたリーだけに固執した……からマキは革命時に王子側ではないほうに進んで付いたのだろうなと。このマキの目、少し怖いです。
あと魔法使いは皆、みつあみであることがセロハンでの習わしだったのでしょうか。
あのときカヌロスがリーに王家の目を用いて命じてさえいれば、なにかが変わったのでしょうか。
リーとカヌロスの関係も、もっと密になっていたのでしょうか。
それならばラベルは生まれていませんし、カヌロスとゾラは巧くいきません。なにより、カヌロスがほんとうに目を使ってしまえば、それは彼の信念が曲がってしまう。どんなに焦っていても、あの時どれほど悩んだとしても、やっぱり彼は目を…そんな【してはいけないと分かっている】ことに使うわけが…ないんですよね。
そんな王だからこそ、リーにとっては無二の王。変えられない王、なににも代わらない王。
王が度々、未来のリーとラベルの暮らしの夢を語る度涙がこぼれます。あなたがそうなりたいと望んでいることを知ると辛くなり、叶えられないことが切なくてたまりません。
そして王がなによりも望んだ、リーとたった一度の夜を、遂げられなかったあのシーンでは、思わず声をしゃくりあげて泣いてしまいました。
だって誰が悪いわけでもないんです。リーは恋をしてはならないと命じられてそれに背くことはどうあがいてもできないし変えられない。カヌロスだってほんとうはいけないと分かっているからこそリーがそうした理由も理解してしまう。
本当はそんなつもりなんてなくても、本当はリーも想いに応えたくても、カヌロスだって問い詰めたくても、できないんです。
許されないから。はなっからふたりは許されない関係だから。
ふたりで逃げられもしない。なにもかもを捨てることさえできない。
王で、魔法使い。恋人になんてなれるわけがない。
箱に入って、無邪気だったあの頃。妃を娶ることを遠い先としていただろうあの頃。
リーと王子ふたりだけだった頃。たったひとりの魔法使いであった頃。
切ないです、カヌロスが満足そうに黒髪を見つめていたからこそ…。
だからこそ最後の少しおまぬけなラベルにはやはり救われます。
カヌロス王、あなたの子はこの作品一番の癒しですよ。
1巻より過去の話にさかのぼる。成長し周囲の思惑に飲み込まれまいと、戦う王と誓約に縛られ贖う事が出来ない魔法使い。エロ度はなし。その分心に秘めた愛情が静かに燃える大人の童話。
1巻の最後、リーの魔力を狙う魔道師を
ラベルの魔法の試験の為にと、暗示と入れ替わりでかわしたリーですが、
本気で心配して泣くラベルを見て、昔の失敗を思い出します。
今巻は、リーの回想で、王とリーの過去が明らかになります。
幼い王子が、偶然見つけたリーの魔法の箱に興味を持ったことから交流が始まり、
次第に距離を縮めて行く二人。
王子がルベル公の罠に落ちた事をきっかけに、リーは王子の側近になります。
主従関係の二人が、本当は強く惹かれあっていながら、
それぞれがその事実から必死に目を逸らそうとしている様子が、本当に切ないです。
王家の魔道師であるが故に、色恋沙汰とは縁遠くあるよう縛られているリー。
魔道師を縛る王家の力を使う事を、嫌悪する王子。
『無二の王』の章以降は、もう怒涛の切なさの嵐です。
――私の王 唯一無二のかけがえの無い者 私のすべて――
にはもう、うるうるしてしまいました・・・
そして王子が見た、荒れ地の小さな家でリーとまだ子供の王子が二人で暮らす夢・・・
最後はあまりの痛さに思考停止しました・・・
ただ一度でいい、主従関係を超えたいと願う王子。
でもリーは誓いに縛られていて・・・
王子に本心を伝えられないリーの涙が、読んでいて本当に辛かったです。
そして、探してたリーの使役の居場所がわかったところで、この巻は終わります。
次巻の展開が楽しみです。
町外れの荒れ地の坂の上に住んでいる魔法使いリー。
かつての主である、今はなきセロハン王から託された子ラベルと共に静かに暮らす日々。
物語は過去に遡る……
読み終えて、やるせなくて切なくて、あまりに心を揺さぶられてしまい、
涙がせき止められたように苦しくて、暫く3巻に進む事が出来なかった。
リーと王の出会いから別れまで、リーの本当の姿や彼が縛られていた苦しさ、
彼の使役や、王の「失望」の意味…が明かされていく。
お互いに無二の存在でありながらも、隔たりを越えられない二人。
せめて一夜だけとの切ない願い、でもそんな甘い展開を許さない厳しさ。
そんな二人の心の触れ合いに心が震える。
主従愛、禁断の愛、魔法や竜、
好きなモチーフや世界観……、なんていう感想をぶっちぎるパワーで鷲掴みされて、
物語はクライマックスヘ向けて加速していく……
*大洋図書の「無二の王」特設ページ
http://www.bs-garden.com/feature/sakanoueno2/
久しぶりに強烈なボディブローを貰ってしまった気分です。
気持ちを落ち着けるのに1ヶ月かかってしまいました。
表紙が大好きなのです。
好きであるからこそ、読み終えて苦しい溜め息しかでません。
一巻を読めばすでに結末は見えているのですが、これ程とは。。
ラベルよりも精悍で鋭い目を持つ王。
彼はただ一人魔法使いのリーだけを愛していたこと、
そしてリーも応えたかったのに出来なかったこと。
報われない想いであることは二人共解っていたけれど、それにしてもこの結末は哀しすぎました。
彼らの流した涙、そして王が取った行動の上に穏やかに暮らす"今"があると考えるとやりきれないのです。
"思う通りにいかないのが人生"
わかってはいるのです。
でもそんな不条理なこと受け止めきれない自分が大人げないと思いつつ、二人の心に想い馳せると心乱れるのを止められないでのす。
これほどまでにこの作品に囚われてしまったのに星5つにしなかった訳は、3巻目のレビューにて語らせていただきたいと思います。