遙々アルク改め、ARUKUが贈る純潔と官能が交差する短編集。

黒猫亭雑記帳

kuronekotei zakkichou

黒猫亭雑記帳
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神19
  • 萌×220
  • 萌9
  • 中立1
  • しゅみじゃない2

--

レビュー数
14
得点
203
評価数
51
平均
4 / 5
神率
37.3%
著者
ARUKU  

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媒体
漫画(コミック)
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイコミックス~BE×BOYCOMICS~
発売日
価格
¥590(税抜)  
ISBN
9784862638823

あらすじ

「先生、あの小説を書きましたか?」
ある日、偶然手に取った小説「黒猫の庭」。そこには、自分と思しき主人公と男やもめのいかがわしき情交が赤裸々に綴られていた。助教授・英にそのことを訊ねたのをきっかけに、激しい情事が徐々に現実のものとなっていく…!
話題の気鋭が放つ純潔と官能が交差する短編集。描き下ろしあり。
(出版社より)

表題作黒猫亭雑記帳

英,大学の助教授で官能小説家 
水町(クロ),一人暮らしの水道局員 

同時収録作品台風13号/土屋観測日記/ウェザー・ニュース

武藤,受様に嫌がらせをする一団のリーダー→社会人
土屋,教室でハブにされている高校生→社会人

同時収録作品昨日の今日で

カフェの客
ひなた,カフェ店員 

同時収録作品琥珀の月/ストーカーをストーキング

小山田健,受様をストーキングする商社マン,25才
砂原,宝飾店の販売員 

同時収録作品SNOW BLIND

遠山,祖父の葬式で帰省した会社員 
桃井,街の土木課に勤める公務員 

同時収録作品凍える海の底にあるもの

根津,社会人
綾瀬

同時収録作品僕はあなたの夜になりたい

杠,彩田の大学の後輩,
彩田,夜盲症を患う先輩,大学4年生

その他の収録作品

  • 黒猫の言い分

レビュー投稿数14

1番好きなのは「凍える海の底にあるもの」です。

【もくじ】
黒猫亭雑記帳
台風13号
土屋観測日記
昨日の今日で
琥珀の月
SNOW BLIND
ストーカーをストーキング
ウェザー・ニュース
凍える海の底にあるもの
僕はあなたの夜になりたい
黒猫の言い分

《続き物》
1. 黒猫亭雑記帳 → 黒猫の言い分
2. 台風13号 → 土屋観測日記 → ウェザー・ニュース
3. 琥珀の月 → ストーカーをストーキング

《読み切り》
4. 昨日の今日で
5. SNOW BLIND
6. 凍える海の底にあるもの
7. 僕はあなたの夜になりたい

1

みんな意外な展開ばかり、印象的でぐっとくる

とっても短い短編集です。でもそれぞれのお話がとても印象的で不思議な後味が残る濃いというか刺さる一冊です。

表題作はこれはBLになるのかな?と思っていたらなんと!という展開で。
孤独な受けが攻めの猫になりたいというのも叶うといいのにと思っていたら、ネコになりました。
受けの育ちや境遇、職場での扱いなど辛いのに明るく真っ直ぐ生きて、でも自分を恥じて、でもそういう言い方をするなと言ってくれて。
居場所ができて良かったです。

台風のお話も意外な展開で。井戸に落ちたらお前が体験もないまま死ぬのは可哀想だとエッチされそうになり。でもこの件のおかげで変われましたね。
他のお話で再会したのですがどうなるのでしょうか。

ストーカーのお話も意外な展開でした。
ストーカーが強すぎる!怯えきった受け。どうなるの?と思ったらなんだか可愛いカップルになっちゃって。

どのお話も意外な展開で、胸にぐっとくる印象的なお話でした。目次を見たときはみんな短すぎ!と思ったのにのめり込みました。

1

やっぱり好きだ…

久々にARUKUさんの作品を読みました。
改名されてからの作品を読むのはこの作品が初となりました。
独特の絵柄は以前から変わらず。この作家さんを初めて読んだ時にはこの絵柄が苦手だったのですが、今ではARUKUさんはこの絵柄でないとちょっと物足りない気さえします(笑)。

とても短い作品も収録されている本作ですが、ARUKUさんが描かれるちょっと不幸な境遇で控えめな受け様とか、目に見えてそうは感じさせないのですが受け様に結構執着している攻め様が好きだな~と改めて思った作品集でした。
画面には描かれていない背景とか、物語の後や間の2人をとっても妄想してしまうストーリーの作りも秀逸です。

表題作も好きでしたが、一番妄想を掻き立てられたのは、雑誌掲載作と描き下ろしが収録されている『台風13号』のシリーズ。
主人公達が高校生、そして社会人になってからのエピソードが描かれているのですが、各お話の間にどんなことが起こったんだろう?と色々想像してしまいました。
切ない雰囲気も漂っているのに、コミカルな所もあるのも好き。
ああ~、この後の2人がとっても気になります!(笑)

3

作風の振り幅を窺い知る短編集

『猿喰山疑獄事件』についてはおよそレビューともいえない、ただの「作家さんLOVE!」的なものを投稿し、激しく後悔しています。新作『恋に落ちる花』を読む前に押さえておきたくて、読みました。また、新作も読みました。その上で思ったことを。

表題作を読んでいて「…うちの母は瞽女だったんですよ」っていつの時代だよ!と思わずツッコミを入れてしまったのですが、例え現代の日本が舞台であってもなんとなくノスタルジアを感じさせる、時代不詳の色が出ています。SFファンタジーや昏睡している男の夢の中など、設定舞台もリアルと距離をとっている感じがフィクション好きとしては思いっきり楽しめる要素の一つです。

『ビター・スイート』などで笑いの要素は感じていましたが、『ハスネサイコロジー』以降の作品から軽妙さが明らかに増えている点を比べると、『黒猫亭雑記帳』は圧倒的に暗い作品が多い。「台風13号」の、危機的状況に陥った時に突然発情する、若い男の性欲が怖い。「琥珀の月」も「SNOW BLIND」も人物の極端さが怖い。『猿喰山』のエンディングを彷彿とさせる「僕はあなたの夜になりたい」も、主人公の若さゆえの純粋さが怖すぎる。何が一番怖いって、この笑いと恐怖の境界線を一つの作品の中で自由に行き来している作家さんの技量でしょうか。

もし今よりもっと人生経験に乏しくて、視野が狭くて、独りよがりだった頃にこの作品集を読んでいたら、これこそ唯一自分をわかってくれる人が描く世界観に違いない、と厨二病を発動して熱狂的に心酔していたかもしれない。それくらい心を鷲掴みにし、読了後に脱魂状態に陥れる魔力みたいなものが、この方の描く作品には潜んでいると思います。

『ほんとは好きだ』みたいなキュン系とは遥か遠ーくかけ離れていますので、ちょっとゾッとするようなお話、ビザールなお話が好きな方向きかと思います。

3

残念

「黒猫亭雑記帳」
イラストのバランス悪いですね。
犬の大きさもバラバラ。
受けのクロ君(あだ名)が英先生を思って、ああだろうか?こうだろうか?と思考を巡らすのは面白かったかなと思います。
半分ストーカーかもしれないですけどね。

「僕はあなたの夜になりたい」
全部で11作品の短編集ですが、これがいちばん萌えたかな。
夜光症の彩田を後輩の杠が世話を焼く話。
先天性の物だから進行はしないはずなのに、ストレスで目の隅が見えなくなり、自暴自棄になる。
家の中はぐちゃぐちゃで割れたガラスで手や足が血だらけ。
杠が病院に行こうと言うと彩田は恥ずかしいから嫌だという。
このワガママな彩田がちょっと可愛い。

この2人が一緒に住むとして彩田に振り回されてるだろうとは思うけどそこもちょっと読んでみたいかな。

この作家さんの妖怪漫画を先に読んだから、骨格がおかしかったりすると妖怪にしか見えなくて笑ってしまう。
シリアスな作品が多いのに、手足の位置が変でカエルが引っくり返ってたり、蜘蛛が突っ込まれてるように見えてしまったから……そのシリアス感も半減です。
そこが残念。

1

自分の好みをはっきりさせてくれた一冊

しゅみじゃない評価でレビューを書くのは少し気が引けたのですが、この一冊が私の好みの基準をよりはっきりとさせてくれたので、書きます。

なんといっても絵が苦手でした。もともと、キャラクターの表情や動きの豊かな絵が好みなので、たとえ話が今一でも、キャラクターの表情や動きが魅力的だったり、線のひきかたや構図の取り方に躍動感があれば(どういう表情や動きに豊かさを感じるかさ人によると思いますが)、それだけでも満足できます。その点で言うと、この作家さんの書くキャラクターには表情の変化が少ない。あの真顔がどうしても怖くて受け入れられませんでした…。あと動きも固くて、エッチなシーンなのにどうしてもエロスを感じられず。むしろちょっとシュールさを感じてしまいました。

私の萌えるか萌えないかの判断は、視覚的情報に大いに頼っていたんだ、ということがよく分かりました。その傾向があるのは分かっていたんですが、この一冊でさらに浮き彫りになって、自分の感性にちょっとがっかりしています。みなさんがレビューされているように、この作家さんの描き出す世界観や言葉の選び方などを何とか理解し堪能したいのですが、どう頑張ってみても絵が妨げに…。
この作品も最後まで読みきることができませんでした。
もう一冊くらいはチャレンジして、新たな萌え鉱脈を堀あてられるかどうか試してみたいと思います。

6

アルクさんなのに、普通のBLだ!(驚愕)

おや?これは!

アルクさんなのに、普通のBLだ!(驚愕)

表題作はまた受けが貧乏臭いので普通っぽくはないのですが、他の著作に比べると全体的に普通のBLっぽいですね。
それが読みやすくていい気もしますが、何か物足りないです。

この中では「SNOW BLIND」が好きなんですが、これだけ幸せになれない感じですね。
だからといって、この後どうなるんだろう!二人とも幸せになってね!といった事をあまり思わないのが不思議です。
普通の漫画でこれやられたらとてもやり切れない気持ちになるのですが、そうなる事前提で読んでいるからかもしれません。

1

耽美な世界観

短編集ですが物足りなさを覚えないところが不思議です。またキャラクターの目や指の動きに滲む麗しさといいますか、艶やかさがたまりません。
セクシーなのですよね、言葉の選び方ひとつから。特に表題作「黒猫亭雑記帳」ではその美しい言葉遊びも織り込まれていて、アルクワールド全開の一冊だと感じます。

[黒猫亭雑記帳・黒猫の言い分]
英先生のエロスもさることながら、クロ君の不思議な人間性もまたエロス。
パキパキした絵柄(だと思っている)にも関わらず、肉感を覚えるのです。だから、クロ君の自慰行為の描写も、英先生との交わりも、とても淫猥で拝見しているこちらが気恥ずかしくなるくらい。
最中を持って帰るエピソードも、他人とうまく関わることができないクロ君の性格も、そして酸漿の力に惹かれる危うい面も、すべて関係ないように見えてでも繋がっている。短いお話でも、薫るものがあります。
鯛を欲しがるのもかわいい。めでたいものだしね、食べたいのかな。

[台風13号・土屋観測日記・ウェザーニュース]
やんちゃといじめられっ子のあるあるカップルでも、ARUKU先生が描くとこうなるのか…と唸った作品たち。
土屋がやや卑屈なところも好きです。あとその後、武藤のおかげか見事羽化した彼もまた素晴らしい。かわいいおでこ、とはなんぞや!(笑)
土屋みたいな子は、おそらくいじめっ子の加虐心をくすぐるのでしょう。認められることではありませんし、いやいや武藤もそう思うなら腰ぎんちゃく黙らしておこうよとも考えますが、それは置いといて…。(結果的に土屋が田村を飼い慣らしてしまいましたしね)
大人になって出会ったふたり、昔とは違う土屋の凛とした姿。もしかして、ああして古井戸に落ちたからこそ気象予報会社に勤めることになったのかな。
となると、土屋の根底には武藤が居るわけです。あのときの武藤が! 因縁にも近い、憧憬のような想いがあるといいな。学生→社会人ときたらあとは成り行きで同棲までぜひ! ぜひ行ってほしいわ!

[昨日の今日で]
恋が こんなに恥ずかしいなんて知らなかった――。独特の一文です、好き。

[琥珀の月・ストーカーをストーキング]
ストーカーなんてとてつもなく怖いことですし、粘着系攻めだと尚怖いのですが、この作品に関しては恐怖<愛を感じてまた怖い!(笑)
砂原さんが恐れる様子を見ているうえ、彼が頼んだ興信所の職員をフルボッコにしたことをわかっているから、一層小山田のことが怖くなります。だってただ…ただちょっとした親切をしただけなのに…。
お話の中盤に至るまでは、こうして「怖い」という感情を抱くのに、砂原のことを身を呈して守ったときに 恐怖<愛 になるのです。紙一重ですが、この紙一重が非常に大きい!
しかも最終的に開き直っちゃいますしね。こう、とにかくアルク先生の描かれる受けって、やたらと内面が可愛くってたまらないです。

[SNOW BLIND]
すべてを壊してでも俺のものにしてしまいたい。
ふたりの先になにがあるのだろう、これからどうするのだろう。不安になるのですが、私個人としてはこういうほの暗くどうしようもないお話がものすごく好きです。
彼女のこと結婚のこと、介護のこと仕事のこと、葬式のこと灯油のこと、なにより刺された傷のこと。気になることは山ほどありますのに、もう二人しか見えなくなる。
彼らそれぞれが10年間ずぅっと抱え込んでいたものは、一目見ただけで崩れてしまうくらい大きなものだったのですよね。攫って逃げるなんて、桃井は赦さないだろうけれど……遠山はほんとうに成し遂げてしまいそう。

[凍える海の底にあるもの]
20キロは相当ですが、最後に勝つのは愛だと聞いています。

[僕はあなたの夜になりたい]
単行本のなかにもカラー表紙としてこちらの表紙を塗られたものがありますが、それぞれすこーし顔が違います。
モノクロの頃よりも、カラーで塗られたほうのが後のふたりかなと感じました。見守る杠、安心しきっている彩田、当方にはそう見えました。
愛のことをちっとも信用せず、有用性を感じられなかった杠が、彩田に心傾き愛とはなにかを分かる……真に心寄せる人が現れない限り恋愛の意味なんて分かりませんものね。
そのうちレモングラスティーを作って、魔法瓶に入れるのも杠の仕事になるのでしょう。
そんな日常を妄想します。だってお世話するんだもの!

ARUKU先生は、人が避けたがるところを、たとえば汚いものは汚いものとして、悲しいものは悲しいものとして描かれるからこそ美しい箇所が際立つのかな…と感じます。
らしさがギュッと詰まった一冊でした。

9

珠玉の短編集

お名前がいつの間にか改変されておられましたが、内容の良さは相変わらす良かったです。

表題作の「黒猫亭雑記帳」はノスタルジックな雰囲気でした。
大学の教授で小説家の英と水道局員の水町(クロ)がひょんなことから知り合う話です。
どうしてこう、文豪とか小説家とかいう設定のものは「昔」の設定のほうがすんなりと受け入れられるのか、なんだか不思議です。
現代作家さんの設定の話ももちろん好きなのですが、ノスタルジックなもののほうが、より好みのようです。

こちらは一冊・短編集なのですが、
一つ一つの作品に味わいがあり、非常に良かったです。
『台風13号』と『ウェザー・ニュース』はページは飛んでいますが、続きものです。
なかなか短編だと面白くなかったり中途半端に感じることは多いですが、
こちらの作品は「この作品もっと続きを読みたいな」とは思っても、中途半端とは感じませんでした。
それほどARUKUさんがお話をうまくまとめておられるからなのでしょうね。

どこか不思議で、ちょっと怖かったり、ほっこりしたり、ドキドキしたり、感動したり、
ARUKUさんらしい短編集でした。

4

もー、大好き

短編集です。
全体的に、ARUKU作品比では軽めなお話が多いかなと思います。あくまでもARUKU比でのことですが。
どのお話も珠玉でした。

『黒猫亭雑記帳』
『黒猫の言い分』
ARUKUさんは格差のあるところで萌えを描くのが本当に上手いです。
黒猫と遊ぶためにたびたび訪れている家の大学の先生が、自分たちをモデルにしたと思われる官能小説を描いているのを知る。
小説を読みながらオナニーしてる受けがエロかったな。
古い日本家屋の縁側っていいですね。

『台風13号』
『土屋観測日記』
『ウェザー・ニュース』
この連作が一番好きです。
いじめられてた主人公が、あることをきっかけに変化していく。
若いとき特有の不器用さも残酷さも愛おしい。
これ、最終的には武藤が受けになるんだよね?ね?そのほうが萌えるので、そっちで妄想しておきます。

『昨日の今日で』
なんてことはないお話なのに、なんでこんなに萌えるんだろ。
エッチの翌日の気恥ずかしさ、可愛いなァ。アホっぽくて可愛い。

『琥珀の月』
『ストーカーをストーキング』
病的なストーカーと、なぜかどんどん健全な恋へと発展していきそうな、キモいのに爽やかで、やっぱりキモいお話です。
いざとなるとへたれてしまうストーカーくんが可愛い。

『SNOW BLIND』
捨てたのはどっちだったのか、捨てられたのはどっちだったのか。
恋のはじまりは、10年前だったということ。

『凍える海の底にあるもの』
話の終わらせ方が憎らしいよ。
先を想像してニヤニヤできる小品でした。

『僕はあなたの夜になりたい』
ARUKUさんの得意技の一つが「血まみれ」ですね。
面倒を見たいと思う気持ちが恋のはじまり。

5

この作品が収納されている本棚

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