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mayonaka wo kakenukeru
新進気鋭の画家・日比谷勇気と雑誌編集者・土谷昇の「二度目の恋」を描くシリーズ。
彼らの少年期と再会を描く表題作『真夜中を駆けぬける』が、発表順・時系列順ではなく後半に収録されている点が、コミックスの構成上効果的である。
芸術方面に造詣の深い、少し大人びた兄の同級生に導かれるように絵の道に進むことを決意した少年が、いざ美大生になると新しい世界に目がくらみ、過去をいったん清算したくなったというのは、感覚的に理解しやすい。
約10年後に再開した後は、「作る側」と「見出す側」という立場の違いはあっても、根っこに同じ価値観を共有していることがはっきりとわかったからこそ、けんかをしたり迷ったりしても結局二人でいることに落ち着くのである。
それにしても依田氏の絵は、あっさりしているし決して直接的ではないのに、何とも色っぽい。
しっとりと落ち着いた絵柄と、登場人物の性格付けと(主人公二人も周囲の人物も、結構気性が激しく表情豊か)、時折挟まれる詩的なモノローグの絶妙なバランスが、読んでいて非常に心地よい。
とうとう読みました、かの有名な「真夜中を駆けぬける」シリーズ。このシリーズは、まだ続いているんでしょうかね。続いててほしいな。
大人の恋です。しかも、浮気攻(ワーイ!)×執着受(キャッキャッ!)。
依田さんて、どろどろした関係を軽いタッチで描くから、好きです。読後感は微妙に悪い方なんだけど、クセになるとハマっちゃう中毒系(笑)。
「タイムシャワーにうたれて」
本業は絵描きだが、イラストレーターとして成功し始めていた勇気は、元彼の昇と再会する。二度目の恋をきっかけに勇気は、再び絵を描き始める。
これ、すごくよかった。勇気(攻)が大物画家になることを予感させるところで一話目が終わるんですけど、つかみはバッチリって感じ。昇(受)は、勇気のミューズです。
「ルサンチマンは踊る」
小林は、才能がありながら、画家という仕事をないがしろにする勇気に腹を立てていた。イラストレーターとして生きていくかのように見えた勇気が画家として返り咲いたことで、小林は殺したいほど勇気に嫉妬する。そんな小林をよそに、のん気に色ボケしている勇気であった。
小林・・・勇気と昇のキスシーンを見たショックで車に撥ねられるって・・・お前・・・。小林が可哀そうとしか言えない。サリエリとモーツアルトですね。笑っちゃってごめんなさい。
「賢者は叫び呟く」
昇の大人の付き合いを垣間見見て動揺する勇気。自分の悪行は棚に上げて焼きもち焼いたり、卑屈になったり、昇が恋しくて寂しくなったり。
勝手だけど、どこか憎めない勇気のキャラが浮き彫りになってて、愛着が湧きました。
「ためいきのグリークギフト」
大伴は、勇気がかつて師の画家渡辺に贈ったパロディ作品に出会う。しかし、その絵は、塗り替えられ、渡辺の作品として700万の高値がついていた―――これって、贋作?!贋作騒動に巻き込まれても相変わらず色ボケ中の勇気は、昇の周囲をうろつく若い男の影が気になって仕方がない。
小林といい、大伴といい、依田さんはホント脇役を大事にします。大伴の友情と冷静さが際立ったエピソード。大物画家に対しても容赦ない。それにしても、恩師にさえ嫉妬される勇気は、どんだけ才能があるんだろう。
「真夜中を駆けぬける」
何か物足りなさを感じていた勇気(15歳)は、ある日、兄の友人である昇(17歳)と出会う。大人しそうに見える昇だったが、その内面には、勇気の渇望を癒してくれる強烈な感性と知性を隠し持っていた。
表紙の絵がやばい。勇気と昇が背中合わせに溶け合っているんですよ。これぞ半身。
「LONG NIGHT」
恩師が危篤で、女に飽きて、落ち込んでいた頃の勇気の話。昇との再会前。
おい、勇気。その女、誰だよ・・・・。
面白い、面白すぎ!!!泣き顔を見せる昇に切なくなって、BLを読んでいたと思い出します。
snowblack様、コメントありがとうございます。まだ「千の花」を読んでいる途中ですが、あまりの面白さに我慢できず感想を書いてしまいました。3巻、泣けるんですね。楽しみだなあ。
はじめまして、snowblackと申します。
依田沙江美先生の作品の、軽く可愛いようでいて実は深遠で毒もある感じが
私も大変気に入っているのですが、その中でもこの真夜中シリーズは特別に好きです。
3巻目の「美しく燃える森」では、思わず泣いてしまいました。
一応「千の花」「美しく燃える森」で一区切りがついているようで、
現在続きは描かれていらっしゃらないようですが、同人誌等ではちょこっと描かれるかも?
最初にお礼を。
私にこの作品をおすすめしてくださったユーザーさま、本当にありがとうございました。
まだ一度しか読んでいないので実はストーリーをよく噛み砕けてはいないし、主要人物ふたりの心情を上手く自分の中に落とし込んで馴染むところまでいっていません。
でも「真夜中を駆けぬける」に出会った衝撃みたいなものを残しておきたかったんです。
私の当て推量で申し訳ないのですが、依田先生は小説を生業としたかったんじゃないか…そう考えたくなるほど作中の全てのモノローグに惹きつけられました。
絵と言葉、両方で読み手に語りかけてくる。なのですごく読み応えがある。
これでもかと胸は苦しいのに何でか湿っぽくない、シリアスな場面のキレ味のよさ。不思議だな。
勇気と昇の恋愛がストーリーの主軸であることは間違いありません。でもこの恋は『二度目』。
寝食を共にしていない二人は、各々で過ごす時間の方が圧倒的に長い。相手に影響を及ぼしていそうな周りの人間関係にヤキモキしたり、二度目の恋の結末も前と同じようになるんじゃないかと不安に襲われたり。
そういう、お互いが『ひとり』でいる時の描かれ方がとても自然なので勇気と昇の現在の関係性に説得力があるんです。
この二人、愛しいなぁ。 お話は「千の花」「美しく燃える森」と続くみたいです。
私のツボのど真ん中にきて、笑って泣いて切なくなって、エライコッチャでした。
終わりを告げたはずの幼い時代の恋が、再会によって再燃する。
オトナになったからこそ上手な距離で付き合えること。同時に、ズルさを覚えていること。なのに失う怖さは大きくなっていること。
そのあたりの微妙な心情が、やけにリアルだった。
ふらふらと浮気した勇気が、茶化しつつ必死で機嫌取る場面なんて、オトナのズルさそのまんまだったなァ…。本来なら苦笑する場面なのに、気づくとポロンと泣いてた。経験あるよ、これ。ムカつくんだよね、でも許してしまうんだ。
「いつか飽きるだろう」って昇を切なくさせてるんじゃねーよ、トラウマ再燃させてんじゃねーよ、勇気のバカタレ。でも、そんな勇気が可愛くて愛しいのは何故だろう。
依田さん、すごいっす。
依田さんというと、絵柄のかわいさもあって、小動物系のかわいい受けとか、学生物の作品が多い印象ですが、これは比較的珍しい、大人同士の物語。
10代の頃の初恋の相手と再会し、再燃してしまった恋の物語。
同じ相手との二度目の恋は、根が深くて、
着いてしまった火は簡単には消えないし、
着けた火が消えないように、同じ轍を踏まないように考えるし。
この本、再会してからの二人の話がメインなので、表題作は最後に収録。
実は、表題作こそが、10代の二人の出会いと別れと、そして再会の物語。
この終わり方をしたら、当然、この先二人は?って続きが読みたくなるよね。
で、1年の時を置いて、まんまと不定期連載になったのね。
依田沙江美先生の作品の中でも、このシリーズが最も好きです
作中の印象的なセリフ
「同じ人間にニ度も恋するなんてあるんだろうか」
「二人とも最初から恋におちた」「世界中が彼でいっぱいだった」
「2度も同じ人間を・・・・そんなことがあるのかどうか」
「いずれおまえは俺に飽きる いつかそうだったように
その時俺はどうしたらいいんだろう?」
光の腐女子にも、夜明けの腐女子にもみんなに読んでいただきたい
闇は少なめですが、ちょい闇もあります
1冊の中に、初恋の光と影、初恋の終わり 再開 と、主人公をとりまく友情ともジェラシーとも言えないブロマンス的な展開もあり
1冊のなかにLOVE以外の要素をかなり盛り込んでるのに、消化不良にもならず、むしろ詩的な情景さえ感じさせてくれます。なのにちょっとコミカルな一面も
ずっと前に読んだのに、今読んでもまた胸が熱くなります。
初恋は実ったらハッピーエンドなの?その先は?
二人だけの世界はそんなに永遠のものなのか?
そんな気持ちを1冊の中で一つの答えを出してくれます
依田さんは小説の挿絵ではよくお見かけしていましたが、
マンガを読むのは今回が初めてです。
コミカルなんだけど切なくて。可愛い絵柄ですが、時々とっても色っぽい。
そんな依田ワールドが心地よく、ハマりそうです。
特に私が好きなのは、勇気と昇の馴れ初めを描いた表題作。
「餓えた心が待ち焦がれていた 慈雨だったのだ」
昇との出会いをそう語った、勇気のモノローグが印象的でした。
誰にも言えずにいた絵画への情熱を、受けとめてくれた昇。
多趣味で芸術にも造詣が深い年上の彼と出会って、
勇気の世界が一気に広がります。
そして勇気と同じように、じっくりと語り合える相手に飢えていた昇。
好きな事を語り合える相手に巡り会えた喜び。長時間の立ち話…
ああ、何だか甘酸っぱいなぁ、気持ちが判るなぁ~と。
二人が急速に親しくなり、惹かれあうのにも大納得で、胸キュンです。
そして若さゆえの恋の結末と、別れたからこそ、大人になったからこそ。
今度は違う形で向かい合えるというくだりが、何だかとてもリアルで。
説得力がありました。
画家と雑誌編集者の話。
依田さんの描くえろなシーンは、皆さんおっしゃっているように色気があります。というか、表情に色気があります。
前述したように、将来画家だの、編集者になるような人間なので、ちょっと周りと違っているんです。そんな2人が思春期に出会ってしまったのだから、当然のように惹かれ合って(紆余曲折ありますが)恋人同士になります。ものすごく若々しくて恥ずかしい程ベッタベタで、情熱的な恋でした。
ですが少し大人になった大学生の頃に、その「少し大人になった」ことで別れてしまいます。
それで何年か離れていたのですが、職業柄2人は再会。そうして、若い頃とは違う関係が始まります。当然お互い好きあっていますが、恋人という言葉では当てはめきれない、そんな関係です。お互いが将来について考えるシーンもたくさんあって、突っ走るだけの、若い頃とは違う様子が描かれています。
30P目に雑誌編集者・昇の印象的な言葉があります。
漫画の順番は再会→過去回想になっています。
続編がありますが、そちらも素敵です。
3冊ものの1巻目。
96〜98年に発表された作品で、やはり今時のBL作品とは空気感が大きく違うなぁと感じます。
画家の日比谷は、出版社の編集長・土谷と訳あり。15才と17才の初恋だったが、また大人になって再会して…という冒頭。
日比谷は女性によくもてて、罪悪感なしに寝る。つまりフラフラした浮気性。でも一番想っているのは男の土谷で、自分を棚に上げて土谷に独占欲を抱いている。
土谷はあまり深く描かれてなくて、日比谷が女性と寝ていることを非常に嫌がってはいるけれど、別れるでもなく問い詰めたりもせず、なんとなく受け入れているような感じ。そして淡々としているように見える。
そして、何よりこの作品は2人の恋愛関係とはまた別に、芸術に選ばれた人間の業のようなものが描かれていると思う。そこがいい。
ラストに表題作、つまり日比谷と土谷の10代、出会いと別れが配されています。
これがまた………いいんです。
日比谷は多分中3。土谷は日比谷のお兄さんと寝ている関係。でもぐんぐん距離が縮まって、燃え上がって、でも大人までは持ちこたえられなくて。
そして今、あの頃とは違う2人がいて、新しい恋愛が始まる予感。
そして冒頭につながる、という構成なのかな。さてこの2人、これからどうなる?