条件付き送料無料あり!アニメイト特典付き商品も多数取扱中♪
douseiai
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
水城せとなさんの上手さの一つに、女性の描き方があります。
BLにはよくサバサバ系の物わかりのいい女性が登場しますが、私はこれが好きじゃない。また、ザ・当て馬な女性キャラも好きじゃない。どっちも「都合のいい女」として存在してるだけの使い捨てキャラだな~って思ってしまうもんで。
水城さんの描く女性キャラには、そういう都合のいいタイプはほとんどいないんです。
この巻でいうと、ずっとマホリンの親友をしてたハルちゃん。彼女が泣くシーンは本当に胸が詰まりました。マホリンの前じゃなく、「優しいけど、ハルにとっては(どうでも)いい人」の前で泣いたっていうのがいいんだよね。健気じゃないですか!これが本当の健気ってもんだ!と思います。
あと、この巻の千里。
ずっと光太郎の可愛いワンコだった千里ですが、大人の世界に足を踏み入れることになります。
やりたいことを見つけ、そっちに夢中になり、光太郎のことをナイガシロにするようになる。
別にこれは光太郎をキライになったわけじゃなく、一つのことに夢中になって他のことに気を配れなくなってしまうという男の子のサガであり、健全な成長過程のようなものなんですよ。親なら笑顔で見守るところだ。
でも光太郎は親じゃない。だから、頭では理解するものの気持ちがそれを受けつけられない。おそらくこれは、光太郎自身がちゃんとした親離れを経験できなかったせいです。他者、とくに親しい他者との距離感が分からない。
千里と光太郎の亀裂が決定的になるのは、千里が「正論」をぶつけた瞬間なのも非常に面白いです。唐突に見える光太郎の狂気ですが、じつは一巻から計算ずくで準備されていたのが分かる。千里の家族を必要以上にあたたかく描いてたのも、亀裂を生む伏線だったんだろうなと。
二人は対照的です。愛されて育った千里の「普通」を光太郎は愛したけど、同時にその「普通」は憎むべき部分にもなってしまう、という。
千里は気づかなきゃいけない。光太郎は大人に見えるけど、実はまったく大人なんかじゃないということに。頭がいいだけで、情緒の成熟は千里以下だということに。
なんていうか…、
面白いです。
面白いんです。
タイトルの旧版の巻数は大体で書いてます。大きくはずれてないと思うのですが、ずれてたらすみません。
マホリンていい人だと思うのに、ダメな子引きがちなのは、そういう子に好かれる運命なんでしょうね。好みのタイプがそういう子だから仕方ない。と思ってたところにハルさんがストレート喰らわしてきました。マホリン自覚あったんだ。
ちょっと前の感想で「ヒモの才能がある人と、ヒモを養いたい歪んだ人が繰り返しマッチングしていく」と書いたけど、ヒモを脱却しちゃったり(千里)、実はヒモの才能がない人だったり(薫)、厄介〜
いよいよ後半に突入しましたが、なお一層混迷模様の主人公達。
5巻のラストで光太郎は菊池と再会したのに、この巻では菊池のキの字も出てきません。(かわいそうに、、また登場するのかな?)
読むにつれて、この作品の登場人物、誰ひとり好きでない事に改めて気がつきました。
みな、自分がかわいい、自分が大事。
若さもあるのかもしれないけれど、人を考えるよりまだまだ自分で手いっぱいなんで、独りよがりになっていってしまうのだ。
何だか、読んでいる自分は、自分のせいで自分勝手に傷ついている登場人物たちに、密かに
”ざまぁみろ”的なドS気分で読んでいるのです。
彼らが傷つくのが楽しくてしようがない!?そんな巻でした。
カメラに夢中になる千里が外へ出るようになり、自分だけのものでなくなったようでイライラを募らせる光太郎。
椿への気持ちを八つ当たり的に馬堀に、鬼畜攻めで発散する薫。
薫に酷い目にあわされても、無意識に周りの人間を傷つけていても、それでも平気で、自分が優位に立って、憐れな人を救っているという立場に優越感を感じる馬堀。
薫は馬堀と別れて、初めて椿ときちんと向き合うことを決めたようです。
今回は光太郎に最大マックス、イライラが行きます。
一体どうしちゃったんだ、というくらいに壊れて行きます。
次はだれが壊れるんだ、そして再生するんだ。
まだまだドS気分で彼等の修羅場を見守ろうと思います。