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いまでこそマニアック?な、獣耳やショタっぽい作品で読む人を選ぶ作品を描いている高河先生ですが、本作だけは色んな人に読んで欲しい傑作です。
天使がつとめるプラスの調査員とマイナスの調査員がコンビを組み、地球を観察するという、粗筋だけだといかにも...な雰囲気が漂ってるんですが、主人公のちはやと影艶の心理描写が非常に巧みで物語にすぐ引き込まれます。
セリフやモノローグの言葉運びが特に美しいです。詩的な表現が多く、間の取り方が絶妙。
とくに作品後半の「神様が見てるよ」のシーンは、漫画界に残る傑作シーンだと思います。是非多くの方に見て欲しいシーンです。
話がどうこうというより、キャラクターがとにかく活き活きとしているのが高河先生の作品の魅力でしょうか。主人公以外にも、3つの話が同時並行で起り最終的に絡んでいくのですが、みな意思が固くまっすぐで、自分に正直。そして誰よりも愛しい者のためには狡猾で、命すらかける人が沢山出てきます。そのいびつさが読んでいてとても愛しいです。
あと、絵柄も昔の方が目が生きている感じがして、今よりも全然好き。今の高河先生が好きでないという方には特に読んで欲しい。印象が変わります。
聴いた話ですが、先生は女性向け同人界の80(?)年代を代表する最大手だったそうで、なぜかというと表現手法が当時は斬新だったそうなんですね。
今ではあまり珍しく無い、男なのに美人と評されるようなかわいい顔や、詩的なモノローグだったりが当時は旋風を巻き起こし、先生にインスパイアされた作家さんが数多くいたのだとか...。
というと、今の女性向け表現方式を作った人、と言っても過言では無い筈で。
この事をアーシアンを読んだあとに聴いて妙に納得したのを覚えています。やはり本家は凄かった。
アーシアンは、今風に悪い言い方をすると、いわゆる「中二病設定」なんですね。エデンで主人公1人だけ黒い羽の持ち主だとか、天使が地球を滅ぼすだとか。
いまそういう話が特に珍しくもなく、中学生あたりの読者層を狙って数多く存在しているので「狙ってる感」が浮き出てしまい、恐らく嫌いな人にとっては「それっぽい話を描けば受けるであろう」というような二番煎じ、柳の下のドジョウ的な印象を受け取ってしまうんだと思います。
しかしアーシアンの場合、さすが本家といいますか、まず嫌味が全くない。
作者がどういう気持ちで(狙って描いてるのか否か)って意外と読者には伝わってしまうもんなんですけど、これはとにかくのびのびと自分の表現したいものを貫いている感じが受け取れて凄く良い。
男女の恋も出てきますのでBLとは言い難い作品なので、普通の漫画としてでも楽しめます。大きな声でおすすめしたい作品。