志水ゆき全集 6 LOVE MODE 6 +レシピ(表題作 So long ~last rain~)

shimizu yuki zenshuu

志水ゆき全集 6 LOVE MODE 6 +レシピ(表題作 So long ~last rain~)
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神30
  • 萌×22
  • 萌3
  • 中立0
  • しゅみじゃない2

--

レビュー数
14
得点
167
評価数
37
平均
4.6 / 5
神率
81.1%
著者
志水ゆき 

作家さんの新作発表
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媒体
漫画(コミック)
出版社
新書館
レーベル
Dear+コミックス
シリーズ
LOVE MODE
発売日
価格
¥950(税抜)  
ISBN
9784403619656

あらすじ

歳の蒼江(あおえ)は、旅先のロンドンで、『パパと息子』と名乗る史貴(しき)と桂(かつら)に出会う。てらいもなく見せつけられる彼らのキスに、蒼江の胸が疼き始めーー。

『LOVE MODE』完結篇と、シリーズ最後の読み切り『LOVE UNLIMITED』など、コミックス初収録の読み切り2本を収録!
官能的な恋を描く『レシピ』シリーズも併録した、『志水ゆき全集』第一期最終巻!!

表題作志水ゆき全集 6 LOVE MODE 6 +レシピ(表題作 So long ~last rain~)

同時収録作品EPIROGUE/LOVERS MODE/LOVE UNLIMITED

B&Bオーナー

同時収録作品EPIROGUE/ LOVE UNLIMITED

翻訳家

同時収録作品レシピ/デコレーション

カフェのオーナー

同時収録作品死んでもいい

その他の収録作品

  • なんちゃって予告
  • ぼくのすきなおじさん
  • ぼくの大すきなおじさん
  • PROFILE

レビュー投稿数14

世界は愛で満ち溢れている

『LOVE MODE』最終巻は、ついに史貴が登場。
彼は高宮と怜二の愛する大切な男でした。
高宮にとっては大切なたった一人の家族で、
怜二にとっては自分が“蒼江”という大きな苦しみを背負っている中で唯一甘えさせてくれる存在で、
そんな史貴を失った二人の絶望が、もうめちゃくちゃ痛い…
史貴の死に関しては、誰が悪いとか、そういうのはないと思うんですが、確かにこれは後悔しますよね…
でも確かにあそこでああしなくちゃいけなかったんだと思うんです、二人は。
あの機会を逃したら、結ばれることもなかったのかもしれない。
だからそう思うと、史貴の死という結果が待っていても、ああなった事実は美しかったのかもしれません。
また、それでも蒼江と結ばれた史貴は幸せそうだったというのが唯一の救いでしょうか。
そして怜二と高宮それぞれが、史貴の死を乗り越えて大事な相手と出会ったということが
すごく奇跡のように思えて、もう二人が愛しくてたまらないんですよ!!
史貴の死で、人を愛することが怖かったかもしれない二人。
でもそんな気持ちすら吹っ飛ばすような、愛しい存在が現れて、恋に落ちて。
もうまさしく奇跡なんですよね!!
史貴に関しては、この後直也と和泉の前に現れるというエピソードがあるのですが、
これがもうめちゃくちゃ感動で!!
史貴も直也も和泉も、彼らの中ではそれぞれかけがえのない大切な存在なんでしょう。
志水先生が巻末で、「蒼江が空を見上げるシーンからラストまでのくだりを書き終えた爽快感と達成感が忘れられない」とおっしゃっているのですが、
もうまさしくあのシーンこそがラブモの一番の見どころというか、
このシーンのためだけに今までのラブモがあったといっても過言ではないでしょう。

今回コミックス初収録となった『LOVE UNLITED』では、23歳になった直也と和泉が登場。
二人とも素敵な大人の男性になってます・・・!
それでもなんでしょう、素晴らしい受として育ったというのでしょうか、フェロモンものすごいよwww
和泉は男らしくなったと思います。
それでも中身は変わってなくて、相変わらず高宮に振り回される日々。
軽口をたたきながらも楽しくも幸せそうな二人です。
一方直也はお色気が凄い!!ムンムン!!
いい具合に美青年に育ちました。ものっすごいイイ受ですよ!!ハァハァ
これはもう二度と玲二が離してくれるわけがありませんね…可愛い!!!
また、怜二と直也カプに関しては、『LOVERS MODE』もオススメ。
初めて怜二が直也に愛を伝えてくれます。
もう、愛が溢れちゃったんでしょうね…!!

同時収録『レシピ』はコミックスで既読。
相変わらずすごい男だよ、カイヤ…!
エロも特盛りですね。
しかしPROFILEを見て、レシピシリーズはえらい犯罪漫画やったんだと思い知らされましたww
中学生にそんなことしちゃらめぇぇぇーーーwwww
そしてPROFILEのラストに史貴を持ってくるところがニクイ。

この『LOVE MODE』は志水ゆきという作家の素晴らしさがよーくよ~くわかる作品でした。
『是』から知った志水先生でしたが、私の中では『是』より上かもしれない…まぁどっちも素晴らしいんで決められないんだけど。
蒼江家の確執やらなんやら色々ドロドロもあったけれど、
結局全てが「愛」だったんだな、と。
蒼江父が全ての愛憎の起源だったように思いますが、
蒼江父のあのようなバカげた行動も、錦というたった一人の男に対する歪んだ愛故だったんでしょう。
この世には人を傷つける間違った愛もあれば、人を幸せにできる愛もあるんです。
願わくば、人を幸せにできる愛で満ち溢れますように。

5

いつの日か蒼江父×錦を…!

はぁ~…終わってしまった…。蒼江・高宮・史貴のお話は哀しかったけど、その後二人が和泉と直也を手に入れて幸せになったのならいいや。きっと史貴も喜んでるよね。

コミックス初収録の『LoversMode』は蒼江×直也。な、直也が可愛すぎる…!蒼江から朝にしては濃厚すぎるキスをされた直也が、エレベーターのとこまで追いかけて行って、蒼江にチュッとやって下唇をハムっと噛んでペロッと舐めて…。ちょっと膨れた顔で「お返しっ」とか鼻血ものです。そりゃ蒼江の理性もブチキレるはずだ。玄関で一生懸命ご奉仕してる直也がエロいです。

『LOVE UNLIMITED』では、数年後の和泉は精悍な男性になってました。背も伸びてるし。でも高宮からは相変わらず可愛い可愛い言われてます。和泉が入社する度に全部会社が倒産(笑)。結局高宮とイギリスに移住することになりました。ラブラブでよかった☆

蒼江と直也は上海でホテル暮らしをしています。贅沢…。直也は色気増してたような…。髪型も変わってて大人っぽくなってました。蒼江は…あ、あの蒼江が直也に甘えてる!?蒼江が寝起きにぐずってる!?(笑)。直也もしょうがないなって感じで起こしてる!人って変わるもんだなぁ…。平和そうでよかったよかった。

蒼江父×錦の『血も涙もないけれど』は……本当に連載されたら…凄そう。「なんちゃって予告」のままでいいよ。蒼江父やり過ぎだよ。錦を手に入れるためにお山ごと燃やすって…。
蒼江父と鹿島父の妻らしき女性達もちらっと登場。っていうか剃髪した錦って初めて見ました。……やっぱ髪の毛はあった方がいいな…。

『レシピ』は旧版で既読済み&レビュー済み。エロさが「神」ですよ。この作品は。特に「死んでもいい」のカップルが好き。表題作のカイヤ×洸のお初ネタも読みたかったなぁ。相当酷いらしいけど。

『LOVE MODE』もこれで終わり。『是』も最終章に入ったことだし、ぜひ蒼江父×錦の過去編をやってくれないかな…。昼ドラ並みのドロドロな内容でもいいから。いつか…いつか(´Д`)

5

完結してしまった。。(┳Д┳)。。

読みたくても読めない絶版になっていた名高い作品がこうして
全集として発売されたことにまず感謝×100♪

しかも、コミック初収録の作品、全プレ・サイン会配布ぺーパー等の作品とかが収録されていたりと
腐女子暦浅~い自分はもう”ありがとう”とういう感謝の言葉しか言えない全集でした・:*:・(●´Д`●)・:*:・

 
”是-ze-”から志水先生に嵌った(知った)自分は
最初 LOVE MODE全集1巻 を手にした時あまりにも今の絵と違い・・・・・・・
正直・・・・・好みじゃなくドン引きました(´`υ)志水先生ごめんなさい。。。。。。

だけど
巻が進むにつれお話に惹きこまれ
そしてだんだんと洗礼されていくキャラたちにどっぷり嵌り本当に手にして良かったと
前述のとおりの気持ちでいっぱいになりました・:*(〃∇〃人)*:

全集最後となったこの6巻。
蒼江の過去、高宮と蒼江の出会い、回想で度々登場していた史貴と蒼江と高宮の関係と今まで謎だったすべての事が明らかに・・・・・・
ラブモいち、涙なくては読めなかった巻です。
このお話を最後にした志水先生がほんと憎いっ(笑)

それぞれのキャラが辛い事、悲しいことたくさ~んあったけれど
最後にはみんなハッピーになって良かった♪

特に 蒼江×直也 CPが大好きなのでラブラブ幸せになって良かった♪
この巻収録の「LOVERS MODE」で
直也が蒼江を煽ってしまった言葉&行動にご馳走様をし
蒼江が始めて直也に“愛してるんだ”と言ったシーンは号泣。

そして
その後収録されている「LOVE UNLIMITED」の
蒼江のあまえ度と直也とのいちゃいちゃ度が堪らんっ゚.+:。(〃ω〃)゚.+:。
あ~しかし、
このお話で直也がネックレスにしていた指輪と
蒼江が左薬指にしている指輪のエピがっっっ
二人で指輪の交換をしたのは想像できるのですが
その時のエピが本当に気になるーーーーーーーーー
ものすんごくっ気になるぞーーーーーーーーーーーーーーーー。


何度も読み返してしまうこの全集♪
描き下ろしの表紙とキャラ紹介もすこぶる素敵で
お得感満載っ\(≧▽≦)/

5

私にとってのBLの原点

「是」が大人気の志水ゆきさん。しかし私にとっては志水ゆき= LOVE MODE です。レシピもLOVE MODEもコミックスを持っている為、購入を踏みとどまっていました。絶版などで読めなくなった作品を集めた完全版。持っていない作品だと有りがたいけど、完全版はなんせ高級品なので購入に勇気が必要なんですよね~ 「LOVERS MODE」も小冊子持ってるし、読みたいのは初収録の「LOVE UNLIMITED」と「なんちゃって予告」だけ。その為だけに購入するのはどうかと本気で悩む日々が続き、私ハゲるかと思いました(笑)

だけど良かった!! 蒼江と23歳になった直也のその後、たった数ページだけでお腹いっぱいになりました。だって、あの蒼江が指輪してるんですよ!束縛する事はあっても誰かに縛られる事なんて無縁の様な男が、年下の直也に操をたてて(笑)薬指に指輪を。。。もう感無量です。直也はネックレスに指輪通してるのに・・・蒼江、やはりあなたの方がメロメロなのね。直也の尻に敷かれる日もすぐそこかしら?って一人でキャッキャ言いながら読んじゃいました。

思いがけず蒼江父×錦の新連載なんちゃって予告も有り、大満足の一冊です。私のように既刊コミックスをお持ちの方で購入を迷っているそこのアナタ! 蒼江の指輪で十分モトが取れますよ。後悔しないうちにぜひ♪

5

ラブモ完結編です。 『幸せになったぞ』

遂に『LOVE MODE』完結編。
ずっと謎だった【史貴•高宮•蒼江】の過去のお話が明らかに‼あとは、幻といわれた、シリーズ最後の読み切り『LOVE UNLIMITED』をコミックス二本立てで初収録され、『レシピ』シリーズも伴録された『志水ゆき全集』最終巻です。第一期最終巻という事は、第二期…と続いて行くのでしょうか?もしかして第二期は『是-ZE-』シリーズなんでしょうか?この部分だけ謎でした。

【史貴•高宮•蒼江】のお話は、とてもせつなく泣けます。家族とは?家族愛とは何なんだろう?と考えさせられました。それぞれ悩みを抱えた三人が共に暮らし始め、やっと穏やかな幸せな日々が…と思った矢先、大きな愛を残して突然逝ってしまう史貴。その事で幸せな夢もあっというまに消え去ってしまいます。高宮も蒼江さんも、こんな大きな喪失感と哀しみを共有していたんですよね。友であり、仲間であり、家族でもある。とても深い繋がりだったんです。せつなく哀しいお話でした。これが2人の原点だったのかと思うと涙なしでは読めませんでした。でも、たとえ哀しみが消えなくても、残された人達は、その人の分も幸せにならなければいけない。蒼江が直也と、高宮が和泉と出会えたのは、そんな史貴の想いもあったのではないかと…『EPILOGUE』で直也と和泉が、史貴と会うエピソードを読んで思いました。本当に最後の最後まで泣かせる演出でした。さすが志水先生‼お見事でした。過去があってこその、この2人の包容力だったんだなと思いました。
最後に雨の中で、蒼江さんが高宮は最愛のものを手に入れて、『幸せになったぞ』と史貴に向かって話しかけるシーンが好きです。その後そこに直也が…今までは辛かった雨の記憶も、今はこうして待ってくれる愛しい人ができたんだな…蒼江さん自身もやっと幸せになれたんだなあと思うと、直也との記憶が蘇ってきて泣けてきます。本当に2人には永遠に幸せにいて欲しいと思わざるをえません。
そして今まで一度も言葉にはした事なかった蒼江さんの「愛してるんだ」には萌えました。この時の直也が素直で可愛すぎるのも萌大でした。

コミックス初収録では、23歳に成長した直也&和泉が見られます。どちらのカップルもラブラブ&幸せそうで安心して読めました。蒼江×直也はお互い指輪をしててテンションUPした。相変わらずの葵一の女王様ぶり健在には笑えましたけどね。

こうして再読してみても、1人1人のキャラの過去を素敵に描いていてキャラも立っているし、どの巻を読んでも本当に面白い内容になってました。絵柄の変化も、ある意味時代が感じられて、発見もありで楽しかったです。本当に、いろんな人との繋がりを見せて頂きました。それぞれが、辛い経験や哀しい別れを乗り越え、大切な者の為にも一生懸命諦めないで生きてきたからこそ、今の幸せがあるんだな…自分が幸せだから周りの人達も幸せに笑顔でいられるんだなあと…。
これが、最後のラブモだと思うと寂しいです。キャラに凄く愛着があるので、このまま読み続けていきたい気持ちでいっばいです。でも、最後なんですよね(泣)

おまけみたいな形で、蒼江父×錦の過去篇いよいよ連載開始決定には、やったーと思ったんですけどね…なんちゃってでした(笑)この人達は、まだ何処かで生きているような気がしてならないので、期待してしまいました(笑)

レシピシリーズも、志水先生にしては変わった雰囲気のお話になっているので凄くオススメです。

たくさんの愛と幸せな気持ちをありがとうございました。BL歴史上においても忘れてはいけない作品だと思っています。名作です。出会えて良かった作品でした。オススメします。

5

納得のラストでした。

志水ゆき様の作品は読んだこと無く、花鳥風月を知って全集を買いました。
とても綺麗な終わり方だったと思います。
この作品で一番好きなキャラは史貴。蒼江と史貴の関係は清く美しい。
直也が史貴の幽霊と出会うシーンは、ほんわかしていて美しいラストでした。

まあ、最初はこの作品が発売されていた頃私はBL作品を知らなかったので、1巻と6巻の絵の違いにこの人誰だっけ?と思いながら何度か話を遡りました(..;)

今昔 古き良き作品って事ですね。

一番ツボだった作品はレシピ。真っ黒過ぎて素晴らしいです。

3

感動の完結編!

大好きで、何度も読み返してる作品です。絵は古いけど、お話が素晴らしくて、帯にある「BL界の金字塔」の言葉に偽りなしと実感する『LOVE MODE』の、とうとう最終巻になります。

今回は、蒼江の過去の切ない恋と別れになります。
志水さんのコメントで「蒼江と史貴のベッドシーンはあまり描いてはいけない気がして」とあるけど、辛い経験があったからこそ、直也と奇跡のような出会いをして幸せになった今を大切にできるのだと思います。
ここまで蒼江と直也の切なくて熱い想いを見てきたから、蒼江の「幸せになったぞ」の言葉の重みに胸が温かくなります。

イギリスに4人で久しぶりに帰省した時の、史貴との不思議な出会いにも、史貴が4人を祝福しているようでジ~ンと感動します。

おまけに、和泉と高宮はイギリスで一緒に暮らすようになるし、蒼江からは初めて愛の告白が聞けるし、蒼江たちはお揃いの指輪をしてるしで、大・大・大満足な最終巻です。

何年経っても、何度読んでも、BLの素晴らしさを教えてくれる大好きなシリーズです。

2

是も花鳥風月も好きなら今作も。

今迄LOVE MODEを所々しか読んでなかったんですが、先日友人から全巻プレゼントされやっと読めました\(^o^)/
面白かったー!
全巻まとめてのレビューです。

複数のCPが出てきますが、一番好きなのが蒼江×直也。
直也も相当キツイ過去でしたが、蒼江も切ない過去を抱えてました。
そして高宮と史貴の出会いは、現在の蒼江の幸せにも繋がってるのかな…と。
死ぬまで蒼江を振りまわした蒼江父には憤り感じちゃいますが(-_-;)

その蒼江父×錦や、天雷×一星、また嵐×いずみのその後とか、まだまだ読みたかったです。
登場人物多いから仕方ないっちゃあ仕方ないんですけとね…。
でも単行本未収録だった『LOVERS MODE』『LOVE UNLIMITED』に凄く萌えました(〃ω〃)

最終巻には『レシピ』も収録されてるんですが、久々読んだけどやっぱエロい!
『死んでもいい』以外は中学生相手…。
中学生にハードですね…志水先生…( ̄▽ ̄;)

初期は絵柄が古いんですが、どんどん現在の絵柄に近づいていくのも興味深かったです。
分厚くて読み応えたっぷりでしたが、今後もたくさん読み返すだろう素敵な作品でした。

1

Rainy days and Mondays

登場人物が過去に大恋愛をして、その恋が終わって今があるという設定は重々承知なのですが、夢見るBL読みとしては、そこの部分はあまり知りたくなかったりもします。

というわたしの主義主張は置いておいて、最終巻です。

【So long ーlast rainー】(5話) 神
知りたくないけど神なんです。
初読のときは直也にすっかり肩入れしていたので、史貴の存在を受け入れたくない自分との葛藤が激しかった…。本当になぜこんなに嫌なのかというくらい。
でも今回読み返したら、自分でも驚くほどすごく穏やかに読めたんです。
なぜかと言うと、おそらく初読のときは嫌で斜め読みした部分を全部拾えたからでしょうか。
そうすると見えてきたのが、兄への贖罪と自由への憧れと羨望、それに罪悪感でした。
史貴という人物をよく見てみると、黙っていればいい男、性格は奔放でいい加減。だけど10年以上前に亡くなった義兄(高宮の父)への想いをまだ断ち切れないでいて、だんだん義兄に似てくる高宮に家族の情以上を求めるような弱さもある。
そんな弱さが葵一の脆さと重なって、自分ならその弱さを埋めることが出来ると思うようになっていったんだな、と。
そういう気持ちが芽生えたところに売り言葉に買い言葉で、「好きだと言わせる」なんて賭けをしたことで、自分の気持ちが兄への贖罪だけでないことに気付く。
それまでに会ったことのない奇想天外な史貴と高宮との生活は、傲慢な父親に抗うためだけに生きていたような日本での生活とも、目的もなく渡り歩いた他の国での生活とも違って、新鮮で自由で楽しくて。
その日々の終わりを告げる知らせから絶望感の中にいた怜二に、また希望をくれた史貴を死なせてしまったこと。
ただ失ったのではなくて、自分がもっと気をつけてあげていたら救えたはずだった、という後悔と罪悪感。この2つって本当に厄介で、何をしても拭えないんですよね…。
そうして以前よりももっと殺伐とした生活を送る怜二の前に現れた直也。
女性と付き合っても真剣に向き合うことなく、浮気現場を目撃しても平然としていた怜二が、たったひとり、どうしても失えない存在とまた出会えたこと。
史貴を失った記憶を蘇らせるだけだった雨の日に、空に向かって「幸せになったぞ」と報告できたこと。
全部が必然だったんだなと。
あのシーンは本当にいつまでも胸に残る名シーンですね。
エピローグは史貴らしい登場で、ああ、終わったんだなと…。
史貴が好きだったカーペンターズの曲を予想してタイトルに入れてみました。
雨のイメージに引っ張られすぎ?
蛇足ですが一個、珍しく志水先生がやってしまっている点があって、怜二の誕生日は8月7日で、史貴は6月20日なんですよね。
怜二の誕生日を祝って、夏が来て、秋が来て、史貴の誕生日を祝って、冬が来てました。
史貴は11月生まれっぽいなあと思いながら、巻末のprofileを見て「あれ?」。
この壮大なストーリーにおいては瑣末なことですね。

あまりにもいろいろ考えすぎて、【レシピ】について語る文字数が…。
でも正直、同時収録はどれも「おっと…」というものばかりなので、『LOVE MODE』パートで読み終えた方が、しあわせな読後感に浸れるかと思います。

金字塔の名に相応しい大作。
未読の方はぜひに。

0

もう手を離さないで

 たくさんのカップルを登場させてきたこのシリーズを、全集としてどのように纏められるのかドキドキでしたが、最後を飾るに相応しい収録の数々だったと思います。高宮と蒼江が時折口にしていた史貴という男の生涯。高宮と2人3脚で耐え難い孤独の中を必死に生き抜き、高宮と蒼江を結び付け、今まで持ち得なかった関係を蒼江と築こうとしていた史貴。そんな彼に本当に予想外のところから呆気なく最期が訪れて。

 高宮も蒼江も年齢以上に大人びて感じたのは、2人がこんな唐突過ぎる死を経験したからなのかなとも思いました。後悔するなと言われても、蒼江が後悔しない日などなかったでしょう。高宮も自らの半身を失うような思いをしたはずだけど、そんな蒼江を前にしてはその辛さをぶつけることもできなかったでしょうね。

 そして、年月を経て、一足先に高宮が真っ直ぐに自分に向かってくる和泉に出会い、幸せを掴んだ彼に後押しされる形で、蒼江も自分を一心に慕う年の離れた直也を求められるようになった。2人が思いきれたのは過去の経験があってこそでしょうから、史貴の存在も今の幸せに生きているのだと思います。直也に大人げなく積極的に迫る蒼江を見て、萌えると同時にそこまで本気の恋ができるようになったことを嬉しくも感じたり。そんな蒼江の熱愛を受けて、色っぽく美しく成長していく直也からますます目が離せなくなりました。

 最後に収録されていたのは『LOVE MODE』シリーズとは交わらない作品である『レシピ』。この作品の攻めであるカイヤの性格、攻め方がドンピシャで好みでした。単なるドS、腹黒ではなく、受けである洸にはあくまで穏やかな口調で、年上らしく諭すように接していながら、その実、裏では洸の方から己の手に堕ちてくるように周到に策を講じている男。腹黒攻めはたくさん見かけても、それを受けに気取らせない攻め、あえて自分の風評を落としたり受けを放置したりするところまで思い切れる攻めは案外少ないので、志水先生の美麗なタッチで読めて大歓喜してしまいました。もっと読みたいカップルです。

0

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