――何度も想像した、おまえのネクタイをはずすこと

春の雨に濡れてゆけ

haru no ame ni nurete yuke

春の雨に濡れてゆけ
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神12
  • 萌×23
  • 萌5
  • 中立5
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
13
得点
92
評価数
25
平均
3.9 / 5
神率
48%
著者
日の出ハイム 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

作画
日の出ハイム 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
廣済堂出版
レーベル
Hug comics
発売日
価格
¥600(税抜)  
ISBN
9784331900031

あらすじ

東大出身、人望厚く、度胸も申し分なし
憧れのお前が俺を覚えてるなんて……

大人になった今、簡単に想いを告げることはできない――
そんな気持ちを見透かしたかのような大超の言葉!?
不器用なリーマン2人の、大人な青春ラブストーリー

出版社より

表題作春の雨に濡れてゆけ

実家の寺を継いだ元商社マン
大越に昔から淡い想いを募らせていた

その他の収録作品

  • 恋がめばえたひのこと

レビュー投稿数13

タイトル惚れ

心でおまえの名を呼べば いつも振り返る、理由はなんだろう…

「大人な青春ラブストーリー」というあらすじがピッタリな作品。
作中で大越と早乙女が走っていたり、坂を駆け上がったりするシーンが妙に印象に残る一冊でした。
人が走るのは誰かに想いを伝えるため・・・どこかで聞いたフレーズが、ふと頭を過ります。

中学の同級生で同じ会社の同期として再会した二人のお話が、中学時代のエピソードを織り交ぜながら語られるのですが…
ストーリー展開にしばしば第六感?が絡んでくるので読み手は謎解き気分を楽しめ、淡い恋心をあらわすかのような描写にパズルのピースがピタッとはまっていくような快感を味わえるのです。

見えない何かに背中を押されるように 零れ落ちる想いを伝えたくなる瞬間、この出来事を自分はこの先も ずっと忘れることはないだろう…という予感。そんなモノローグが、静かだけど しっとりと熱を帯びた物語の中でとても効果的。

個人的に四話がとても好きで、冒頭で心を持っていかれました(笑)
読後の、この爽やかな気分は きっと二人が対等で凛としていて、どこまでも同じ方向を見ているからかなぁ。
タイトル『春の雨に濡れてゆけ』は、作者から彼らの幸せな未来に贈る 祝福の言葉だったなら素敵だ。

2

一貫して「爽やかな趣き」がある


個人的に肩入れしたものには、とことん高評価を与えてしまうという質なのですが…
私は、この作品が好きでございます。二冊持ってるくらい(笑)
タイトルから、受けである早乙女、攻めの大越、彼らのセリフやモノローグ、ひとつひとつの言葉まで、余すところなく大好きです。
と、ラブコールはここまでにしておきまして…

うーん、なんというか、大越の人間が出来すぎている…
ここで言う人間ができてる、というのは、日常生活での他人への気遣いとか、細やかな気配りが人一倍できる、というようなことではなくて、まあ名前の通り、俗世を飛び越えてしまっているというか…(笑)
包み込む愛というのでしょうか。早乙女の気持ちに勘づき、自分自身も愛情を内包しながら、付かず離れず見守っている感じ(でもやっぱりその眼差しにも愛は溢れている)にほのぼの、じりじりさせられました。これこそが萌えなんだね。
早乙女も、その名に相応しく乙女、なんだけど全く女々しくはなく、見た目クールビューティなんだけどワリとおっちょこちょいってのが非常に愛しい。全然ウザくない(そこはやっぱり社会人である人物の年齢にも関係しているのでしょうが)。
大越と向き合って話す時などは、普通に友達として接しているのに、彼の背中を見る目には恋情や羨望が混じっている……健気で、一途で、綺麗だなァと思いました。
彼らなら今後も、何も間違わず、寄り添っていけるのじゃないかなと思わせられました。運命の人ってこういうことでしょうかね。

また、他作品から、古典(特に近世…?)に造詣が深いようであらせられる作者さんですが、この作品では、それが全体を通し「爽やかな趣き」として表れているのではと思いました。舞台は確かに一貫して現代ではあるのですが、私はそのようなものを感じました。

レビューだからもっと全体を包括して書きたいのですが、論点が妙に局所的になってしまいすみません。
この作品、神をつけさせていただきます。

4

スピリチュアル系の勘とかなかった方がいいような。

初読みの作家さんです。
何となくこういうカプが好きなので購入。
男受け×女受け好きです(笑)

でもちょっと期待していたものと違ったかも。
スピリチュアル系の勘とかなかった方がよくないですか?
これの所為で分かり辛くなっているような気がします。
何も云ってないのにいきなり「好きだ!」みたいな事になってて「???」でした。
一応、学生時代からの積み重ねがあるのに、ここらが生かされてない気がします。勿体ない。
何か全く響いてこなかったので不思議です。
最後のお坊さんは、私は大学が寺の大学だったので毎日修行僧を見放題だった所為か、見慣れ過ぎて全然萌えポイントになりませんでした。惜しい。

まあ、ハッピーエンドだからいいか。
…………ハッピーエンドですよね??
この二人、このままどうにもなりようがないのでは(汗)

2

坊さん

中学校の同級生で同じ会社。
運命の人ですね。
綺麗な話で好きな題材だが 消化不良です。
あまりにも ゆっくりじわじわ進む話なので。
途中 坊さんになるしね。
なんでか 私は坊さん萌えは無いようだ。
普通のリーマンハゲでもイケルのだが。
スーツ・ネクタイがキーワードかも。
「何度も想像した お前のネクタイはずすこと」
スーツ同士の絡みは盛り上がったけど。
日の出ハイム先生は ポエムお好きですね。
ところどころ 会話が無い場面で入っています。
お互い 中学生の時から好きなのだから まさしく運命なのでしょう。

2

穏やかな優しい、とても良いお話。・・・・だけど。けど。でも。。。

ストーリーは1つ。それが1話~8話+おまけ?1話で構成。
えっち度もまぁまぁ普通に有る感じ。

とても穏やかないいお話でした。
絵もキレイだし受けはかわいいし。
攻めはめちゃくちゃ男気あるし!

でも。

ひとまとめに言うと・・・・・
実は・・・お前が好き。
俺も・・・前から好きだった。

で。

で?
他には?
という感じ。

内容もきれいにまとまっているしイイんだけど
盛り上がりとかせつなさとか
あまりガンガン出ない感じがしたかな。。。
 

4

神だあ・・・

お、お寺??
ひょっとしてつるりんが出るのかなーwktkと、
しょうもない理由で、軽く買いました。
そうしたら大当たり・・・当たってしまいましたww

何というか、ふつうクライマックスの部分で入るセリフが、
そこら中にごろごろ転がってる感じというか、
なんであんなにさらさらと名セリフが出てくるんでしょうか。
いろいろな場面からこの作家さんは人間できてんなーと感じました((-w-((

主人公の早乙女は、大越のことを常々すごいすごいと言ってて、
ご自分の魅力がわかってないのかこの野郎!!という無自覚タイプ。
ですが、全然いやな感じではありませんでした^^
そして、何と言っても器が大きい大越はそんな早乙女くんをほんと大事に思ってて、
すごく深さを感じました。
でも、大越自身は、気持ちが自分→→→→←←早乙女、ぐらいに思ってそうで
ちょっと心配ですが、きっと通じてると信じてます・・・!

そんな二人の高校生時代、大人になってあんなに人間できてた大越の、
早乙女の寝顔を見たときの表情がいかにもまだまだ少年、って感じで、よかったですww

一番最後の番外編(??)では、主人公の知られざる惚れられた瞬間が描かれていました。

ほんと、お話のなかですが末永くお幸せに・・・と思ってしまいましたww

3

ゆったりが好き

中学時代の同級生と、就職先で再会して、そこから始まる恋の物語。

雨音のように、さざ波のように、広がって、とどく想い。

こうやって、穏やかに通じ合う恋って、いいなぁ。

日の出さんのコミックスって、ちょうど1冊分に、過不足なくきっちりと理想的に構成されているのに感激する。
こんな風に丸々1冊で1作品、しっかり味わって、ちゃんと余韻を味わえるコミックスって、実はなかなか、ありそうでいて、ない。
きれいな描線、印象的なセリフ、洗練された画面構成
少女マンガの理想型だと思う。
恋愛へいたる感情の動き、思いが通じ合っての思いやりに溢れるセックス
BLマンガの理想型だと思う。

穏やかで、優しくて、きれいで、
そんな素敵な物いっぱいで、
これぞ、究極の少女マンガとしてのBL、
BLは少女マンガの到達点なんだと、再認識できる作品でした。

4

春雨じゃ、濡れてまいろう

有名なこのセリフのもじりで終わるラストが一番しっくりくる良作でした。
二人の穏やかだけど確実に寄り添ってる気持ちが心地よくて、なんだか妙に浮世離れしてるお話に感じましたね。
二人が誰かと付き合ったとしてもそれは仮初で、結局は二人がぴったり重なるみたいな。
水たまりを覗き込んだ自分と水に映った自分みたいな。

中学時代の同級生だった早乙女と大越は、中学を境に全然別の道を歩んだのに、同じ会社に就職します。
早乙女はずっと中学の頃から大越が好きだったので、大越が新人研修でほとんど話した事もない自分を覚えていた事に驚き、また嬉しいと思います。
そんな早乙女の元に、出世頭の大越が退職するといううわさが流れてきた事から話は始まります。

いつもは大越と呼んでいるのに、心ではソーゲンと下の名前で呼んでいる早乙女に萌えました。
些細なことなのに、それを自分だけの楽しみにしてる感じが妙にいじらしくて。しかもそれが中学時代からそうだった事に更に萌え!
早乙女の名前に違わぬ乙女っぷりでしたね。
一方大越も実は密かに早乙女を思っている。しかも早乙女の心の呼びかけや、心の声にやたらに敏感なんですよね。
二人の静かな、でも確かの気持ちが重なり合い始めるところがぞくぞくするくらいいです。
いつも自分が呼びかける前に自分に振り向く大越に、自分の邪な考えを見透かされそうで怖くてうつむく早乙女なんですが、はっきり重なった時に「やっとこっち見てくれたな」と言う大越にグッときました。
その辺の早乙女の表情が非常にエロい! それを見つめる大越の目も愛おしくてたまらないというような感じでいいのです。
そして帯の「ネクタイ」のセリフ! ベタと言えばそれまでなんですけど、ちょっとぞくっとしましたね。

ハイムさんのマンガって微妙に消化不良な事が多かったんだけど、今回はキッチリまとめてくれたなという印象でした。
ただなー…相変わらずなんか絵が荒いなというのが拭い切れない。
ずっと気になってるのがデジタル原稿なんだろうか?って事なんですけど、だったらもういっそ背景とかデジタルの素材使った方がいいんじゃないかな?って思うところが何か所もあったし、ちょっと大越の表情に崩れが多くて、釣り目のキツい目線で今キメ顔してるはずだと思うんだけど!ってところがおかしかったりして残念な気持ちになったり。
いい話だけに作画が微妙について行ってないのが気になった感じでした。
作画が荒れてても味があるのとまたちょっと違う荒さに感じてしまうんですよね、私の中で。

3

言葉のチョイスが素晴らしい

日の出ハイムさんの作品はポエミーなセリフが胸をジンとさせてくれるものが多いと思います。
絵の動きはそんなにないし、表情の変化も多くはないのに逆にそれがセリフと相まって読者をセンチメンタルな気分にさせます。
でもそこは大人の恋。ちゃんと現実を見てのセリフが多いことも素敵です。
「それでも朝はやってくる」とか
「自分で踏み固めた道はいいモンだ」とか
ちょっとベタなセリフでも、恋愛のことだけ考えている訳にはいかないけど愛する人のことを想って生きている、ていう図が素敵で感動してしまいました。
決して暗くはないけど優しい涙が流れてしまうのが「ハイム節」だなぁ、と思いました。

3

波風立たないところがいい

作者のあとがきにもありましたが、のんびりまったり進むサラリーマンの恋愛話でした。
どこまでも穏やかで、優しい、まさに春の雨のような印象でした。

中学の同級生だった大越と早乙女。
それぞれがエリートの道を進んできて、同じ会社で再会。
そして、大越の退職問題へ・・・

大越の姿を目にしてはささやかな幸せを感じていた早乙女の揺らぐ心と、思いを告げるにしては大変中途半端な乙女のような言動。
早乙女の気持ちはわかっているんだろうに、待ちの態勢でいる大越。

彼らが空白の期間にどうしていたかは語られていないので、なおさら、それぞれのお互いに対する一途な恋愛感情だけが伝わってきます。
心の中で色々考えてはいても、表に出さないタイプの早乙女ですが、どんなときでも肝心なところで大越が気に留めてくれるわけです。
それも、不必要に入り込むわけでなくサラリと流す程度に。
静かな思いを長い時間かけて熟成させていく、理想的な恋愛だなぁと思いました。

3

雨音のように さざ波のように

タイトルが素敵だなと思った。
それは日の出ハイムらしく、どこか粋で風流だ。
そして表紙のネクタイ・・・ではなくスーツ・・・ではなく!!(笑)
ええと、とにかく大人になってから互いの気持ちを自覚する同級生たちって、ホントいいよね萌えるよねという事が言いたかったわけで。

秘めた想いが再熱するパターンで、一番に思い出したのは富士山ひょうたの『純情』だったが、彼らよりはこちらの方が穏やかで優しい。
例えるなら『純情』の2人は、水をかけられ一旦燻ってしまった火種が、再会と共に一気に大炎上してしまった印象があるのだが(だからお互い少々痛い目をみた)、大越と早乙女の場合は小さいながらも、たゆたうようにゆらゆらと燃え続けていたような、そんな風な関係に見えた。
多分読む方によってはこの独特なモヤっと感に、ちょっとパンチが足りないぞ!と思うかもしれないけれども、随所に入るモノローグは切々と早乙女の心情を訴え続け、読むたびに私はそのハイムさんの言葉選びのセンスにキュンとさせられてしまうのだ(*ノ∀`*)

また早乙女の心の声が大越へ聴こえているんじゃないのか?と思わせるようなエピソードが、作中何度も登場するが、それは霊能力やテレパシーなどという類の話ではなく・・・恐らく聴こえているんじゃなくて共鳴しているんじゃないのだろうかと、思ってみたり。
いやそれもそれでかなり不思議な状況なんだけども、言葉がなくても人というのは相手の事を死ぬほど見つめていれば、結構色々解ってしまうものだから(行きすぎるとヤバい世界に行ってしまうが)、まあそれくらい互いが静かに相手を想い続けていたという事なのかもしれない。
早乙女の想いは大越へ控えめな雨音のように近づき、そしてさざ波のように静かな波紋を広げる。
だからそんな2人が抱き合うシーンはとても熱っぽい。
決して派手さはないんだけども、それが逆にすごくエロかったなあ・・・。

それからこの2人の間には、男同士によくある対立心や競争心といったものが非常に少ない、というのも特徴だ。
早乙女は中学生の頃から今もなお、ナチュラルに大越への憧れを抱いている。
でもだからと言って女々しいのかというと、そうでもない。
大越の事を肝の据わったサムライのようだと称し、また自らもそう在りたいと自身を成長させようとする早乙女の姿は正に男だ。
ああ、こういうのが男惚れって言うのかな。
日の出ハイムという人は、刀を持っていなくても“サムライ”を描き続ける人なんだなあと、今回改めて感じ入ってしまった。
ラストシーンには急に降り出した春雨に、濡れて行こうぜと笑う大越がいた。

「風流だろ」

ああ正に。

5

緩やかに恋をして

『●▲年越しの恋愛』と言うフレーズが物語の
演出上用いられる事がありますが、評者が
観た範囲の限りそれらの場合離れていた
●▲年間の事がまるっと無視されている感じ。
単なる空白期間なんでしょとツッコミを入れたく
なる事もあります。
でもこの二人の場合は違ったのですね。
初めて感じたときめきを離れていた時間を
遣って恋の寸前にまで熟成させ、大人に
なってからほんの少し暴走する。
そのまま疾走しきってしまっても良いのだけど
又歯止めをかける。
今度は踏み切れない躊躇い故にではなく、
きちんと心が通じているという安心感故に。

肉体描写メインだった頃からこの方の作品は
心を繋ぐ瞬間に深みがありました。
その深みをゆったりと紙幅をかけて展開した、
そんな一冊です。

3

ゆったりしっとり

日の出ハイムさん、今回リーマンものは初めてだそう。
主役は二人とも大人なだけあって、しっとりゆったりな恋愛です。
仕事のできる人気者×クールな乙女受。
「――何度も想像した、おまえのネクタイをはずすこと」帯がヤバい!!
はずしてはずして!是非ともはずしてっ!!

中学時代同級生だった大越と職場も一緒になった早乙女。
5年経った今、大越は実家の寺を継ぐため、会社をやめるという。
早乙女はずっと抱いていた大越への想いが溢れでそうになっていて…

早乙女は頭でグルグル考えて、考え抜いた言葉をようやく発するタイプ。
そして大越は言葉より先に体が動くタイプだと思います。
大越の同期送別会の日、早乙女が酔ったフリして大越にキスをしてから、二人の距離は急速に縮まっていきます。
大越の家に泊まったり、休日に会ったり。
中学時代の二人の思い出も思いだし、ますます想いを募らせる早乙女はついに告白することに決めます。
でも結局は大越がサっとリードしてたけど…
早乙女だけじゃんく、大越も中学のときからずっと好きだったということには驚きました。
なんかもーバカだなぁ不器用すぎるよ。
こんな歳になって一生懸命恋愛している二人にキュンとします。
しかも大越は早乙女の心の声が聞こえるという…ちょっと不思議系なお話。
最終話は描き下ろしだったらしく、あんなところで終わるなんて、絶対本誌で読んでた人は酷いと思ったはず。
よりによって何であそこなわけ!?

ラストは二人がくっつくだけじゃなくて、その後のことまで解決してくれてます。
坊主になった大越も見られるし、結局バカップルだからこのまま二人はずっと続いていけるんだと思いました。

ただ本当にゆったりした雰囲気なので、そこまで萌えられませんでしたけど…
大人のしっとりラブストーリーを楽しみたい人はぜひ。

2

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