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藤たまきさんはカラーでのスパッタの丁寧さとトーンの使い方が凄く巧い人です。表紙の、色使いの温かさに惹かれて手に取りました。スパッタ綺麗だよー。丁寧だよー。
どこの筆使ってんだろう…。
えーと、そういうイラスト的資料目的がデカイんですが、漫画としては読み難い画面構成だと思います。線が細い、パンチが弱い、モノクロ画面でのスパッタの使い方が…ちょっとゴチャついているかな。カラーだと綺麗なんだけどモノクロだと使い方が難しいし。
線が細いのでメリハリが無く、繊細と言えば繊細だけど大ゴマ時に迫力に欠けるかなって思う。
トーンの使い方は、そこでこの品番を使うかと驚かされるトーンワークでした。
でも話も、絵同様ほっこり温かくなる話でジーンときた。
思春期の、大人でも子供でない微妙な位置に居る主人子達が、先の見えない不安や焦りに戸惑い立ち向かう話でした。セリフのひとつひとつが胸に突き刺さる。切ない。
「優しい」とか「相手を思いやる」とはどういう事か。
そういうのを考えさせられる話でした。
私にとって藤たまきさんの漫画は、最初取っ付きにくいです。読みにくい。
ただ、空気に馴染むと、一気に物語世界に取り込まれるっていうか引きずり込まれるっていうか。
そのときの、「あっ、きたきた」ってなる瞬間の感覚が好きです。
幼い頃、お互いに好きだったけど仲良くできず、のちに再会する二人の少年と、もう一人の少年の物語です。
物語の核となる三人の少年のうちでは、やっぱり佐原に魅力を感じました。
息吹と紅絹がくっつくのが分かってるから感情移入してしまうんだろうなァと自覚しつつも、やっぱり佐原が良かった。ラストだけが不満です。ぶっちゃけ悲劇が好きなもんで。ごめんよ、佐原w
相手に自分にない魅力を感じ、惹かれながらも距離が縮まらず、
別れてしまった小学生の息吹と紅絹。そんな二人が中学校で再会。
会えずにいた時間も互いへの思いは冷めることなく、むしろ育てていました。
過去の自分の記憶の中で(やや美化しつつ)思いを育ててきた相手と、
現実の成長した相手へのギャップに戸惑い、そして時には反発する二人。
過去と現在・理想と現実。相手への苛立ちに、多感な息吹と紅絹は揺れます。
そんな不安定な二人に、先天性の疾病で留年した佐原が関わってきます。
厭世的で自分に似ているタイプの佐原に、安らぎを感じる紅絹。
同じ空気を持っている二人に嫉妬する息吹。
この三人の微妙な心の動きが実に丁寧に描かれていて。
繊細なトライアングルに切なくなります。
そして相変わらず、藤たまきさんのモノローグが秀逸。
エロ度は低いですが。抒情的な物語が好きな方にはおススメです。