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小説で例えるなら「行間に込められた想い」とでも言うのか。
そういうものがコマとコマと間から溢れ出てくるような、そんな作品だなと思った。
ただこのお話はどちらかと言えば小説向きの題材かなとも感じたので、これを漫画で表現されると確かに少々言葉足らずな印象は拭いきれない。
その為、どうしても評価は分かれてしまう作品なのかなとも思った。
学年トップの優等生・一之瀬と、家庭環境が劣悪な不良生徒・松原。
ある時、松原にその恋心を見透かされてしまった一之瀬は、半ば強引に体の関係を求められてしまう、というところからお話は始まる。
松原は一之瀬を事あるごとに嘲笑めいた表情で罵り、犯す。
ところがまず読んでいて違和感を感じるのは、そんな松原に対して一之瀬が常に幸せそうにしているところだった。
それはもちろん一之瀬が松原の事を好きだからなんだろうけども、特にその理由などは説明されないままストーリーは続いてゆく。
後半、松原は父親に見捨てられたことを悟ると、一之瀬を連れて北へ向かう。
この辺りから次第に一之瀬の淡々としながらも、激しさを秘めた想いというのがモノローグとして現れて出てくるのだが、これがドキリとするくらい深くて暗くて寂しい。
海へ向かう電車の中で『まるで天国へ向かっているみたいに白かった 僕はこの空間を一生忘れないと思った』と、眠る松原を見つめて頬を染める一之瀬だが、やはりここでも何故一之瀬がそこまで松原に心酔しているのかは説明されないままだった。
けれどもその逃避行の中で、松原が一之瀬に囚われ、そして溺れてゆく様は訥々と綴られてゆく。
その中で「お前が怖い」と松原が一之瀬に漏らすシーンがあるんだけども、その得体のしれない気分というのは分かるような気がした。
もしかしたら松原が知らない内に一之瀬にのまれている感覚を、読み手もここで追体験してしまうかもしれない。
作中、彼らが歪んでしまったであろう理由というのは、あちこちに転がっていた。
けれどもあえてそれを転がしておいたままにして、ふたりの心の動きにだけ集中した描き方というのは、不親切ではあるかもしれないけども逆にとてもリアルだと思った。
年を重ねてくると、つい物事に理由をつけたくなる。
けれども天気が良くて、互いが近くに居るだけで気持ちがいい。
だから笑った。
そんなものなのかもしれない。
好きなのに理由なんてない。
好きだから好き。
ただ「それだけのこと」にひどく私は感じいってしまった。
また屈託のない最後の笑顔は穏やかな将来を感じさせ、彼らの恋がまだまだ続くことを予感させてくれる。
ああ、だから「恋のまんなか」なのかと、私は妙に納得してしまった・・・と言いつつ、作者の意図と合っているかどうかは、ちょっと保証できないけども(*´∀`)
「恋のまんなか」(第一話~七話、最終話)「2匹の伴侶」(描き下ろし)⇒松本千歳(自堕落な雰囲気 父子家庭)×一之瀬司(優等生 母子家庭)
表紙の絵柄があまり好きなタイプではなかったという事もあり、それほど期待せずに読み始めたのですが、最初からすっかり引き込まれてしまい続けて3回も再読してしまいました(その後も何度も読み返しています)。
一之瀬が抱いていた松本への恋心を本人に言い当てられた上、「なんでもいーからヤラして」と誘われ戸惑いつつも拒まずにHしてしまうところから二人の関係が始まりますが、好きな人の言うままに慣れないながら体を開いてしまう一之瀬の健気さと、あくまでも楽しんでいるだけという松本の温度差が痛々しいのですが、その一方じゃれあうような二人の行為が微笑ましくもありました。
夏休み前に父親に見捨てられたことを悟った松本が、一之瀬に家出をそそのかし、二人で海へ行く辺りから二人の距離が徐々に近づいていきます。全て受け入れようとする一之瀬に対し松本はどんどん夢中になっていきますが、夏休みが終わってしまえば戻らなければいけないという事が分かっているだけに、二人の距離が近づけば近づく程切なさを感じたまらない気持ちになりました。
ラストは(状況の割には)決して暗い雰囲気ではないのですが、描き下ろしやあとがきで二人の未来(社会人になってから)が描かれていた事が本当にうれしかったですし幸せな気分になれました。
失ったらもう、生きていけないかもしれない。
不器用で、痛々しくて、脆くて、それでもふたりで生きていこうとする。
そんな家庭に問題を抱えた少年たちのお話です。
松本先生のお名前を「テレビくんの気持ち」で初めて知ったのですが、あんまり可愛らしい絵柄に食わず嫌いしてしまい(少女漫画も描かれているのですね)、どうしても手に取ることができませんでした。ですが先日何故かふと購入してみて、避けていたのを激しく後悔しました。
このお話は、秀才で可愛らしい子犬のような一之瀬が、遊び人風の松原に気持ちを見破られ、言われるままに身体を重ねて…といったよくあるような展開ですが、そこにふたりの特殊な家庭環境や逃避行といった非日常的な要素が混ざり合い、全体的に仄暗い雰囲気を持っています。
セックスのシーンだけでなく、松原の一ノ瀬に対する行動は痛々しくて、酷い。また一之瀬もここまでやるか、というくらい松原に応えます。
松原の酷い行動の意味や過去を知ったとき、なんて不器用でやるせ無くて…これからふたりはどうなっていくんだろうという不安と、期待が生まれました。
強く印象に残ったのは、ふたりが海辺を歩くシーン。
「お前なんか知らなきゃよかった」と少しずつ自分の気持ちを吐露していく松原。そうして、一之瀬がずっと待っていた答えを聞けたとき。読む手が震え、涙が溢れてきました。
読んでいる間、重い展開に目を背けたくなることもありますが、一之瀬の一途に救われました。また家出中、気持ちの変化とともに変わっていく松原の表情。嬉しさも、ずるさも、色っぽさも、何気ないコマでも読んでいるこちらをぎゅっ とさせるような表現が素晴らしかったです。
まだまだ不安なことはあるけれど、ただお互いがそばに居れば幸せ。
ラストの、何コマも続くふたりの笑顔は、もういちど胸を熱くさせてくれました。
こんなに素敵な作品に出会えて、私もとても幸せです。
想像していたよりも遥かに良かった。素晴らしかった。
子供なんだよ。
どうがんばったって、子供なんだよね。
どんなに大人から逃げたくたって、社会的に大人の力が無ければ生きていけない、まだまだ子供なんだよ。
そんな、子供の力ではどうしようもできない状況を、諦めて受け入れつつも、どうにかその現実から逃げる方法を求めて、でもやっぱりそんなことはできない。したくてもできない。子供だから。 その自分たちの状況をわらって話している2人が、爽やかで、穏やかで、それでいて凄く哀しくて、寂しくて、痛い。
だから本当に、この2人が出会えて本当によかったと思う。
どんなに辛くったって、絶望したって、理不尽な大人にうんざりしたって、この子たちは2人でいれば生きていける気がする。
どちらか1人になったら、死ぬと思う。
そんな少年2人の、青春の恋のお話。
本当に、思いがけずこういう素晴らしい作品に出会ってしまうから、腐女子はやめられない。
そう改めて思わせてくれる神作品だった。
何度も、ページをじっくり眺め続けたり、前のページを捲り返して思いにふけったりしながら読むのも久しぶりの感覚。
BL作品でwww
そんなくらい好きな作品です。いや~こういう作風好き
というか、「腐女子っす」を描いた鳩さんの作品だったのですねvvv
どっかで見た絵だな~と購入して正解。やっぱり巧い。
最初は、攻クンあんまりいい印象なかったんですが、すさんだ家庭と、飢えた心。
変わっていくというか、受がどんどん浸透していく様子がすごくいい。
「きもい」とか「かわいそう」とか受に言っていますが、実際のところなんか、自分に言っている感じもしてみたり。
言葉にするんは難しいんですが、表情の魅せ方が巧いのです。
最後告白するところとかときめきまくるとです。
最初から一途だった受が最後まで変わらないのもいい。
ただ想えるだけでよかったのが、ちょっと贅沢になってという、どんどん貪欲になってという、そんな・・・そんな・・・そんな受が可愛いってこってすw
大人になってからのラブラブな二人はキュンwおそろしいまでのいちゃつきぶりは圧巻。
猫さん諦めてくださいozr
エロシーンも、そこまで直接的にバンバン張ってるわけじゃないですが、恐ろしく卑猥にみえます。エロい。
イチオシ作品なのでゼヒ☆←個人的に・・ですが。あくまでも
ストーリーは全然違うのだけれど、青春時代に読んだ岡崎京子さんの「リバースエッジ」(90年代サブカル漫画金字塔的作品)を思い出しました。
どちらも閉塞した青春を描いている。結末は全然違うのですが。
大人になりたくない、何処かへ行ってしまいたい。出来れば好きな人と一緒に。
思春期には誰もがこんな事を夢見たのでは?
互いに家庭に問題のある二人は逃避行を図ります。
二人を乗せた電車は天国に向かうかのよう。
悲しい予感に、このまま、破滅してしまうのだろうか?
と、思いきや、、意外なラストでした。
行間を読ませるというか、雰囲気ものというか、、互いの気持ちなど、説明不足に感じる方もいるかも知れません。
でも、私はこの説明しない感じが良かった。
うまく説明できない感じを表現してくれる話も好きだけど、うまく説明できない感じをそのまま、その空気感を伝える話もいいなぁ~。
一之瀬の不安定な気持ちを女の子を絡めて表現しているシーンにセンスを感じます。
ラスト、一ノ瀬の「こんなわたしにあなたがしたのよ」ってセリフにこの子の可愛らしさと強さが感じられてキュンときた。
絵も独特だし、誰もが面白いと感じる話ではないのかも?ですが、私の心にはグッサリ刺さりました。
「リバースエッジ」同様MY青春漫画殿堂入りです。
この方はなんかBL以外も書きそうだ、と思ったら別ペンネームで少女マンガも描いてました。
御徒町鳩「腐女子っス!」他もろもろ、、
普通に少女まんがも面白かったよ。
高校生のお話らしいですが、私はずっと中学生の二人と思ってました。
そのくらいの不安定なちょいと幼さの残るような年頃の男の子達の話しです。
境遇が違えども二人とも親の犠牲になっています。
でも、現実を理解しつつ、青さが残るまま逃避行をはじめまます。
子供って、どんな立場に置かれても大人より強いんだろなって思いました。大人は自分の置かれてるつらい状況を感じて、すぐに心が折れてしまうけど、子供はどんな状況に置かれても、その不自由な中でも、明るい未来を見ようとできる。
痛いけど、絵がかわいいのであまり心が落ちないで読めます。
一之瀬の赤い顔かわいいんです。
この一冊で松本ミーコハウスさん大好きになりました!
いや、ビタービタースイートかもしれない。
どうしよう、この作品。ハマった。というより刺さった。
内容や設定に関しては他の方が書いてるから割愛させていただくとして、途中までは松原はなんてゲスいんだろう…もしや地雷踏んだか?と思っていました。
もともとエロエロな作品を好まないし、しかもこの作品、相手の好意を利用して性欲処理に使っているだけじゃないかと。
でもなぜか段々とエロく思えなくなりました。ヒリヒリと痛い、まるで自傷行為を見ているかのような気分というか。
切ない話とか悲しい話とか、一言で言い表せないです。痛々しくてダウナーなのに、一之瀬の松原に対する気持ちは真っ白で、そのアンバランスさがゾクゾクする。
それを「怖い」と言ってしまう松原の気持ちはわかるような気がします。
なんでも言うことを聞いてしまう一之瀬の底の見えなさ。それを知ろうと思ったら、自分も底まで潜らなきゃならないし、縋りつかせて突き放しているほうが遥かに楽ですもんね。
松原が言う「怖い」は、「そこまでできちゃうお前が怖いよ」でもあるし、「お前がいないとダメ、っていう自分になってしまうのが怖い」のどっちもあるんじゃないかな。
機能不全家庭で生きるしかないふたりにとって、手っ取り早く閉塞感から抜け出すには期間限定のチープな亡命しかなかったんでしょう。
でもその中で、「こわい夢から助けてあげたのに」「だからだよ」でふっと松原が微笑むコマがあったり、眠っている一之瀬に「俺はお前なんかいなくても生きていける 生きていける…」と自分に言い聞かせるように呟いたりと、松原の心が解けていく様子は、見ていてこちらが救済されていくような気持ちになりました。
そしてラスト、もう泣くとか笑うとかそんなんじゃなくて、胸んなかをぐうぅぅ…っと掴まれたような気分。
私はハッピーエンドととらえたんですが、一旦は離れるのでしょうかね。いやでも預け先はどうなっても、学校に通う権利はあるから会えるはずだっ!と頑なに信じております。
と思ったら描き下ろしは幸せそうな二人が!安心しました。
BL作品に限らず、本でも映画でも「気に入った・ハマった」を通り越して「憑りつかれた」と言いたくなるような作品に出会うことがごくたまにあるんですが、これがまさにそうでした。届いてから何度読んだだろう。
ここで教えてもらったもので、自分ひとりではきっと出会えなかった作品です。色々な意味で感謝です。
評判がよかったので読んでみました。本屋さんで手に取った時、正直、う~ん……的な絵だったのですが読み始めたら全く問題なしでした。
はじめ、ワタクシ的に攻めの松本君が好きになれなそうかなと思いましたが、これも杞憂でした。松本君も一之瀬君も家庭的に問題があるという背景が薄っぺらさをなくしてくれました。
本編ラストでは、これはまさかバッドエンドか……と思いましたが、書き下ろしを読んでひと安心。ネコが妬くほどラヴラヴって、もう。
絵が苦手なので手を出していなかったんですが、評判の良さとあらすじに惹かれて思いきって手を出してみました。
マンガは絵も大事ですが、やはり、ストーリーありき、萌ありきだと、再実感した話です。
読み終えた時には、この絵も味があっていいなという感じで、好きになりました。
苦手を乗り越える価値があるストーリー性のある切ないBLマンガです。
地味にしていてもモテル松原千歳×内気な優等生一之瀬司 同級生同士
さらりとカップリングにして書きだすだけでも、萌のツボど真ん中です。
あまり難しい思考をしないタイプの私はこれだけでも大満足で萌えなんですが、ストーリーの良さがあってこそ、よかったです♪
モテ系攻めで鬼畜でイジワルで、そんな攻めを好きなので拒めない一之瀬。
更に、そんな一之瀬に徐々に徐々にハマっていく松原。
鬼畜なHを松原から好きほうだいされているのは、好きだから我慢なのかと思いきや、Hが好きだから嬉しいという一之瀬!
意外や意外、見た目弱々しいんですが、ある意味で松原よりも強い子です。
松原の強さと弱さと言う二面性といい、ギャップに弱いので振り幅が非常によかったです。
どんなにひどいことをしても自分を受け入れてくれる一之瀬の存在を、松原が怖いというのも、よくわかります。
受け入れたら、一之瀬を失うことを恐れないといけない。自分自身を明け渡さないといけない。
受容しているように見えて、実際に捕食しているのは一之瀬の方かもしれない。
想像すると、ぞくっとしました。
さりげなくコマの近くに書いてある文字に、クスリと笑わされました。
その後の二人のエピソードもあって、関係が続いているんだなと思えて、嬉しかったです。