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新編集版を読んだ感想です。萩尾先生のSF作品は初めて読みました。初版は1976年発行ということで、今から約40年以上も前に描かれた作品なわけですが、まったく古さを感じさせないですね。宇宙船での試験も、現実の科学がしっかりベースに横たわった上で構成を膨らませてあるので、夢物語ということも一切なく、リアルさと漫画らしい面白さがバランスよく両立していました。
恋愛面はあるにはありますが薄めです。メインは主人公で落ち着いた性格のタダと、元気が有り余っているフロル。フロルが今後男性にも女性にもなれる完全体というキャラクターなので、異性愛とも同性愛とも好きなようにとれると思います。ただし、あくまで物語の軸は冒険、成長、ミステリーにあり、タダとフロルの関係性もまだ熱く堅い友情の延長線上にあるという感じです。それでも、2人のやりとりは微笑ましく、周りにからかわれるシーンでは思わず笑ってしまいます。フロルのようなキャラは個人的に好き嫌いが分かれることが多いのですが、自分のブレない軸に従って真っ直ぐ行動しているので、とても好感が持てました。2人が阿吽の呼吸で宇宙船をスマートに操縦する姿が待ち遠しくなりますね。
10代前半で初めて読んだと記憶しているのですが、何度読んでも本当に面白い作品です。
笑い、泣き、達成感や喪失感などさまざまな感情を与えてくれる、これを名作と言わず何を名作と言えましょう。
「11人いる!」そしてその後日談でありそれ以上のボリュームすらもつ「続・11人いる!東の地平 西の永遠」、共に傑作。
秀逸なタイトル通りの謎から始まり、タダの謎で話は展開します。少女漫画でSFという珍しさながら、数十年経った今でも色あせないストーリーの濃さです。
「11人いる!」の主役はタダですが、キャラクターとしてはやはりフロルの魅力が抜きん出ています。
全編通して一貫したフロルの気高さと愛らしさ…こんなに愛しい生き物が近くにいたらと思うと、顔が綻びます。笑顔も涙も、存在全てが輝いている。みんなを振り回し、今後も愛され続けるんだろうなぁ。
「続」の主役は王様もその1人です。登場シーンこそ然程多くはないですが、四世(フォース)の衝撃は強く心に残ります…あの試験を10人と1人で乗り越えたのに…
少女漫画でSFで、その上政治、戦争の要素まで加えてこの重厚さ。今後も読まれ続けるべき作品です。