敗北魔王、勇者の末裔と500年後の社会復帰

haibokumaou, yuusha no matuei to 500nengo no shakaihukki

敗北魔王、勇者の末裔と500年後の社会復帰
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神3
  • 萌×20
  • 萌0
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
1
得点
15
評価数
3
平均
5 / 5
神率
100%
著者
あかつき雨垂 

作家さんの新作発表
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イラスト
相葉キョウコ 
媒体
小説
出版社
リブレ
レーベル
発売日
価格
ISBN
9784799768822

あらすじ

―500年前、悪と名高き魔王は勇者によって封印され、世界に平和が訪れた。

   人間と魔族が共存する国・アデルタ国。   
そこで暮らす勇者の末裔で元軍人のオズは、500年の石化刑から復活した魔王・アドルの監視役として共に生活することに。   
アドルの力を警戒するオズだったが、アドルの魔王らしからぬ繊細さに触れ、優しくしたいと思うように。  
またアドルも、復讐心を捨て現代に馴染もうと奮闘する自分を支えてくれるオズに戸惑いながらも惹かれていく。  
2人の距離が近づく中、魔王再臨を望む過激派組織が暗躍し始めており―…!? 

表題作敗北魔王、勇者の末裔と500年後の社会復帰

オズ、勇者の末裔で元軍人
アドル、勇者に敗れ、500年の石化刑に処された魔王
情報修正依頼中

レビュー投稿数1

むかしむかしのそのあとに

ビーボーイ創作BL大賞受賞&書籍化、おめでとうございます!
あかつき雨垂さんといえば、以前電子書籍でも配信されていたオリジナル同人誌「腥血と遠吠え」が非常に重厚で読み応えのあるハイファンタジー作品だったと記憶しています。
(現在はアルファポリスやカクヨムで閲覧可能なようです)

多くの物語でむかしむかし…と語られるものの定番といえば、みなさんはなにを思い浮かべますか?
正義が悪を倒し、やがて平和な世界が訪れました。めでたしめでたし。
きっとそういったお話が多いのではないかなと思うのです。

さて、はたして本当にその通りなのでしょうか?
正義とは本当に正義で、悪とは本当に悪だったのでしょうか?
知らないこと、知らなかったことを知ろうとすること、見る角度を少し変えてみることってすごく大事なことなんじゃないかな。
そんなことを考えながら読み進められる、導入・中盤・終盤で味わいが変化していくおもしろい作品でした。

かつて悪名高い魔王を打ち破ったとされる勇者の末裔・オズと、500年ぶりに石化の封印が解かれた魔王。
この肩書だけを見れば敵対関係になってしまいそうな2人が、監視役と監視対象となって共に暮らすことになります。
タイトルの通り、魔王が勇者の末裔の手を借りて500年間の空白期間を埋めて社会復帰を目指すお話。
大部分は現代風ながら、ファンタジーの香りがする世界で繰り広げられる同居生活はなんともユニークです。

魔王ことアドルにとっては、言わば500年前からタイムスリップをした状態なわけですから…
我々日本人に置きかえてみると、室町時代が突然令和の世になっていた感覚でしょうか。
ところどころ知っているようで見知らぬものばかりの土地で、戸惑い、驚き、そして徐々に順応していくアドルの反応がどれもすごくかわいらしかったなあ。
何にでも興味津々の小さな子を見ているようというのかな。
全体的にやや硬筆さを感じる文体なのですが、クスッと笑みがこぼれてしまうユーモアあふれるシーンがさり気なく挟まれていて、なんだか不思議なギャップがあってクセになりました。おもしろい。
ちょっぴり古風な口調の元魔王さまがおっかなびっくり現代の文化にふれていく姿を、監視のはずがなんだかんだと手を焼きながら見守ってしまうオズの図も楽しかった。

そして、両視点で語られる2人の現在と過去を交えた心理描写が丁寧で良かったです。
異種族である彼らの似ているようで微妙に異なる葛藤が渦巻く内面の複雑さと共に、自然と惹かれ合っていく気持ちが少しずつふつふつ煮立って伝わってくるんですよ。
個人的にはオズよりもアドル派。
アドル視点を読めば読むほどアドルの男前っぷりにやられるばかりでした。
肉体的なポジションは決まっていても、どちらが攻めで受けなのかはあまり関係がなさそうな雰囲気もとっても好み。

今作で描かれていた異種族間においての社会問題に関しても、私たちが暮らす現代社会にも当てはまる部分があったりもして、物語の中に作家さんが伝えたいメッセージがそっと込められている気がしました。
コミカルからシリアスへの流れはもちろん、希望ある未来と余韻が感じられる結びだったのも素敵。
そこまで尺を取らずにもう少しすっきりまとめても読みやすかったのではないかなと思うところもありましたが、飽きることなく最後まで一気に読ませてくれる1冊でした。
めでたしめでたしの続きの続きを想像したくなるお話ですね。

4

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