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gogo no kousen
文学小説のように、暗く重厚な味わい。
中学生という多感な時期に、
精神的な痛みを分かち合い、依存し合う2人、
片想いに彷徨う村瀬と、
恋を知り始める淀井(表紙に描かれた子)。
2人の感情の揺れ動きが丁寧に描かれて、
友情を超えた行為と繋がっていく過程が、
虚しさと危うさが見え隠れしながら、
2人の心の救いを見つけ出すことができるのか――?
ラストが・・・涙でページが滲み(紙の本)、
残酷な現実の中に、
柔らかな午後の光線から差し込むかすかな希望が、
胸に深く浸透し、余韻を残す忘れがたい作品です。
目の前で起こったある出来事をきっかけに、
トラウマからグロテスクなものに欲を感じるようになった村瀬。
母親とその恋人による複雑な家庭環境に苦しみ、
大人びた落ち着きを見せながらも内側では揺れる淀井。
歪んでいる欲望に歪んだ思考で、
ヘタレながらも村瀬を心で包み込もうとする村瀬。
村瀬の嫌な記憶を体で上書きしようとする淀井。
同級生の2人がお互いを支え合おうという気持ちが、
一種の愛と言えるのではないでしょう。
読み進めるたびに、胸が締めつけられるのは、
村瀬の日記から滲み出る陰鬱な心情!
言葉にできない葛藤、
抑えきれない感情、
未熟さゆえの無力感に絡みつく絶望感の中で、
淀井という存在に支えられる淡々とした望み、そして、
淀井への儚い崇拝のような恋心が心臓に鋭く刺さる。
暗い影が覆う青春の中、
2人の関係に潜む
ひとつひとつの痛みの中の優しさが静かに胸に響きます。