転生騎士に捧げる王の愛と懺悔

tenseikishi ni sasageru ou no ai to zange

転生騎士に捧げる王の愛と懺悔
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神2
  • 萌×21
  • 萌3
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
3
得点
23
評価数
6
平均
3.8 / 5
神率
33.3%
著者
はなのみやこ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
ヤスヒロ 
媒体
小説
出版社
三交社
レーベル
ラルーナ文庫
発売日
価格
ISBN
9784815532987

あらすじ

士官候補生としてドイツに留学中の櫂斗には、前世――ウェスタリア王国の騎士エリアスの記憶がある。王太子リーンハルトの信を得ていたエリアスだが、権力闘争に巻き込まれ内通者の濡れ衣を着せられた挙げ句、敵国の捕虜となり獄中死していた。
ある日、訓練中に濃い霧に巻かれた櫂斗は、気づくとウェスタリア王国にいた。
再会したリーンハルトは国王となり、エリアスの死を深く悔いていたが、櫂斗は受け入れることができず……。

表題作転生騎士に捧げる王の愛と懺悔

リーンハルト、29歳、ウェスタリア国王
清武櫂斗、20歳前後、リーンハルトの教育係だった前世の記憶を持つ士官候補生

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数3

望むのは貴方の幸せ

今回はウェスタリア国王と
前世の記憶を持つ日本の士官候補生のお話です。

攻様の側近だった記憶を持つ受様が
攻様によって召喚された王国で新たな生き方を選ぶまで。

受様は10才の時に授業で見た映像に強く惹かれ
その情景に郷愁を抱えたまま眠りについた事で

自分が誰かの生まれ変わりである事
今生きている世界とは全く違う世界での記憶が
ある事に気付きます。

前世の受様は平民の母を亡くして父公爵に引き取られ
16で王太子の教育係となります。

王太子も母を亡くしており
受様は深い愛情と忠誠をもって王太子に仕え
自身も戦場で功績を挙げ軍神と呼ばれるようになります。

ところが主は王太子から王になると
権力に群がる家臣や有力貴族によって
受様は身に覚えのない内通者の疑いをかけられた上に

戦場に死守していた要塞に援軍が届かなかったことで
敵国の捕虜となり獄中死します。

今世の受様も母の死で戸籍上の父に引取られますが
邪魔者扱いで様々な費用のかからない防衛大学に進み
ドイツの士官学校の留学生となります。

視察訓練が行われた日
受様は怪我を負った友人のために森を抜けようとして
深い霧に包まれて前後不覚になります。

霧が晴れた時に受様の前に広がっていた風景は
前世の受様の記憶にある王都だったのです!!

次に目覚めた時には記憶の中の姿よりもずっと成長した
受様が調整を誓った主である攻様がいました。

攻様は犯した過ちを償うためと魂の召還術を行い
生まれ変わった受様の幸せな姿を見たかったと言いますが
受様にとっては望まぬ世界への無理やりの召還であり
到底許せるものではありません。

果たして攻様は幸せな受様を見ることができるのか!?

攻様の側近だった前世の記憶を持つ受様と
前世の受様を信じ切れなかった悔恨を抱く攻様の
異世界トリップファンタジーです♪

受様は幼い頃に前世を思い出したことで
攻様に全てを捧げた前世の受様の哀しみに共鳴するあまり
攻様に関わる事すら良しとしません。

受様が知ることができなかった過去を知り
攻様に惹かれていく過程はわかるのですが

そんな受様の許せない気持ちをわかりながらも
自分が幸せにしたかったと思うのは("情"であり)
"恋"ではないというのはちょっと納得できなかったです。

登場人物が似たような出生と境遇を持つことで
違う人物でも同じような選択肢を選ぶ事を
必然とする雰囲気作っていますが

似ているから惹かれるというのは有りですが
前世と似た道を選ぶことが必然なのでしょうか?

物語の設定はとても面白いし
徐々に明かされていく秘められた過去は楽しいけれど
決められた執着点を目指す流れが強く「萌」とします。

0

攻めを恨む強気受け、解きほぐされる心。攻め受けの言動にはモヤる部分も

強気で、攻めのことを強く攻めて恨む気持ちを持っている受け、という設定に
惹かれ、ワクワクしながら読んだこちら、はなのみやこ先生の新刊。

ヤスヒロ先生のイラストが美麗で、ドイツ風主従ファンタジーの世界に
ぴったりハマっていてため息。

お話の方は…

…うーん、”その先”をもう少し見させて欲しい、などなど、
何か本当に少ーしずつ物足りなかったり、萌え足りない…、と感じたかな。。
攻め受けどちらの言動にも「?」と思う部分があり。

攻め・王太子リーンハルトが若さと経験の浅さゆえ疑心暗鬼になり、
送るべき援軍を送らなかったことで敵に捕まり、蹂躙・陵辱され
非業の死を遂げた主人公・櫂斗(受け:前世は騎士エリアス)。

別世界に転移し兵法を研究する大学生として生活していた櫂斗ですが、
強い後悔を持ったリーンハルトにより、元の世界へと突然転移させられ、
10年ぶりの再会を果たして…

と続くお話です。

心から信頼していた年下王太子に裏切られた怒りと失望。
前世の記憶と、強い恨みを持ったまま転移した櫂斗の
「怒りがどう解されていくのか?」「どう、恋心へと変わっていくのか?」という点を楽しみに読み進めました。

リーンハルトに対し怒りを抱えているとはいえ、その気持ちは深い愛情
(恋愛的な意味ではなく、主への忠誠心という意味で)と信頼の裏返しなんですよね。

10年前の大きな過ちを心から悔い、懺悔するリーンハルトに次第に絆されていく
過程は理解できるものでした。
終盤で明かされる櫂斗の本当の最期の姿も、じーんと胸が震えた。。

自分の過ちを正すため、別世界で生きていると知っていながら櫂斗を転移させる
力技はちょっとどうかな、とは思うのですが。。
「櫂斗に幸せになって欲しかった」と言いながらも、”自分が楽になりたい”という
身勝手さが裏にあるような気がして少しモヤモヤ。

で、櫂斗が騎士・教育係としてリーンハルト王太子に接していた時は
特に恋愛的な意味での感情は持っていなかった、という後半の攻めの告白。

エリウスと同じ顔をしていても、彼とは全く違う顔を見せる櫂斗に惹かれてー
ということになるのですが、個人的にはエリアス時代にも実は心惹かれていた、
という設定の方が納得できたかなあ。

ノンケのリーンハルトが櫂斗に恋心を抱くという過程が(後悔し櫂斗に尽くす、その
懺悔の気持ちが恋心に変わるのが)いまいちピンとこない感じでした。

そして戦車の研究をしていたという櫂斗が軍に入り、リーンハルトに進言する
シーン。これも個人的にもやっとした部分だったかな、、

士官学校への入学資格を貴族のみではなく庶民にも広げて欲しい、というのは
とても崇高な思いだとは思うんですが、リーンハルトの反論にある
「ノブレス・オブリージュ(高貴なる義務)」という貴族の誇りを考えると、
何か別の方法を考えた方がいいんじゃないかなあと思い、反発心が芽生えてしまった。。

軍に入ってから、前世(エリアス時代)の記憶や櫂斗としての研究の記憶を
生かして3ヶ月ほどで認められるようになり…
というのも割とあっさり書かれていて、「そんな簡単にいく…?」とモヤモヤ。

そして、想いが通じ合い体を重ね、リーンハルトからの求婚…で終わるラストも
「えっここで終わり…?」となり、物足りない点でした。

たとえ短くても、二人のその後の生活、その後の世界というものがちょっとでも
見たいんですよね。。

執着攻め・強気受けは大好きなんですが、いまひとつキャラの言動なんかが
ピタッとハマらず刺さらず、、

濡れ衣を着せられた上獄中死し、主君を恨んで転生トリップという設定に
とても興味を惹かれただけに、モヤっとしてしまう自分、乗り切れなかったことが
残念です;

4

憎しみから好意に変化していく心情変化にご注目

非業の死を遂げた、友であり、戦友であり、相棒だった男の生まれ変わりを異世界から召喚する……過去の後悔と懺悔のため、捕虜となり非業の死を遂げた大事な人を幸せにしてやりたいという思いを抱く王の悔恨の念を強く感じるお話でした。


これ読んだとき、自らの罪滅ぼしのために生まれ変わった者を召喚するって、随分と自分勝手だなぁと思いました。今の世を生きてる生まれ変わりの櫂斗の人生は無視かよと。櫂斗がそこまで執着するほどの人生を送ってきてないから良かったものの、もし幸せに生きてたらどーすんじゃいって…話の導入としては理解できるけどあまり共感はなかったです。
でもそこは櫂斗もちゃんと分かってて、リーンハルトにめちゃブチギレます。櫂斗は前世のエリアスの記憶があって、彼がリーンハルトから切り捨てられて無惨な死を迎えたことを知ってるが故に怒り心頭です。

そんなわけで出会いは最悪。
といっても櫂斗だけが怒ってるので、最悪な出会いだと思ってるのは櫂斗サイドだけですけどね。
エリアスは確かに敵の手に落ちて死んだことには代わりないけど、その背景にあった細かな真実が、そこにいた者たちの証言や状況証拠から明らかになっていくと、リーンハルトに非があるとは言えないと感じるようになっていくわけです。
そうなってくると、はい。BLの種が芽吹く土台は整いました( ´∀`)

嫌いだった相手に好意を抱いていくって、恋愛あるある(笑)マイナススタートから始まる恋愛は、プラスにいくしかないですからね、好意の感情がどんどん増えていくのを見守るのは楽しいです^ ^
櫂斗の中で、エリアスの存在と自分の存在を見比べてしまうモヤモヤ感情を抱くのは自然な流れ。見た目そっくりなので、自分は櫂斗という人間だけど、エアリスとしてしか見られてないんじゃないかと思うくらいには惹かれていきます。
このテのモヤモヤは大体が杞憂ルートなので心配するには及ばないですが、なにぶんエリアスがとても素晴らしい人格者なのでしゃーない。色んな人を惹きつける魅力があったようだし、櫂斗もそれをしっかりと受け継いでいます。
現に召還後も、かつての敵国皇帝からまたまた執着されてて、ゾゾゾ…ッッ
芯の強い美人って次の世までも執着されて大変ね……と思う今日この頃でした(笑)


贖罪のために召喚されたことから始まるストーリーでしたが、憎い相手にどんどん好意を抱いていく心情変化は見応えあり。自分の中の記憶と違う部分、記憶にはなかった部分の補填によって、感情が上書きされていく櫂斗の想いに引き込まれました。
櫂斗の中ではエリアスは悲劇の英雄となっていて、記憶もそれを裏づけていました。
でもそうじゃなかった。
彼の死は櫂斗が思っていたような"悲劇"とされるものではなかったことを知ると、本当の意味での贖罪はここにあったのだと、そんな気持ちに溢れます。エリアスは可哀想な人生ではなかった、悲劇の終わりではなかった……それを認知することにこの召喚の意義があったのかも知れません。


アフターストーリーがあったらぜひ読んでみたかったです。
櫂斗がリーンハルトの伴侶となった国の明るい未来に浸らせて欲しかったなと思いました(*´∀`*)

3

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