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shuumatsu kimi to
ということで、下巻レビューです。
最終話がなんとも言えない終わり方です。
もともと、智也を食べたいと言っていた修。
智也としては、「俺のごはんを食べてくれる?」と伝えていたつもりでしたが、修としては「智也自身を」食べてくれる? の意味に捉えていたようです。
けれど、自分を選んでくれた修の発言。
あっさりと快諾してしまいます。
そして、いよいよ世の中が混沌を極め、テレビではゾンビ病の人たちが世に放たれたと緊急速報が。
智也を心配する修。
悪い予感は当たるもので、帰宅した智也の腕には噛み跡が。
バイトの帰り道、同僚をかばってゾンビに噛まれてしまったのです。
しかし、修との約束があったため、同僚には保健所へ届けないでほしいと押し切り、シェアする二人の家へ。
智也の看病が始まりますが、特効薬などない病。
次第に、智也自身の意識が抜けてきていると口にします。
智也はタヒんだら修に食べてほしかったけれど、それも無理そうだと予感します。
智也を食べるために生きてきた修。
その希望が潰えてしまいそうな今、どうやって生きていけばいいのかと混乱に陥ります。
そこで、修が自分を食べてほしいと訴えます。
そして二人が決めた究極の選択に、二人同様、涙が止まらなくなります。
ちょっぴり惨い描写あるので要注意ではありますが、その後の二人で暮らしていた家にやって来た別の二人のやり取りなども切なくて、、、
どちらかがゾンビに噛まれるんだろうなあ、とは思っていましたが、まさかこんな終末を迎えるとは、、、
なんだろう。
究極の愛をそこに見たような。
肉を食べるのが不謹慎とかそういうのじゃなく、愛とか、存在理由だとか。
とても切ないけれど、最後の最後で、修という存在によって智也は報われたんだと思います。
メリバになるのかもしれませんが、まりあげはとしては智也も修も幸せになれたのだと思いました。
るぅ1mm先生の作品の奥行き、今回も強烈すぎてすごかったです。
下巻の表紙の雰囲気、上巻と似ているようでありながら、
真逆の配色と意味を持って、内容をしっかりと反映している。
「終末、君と」というタイトルの意味や、
あらすじに書かれている「終わりに向かっていく世界で、ふたりは今日も食卓を囲む。」という一文の意味、
まさに完全回収・・・胸に鋭く突き刺さる。
結末は・・・切ない、切ない、涙が溢れてきた。
読み終わった後も余韻がずっと残っていて、
素晴らしい作品に出会えて、本当に感動した。
智也の一途な恋心がいじらしくて共感する一方で、
「智也を食べたい」という欲望で生きてきた修平。
「智也が死ぬ時は、俺が智也を食べる時だ。」という修平が放つ一言がすごく衝撃的で、
智也に対する異常な愛が脳みそを痛烈に襲う。
恋に期待せずにいた、それでもそんな修平に、
恋の希望を持ち続ける智也がたまらなく愛おしい。
ゾンビの蔓延が止まらず、
絶望的な寒気が全体を支配する展開が、
修平と智也以外の登場人物で描かれているのが、
さらに迫力を与えて、戦慄が全身を駆け巡る。
押し殺そうとしても、漏れ出る本音での智也からのキス(上巻)、
平静を保とうとしていたが、暴れ出す強烈な感情での修平からのキス、
そして、ラストで涙とともに現れる2人の真実の想いでのキス・・・
全部が心臓がギュッと痛くなる。
ゾンビが蔓延る世界で生き延びる2人。
子供の頃からの絆が極限状態の中で育まれる愛情と、
それぞれの心理の変化が丁寧に描かれて、
日常の温かさと恐怖が見事に交錯し、
読み進めるごとにどんどん引き込まれていく。
上巻の表紙に騙されることなく、
恋の重み、ゾンビに翻弄される現実からくる
鳥肌が立つような切なさや、
共に抱く「終末、君と」という2人の選択に胸がいっぱいになりました。