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側近の「もう一つのお役目」させてください…
koi o shiru ookamisama
表紙の絵の感じが綺麗で好みだったので、購入しました。
700年以上も生きている、狼の神と人間の血を引く峰叉月様と、彼にに仕える事になった、不思議な金色の目をした少年陽の主従関係のお話です。
昔の山奥の御屋敷でのお話という事で、ファンタジーなお話でしたが、とても優しくて美しいお話でした。
陽は側近になったにも関わらず、料理も上手く作れずに、夜のお勤めもガキに興味無い!と言われてしまいます。
しかし、陽は全く仕事が出来ないのに、神様の様に大切にされている峰叉月様の側近になったのには理由があったのです。
陽の目の色と関係した事なんですが、、ちょっと可哀想な生い立ちでした。
峰叉月様はそういった陽の育った環境に、孤独に何百年も過ごしている自分の立場を重ねているようでした。
そのため段々と陽に親切に仕事を教えたり、半妖の行事を一緒に過ごしたり、陽が今まで経験してこなかった事を峰叉月様はたくさん与えてくれます。
そういう峰叉月様との生活を陽は感謝しながら穏やかな時間が過ぎて行きます。
両目の下にホクロがある陽が可愛いんです。峰叉月様も、表紙はちょっとボサボサ髪のワイルドな髪型ですが、途中で陽が整えてあげて、イケメン度が上がるお顔になります。長髪好きな方は必見ですよ。
二人の生活も順調に時が過ぎて、ちょっとしたきっかけがあり、二人は結ばれるんですが、峰叉月にとっては、今までは子供を孕ませるだけの行為だったのが、男の陽を抱く事は「恋しい」気持ちからだという事を初めて知るんです。恋を知る気持ちを持って体を重ねる行為の幸せがとても幸せな気持ちに溢れていて、読んでるこちらも幸せいっぱいで読みました。
しかし、ラストに怒涛の展開になって、、
話が急降下した時には一体どうなるの?と、もう、残りのページも少ないのに、、
と、思いながら読み進めました。
何百年も寿命がある峰叉月と、ただの人間の陽がずっと一緒にいるためには?
絵がとても綺麗で、御屋敷のイチョウの木を眺める風景はこのお話全体でとても効果的な役割がありました。ストーリーには優しさがあって読んだ後に、温かい気持ちになれる1冊です。
本作、前情報なしで読んでみたらスピンオフ作品でした。
ただ、描き下ろしでスピン元のキャラの登場シーン以外は
オリジナルを未読でも全く問題はないように感じました。
生まれつき普通の人には見えないものが“視える”精霊眼をもつ青年・陽は
狼の神様と人間の血を引く半狼の祖先・峰叉月に側近として仕えることに。
はじめは無愛想な峰叉月にどう接していいか戸惑う陽でしたが、
ぶっきらぼうなりに気遣ってくれる峰叉月の優しさに次第に惹かれてゆくように。
半狼たちから神と崇められながらもひとりぼっちの峰叉月と、
実の親にすらその存在を疎まれて生きてきたひとりぼっちの陽。
孤独を抱えて生きてきた二人が打ち解けるのにそう時間はかかりませんでした。
二人きりながらも優しく温かい日々に読者の心もほこほこさせられます。
あんなにも陽を厄介者扱いしていた峰叉月がいつの間にかデレデレの
溺愛攻め化を遂げていたのはちょっとびっくりでした!
髪を切らせたり、起きようとする陽にしがみついちゃったり、
膝枕しちゃったり、初登場時とは別人級のあまあまっぷり!
ちなみに仕え始めた頃には「ガキに興味はない」と追い返されていた
閨でのお務めも果たすようになっています♥(峰叉月曰く、毎晩とのこと)
けれど、そんな幸せな日々もそう長くは続きません。
神様と人間、異種である二人の前に寿命の差が立ちはだかります。
その上、突然の余命1ヶ月宣告…。
生まれながらに特殊な能力をもったゆえの短命だとか。
せっかくやっと幸せになれたのに、これからってときになんて残酷な…。
時と共に身体が動かなくなり、視力を失い…少しずつ弱ってゆく陽が
見ていられませんでした。
最初こそいつものように笑っていた陽でしたが、
死が目前に迫ってくると「ずっと一緒にいたかった」と涙を流します。
自身の悲しみももちろんだけれど、それだけではなく、
峰叉月を一人置いてゆくことを「ごめんなさい」と謝るシーン。
もうここは号泣必至でした…!
最後の最後まで他人のことを想って泣ける優しい陽にもらい泣きしちゃいます。
どうなるんだろう、神様の力で奇跡が起こるのかな…?と淡い期待を抱くも…
まさかの展開にえ!と声を上げたのは私だけ?
そんなあっさり…?
峰叉月様どころか私もショックで何も喉通らんわ。
けれど、さらにその後どんでん返しが!
予想外の結末ではあったけれど、
とりあえず、バッドエンドは脱したかな…?
たぶん、おそらく、一応ハピエンです。
ただ、ラストにかけて早足だったせいか、
色々と説明不足というかご都合主義的な印象は若干あるかも。
陽が人間という縛りから解放されたおかげで寿命差への恐怖もなくなり、
以前にも増して幸せいっぱいな二人でしたが、
陽の存在って結局はどういった立ち位置なんだろうな、と。
実体はあるの?寿命はなくなったって認識でいいの?
描き下ろしではおそらく現在よりも大分先の二人が描かれていて、
熟年夫婦同然の安定感と相変わらずのイチャ甘っぷりだったので、
幸せな二人が見届けられたのはよかったです。