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一人の天才に翻弄された不器用な二人のロードムービー
umi o tazunete
行方を晦ましている兄オキノカイを探している翼とカイの友人・嵐とのお話。
彼らが探している「オキノカイ」とはどんな人なのか?という部分は謎で、失踪していることと併せてミステリアスな要素を含んでいるけれども、それほど大きな波はなくお話は進んでいきます。
盗作をした真意や一体どこに行ってしまったのかはわからぬまま、カイを探すふたりの旅は淡々と続けられていくわけですが。
その中で翼自身が変わっていく様子やそこに芽生えていく感情のぬくもりは、静かな雰囲気で進むお話だからこそ感じられるモノだったなと思いました。
カイの居場所は最後まで明かされないし彼の顔すらも描かれてはいませんが、「オキノカイ」という存在自体はとても大きくて。
結局はふたりともその存在に惹きつけられた者のひとりだったのかな、と。
あえて曖昧にされたまま終わっていくのが妙に心地よくて、ゆったり余韻に浸っていたくなるようなお話でした。
嵐×翼
キャラがショタっぽい絵柄。
繊細で穏やかな雰囲気が漂って、
美術の世界観も味わえて、
ゆっくり旅路のように、
心が癒されて、視覚的にも心地よい。
美大生の兄が行方不明となった
高校生の翼が、
兄の美大の同級生・嵐と共に兄を探すというお話。
少し陰気で大人しくてもまだ幼さが残る翼。
陽気でノリが軽く不誠実っぽい嵐。
対照的な2人がなんだか可愛らしい。
兄の失踪の原因から見る
翼と兄の関係や、
嵐と翼の兄の関係も、
人間ドラマとしてすごく味を出している。
ミステリー風の要素を持ちながらも、
兄の行方自体は重要ではない(正直、ちょっとモヤモヤする読後感が・・・)。
BL成分が低めで、
翼と嵐が兄の失踪を追う中で育まれる絆が見どころでしょう。
物語全体の流れと感情描写の繊細さが光る作品でした。
とても雰囲気のある、静かに沁みるお話でした。
サラッと読み進めるんじゃなく、じっくりページを追いたくなる感じ。
えちなし、終盤に軽いキス描写のみです。
パクリ疑惑で炎上中の新進気鋭の現代アート作家・オキノカイ。
その高校生の弟・翼が、カイの友人である美大生・嵐のもとを訪ねてきます。そしてなりゆきで二人一緒にカイ探しをすることになりー
と続くお話。
弟が兄に抱いてきた複雑な思い、パクリ疑惑の真相、兄探しの旅の最中に育っていく二人の間の特別な感情と、個々の成長。
BがLする直接的なシーンはほぼないけれど、上記の一つ一つがじわっと沁みて、一つの愛が育っていくのをじっくり見させてもらった感じでした。
失踪した兄・オキノカイの姿が一度も出てこないのも印象的だった。
ラブイチャを期待するとかなり肩透かしを食らってしまうとは思う…ので好みは分かれるかもしれないですが、物語性のある印象深いお話でした。