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ouji to kojiki
カイ×ユキ
バスカヴィル×ユキ
涙が愛を燃やし尽くす心温まるラストへ、
ユキとバスカヴィルの関係、
もう・・・歪み過ぎて狂気の淵を覗いている感じ・・・。
現実からの逃走と自分の感情からの逃避に囚われるユキが、
成長したカイとの再会また再会で、
カイの逞しくなった姿と変わらない重量級愛情が、
ユキのクーデレしながらも想いの爆発に加えてギュンと胸を打つ。
ユキと読者も大人のカイにまだ慣れない中で、
カイがベッドの上の雄気とS気と健気も全部見せてたまらなく愛おしくて、
2人の涙にうっとり!
ストーリー全体を通して、
とにかくユキという男に夢中し過ぎて、
彼の愛を知り、「どうしても愛されたい」という切ない気持ち、
強気で、実は臆病で、愛と憎の間で揺れ動く心、
罪悪感に苛まれつつ、嫉妬から悪くなってしまう本性、
ただ2人の男だけ「女」にでもされてもいいという恋心。
全部が病みつきになるレベル。
19世紀のロンドン舞台で、
3人の愛情表現や心理の描写が繊細で、
さまざまな感情が絡み合う中での愛憎劇の切なさ、闇の深さ、愛らしさや、
工業時代のシリアスさも見事に描き出す重厚な雰囲気がしびれてしまう。
その中で、微笑ましい場面もたくさんあって、
約20年にわたる連載の中で繰り広げられる感動に感謝の気持ちでいっぱいで、
本当に素晴らしい作品でした。
まずはじめまして、でした。
まとめて3巻をよめて完結してるし新装版ってことは人気があったんだなぁ、という安直に考えて手を出しました。
イギリス産業革命、身分階級が残り、格差社会。
受けのユキは自分の出身さへわからずスラムで暮らしていたところをバスカヴィルに拾われます。
バスカヴィルといえば‥!のバスカヴィル。
こいつがとんでもない男で、既婚なのにクソ野郎です。ユキを囲い、ちょっかいを出す男たちを殺していきます。階級の低いものの命の軽さがわかります。
ユキとの行為も痛々しい‥快楽もありますがやっぱりやられてる感があります。そんなに人に見せつけたいのかっていう、なんて男だほんとに。
そんなある日、ユキは仮面舞踏会で子どもと邂逅し、一目惚れされてしまうわけです。
その子どもがバスカヴィルのライバル会社の社長、カイ。みんながバスカヴィルを恐れてユキに近づかないところを果敢に攻めます。
とてもドラマチックでロマンチックです。
すぐさま痛い展開がやってきて、一筋縄ではいかない二人の恋を3巻にわたってストーリーが進んで終わります。連載は20年近くなのでとんでもなく長いですね。
イギリス、ロンドンの背景、短絡的にならない登場人物、周囲の人々との関係にくわえ当時イギリスでの同性愛は死刑という重さも加わります。
くっつくと思えば離れ、離れたかと思えば戻る、ゆるし、傷つけ、愛しています。誤解があってもすぐには溶けない。グッときました。
バスカヴィルはクソ野郎なんですが、子どものころから側で生きてきた、というだけでも縛られる呪いにはゾッとします。ユキはなぜ逃げないのか、はバスカヴィル夫人によって説明がなされることにより、スッと入ってくるのもすごいです。
一気読みは疲れるので休み休み読みましたが、呼吸が浅くなる展開が多いので、あたたかい紅茶用意したほうが良きかもです。
表紙!表紙!成長している!!!!
成長したカイがめちゃくちゃにカッコよくて既に大勝利してますが、気になる中身へ。
辛い別れ、そして、再会・・・!
待ちに待ったこの時!
アイルランドまでユキを追ってきたカイ、やっとここで幸せに、と思うも、ユキの心は晴れないままで・・・。結果的に愛しい人を裏切り、彼の大切な人を傷つけ、理由はどうあれ、自分をゴミ溜めから救い出してくれた人を殺した事実は消えない。
更に、同性愛が罪である時代。過去を見ても、未来を見ても、自分が愛する人を幸せにできる自信が待てない、とか、そんな感じかな・・・。
しかし、ラストはもちろん大団円です。最高。1、2巻の陰鬱な空気に耐えてここまで読んでよかった!
もちろん、カイユキルート至上ですが、別ルートでバスカヴィルと幸せになるルートも見たかったな、なんて・・・(その場合カイの出演は無しでお願いしたいけど!)。
この時代のイギリスについて詳しければもっと楽しめた作品かなと思います。それでも、文句なしの神評価です。
ショタ物は苦手だったけど時代背景もあり、つらい過去を乗り越えながら健気に、そしてずるがしこく生き後悔と向き合いながら生きているユキに気持ちが持っていかれた。本当に幸せになってくれてうれしい。