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ouji to ookami denka no fearīteiru
作家買い。
作家買いですが、小山田さんが挿絵を描かれているとか…!嬉しすぎて発売日を心待ちにしていました。小林先生の新刊はファンタジーもの。小林先生作品でファンタジーモノってちょっと珍しいな、と思いつつ手に取りました。
ネタバレ含んだレビューです。苦手な方はご注意ください。
主人公はダートシー王国の王子・フラン。
フランには姉が二人おり、三番目の子にして唯一の男子だが、ダートシー国では長子制度を取っているため長女が次期国王になる。長女も次女も賢く聡明で、フランは自分が次期国王になることはないと高をくくりのんびり過ごしてきた王子だ。
だが、姉二人が相次いで本当に愛する人と駆け落ちしてしまう。
(ちなみに、長女のリリティアの元婚約者が、小林作品の「王子ですが、お嫁にきました」の受けさん・アシェルという繋がりがあります)
次期国王になることはないと座学を真面目に学んでこなかったフランは今更ながら焦りだし、そしてお妃候補を選ぶためのパーティーにも辟易するが…。
というお話。
フランは次女の元婚約者のフェリウス殿下に憧れを抱いていたこともあり、なぜ姉はフェリウスを振ってしまったのか分からない。優しくイケメンで、物腰の柔らかいフェリウス殿下ではあるが、いや、もしかしたらフェリウス殿下は人に言えないような何かを抱えているのでは?と、そんな雑談を、子どものころから自分の乳母の様に育ててくれた魔女のラフェルテと何の気なしに話ているところに、一人の男が現れ激高されてしまう。
要は、昼寝が大好きでぼんくらな王子(フランのこと)と、フランにかこつけくだらない妄言を話し続けるラフェルテに怒り、暴言を吐かれたのだった。
そのことに激怒したのはラフェルテ。
腹立ちまぎれにその男に子狼になる魔法をかけ、そして、こともあろうに魔力を使いすぎて倒れてしまう。ラフェルテが回復しなければ男にかけられた魔法は解除されることはない。フランはラフェルテのために、子狼は元に戻してもらうために(理由はそれだけではないのですが)、ラフェルテを救う薬を求めてともに旅立つことになるのだけれど。
フランはちょっとすっとこどっこいな王子ではあるのですが、それでも次期国王になるべき人物で、彼を護衛するために一人の妖精・デューを付けてもらい、3人で旅に出てー、と話は続きます。
妖精のデュー、そして子狼(名前がないのは不便なのでウルヴァーと名付けた)
とともに、薬をゲットすべくフランは奮闘していく。もしかしてシリアスベース?とちょっと思ったのですが、いやいや、小林節は健在。ほのぼので、思わず吹き出してしまうようなコミカルなやり取りもあり、フランは薬を手に入れることができるのか、そしてウルヴァーの正体は?というあたりを軸に進むお話です。
フランという男の子はですね、のんびりな男の子でして。
あとがきで先生が「の〇太のような」と書かれていますが、言い得て妙。怠けることが大好きで、何とか苦労せずに事を運びたいと思う男の子なのです。が、この子がめっちゃ可愛い。王子という高貴な身分のためか。とにかく、人を疑うことをせず、そしてどんな相手にも真摯に向かうやさしさと強さがある。
それゆえにトラブルに巻き込まれることもあるのですが、そこをサポートするのがデューとウルヴァーの二人。タイプの違うイケメンさんであること、そして彼らの素性(何しろ一人は妖精でもう一人は子狼だ)という正反対のバックボーンが上手に絡む描き方は素晴らしいの一言です。それを小山田さんの美麗絵柄で拝見できるという眼福さよ。思わず拝んでしまう麗しい挿絵でした。
見た目だけではなくって、ウルヴァーは時々人の形になり、しかも少しずつ成長していきますが、子どもの時のおぼこい話し方がめっちゃ可愛くって悶絶しました。
ほのぼのハートフルなお話なのですが、いや、それゆえに、か?
エロは控えめ。小林作品は好青年に見えてむっつり×純朴なのに快楽にヨワヨワな受けさん、って鉄板なCPですが、今巻はちょっと待って、ちょっとそれ高度なプレイ過ぎない?という描写もあってちょっとびっくりしましたです。
どんなプレイかはぜひとも手に取って読んでいただきたいですが、ヒントは、「子狼」でしょうかね。
とはいえ、小林さんらしい温かさに終始満ちた1冊で、しかもストーリーもめちゃめちゃ面白くて、これ、いったいどうなるんだろう…、とページをめくる手が止められませんでした。
序盤、大丈夫かと心配になってしまうようなポンコツの(褒めてます)フランが、デューとウルヴァーに助けられ、そして彼の持つ優しさでピンチを潜り抜けていくさまがなんとも爽快。人として、王子としての成長物語でもある。
キャラは最高だし、ストーリーは面白いし、お次はデューの話も読んでみたいなと切望中であります。評価でちょびっと悩みましたが、ちょっとオマケして☆5つで。
今作も典雅節が炸裂していて何度クスッとしたか分かりません。www
ヤル気は無いし緩いけど善人であるフランのキャラがとても魅力的でした。そして意外にも苦労人だったフェリウスがひょんな誤解から、ラフェルテによって仔狼に変えられてフランと一緒に珍道中を繰り広げるさまは読んでてとても楽しかったんです。
フランは楽をしようと知恵を張り巡らせたり、また悪人にもちゃんと救いを残してたりと自由で柔軟な頭を持っていました。そんなフランと旅をするうちにどうやら誤解があったと気が付いて、フェリウスが仔狼から狼獣人の子ども姿になり段々と成長して行く様子にワクワクするんです。
読者はとっくに仔狼に変えられた謎の男の正体に気が付いているので、フランがいつ彼の正体に気が付いて仰天するのかをまだかまだかと期待してしまうんです。
もともとフェリウスはフランの姉である第二王女の婚約者だったので、どうやってLOVEが育つのだろうと謎に思ってましたがフランをそんな風に思って居たのねってニヤニヤしてしまいました。
そしてそれ以前にやはり駆け落ちしていた第一王女の婚約者が2021年刊の「王子ですが、お嫁にきました」のアシェルだったと知り、やはりニヤけてしまいました。あのお話の裏側がここに繋がっていたと思うと楽しく思いました。
最後はホッコリとする結末で幸せな気持ちになり読後感の良いお話でした。
めちゃくちゃ可愛いかった〜〜…!
正にタイトルの〝フェアリーテイル〟の通り、魔法が溢れる優しいお伽話BLでした!
作者曰く、今作は〝の●太くん受〟と言う事で、趣味は昼寝でぐうたら三昧、常に自分が楽になる事を考え、他力本願なのに憎めない…!不思議な魅力のある受け様でした♡
いやー、の●太くん受けイイですね!のんびりおっとり&純粋で優しい心根に癒されます。
確かに、フランを甘やかして何でも魔法で解決してしまう乳母のラフェルテはドラ●もん感があるな!笑
フランの「ドラ●もん、助けてよー」が聞こえてくるw
そして狼に変えられてしまった謎の暴言男・ウルヴァー
一方的に罵詈雑言を浴びせて、口汚く罵る姿はジャ●アンでしたが、本当の姿は努力家な出●杉くんだった訳ですね
血の滲むような努力で、出●杉くんになっていた彼には同情しかない……
昏睡したラファルテを救うべく魔女の里へ秘薬を貰いに、の●太的な受け様と、ジャ●アンのように吠えまくる仔狼と、ナルシストなイケメン妖精の珍道中をクスクス堪能しました◎
狼なのに表情や吠え方で感情表現豊かなウルヴァーが可愛いく、素直じゃ無い天邪鬼な所もツンデレ好きとしては堪らんです♡
ただ、スパダリを装いつつも本性はウルヴァーのような毒舌粗暴男なんだと思っていたのに、素性が分かった後は単なるスパダリになってしまったのが少し残念
毒舌粗暴なウルヴァー好きだったんですけどね……
ハラハラしたり切なくなる展開も無く、終始リラックスして楽しめる作品でした!
お伽話のように〝めでたしめでたし〟でスッキリ大団円なラストも大満足◎
『王子ですが、お嫁にきました』のスピンオフのようですが、本作単体でも問題なく楽しめました!
スピン元になった『王子ですが〜』も是非とも読みたいです((̵̵́ ̆̂̑͟˚̩̮ ̆̇̑)̵̵̀)
ラブコメファンタジー
「王子ですが、お嫁にきました」と内容に絡みあり
大きな山場なく、展開先読みしやすい疲れないラブコメ
ルドヤード:父王
アドミラ:母妃
フラン・ローゼミューレン:18才 ダートシー王国王子 三人姉弟の末っ子
母似の美貌 父似のぐうたら・・姉達の出奔で王位継承者になる
乳母の薬の為に魔女の郷へ試練の旅に出る
リリティア:7才上の姉 侍女と出奔
クローディア:2才上の姉 竜人と駆け落ち 連れ戻し失敗
ラフェルテ:700才 面食いの恋多き魔女 フランの乳母 魔術の後、昏睡
ダルブレイズ:350才 国王付の魔導士 妻帯歴あり
シルヴァリーデュー:母妃の騎士妖精 イオルク村出身
黒マントの男/ウルヴァー:素性不明の侵入者 美男
「婆とぼんくらは●して寝てろ」の罵詈雑言でラフォルテを怒らせ狼にされる
物語中ほどで、素性が分かってくる
既に皆様が素敵なレビューを書かれているので、私はまったくの個人的感想に走らせていただきます。
大好きな小林典雅先生に大好きな小山田あみ先生のタッグなら買うしか無い!と電子で購入しましたが、どうにも我慢出来ず、紙本も購入してしまいました。その結果、honto様と中央書店様とで電子と紙の両方の特典を入手でき、甘々で胸がいっぱいです。電子特典はサプライズプレゼントのお話で、紙特典は文通のお話でした。
これは「王子ですが、お嫁にきました」から続く小林先生の王子シリーズだと勝手に思っていましたが、「王子ですが」のおしゃべりシマリスのピム、本作の仔狼ウルヴァー(二歳のケモミミウルヴァーもたまりませんが)ときて、「小説ディアプラスもふもふ特集アキ号」にも、なんとまたまたシマリスが登場!実はもふもふシリーズなのではないかと思い直しているところです。もちろん、次のもふもふ本が発売になったら、迷わず買わせていただく所存です。
それにしても小山田先生のW王子は本当に眼福ですね。あと、愛すべきポンコツ王子フランの、いかにも育ちの良い、丁寧な話し方も個人的ツボでした。ビタミンBLごちそうさまでした。
二人の姉の駆け落ちで、繰り上げ次期国王候補になってしまった王子フラン。
優秀な姉たち比べて、のんびり毎日のお昼寝を楽しみに生きてきたフランは、なんとか自分が国王になるのを阻止できないかあの手この手で説得しようとしますが失敗。
花嫁探しの舞踏会が開催されることになり─。
舞踏会の最中、対応に疲れてバルコニーで魔女のラフェルテ(ばあや)とともに休憩することになったフラン。
思い出すのは姉の婚約者のフェリウス殿下のこと。
姉の誕生日に年一回しか会ったことはないけれど、物腰柔らかく、文武両道で誰に対しても紳士的なフェリウスはフランの憧れでした。
自分が姉の立場だったら、絶対フェリウス殿下を選ぶのに、と納得がいってなかったフランはばあやとともに「実は殿下にとんでもない悪癖があるのでは?」と考えます。
完璧すぎるフェリウス殿下を袖にするなんて、どう考えてもおかしいから。
そんな話をしていたところ、バルコニーの下に謎の男が現れて、フランとばあやは罵詈雑言を浴びせられます。
やれボンクラだとか、やれババアだとか。
フランが穏便に済ませようとしても、謎の男の暴言が止まらず、男はばあやの魔法で子狼にされてしまいます。
フランの手の届かない場所に逃げたりすると、死にそうになるぐらいの頭痛がするというおまけ付。
そして魔法を使いすぎて倒れてしまったばあや。ばあやを助けるには特別な薬が必要になります。
その薬を取りに行くために、フランは初めて一人と一匹と、護衛の妖精付きで旅に出るというお話。
おとぎ話のような設定のファンタジーでしたが、小林典雅先生らしく優しく可愛くえっちなお話でした〜!
途中までずっと狼の謎の男。ウルヴァーと名付けられます。
フランに心からの謝罪をしなければ人間に戻れない魔法がかかっています。
ちょっと反省するとケモミミ付きの二歳児ぐらいの人間になったり、十四才ぐらいの少年になったり…上手いな〜と思いながら読んでいました。
このウルヴァーが攻めなんですけどね、罵詈雑言浴びせたり、始めの方は敵意むき出しだったりするんですけど、なぜか憎めない。
子狼の姿だからなのか、フランがそこまで落ち込んだりしないからなのか、態度が悪いとフランが距離を置いて頭痛というお仕置きをされるからなのか、なんだかちょっと「攻めかわいそう…」になってくるから不思議です笑
攻めの正体、読者はすぐ気付くと思いますがフランは途中まで気付かず、いつになったらラブになるんだろう!?と今か今かと待ち構えてました。
人を疑うということをしないフランは、旅の途中で騙されたり襲われたりします。
その都度、寛大な心で許そうとするフラン。
優しすぎる。
舞踏会に来てた母娘の母親(サキュバス)に無理やりキス(とは言いたくない)されて、その唾液の効能で身体が熱くなってしまいます。
その熱を治めるために、狼姿のウルヴァーに攻めフェされたりア○ルを舐められたりして慰められます。
「消毒のキス」の流れ最高でした…!
正体を明かしたウルヴァーもとい、フェリウス殿下。
あんなつれない態度はどこへやら、実はお互い好きだったと分かるとめちゃくちゃ甘くて優しくなります。
典雅先生らしい溺愛攻めで大好きです!
フランもぽやぽやしてるけど天真爛漫でめちゃくちゃ可愛い。
サキュバスにフランのファーストキスを奪われてなければ文句なしに☆5なのですが、個人的にもやもやしたので☆4.9でお願いします。
いや〜、めっちゃくちゃ面白かった〜!!
小林典雅先生のファンタジーを読むのは、初めて。
実はこちらの作品、一度読み始めた時10ページぐらいで脱落していたものでして、、
多分初読時はファンタジーの気分じゃなかったんだろうな、と。
今回意を決してもう一度読み始めてみて、本当に良かった◎
受け君の「面倒くさいことはなるべく回避!」な思考には笑っちゃうし、仔狼は可愛いし(小山田あみ先生の挿絵、最高…✨)で夢中になって最後まで読んじゃいました。
挿絵全て最高of最高なんですけれど、個人的に一番のお気に入りは、仔狼くんがフランからの離れまいと必死にフランの足にしがみついてるシーン!かかか可愛すぎだよーう!……とひとり内心大興奮でした。
のび太みたいに面倒ごとを避け、できるだけ楽して生きていこうとする純情受けフランと仔狼に姿を変えられた毒舌男、そして美貌の妖精男子…この3人の珍道中が面白すぎて、終始にやけながら読書。
仔狼だから人間みたいに話せないんですが、狼の言いたいことをことごとく勘違いして明後日の方向に捉えるフランが本当おかしくて。
倒れてしまった魔女のばあやを救う薬を求めて、3日間の短い旅。
しかし短いながらも様々な出会いと出来事を通して成長していくフランの姿が可愛く頼もしく、一気に最後まで読んでしまいました。
欲を言えば、2人がくっ付いたところで終わっているのでその後のお話も読みたかった!
そちらは頑張って妄想で補おうと思います( ̄∀ ̄)
「王子ですが、お嫁に来ました」のアシェルのもといた世界が舞台です。
未読でも問題ないですが、やっぱり小ネタで笑うためには読んでいると面白いかなと思います。
アシェル周辺の余波で、はからずも王位継承のお鉢がまわってきてしまったフランが主人公です。
フランはとにかく王位継承なんて期待されずに育った、昼寝が仕事ののんびり王子。
彼のめんどくさくて疲れることは全力回避☆という姿勢には現代みを感じてめちゃくちゃ共感してしまいます。
ラファルテ(魔法使いのばあや)を助けるために秘薬を求めて旅をすることになるのですが、フランがその過程でめちゃくちゃ強くなるわけでも、怠惰な性格を入れ替えて勤勉になるわけでもない、ってところも好き。楽をするためには本当に知恵が働いて、立ち回りがうまいところもなんだか弟気質すぎて笑えます。
旅のおともをすることになるのが、仔狼と妖精なんですが、もともと仔狼は、フランの次姉の元婚約者フェリウスで、たまたまフランとラファルテの会話を聞いて自分の悪口を言われたと誤解したために罵詈雑言を吐いてしまい、激昂したラファルテに魔法で変身させられてしまっているわけです。
フランから離れると頭痛が起きるようにされているので、ガウガウ文句ばかり吠えつつも、キャイーンと必死でくっついていく姿はとても可愛い。
読者には正体がわかってもフランは全く気づいていないので、仔狼にはウルヴァーという名前が付けられています。
ほんとは姉と婚約していたときから、フランのことをとても気に入っていたんですね。
一緒に旅をするなかで、フランのすぐ楽したがる姿勢に呆れつつも、彼の優しさや愛情深さに怒りも溶けていき、だんだんと好きになっていきます。
心の謝罪度に応じて人間の子供になったりするのですが、その時の舌足らずな喋り方なんかも生意気さがやたらと可愛くてきゅんとしました。
妖精のデューは護衛として母がつけてくれたもので、ちょっとした魔法で怪我を直してくれたり、家事の手助けをしてくれたり、フランは遠慮なく頼り切るので、ウルヴァーにとってはちょっとしたライバルのような感じでもあります。
そしてフランに貞操の危機が訪れます。
知り合いの侯爵家に一泊お世話になろうとしたところ、母がなんとサキュバスで!
(予想もしないサキュバス登場でフランの不運に笑えてしまった)
そこに必死に少年の姿で助けにきてくれたウルヴァー、がっちりフランを守ります。
寝ぼけたデューの力を借りて夜空を飛び(挿絵もすてき)なんとか侯爵邸から逃げられましたが、サキュバスの唾液による発情状態は続いていて。
ここからが、えっ、いきなりまさか⁉︎の展開で、ふたりの関係が一気に進展します。
どうやって恋仲になるのかなと思っていたら。
発情を抑えるため、自慰も知らないフランに狼姿ででウルヴァーが慰める場面には、いきなり高度なエロ展開きた!?とドキドキが抑えられませんでした。挿絵にもドキドキ。
その後、ウルヴァーが正体をようやく告白し、またさらにそれぞれの想いも誠実に伝え、お互いの好意を受け止め、キスを交わします。
かなり早い展開ではあるのですが、この勢いにちゃんと読者を巻き込める小林先生の文章力がすごいと思うのです。
そして、寝ていたデューは完全に蚊帳の外になってしまいましたが、彼の力がなければ旅は続けられなかったし、ふたりを取り持った隠れたキューピッドでもあると思います。
ぶじ秘薬を手にし王国に戻り、ラファルテは回復。
そしてフランはフェリウスと結婚したいという思いを両親に伝えますが、それがとても成長を感じさせます。
相手が男でも女でも、はたまた人間ではなくても、好きになった人と祝福されて結婚できるような、そんな社会に変えていきたいのだと、国王と王妃に告げるフラン。
彼の良さである優しさを強みに変えて、フェリウスとともに国を良くしていこうと決意する姿に拍手です!
やや変態臭がすると魔女からのお墨付きをもらったフェリウスですが。
フライング初夜にあたって、魔法が解けたにもかかわらず、フランをくすぐるためのケモ耳や尻尾、匂いをかぐためのケモノの嗅覚を手に入れてしまったようです。
サキュバスから逃れて、敢えて狼のすがたでフランを慰めたときにも思いましたが、やっぱり…だいぶ変態なのかもしれません。好きです。
でもきっと、フランとフェリウスふたりで人々が幸せに暮らす国を作っていけるのではないかなと思います。おとぎ話らしく、めでたしめでたしです。
今回も楽しい読書をさせて下さり、小林先生には感謝です。
お昼寝をこよなく愛する末っ子王子フランと魔法で仔狼に変えられた謎の男ウルヴァー(仮)、旅の護衛の騎士妖精デュー。
フランの花嫁候補を探す舞踏会で、顔を隠した謎の男が聞くに耐えない罵詈雑言を浴びせかけるという最悪の出会い。
なんやかんやで乳母のラフェルテ(700歳の魔女)が昏倒して死にそうに…
彼女を助けるために3人で旅に出ることになる。(デューは道案内兼護衛、ウルヴァーは「フランから離れると死にそうな頭痛に襲われる魔法」がかかっているので仕方なく)
結構な序盤で読者は仔狼(罵詈雑言男)の正体を察する(ていうか本のタイトルでわかる)けども、当のフランはその正体を夢にもおもわず、でっこぼこトリオの珍道中が楽しい。
健脚な者でも3日かかる道のり、すきあらば楽をしたいフランだけど、それなりに人のあたたかさも悪いヤツが居ることも学んでいく。
騙されて嫌な思いをしても、優しさを出してしまうのがフラン「らしさ」なんだなぁと思った。
思えば、酷い暴言を吐いて態度も悪かったウルヴァーにもそれなりに優しいもんな。わざと離れて頭痛をくらわしたりもするけど。
(ウルヴァー、中身は暴言男だけど外見は小さな狼なので「ギャイン」てなってるのかわいそうだからやめたげてって思う)
サキュバス登場からの展開は怒涛。
目的地の「魔女の里」に入るためには清らかな心と身体でないといけない。でもやむにやまれぬ状況…でウルヴァーの出した策が面白すぎた。
まさかのマニアックプレイ…!本人らは真剣なので茶化すのもわるいなとは思いつつも笑ってしまった。いい塩梅に変態…さすが小林典雅先生が描く攻め!
ウルヴァーの正体、自国での扱いはだいぶ不憫。こりゃ罵詈雑言をわめきたくもなるわ。
でも、「心にもないことを言ってしまった」みたいなことを繰り返し主張してたのは往生際わるいなと思った。
本当にに露ほども思ってないことは口から出てこないと思うの。
ふたりの初めての夜は、初々しくてかわいくてよかった。
婚姻と、ふたりで国を治めようということに関しては、そんなにうまくいくものかねと思わないではないけど、大団円でよかった。
改めて、小林典雅先生の作品は肩の力を抜いて読めるので素敵だなと思った。
重い辛い話を読んだ後に気持ちを切り替えるのに最適。
関連作品も近々読もうと思う。
フフッと思わず笑ってしまうファンタジーストーリーです。
作者さんの、セリフをおもしろ楽しく操る大技・小技がパンチ効いてました。ブラックジョークがキラリと光る楽しい一冊です^ ^
ストーリーはおとぎ話調で親しみやすく、そして読みやすい。登場人物たちは人間だったり狼だったり、竜人や妖精だったりとファンタジー要素満載です。
色んな種族が登場しますが、一番目を引くのは主人公・フラン。のんびり気質のグータラ王子が、本作品の愛すべき主人公です。
この王子さまときたら、王位継承権が低いことを良いことに自由きままに勉強もせず気楽に生きてきた超マイペースな性格で、趣味は昼寝。作者さんもあとがきで仰っていましたが、あの国民的人気マンガの"のび◯び太"の王子版です。
彼の側には齢700歳の魔女がいて、困った時には魔女の力でちょこちょこ助けてもらっていたようす。本当にドラ◯もんとの◯太の関係まんまです。
さて、このグータラ王子様の身に降りかかってしまった恐ろしい案件というのが、自身に王位継承権が回ってきたことです。優秀な姉2人が駆け落ちしてしまった今、フランが次期国王となることが決まりました。もちろん、自由を最大限に謳歌し帝王学も学ばぬまま生きてきたので拒否りますが、それも無駄な話。次期国王ルートからは抗えないフランのトホホ…な落ち込みは王子らしからぬ態度でめちゃ面白いです。
そんなフランに起きた大きな問題が、彼を支えてきた魔女のばあやが昏睡状態に陥ったこと。フランに失礼な言動をしたある男に魔法を使ったためなんですが、この男は仔狼の姿に変身してしまいました。
フランはばあやを目覚めさせるため、仔狼とイケメン妖精と共に魔女を助ける薬を得るため旅に出ます。
ここからは1人と1匹と1妖精の珍道中が始まっていきます。3人の旅は非常にコミカルで騒がしく楽しい一方、当然トラブルにも見舞われます。
この旅で注目すべきは、仔狼が何者か?っていうところ。普段は仔狼ですが、耳付きの子どもになったり少年になったり、時には大人の狼になったりと容姿変化が実に様々です。しかも人間姿のときは、フランの知る誰かに似てるような……。
この仔狼の正体はまさかのあの人で、この旅は2人を結びつける大事な時間となったことは言うまでもありません^ ^
仔狼の正体が分からなかったからこそ知ることが出来たフランのありのままの姿。仲が悪かった仔狼とフランの間に少しの変化が生まれます。トラブル続きの旅という場面で起こりやすい"吊り橋効果"もあってか、旅での生活が密やかな恋心をぐんぐん芽生えさせたって感じです。
旅で得たのは恋だけではありません。最初はグズグズと頼りなかったフランも精神的に一回り大きくなりましたし、この旅の意味は大きかったと思います。彼はきっと素敵な国王になることでしょう。
国民としては賢くキッチリした王様より、国民の気持ちに寄り添い手を差し伸べる王様の方が愛されるんじゃないかな。フランには愛する者と共に国を良い方向に導いていって欲しいですね。
この作品ですが、イラストがストーリーにマッチしていて、美しくて可愛いくてすんごい良かったです。特に仔狼が獣人化した2歳児バージョンの耳付きチビっ子ちゃんの姿が、激かわわわ〜…でした。
おもしろ楽しいホッコリほのぼのなファンタジーストーリーがお好きな方にオススメです♪