深窓のオメガ王子と奴隷の王

shinsou no omega ouji to dorei no ou

深窓のオメガ王子と奴隷の王
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神38
  • 萌×237
  • 萌15
  • 中立4
  • しゅみじゃない6

--

レビュー数
16
得点
387
評価数
100
平均
4 / 5
神率
38%
著者
小林典雅 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
笠井あゆみ 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
価格
¥680(税抜)  
ISBN
9784403525049

あらすじ

コルトーの第二王子キリルは、国を救うため憎きダウラート王ロランに嫁ぐことになるが……?
兄の仇は運命の番!? オメガバース・ロマンス。

表題作深窓のオメガ王子と奴隷の王

ロラン,24歳,大国ダウラートの王,α
キリル・レアンドール,16歳コルトー公国第二王子Ω

その他の収録作品

  • あとがき
  • 恋の予感(書き下ろし)

レビュー投稿数16

マントが萌えの宝庫でした!!


楽しみにしていた小林典雅先生の初オメガバース、とても良かったです!


以下、ネタバレありのあらすじです。







Ωのキリル王子は、その身を案じた国王夫妻によって王宮から隔離され、森の奥で育てられます。共に暮らす乳母と幼なじみ、そして日を開けず会いに来てくれる兄からも愛情を注がれ、素直で健やかに、そして美しく成長するキリル。
キリルが十六歳になる年、大好きな兄が大国ダウラートの王を弑そうとして返り討ちに…。攻め入るダウラート軍から国を守るために、キリルは兄の仇であるダウラートの若き王、ロランの伴侶となることを誓います。
しかしαのロランと目が合った瞬間、キリルに初めての発情期が訪れ、ロランもキリルを運命の番と宣言し、初夜から無体を強いてきて…というところから始まります。


まず、登場人物がとても魅力的でした。
キリルは勝ち気なところもあるけれど、箱入り育ちで純粋でとても可愛いです。
そしてロランは作者様のこれまでの攻にはいないタイプで、笠井先生の挿絵によりその鬼畜具合がより際だっていて新鮮でした。
ですがロランはけして粗野な暴君ではなく、キリルの母国へも繊細な配慮をしてくれ、自国の民からも慕われる善政を敷く王なので読んでいて大変好感が持てます。
唯一キリルにだけは愛情の裏返しでひどいことをしてしまうのですが、その愛情とご無体シーンの塩梅が絶妙でした。

またロランの長いマントの演出が最高で、度々萌え転がりました。
ロランが馬上にキリルを乗せ、夜風に震える身体をマントでくるんでくれる場面があるのですが、このまま甘い雰囲気に突入かと思いきや口下手なロランがいらぬことを言ってキリルを拗ねさせ、馬上で密着してラブラブな体勢なのにキリルが超しかめっ面なのが可愛くて…!

そして渾身のエロスも堪能させていただきました…!
ダウラートに入国したキリルの身体検分はロラン自ら行い(口内、肛門、はては尿道まで)、そのまま初夜に突入。
発情も初めてなら、性的なことにも未熟だったキリルがロランの手で淫らに開かれ、心に反して媚態を晒してしまうシーンには悶絶しました…。
他にも口での奉仕を強いたり、靴下止めで縛ったり、自ら動くよう命じたり…でもそれらの行為に愛がないと思っているのはキリル(と、その幼馴染み)だけで、ロランの不器用な愛情はひしひしと感じるので安心して楽しめます。

エッチの描写も身体の様子が目に浮かぶようで素晴らしいのですが、二人の心の距離が縮まっていく過程もとても良かったです。

互いに言葉が足りずすれ違いばかりだったロランとキリルは、ボードゲームで対戦したことで心の距離が近づきます。
その中で勝ち気で過激な戦法を立てるキリルをロランが面白がって「意外に軍才があるようだ」と誉めてくれる場面があるんです。
王子でありながらΩという性のために森に隠され、国の役に立つためには結婚外交という道しかなかったキリルにとって、誰かに能力を認められたり期待されることがどれほど嬉しかったか…。

そして少しずつ距離を縮めていく中で、自分が手にかけたキリルの兄について初めてロランが言葉少なに語る場面があります。
それを聞いた瞬間キリルの想いが溢れてきて、その胸の内を語る言葉は僅かなのですが、その数行にキリルのこれまでの想い全てが込められていてたまらなくなりました。
素直で感情が全て表情に表れると思っていたキリルの胸に、こんな苦しみがしまわれていたのかと切なくなり、またそれがロランの言葉で溶けていくさまに惹き込まれました。この名場面はぜひ作品で味わっていただけたらと思います。

エッチシーンも大満足で、運命の番と認め合うまでの二人の恋愛も見所のオススメの一冊です!
あとがきの後に、キリルを慕う幼馴染みの救済SSもあり、明るく幸せな余韻に浸れます。キリルの可愛い巣作りも必見です!

18

この受け、色んな意味で最強だと思う・・・!

兄を殺した仇が運命の番と言う、帯の通りのドラマチック・オメガバースになります。
典雅先生でオメガバースで挿し絵が笠井先生って「何事!?」となったけど。
いや~、良かった!
めちゃくちゃ良かった!!

典雅先生と言うとギャグにラブコメと言うイメージなんですけど、今回はややシリアス寄りなんですよね。
主人公は、仇に人質同然に嫁がなくてならない王子ですし、攻めは傲慢で俺様でと、かなり無体なんですよね。
だからこそ!

二人がスレ違いを乗り越えて、いつしか心を通わせるようになるのに、めちゃくちゃ萌え転がっちゃうんですよ。
また、この流れがめちゃくちゃ上手いんですよ!!

ちなみに、主人公の境遇と言うのはかなり気の毒なものですが、基本的に打たれ強くてわりと図太いキャラです。
そのせいか、そこまで痛くて切ない印象では無いのでご安心を。

ザックリした内容です。
オメガである為に、森の奥でひっそり育てられたコルトー公国の第二王子・キリル。
16歳になったある日、大国ダウラートとの間で領土争いが起こり、講和を装ってダウラート王暗殺を目論んだ兄が討たれてしまうんですね。
そこで、国を守る為に人質となるべくダウラート王・ロランと対面したキリルは、何故か初めての発情期を迎えてしまいー・・・と言うものです。

で、ロランから同盟の条件として、運命の番であろうキリルを伴侶として寄越すように要望されと言う流れ。

と、こちら、大筋だけみると、かなりシリアスなんですよね。
実際、序盤は結構なシリアス展開なんですよね。
ロランは最初から「稚児趣味は無いが、運命の番のようだ」てな感じで傲慢な態度。
しかも、初めて会ったその日に、「何も隠し持ってないか検分する」とか言って目の前で裸にさせ、更に「口の中や尿道、肛門も確かめさせて貰う」と無垢なキリルの身体を拓く。
で、そこから毎晩毎晩、キリルが気を失うまで激しい責め苦。
えーと、かの名作「恋襲ね」がかなりのエロエロっぷりだったりするんですけど、負けず劣らずエロエロなんですよ。
身体検査に始まり、わざわざ乳兄弟に情事の声を聞かせ、射精管理に潮吹きにと言った感じで。
いや、典雅先生、飛ばしてるー!

と、こんな感じで抱き人形のように扱われと、ロランに対して憤りを募らせるキリル。
更に、ダウラートには同じような美しい人質達が多く居てと、自分はその中の一人でしかないと思い込むんですね。

繰り返しになりますが、これ、普通ならかなり痛い印象だと思うんですよ。
が、そこは典雅先生。
このストーリーで、実際の印象としてはそこまで重くなかったりします。
と言うか、結構笑えるし可愛くてキュンとしちゃう場面も多いと言うか。

そもそもキリルですが、森の奥で、乳母と乳兄弟であるリオと言う限られた人の中のみで育ちと、かなりの箱入りだったりします。
ただ、国王夫妻や兄王子は定期的に訪れて可愛がりと、すごく愛されて育った幸せな子なんですよ。
だから、箱入りだけど打たれ強いし、精神的にも強い。
図太いとも言うか。
えーと、かなり強気ですし、基本的にポジティブなんですよね。
ロランに「病弱で箱入り育ちらしいから~」とか言われれば、内心で「病弱じゃないし、森で暮らしてたから健脚には自信がありますが?」みたいな。
また、「馬の扱いに慣れてるか?」と聞かれれば、「「乗馬は得意です。空想では」と言うべきか「もちろん乗れます」と答えて初挑戦でも巧みに乗りこなせる奇跡を願うか・・・」なんてやってる。
一応シリアスなのに、こんな感じでちょくちょくプッとくるエピソードが入ってるんですよ。
えーとこう、傲慢な攻めにやられっぱなしじゃ無い所が、雰囲気を明るくしてくれると共に、キリルの魅力にもなってると思うんですけど。

対して、攻めとなるロラン。
しつこく傲慢と書きましたが、実は彼は彼で、少しずつ見えてくる本当の姿が魅力的でして。
奴隷上がりの残虐な王と言う噂が先に来てるんですけど、それは先代のダウラート王の話。
ロランですが、その残虐な王を弊して、圧政に苦しんでいる国民を救った英雄なんですよね。
実は。
また、彼のバックボーンと言うのはかなり過酷なもので、孤独な人生を歩んできた人物だとも分かる。
共に過ごすうちに、ロランのそんな本当の姿を少しずつ知り、キリルの気持ちに変化が起きて行くー。

や、最初の「憎むべき仇」から、少しずつ少しずつキリルの中に親近感が芽生え、そんな彼の変化により、二人の関係があたたかいものになって行く。
いやね、愛も無く嫁がされ、一生許せないと思った相手を、これからは共に生きて行く伴侶だと心から思えるようになるかも・・・。
と、キリルが思うシーンが素敵で。
ロランを知れば知るほど、憎み続ける事は難しくなってしまったんですよね。
本当は、もう許したかったんですよね。
いやもう、祖国を遠く離れた場所でと激動の運命をたどった主人公が、こうしてやっと安らぎを覚えるのに、グッと来ちゃんですよ。

この後ですが、もう一波乱あります。
で、このエピソードにより、ようやく誤解が解け、心が通じあう二人。
えーと、ここまでのロランの傲慢な態度ですが、実は・・・と最大級の萌えが来ます。
ちょっ!?
ロラン、どんだけ不器用なの!?
内心と言ってる事の解離が凄まじすぎるんだけど!
てか、そんなの分かるかーーーい!と。
いやもう、小学生かい!!
また、ここでキリルがズケズケと、これまでの酷い態度を突きつけて責めるのにもニヤニヤしちゃって。
ロランがやり込められてタジタジで、ボソボソと謝るのにも笑いが止まらんがな!と。
攻めザマァとしちゃ生ぬるいけど、とりあえず最高だよ!

ちなみに、二人が結ばれた後はめちゃくちゃ甘いです。
終盤でキリルに妊娠が発覚しますが、お腹の子供に「キリルからとって『リルリル』と呼ぶか。『キリキリ』ではあまり可愛くないからな(キリッ」とかってロランがやってるのにも爆笑しましたよ。

11

平和なオメガバース

小林典雅さんは作家買いしているので、小林先生のオメガバース、どんなのかしらって、書影も絵師様もノーチェックで予約してたので、開封してビックリ。
これ、予約してなかったら書店の店頭では見逃す。
でも、笠井先生のカバーイラストにしては珍しくガッツリ着衣していて、その辺の奥ゆかしさが小林作品らしさに通じているのかな。
オメガがただただ虐げられていたり、アルファが(アルファじゃなくても攻め全般が)傲慢だったりするのは、私もあんまり好きじゃないので、小林先生の世界設定はすごく安心できて楽しかったです。
最後のリオドルス救済のお話もすごくうれしかった。

7

鬼畜な攻め様だと思ってたら

 小林先生自身も後書きでおっしゃってましたが、小林先生がオメガバース!?と最初はビックリでした。
なんだか、あんまりイメージじゃないんだけど…と思ったのですが、皆様のレビューを見て、あら、なんだか面白そうね、と購入させて頂きました。

 まずは受け様のキリル。
オメガではあるけど、両親にも王太子である兄にも愛されて大事にされてて、離宮で暮らしてるけど、優しい乳母と乳兄弟のリオドルスとのびやかに暮らして、成長していきます。
 
 攻め様のロランは、キリルの兄が和平交渉の場でむかってきた為にその場で殺してしまい、キリルからは兄の仇、と初対面が憎まれちゃってます。
なのに、キリルが運命の番だと理解して、そのまま伴侶として自国へ連れ帰ることに。

 こんな関係からのスタートなので、キリルはもちろん絶対心は明け渡すものか、と頑ななのですが、オメガバースで運命の番の2人なので、えちシーンはけっこうあるし、めっちゃトロトロです。
 うぶなんだけど、楚々としてるんだけど、エロいって素晴らしい。

 そしてまたロランがもう最初からなんだこいつ、という傲岸不遜な態度で、鬼畜な所業のあれやこれや。
口をひらけば、あざ笑うようなセリフの数々。
てめぇ、いい加減にしろや、と何度思ったことか。

 そんなロランが、キリルに対して兄を殺した事を詫びたのは、キリルに対して救いになっていてよかった。
頭ではロランだけが悪いわけじゃないって分かっていても、気持ちは納得できないものだものね。
やっとロランへの好意に対して素直になれる事ができてよかったねぇ。

 ロランをかばってキリルが怪我をするところは萌えまくりでした。
受け様が攻め様をかばって怪我をするってシチュエーション、大好物なんです。

 こっからは怒涛の溺愛攻め様ロランでございました。
いいぞー、そうこなくっちゃね。
不器用がすぎるだろ、ロラン。
そう思って読み返してみたけど、ちょいちょい不器用だねぇポイントあるけど、最初の頃のロランはやっぱり鬼畜だわ。

 その分を取り返して有り余るくらいの溺愛をキリルに捧げていってね。

 そうそう、挿絵が笠井先生っていうのも意外でございましたが、笠井先生の描く中世の騎士みたいなロランと深窓の王子キランがとっても美しかったです。

6

不器用な2人

小林典雅先生のオメガバース、そして笠井あゆみ先生がイラストって知って楽しみにしてました。

今回はいつもの穏やかな溺愛攻めではなく、悪しき先王を倒して王位に付いた奴隷上がりで俺様な敵国の王ロランです。

受けのキリルは小さい時に城で重臣に狼藉を働かされそうになり、森の奥で大切に育てたられた箱入りのオメガの王子なのです。  

キリルの兄が和平交渉の際にロランを暗殺しようとした事から返り討ちに遭い、ロランが城に軍勢を引き連れて来た事により2人は出会います。
キリルはロランに出会い初めての発情を迎えるのです。「運命の番」であるから伴侶とし迎えるかわりに、属国ではなく同盟国にすると言われロランの治める国に向かいます。

道中から2人は体を繋げるのですがロランが不器用で口下手な上に、キリルも勝ち気で兄を殺されたと思っているので拗れまくるんです。

そしてキリルが子どもで箱入りで世間知らずなのがややこしくしてました。2人の相性は悪く無いしロランは無愛想ながら優しいのに、頑ななキリルに焦ったくなりました。それでいて勝手に誤解して、無意識に嫉妬したりしてました。

それでも最後に2人が気持ちを確かめ合ってからは、ロランは初めからキリルに夢中な溺愛攻めに変わってました。むしろ尻にしかれてました。やっぱり小林典雅先生らしい作品でした。

5

不器用王×麗し王子

ファンタジー系オメガバースは初でした。
受の温室培養なほんわかした雰囲気と気高さが好きですし、攻の不器用だけれど愛情深い一途さが良かったです。笠井あゆみ先生の絵が本当にマッチしていた。
全体的にこうかな?って予測ができるストーリーなんですけれど、キャラの魅力や整然とした文章のせいか、飽きることなく読み進められました。
エッチシーンは、オメガバースなので身体だけが否応なくってスタートから、心身共に結ばれてからの甘い感じ。私は満足でした。笑

5

何回も読んでしまう(*ˊᵕˋ*)੭ ੈ❤︎

まさかレビューしてなかったなんて!
凄く素敵なオメガバースの物語です。

『宮廷』『王国』『王』『王子』はぁ、それだけでも萌ゆるのに、オメガバースが入った日にゃぁ、心底蕩けますなぁ~~~(ღ♡‿♡ღ)

『受け』
『深窓』とある通り、宮廷内でも美しすぎるオメガの王子なので、城の奥深くに匿われ、誰の目にも触れないように育てられてきたのだが、自国が攻め込まれ父王や民を救う為に下界へ出て来た、そんな矜恃もあるけど、大変ピュアな王子さま。
『攻め』
奴隷の王と呼ばれているが、実は出自はちゃんとした王の血筋だが、とんでもない苦労をして王になった男前の王様。受けの国を攻めはしたが、それは受けの国が先に手を出した為に、攻めに来ただけで、物事を公正に見る偉大な王。もちアルファです。

お互いが遊び慣れてないし、攻めの言葉も足りないから、色んな誤解が生じてなかなか素直になれない二人だけど、少しずつ少しずつ寄り添って行く過程が何ともステキでした。
本当なら最初の出逢いでお互いが『運命の番』だと分かってた筈なのに、その出逢うタイミングがあまりに悪すぎて・・・。しかも『攻め』も真面目だしねぇ~~~(執着や嫉妬やエロは強いんだけど 笑)

お互いがお互いに凄く惚れてる♡と分かってから以降は、もう本当に甘々で、今までのすれ違いの間違いを一つ一つ解いて行ってもらえ、凄く嬉しかったし楽しかったです♡

また挿絵も本当に美しく、夢見る様な一冊でした。
♡+:。.。(๑⃙⃘♥‿♥๑⃙⃘)。.。:+♡

3

思ったよりずっと典雅節でした

私、典雅さんが大好きなんです。
だから今作のタイトルを知った時、驚愕しました。
おまけにイラストが『耽美の女王』笠井画伯と来れば「何かやらかしてくれるのだろう」と、期待に胸を躍らせるじゃありませんか!

最初にもう書いてしまいますが、あれですよ。
典雅さんの異色作と言うか、シリアスで不穏な始まりなのにあれよあれよという間に何故かコメディ寄りになってしまって、支配されるはずの受けさんが攻め2人を手玉に取って(?)幸せに暮らすという『恋襲ね』。
今作はあのお話の系譜だと思います。
途中から転調するのです。
その転調ぶりが可笑しいんです、このお話。

隣国に攻め入られた結果、やむなく婚姻しなければならなくなったオメガの王子キリルが主人公です。このキリル、記憶もない幼い頃に宮中で乱暴されかけたため、まるで『眠れる森の王女』の様に、乳母と乳兄弟との3人だけで森の奥深くに隠されて育ちました。
でも、典雅さんの主人公ですからね、饒舌です。
くるくると考えては、思ったことを口に出します。
それがね、とても素直で可愛らしい。

一緒に育った乳兄弟のリオドルスが、こんな可愛いキリルに想いを寄せないはずがありません。冒頭にちょっとばかりの『秘密の行為』があるんですが、
「アンドレ、キター!」と思いましたよ。
でも、今回はこのアンドレ攻めにはキリルの心は動かないのですよ。

方や今回の攻め様、ロランは当初、キリルを侮蔑した様な振る舞いなんです。
『変態っぽくなってしまうほどの溺愛』が典雅節の骨頂なので「あら、典雅さんっぽくない」と思ったのね。
いやー、騙されるところでしたよ。
実はロランも尽くす男『アンドレ』でした。
不器用で解りづらいアンドレなのね。

キリルがロランに惹かれて行く様子はぜひ本を手に取っていただいて堪能ください。
私がこのお話の醍醐味だと思ったのは『アンドレ』がバレてからのロランの変貌なんですよ。
もう、バカ。
バカとしか言いようがない(褒めてます)。
この終盤の転調ぶりが、ニヤニヤが止まらずに楽しめました。

結局、2人のすれ違いは育った環境の違いの所為なんですね。
そして『戦の結果』や『運命の番』という、外からの力で結ばれたことに対するわだかまり故に、きちんと言葉を交わさなかったことがそれに追い打ちをかけている。
私が典雅さんの物語をとても好きな理由は「愛を育むのはコミュニケーションだ」というメッセージがいつもその根底に流れているからなんです。
今回もとてもそれを感じらる様なお話で、大変よろしい読後感です。
ああ、やっぱり典雅さん、大好きです!

9

こんなオメガバースならもっと読みたい

とても読みやすかったです。シリアスで典雅節は何処へ?と思ってましたが、そもそもこの平和な世界が典雅さんならではでしたね。

エロとロマンスの増量と作者さんの好きツボ満載にこちらも美味しく読了しました。

キリルの人生の第二章は本人にとっては辛いものでしたが、ちょっと思い込み激しすぎない?と思ったらやっぱり!ちゃんとロランに愛されてたんですね!
受けの前でだけ不器用で可愛さ余って憎さ100倍攻めと、曲解しすぎな受けの、一方通行ラブでした。

でもリンツェットのお陰もあり少しずつ会話も増えロランの無体も減り距離を縮めていき…。

そしてとうとう身を張ってロランを庇うことでキリルもロランを愛していると気がつくのですね。

お互い想いを自覚しての営みは甘くて面白くてエロくて二人とも良かったね!

そしてキリルの人生の第三章が幸せに包まれて始まろうとしてます。

しかしロランの片想いをこじらせた?鬼畜攻めはちょっと辛かったな。不器用同士噛み合わず。
でもやっぱり運命の番だったんだ!

そして新しい攻めのアソコの比喩を読んで、なんて聡明でユーモアのある受けだ!さすが典雅さん!と二度見しました。
懐いてる素直な小動物なんて優しくて可愛くて愛着を感じられる表現ですね。

ロランの行いをキリルが問い詰めて好意の裏返しだったことがわかったり、ロランが感情豊かになっていって過保護尽くしたい系だったり、甘々で終わるのも読後感が幸せです。

こんな平和なオメガバースならもっと読みたいな。

6

シリアスからコメディに変わる

今回ばかりは挿絵も笠井さんだし、本当にシリアス路線で行くのか?とも最初は思いましたが、やはり最後は典雅節。素直で素っ頓狂で早とちりの性格の可愛い受けに最後は尻に敷かれる鬼畜だったはずの奴隷王の攻め。時代や生まれる場所は違っても典雅ワールドの住民は愉快な人達で通常運転でした。

でも今回はオメガバースということでかなり早い段階で受けが純潔を奪われ、エロ度はいつもの典雅作品より濃いめでした。笠井さんの色っぽい挿絵の影響も大きい。あとがきでも触れられてたけどΩがあまり虐げられすぎていないのも新鮮で良かったです。典雅さんの作風であまり悲壮すぎるのは見たくない。けど意外と過去にも陰間ものとか小姓ものとかも書いてらっしゃるんですよね。

サブキャラも笠井さんの美しい挿絵で見られたのは眼福でした。リンツェット綺麗だったし、リオドルスの救済作も短いけどジーンとくるいいお話でした。

5

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