タッチ・ミー・アゲイン

タッチ・ミー・アゲイン
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神30
  • 萌×218
  • 萌14
  • 中立6
  • しゅみじゃない2

--

レビュー数
24
得点
270
評価数
70
平均
4 / 5
神率
42.9%
著者
ヤマシタトモコ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイコミックス~BE×BOYCOMICS~
発売日
価格
¥571(税抜)  
ISBN
9784862633316

あらすじ

7年前、お前は俺を抱いた。でもそれっきり俺たちは、あの夜を忘れた『親友』の振りをし続けている…。近くにいるからこそ相手の本心がわからない迷路。でも触って、見て、ぶつけてほしい。あらゆる欲望が混在するその想いは、言葉にしたら「愛」なんだろう?特別な想いを込めた短編集。

表題作タッチ・ミー・アゲイン

10年来のくされ縁
7年前が忘れられないへたれ

同時収録作品息をとめて、

デザイナー
紙会社社員

同時収録作品ヘヴィ・シュガーの嫌がらせ

黒髪短髪
ケンスケと別れたばかりの男

同時収録作品Candied Lemon Peel

女装でバーに勤務,高校の同級生

同時収録作品nuotatore nel cantero!

翻訳家
岸本の13年来の友人

同時収録作品スターズ☆スピカ☆スペクトル

同じゼミ所属,事故死している

同時収録作品うしめし

ヘタレ男
メガネ男

その他の収録作品

  • touch IT again,again,again & again
  • I cannot breathe without U
  • lemon crush, bitter & sour
  • ☆スピカのスはスジョウユのス☆
  • postscript

レビュー投稿数24

さすがの短編集

ヤマシタ先生の短編はほんといいですね。
本作ではかわいい系が変態だったりどSだったり攻めで、イカツい系がビビりで受け
の組み合わせが多かったですね。

□表題作
友だちとしての関係が表面張力なくらいギリギリのところまできている。それを両者の視点で語られながら進むのがきれいでした。

□息をとめて、
タイトルが恋する瞬間を意味していて、何度もこのセリフが出てくる。
一緒に寝る時
佐方「…あと息すんな 生あったけぇ」
芥「…殺す気?」←芥にとって息を止めることは恋 する気持ちになっちゃうことでもあると後でわかるのがおもしろい
佐方が好意を寄せられていることへの甘えもあり絶妙にズルくて腹立つわ〜となりましたw 気持ちはわかるけどその態度に。その辺の描き方がお上手すぎる。

□キャンディ・レモン・ピール
冒頭のプロローグからの次ページの扉絵+
「井堂 檸檬さん?」www のつかみが抜群で笑いました。

□スターズ⭐︎スピカ⭐︎スペクトル
切なかったです。
木路の後悔と罪悪感。
尾坂が死んでから木路に会いにきていること。4日分の尾坂の言葉。
「声が…遅れて…聞こえてくるよ」のギャグを思い出しましたがそこは描き下ろしで回収されていてうれしかったです。

0

表題作をずっと読みたい短編集

表題作が中編、その他に短編が5つ収録されていました。
中編と言っても1話ずつが短いので、短編と言ってもいいかも。
巻末にそれぞれの描き下ろしがついてます。

「タッチ・ミー・アゲイン」(4話)萌2
10年来の友人。7年前に一度だけ…。
何かと小説家の遠田の世話を焼く、フォトスタジオに勤務する押切。
お互いに7年前のことを忘れたフリをしながら、相手が本当に忘れているのか、忘れられないのは自分だけなのか、自問自答しつつ表には出さない、絶妙な駆け引き!
計算し尽くされた構成に酔いしれていたら、あとがきに「何も考えずに描き始めてしまって…」と書いてありました。びっくりです。
「登場人物が勝手に動き出す」という話を耳にしますが、ヤマシタさんの登場人物も生み出された瞬間から自由に動き出して、ヤマシタさんを困らせてそうなイメージが浮かびました。
言葉選びがすごくカッコイイ。モノローグ、最高です。

「息を止めて」萌
デザイナーの芥と紙販売をしている佐方。
真っ直ぐにぶつけられる思いをするりと躱しつつも、別の人間への執着を見せつけるずるいひとの話でした。
佐方が小さい頃から弟のように思って来た恒夫の存在がキーになっています。
自分を慕ってくれる恒夫に嫌われたくないという思いは、「嫌われたくない」という言葉を使うと「恋愛?」と思ってしまうけれど、がっかりされたくないと同意なのかな。家族に見放されたくないみたいな。
そこと恋愛感情の線引きを絶妙に曖昧にする戦法がさすがです。
芥の告白シーンは、説得するような真摯な言葉がガンガン胸にも頭にも刺さって、まるで自分が告白されているかのような臨場感を味わえます。

「ヘヴィシュガーの嫌がらせ」萌
ずっと好きな相手が「男」と別れたと知ったら…。
結構重い問題だと思うんです、これ。
自分は男だからって理由で気持ちを伝えずに来たのに、サクッと男と付き合ってんじゃねーか!!って八つ当たりしたい気持ちと、「何で自分じゃないんだ!」っていう悔しい気持ちと、いろいろごちゃ混ぜになるんだろうな、と。
そこを重さを出さずに、ライトにクールに描き上げた作品でした。

「Candied lemon peel」萌
梶井基次郎ファンの父親に名付けられた名前が大嫌いな主人公と、高1のときの自己紹介で唯一笑わなかったことからずっと親友の英介(女装家のゲイ)。
他の人から見たら「些細なこと」も本人には死活問題。
ずっと信じてた相手まで…、となったら、悲しいどころの話じゃないのになあと思って読み進めると、怒涛の展開が待ってます。

「nuotatore del cantero!」萌
13年来の友人に告白して4日。
返事を待つ時間の長さ、止まらない不安と期待と後悔。
ラストでは、こういうときって全然違う相手だったりするんだよなあって思いつつ、真相は藪の中…。

「スターズスピカスペクトル」萌
死んだ知人の霊が部屋に居座って4日、という話。
伝えられなかった思いとか、もう届かない気持ちとか、そういう努力しても二度とどうしようもできないことを読むのはつらくてなあ…、と思っていたら、想像よりもずっと難解な方向へ進んで行きました。
何が難解かを説明しよいとすると完全ネタバレになってしまうので、気になる方は読んで難解さを実感してみてください。
難解、ですよね?

1

ずるくてもけっして嫌いにはなれない

◆タッチ・ミー・アゲイン(表題作)
 冒頭からがっつり心を掴んでくれた表題作でした。最初、遠田が突然押切を叩くシーンがあったので、暴力を振るうクズ系の攻めか?と若干構えましたが、読み進めていくとちょっと過剰な愛情表現として受け入れられる程度のものでした。互いに7年前の勢い余った一夜を忘れた振りをして振舞っている2人。どちらが先に音を上げるのかなと思っていたら、意外にも遠田の方からで。普段は強気でも、やはりそこは惚れた弱みですかね。7年前と同様拒もうとするも、気持ちを見透かされ遠田に逃げ道を塞がれる押切に萌えました。

◆息をとめて、
 好きな人以外に清々しいほど素っ気ない芥のキャラクター性が面白かったです。ビジュアルは可愛い系で、自分でもその自覚はあり。でも、どんな場面でも動揺せず図太く行動できる人かと思いきや、佐方の言動には結構気持ちを振り回されていて、ずっと淡々としているわけでもないんです。佐方がどんなに狡くても嫌いにはなれない芥。これも惚れた弱みですよね。自分の欲求を堂々と口にできるところには笑っちゃいました。

◆Candied Lemon Peel
 自分の名前に激しくコンプレックスを抱いている檸檬と、女装も様になっているゲイの英介。檸檬ががっつり男の容姿をしているのに、それに似つかない名前1つでいろんな悩みを抱えているのが可哀想だけど、愛おしくて。唯一その悩みを打ち明けられている英介は、檸檬にとって既に相当特別な存在ですよね。最後は英介の方から気持ちを明かしてくれて、やはり檸檬が抱かれる側になったのにすごく萌えました。

1

珠玉の短編集

最近は非BL作品が多いヤマシタトモコ先生。もちろん好きです。モノローグで進行する作風で、ハマる人は全作品外さないと思う。

◾︎表題作
遠田(作家)×押切(カメラマンアシスタント)
ストーリー:高校から10年来の友人の2人は、7年前に一度だけセックスをした。2人とも何食わぬ顔で友人を続けているが…
10年てあっという間ですね。この本が出たのもう10年以上前ですからね。題字からビシバシ時代を感じる。こう、ゆるゆると時間が経ってしまったのだということに説得力が増す10年。作品の中であっという間に4週間経ったりするし。
高校の時の2人の髪型が全然違うのもまたいい。

同時収録作もどれも好きです。ほんと、久々に読み返したらどれもこれも好きで感動してる。
ヤマシタトモコ先生の、自分が大好きで自分が1番で、でも何かを求めてて自信がなかったりするキャラクター達が好きです。

1

力みのないエッジィさ

短編集。

「タッチ・ミー・アゲイン」
7年前一線を越えたことのある腐れ縁の友人と、再びの。
7年間の付かず離れずが、4週間の不在であっけなく均衡を崩す。回り道したね。
もー早く告白すればよかったのに!ってのは外野の戯言。

「息をとめて、」
ゲイの好意をそらしたりかわしたり、ずるいノンケ。しかも罪悪感まで抱いて。
ヤマシタ作品のゲイxノンケってすごく独特な推移でくっつくと思う。くっつくっていう言い方が正しいかわからないけど、ノンケがほだされるでもなく、あきらめるのでもなく、怖がりながらちゃんと相手を好きになって恋に進んでいく感じが独特。

「ヘヴィ・シュガーの嫌がらせ」
友人が狩りに転じる瞬間なのだと思う。サディストが優しいんだというのはなんかわかる気がする。
この2人、これから砂糖もミルクもいっぱいの恋に進むんだ。

「Candied Lemon Peel」
キラキラネームがコンプレックスの「檸檬」くん。
唯一自然に捉えてくれたオネエの友人に陰で笑われたと思って傷つくが、実は彼の恋心を知ってて受け流していることでずっと傷つけていた…その均衡が破られるお話。

「nuotatore nel cantero!」
13年来の友人に衝動的に告白してしまった男の、絶望と希望の時間。誰からなのかわからないメールと着信に、爆発しそうな心臓。

「スターズ☆スピカ☆スペクトル」
これねー…読んだ時びっくりしました。はじめは意味がわからなくて。次に、この発想なんなの?と思って。よく思いつくなあ…
冒頭は幽霊話。部屋に事故死した大して親しくもなかった男の幽霊が「いる」。話はできないが、なぜ自分の部屋に出たのか思い当たる事があって…
まず姿、そして遅れて声、思念は時間と空間を裂いて、遠い星の彼方に飛び去る。

「うしめし」
2人の初夜は、攻め攻め攻防でちょっとモメ。だけど朝は来る。恥ずかしくて嬉しくてハラも減るのだ。

巻末は、「タッチ・ミー〜」「息をとめて、」「Candied〜」「スターズ☆〜」の描き下ろしと、あとがき的に作者様ご自身の作品解説です。


どの話もかなり好きです。特に好きなのは何と言っても「スターズ☆スピカ☆スペクトル」ですね。
宇宙の暗い空間に、死んだ尾坂の姿が漂いかすれた声が遠く響く…そんな風景が見えて、怖いような淋しいような。地球からいくら呼んでももう遅い。そんな後悔。

1

ヤマシタさんのBLモノ

ヤマシタさんのBLモノの中で一番好きな本です。
短編集の表題作良いです。
元同級生ノンケ同士熟成7年モノです。最高か。
日常的な暴力(文字にすると酷い!)とか窓から出入りとかコミュニケーションが雑なのが男友だち感あってグッときます。
作中の時間が遷移するとともに髪が伸びるのも趣ある。
収録作の「うらめし」も好きでした。
ガラ悪い、目つき悪い受け愛おしいです。

8ページでかるーいのにしっかりBLしてて短編の中の短編って感じのが多いので、空いた時間にサクッとBL堪能できる素晴らしい本です!

3

短編の素晴らしさよ!

どれも素晴らしい短編ばかりですが、特に好きなものの感想を…

「タッチ・ミー・アゲイン」
8ページとは思えないほど物語として美しくまとまった表題作です。
暴力男の遠田と優しい押切。
DVとかSMとかでなく、つい手が出てしまう、の延長みたいな男と慣れてるけど傷つく、という構図が友情と恋愛の境目があやふやなままきてしまった二人の関係性みたいだな、と思いました。
CDがだめ、ということではなく、漫画であるから成立するバランスみたいなものがあると思います。

「息をとめて、」
繊細で下品で可愛い天才の芥さんと、ずるい男の佐方さんの話。
応えない佐方さんずるいな〜!と思うのですが、その態度もわからなくもないといいますか。厚意を示されたからってきっぱり関係性を決められるわけ無いよな、と思います。
芥さんは一途で一途でずるいずるいと言いながらも佐方さんを思い続ける姿勢に、下品だとかいう感想も吹き飛びます…いや、でもちょっと露骨…。報われてほしい人です。
おまけで恒夫を交えてぎゃんぎゃんやってる三人が可愛いです。要約するとこんな感じの話、っていう。
この話がたまらなく好きです。

「スターズ・スピカ・スペクトル」
過去を悔いたままの木路と声のでない?幽霊の尾阪の話です。
もう戻れないからこその切なさが詰まってます。
漫画はモノクロなのですが、特にこの話はモノトーンな雰囲気で、ただ、ラストに声が通じるところはきらきらして見えました。
木路は沢山後悔して反省して、良い人に出会うなりなんなりしてほしいです。

ヤマシタ先生は何かのインタビューで決まったフレーズがあると作りやすい、という趣旨の話をなさってましたが、この本は特に印象深いフレーズがいっぱいあったな、と思います。

3

2ミリの距離

私はこの頃のヤマシタ作品がとても好きです。じゃあ今はダメなのかって、そういうわけではなく、良い意味で厨二感漂う雰囲気がたまらなく好きなんです。
彗星のごとくシュルーッと現れ、私の心にヤマシタトモコ旋風を巻き起こした感覚が今なお強く残っております。やる気のなさそうな目、だいたいのキャラが気だるそうで、どこにも恋愛が始まる要素が薄そうな…体もひょろひょろだし、ちゃんと抱けるのか!?と疑問になったり。でもそのあたりをくるっとひっくるめて、この一冊は好きなんです。

[タッチ・ミー・アゲイン]
もう一度触られればわかってしまう、もう一度触られてしまえばこの曖昧な関係は終わってしまう、もう一度触られれば変わってしまう、それでももう一度触られたい触りたい変えたい変えたくないでも変わりたい。
7年もの間、腐れ縁のように続けてきた薄い皮一枚に包まれた微妙な友人関係の終止符を打つお話です。目を見開いて、「今日まで なんのために」と戦慄いた押切がとても良い。
なにごともなかったかのように過ごしていたかったわけではなく、それぞれの心にくすぶるものがあるからこそ過ごせることができた7年間を、無にしなくて良かったと思います。こういうギリギリのラインで立つボーイズラブの話はとても好きです。

[息をとめて、]
(個人的に)ヤマシタ作品の醍醐味であるひょろっとして薄らヒゲのあるキャラのお話は美味しいですね。
これまた攻めが可愛らしい顔であるのもまた良いんです。ギャップですね。粘着質な要素が隠し切れないのも好き。
佐方さんは要はズルい部類だと思います。誰しも、魅力ある人に好かれるのは嫌な気はしません。そして嫌われるよりも好かれる方がよっぽど良い。芥が言った「好かれている安心感」はとてもよくわかります。ホッとします。誰かしらに必要とされている事実が、心を落ち着かせるひとつの要素になりますから。
だからこそ、恒夫の怒りもまた然り。なにより芥を敬愛しているからこその怒りであり、佐方を知るからこその憤怒ですもの。
初エッチが玄関口という雰囲気のない勢い任せなスタートも、芥の焦りと喜びを感じられて好きです。佐方だって、芥の素晴らしさを知っているから戸惑いもあったろうに、受け止めることを決意するのも好意ゆえでしょう。
息が止まるほどのね!

[ヘヴィー・シュガーの嫌がらせ]
佐々木のルックスがたいへん好みです。(断言)
言わせたいけど、言わせない♪ という様子がもう、きっと夜は言葉攻めなんだろうなと片鱗を感じさせます。そこを妄想するのがとても楽しい。

[Candied Lemon Peel]
レモン汁のワードを出したかったがためと伺い、もう妙な想像しかできません。
自らのコンプレックスを受け止めてもらえると、その相手のことをとても信頼できますよね。ああ、この人は笑わないんだ、この人は気にしないんだ。そう思ったときに、友情も愛情も生まれると感じます。
れっちゃんにとっては英介がそれで、英介はれっちゃんに一目ぼれで。いいふたりです。
描き下ろしの内容で、はじめてにしてはえらくハードな情事のようだとわかりましたが(笑)これから変態英介に赤玉出るまで抱いてもらえる頃にはきっと、自分の名前も悪いもんじゃないなとれっちゃんは思うんじゃないかな。

[ヌオタトーレ・ネル・カンテロ]
追いつめられて追いつめて。ほんとうは怖かったけれど、期待もしたくて。
あの電話が久世からのものでありますように。そして返事は岸本にとって幸せなものでありますように。

[スターズ スピカ スペクトル]
このお話がいっとう好きです。ヤマシタ作品の奥底に漂う侘しさともの悲しさを集約したようなこの雰囲気!
もう取り戻せない時間と、叶えられない思いが混ざり合っているのに、ただ寂しいだけでなくキラキラとした想い出に変えられそうな予感がします。きっと、尾坂が消えたときに描かれている星屑のような効果も、そう思わせるひとつの要因なのでしょう。
声が合わさらず気が付かれていないのだと、四日間うつむいてポツポツと語っていた尾坂を思うと悲しいのですが、それでも最期に伝えられたことでついに成仏してしまったのかなと考えます。木路にとって、残酷にさえ思えるほど鮮烈な記憶になるでしょう。
木路がしでかした悪ふざけはおふざけの範疇を超えたもので、同時に尾坂を傷つけたことに違いはないと思います。でも、彼はそれをも受け止めたうえで、木路のことが好きだったんだなぁ……
来世では共に在りますように。

[うしめし]
うし、飯でも食うか ってことでしょうか?
突然の好意で行為でしたのに順応性が高くて!(笑)なるほど、愛!

短編集ですので、お話の余韻を味わうほどではありませんがヤマシタ先生らしさ(時折のどろどろ感、そして虚しさ、味のあるコミカルなコマ)を感じられる一冊だと思います。

8

台詞のセンスのよさに脱帽!


――「殴るよりもっとひどいことがしたいんだ」

表題作でのある一場面にて。
殴るよりもっとひどいこと?
殴るよりもっとひどいことってなに?
なになに?
…と思わずにやけてしまいました(笑)
その他にも些細な一言にきゅんきゅん、萌え萌え、あるいは切なく、心がぶんぶんと振り回される作品です。

そして【息をとめて、】。
ヤマシタトモコ先生の作品は、受けっこがどうしようもなく可愛いと(わたしの中で)評判なのですが、この作品は攻めもかわいい!かわいい!!
天才デザイナーの童顔攻めくん、ストレートに卑猥な言葉を吐くわ、ストレートに告白するわ…「だって好きだもん!!」の破壊力は抜群です。
必死な二人にがんばれ、がんばれ、と心の中で応援できるこの作品が、息がとまるほど好きです!

その他にも個性があ…りすぎる(笑)作品がつまった一冊。
一話一話の内容がとっても濃ゆいので、読了後はふう…と一息吐いて再び反芻したくなります。
ううん…さすがヤマシタトモコ先生!

4

気が付きゃ頻繁に読み返してるwww

『タッチ・ミー・アゲイン』
お互い思い合っているはずなのに、関係が壊れてしまうのが怖くて踏み出せない2人がもどかしくてせつない!
押切と遠田それぞれの目線で物語が進んでいくのが、より2人の感情が分かって切なさが増しました。
ヤマシタさんの作品はモノローグがすごく素敵だけど、特にこの作品のモノローグは心に響くものが多かったです。

『息をとめて、』
時々ヤマシタ作品に登場する変態攻め(笑)
でもその変態も佐方さんを好きが故のもの。
だから佐方さんも受け入れてるんだろうなぁ……
グイグイいきながらも、実際耳真っ赤にして照れてる芥さんが可愛かったです。

『へヴィ・シュガーの嫌がらせ』
いやー短い!(笑)
しかしヤマシタさんの本当の意味で短い短編大好きです。
短かすぎて受けの名前すら出てこなかったけど(笑)
さあのサディスティック発言に慌ててる受け可愛かったです。
この短いのによくこんなキャラとストーリー立つよなぁ……
さすがです(脱帽)

『Candied Lemon Peel』
この話めっちゃ好きだわー!
オカマの英介めちゃかっこいいー。
いつも冗談みたいに「愛してる」を言う英介の切なそうな顔にきゅんときました。
オカマの「赤玉出るまで抱いてやる」発言にここまで威力があるとは思いませんでしたよ。悶え死ぬかと思いました。
ちなみに出しすぎて赤玉出るっていうのに医学的根拠はないとテレビで見ました(笑)

『nuotatore nel cantero!』
これまた超絶短い短編でした。
これこそその後が気になるのに描き下ろしがない……だと……
しかし期待を持たせて終わるところが、我らも大いに妄想を掻き立てられますね。
全然違う相手からの着信だったらおもろいなwとか一瞬思った私を今すぐ殺して下さい。

『スターズスピカスペクトル』
この話もせつなくてすごく好きです。
タイミングって大切だよなぁ……
2人の関係もそうだし、会話が成立しなかったこともそうだし……
描き下ろしのおちゃめな尾坂くんが可愛すぎました。
シリアスの描き下ろしにギャグ持ってきても本編が死なないところがヤマシタさんのすごいところだと思います(笑)

『うしめし』
ただただ可愛いだけのカップルだなぁ……とほのぼのします。
どんな作品でも”事後”の何でもない会話とか好きなので、これは俺得でしかなかった。
2人が自分の言ってる意味に気付いて同時に顔を真っ赤にするところが可愛すぎました。
ごちそうさまです。


『うしめし』以外の描き下ろしの感想は本編何作品かのその後のお話なので割愛します。




2

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