冥府の王の神隠し

meifu no ou no kamikakushi

冥府の王の神隠し
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神3
  • 萌×211
  • 萌11
  • 中立2
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
9
得点
94
評価数
28
平均
3.5 / 5
神率
10.7%
著者
櫛野ゆい 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
円陣闇丸 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
電子発売日
価格
ISBN
9784199011016

あらすじ

古墳の発掘調査中、落盤事故に遭遇!! しかも目覚めた先は、なんと冥府──!? 瀕死だった考古学者の伊月を助けたのは、冥府の王ルイだ。「怪我を治す一か月間だけ滞在を許可する。ただし俺には一切関わるな」尊大で冷たいのに、伊月の危機には駆けつけて悪霊から守ってくれるルイ。実は伊月には、十年前にも三か月間の神隠しにあった過去がある。もしや以前にもここへ来たのではと疑い始めて!?

表題作冥府の王の神隠し

ルイ(大槻類),冥府の王
北浦伊月,考古学者,28歳

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数9

失ってしまった記憶とは



冥王の王と考古学者

所属する教授の付き添いで新たに発見された古墳の調査に来た助手の伊月(受け)は落盤事故に巻き込まれ、気がついた時には冥府にいました。
冥府の王ルイ(攻め)に悪霊が現世に影響を与えたための落盤事故なのでこちらで治療してから現世に帰すとので、それまでひと月冥府の城の中で暮らすように、そしてルイとは関わりらないようにと説明されます。
城の中は昔やったゲームと同じだったり、部屋の中が昔の隣人の部屋と同じだったり、玩具なども伊月の知っているものばかりで、もしかして知り合いなのかと疑問に思います。

伊月は10年前の土砂崩れで両親含め近隣の人達を亡くしていて、その際神隠しにあっており3ヶ月間の記憶がありません。
何か大切なことを忘れている気がして、恋人とも長続きしません。
冥府に来て、あの時もここに訪れたことがあったのでは、ルイとは知り合いなのではと聞きたいことが沢山あるのですが、ルイはこちらと接触しようとしません。
なんとかルイと話がしたいと画策するのですが。

実はルイは伊月の幼馴染なのですが、なぜ記憶が無いのか、どういう関係なのかとか、読む前からの想像と全然違っていて、とても面白い。
お互いの執着具合がいい感じで、特にルイはあとがきにもありましたが、考えが表と裏と実際の望みと全部違っている上、臆病で暴走しがちなのでどこに落ち着くのかとハラハラしました。

伊月との出会い以外は何一ついい事のなかったルイが幸せになるといいなと思います。
ただ、2人の祖父的存在、佐伯さんが取ったあの行動はなんでだったのかがちょっと疑問のままなのと、気の毒ではあったけど何一つ悪くないルイにあんなに酷く扱った継母が成仏するのはちよっともやもやしましたが概ね良いお話だったと思います。

鎮魂の力は伊月の方が上らしいので、最終的には2人で冥府の王と伴侶という感じに落ち着かないかなーと思いました。そうすればルイの不幸な生い立ちと相殺されるのではないかな、というのが希望です。

0

ルイの想いに涙

冥府って聞き慣れなくて、その世界観を理解するのに時間がかかりました。
そして冥府の王であるルイが何を考えてるか解らない。伊月と同じように神隠しの謎を追ってましたが、ルイの心情が見えてくると、ルイの想いが切なくて愛しくて。
そんなルイの想いを知り、真実を知った伊月と同じように、どこにお話が向かうのかドキドキでした。
悩んで迷ってたどり着いた2人の恋に感涙でした。
ルイの執着愛と懐深い伊月にきゅんとしました。面白かったです。

1

ちょっと違ったかな

櫛野ゆい先生の作品は結構読んでいるつもりなんですが、神作品は少ないんですよ。良くて萌2評価がせいぜいで、今回は萌評価でした。

設定は凄く凝っているしイラストは円陣闇丸先生だしで、ルイがとても美麗で終盤の拘束されてるシーンは違う扉を開けてしまったかと思ったほどでした。www

ただ、凝っているぶん読んでいて何度も???と思ったり、突っ込み入れたくなったりもしました。

ネタバレになってしまうのですが、前冥府の女王がルイを後継者とした時は彼は生者だったわけですが、生者を後継者にしちゃって良いわけってずっと引っかかってしまいました。冥府の王は人間がなるのは分かるんですが、死者から選ぶんで無いの?って思ってしまったんです。
そして冥府の王としての役目を終えると神になるらしいのですが、神に近づくのに力が弱くなるのは何でって思ってしまったんです。
この辺りが凄くご都合主義に思えてダメでした。

そして読んでるうちにこの結末はルイが現世に戻るのか?伊月が冥府に行くために死者になるののどっちになるのだろうと思ってたんですが、どちらでもなかったです。
なんか今作は引っ掛かりが多くてお話に没頭出来なくて困りました。

3

失った過去に隠された想い

今回は冥府の王と古学者のお話です。

10年前に記憶を失った受様が
攻様と関わった事で過去を知り、未来を選ぶまで。

受様の故郷は10年前に土石流に飲み込まれ、
受様は自宅の2階ごと流されます。
助かった受様は両親を探してあちこち歩き回り
土石流を迂回して山に迷い込んだ・・・

と思っていたら気が付くと神社の境内にいて
土砂災害の日から3ケ月間の記憶を失っていました。

昔から好きだった考古学の道へと進んでからは
神隠しのことはなるべく考えないようにしてきますが
喪失感は拭えません。

今は考古学教授の助手として
全国の遺跡や古墳調査に飛び回る日々ですが
1ケ月前に初めて自分から付き合いと思った女性と
交際を始めた事で前を向くことができつつあります。

大学が夏季休暇に入ったある日、
教授の助手として新たに土器が出た古墳へと向かいますが
そこは受様が行方不明となった山だったのです。

古墳に辿り着いて写真を撮り始めた受様でしたが
昔持っていたキーホルダーのことを思い浮かべた直後、
激しい頭痛に襲われ1人だけ先に下山することになります。

ところが急に雨が降り出し、
見つけた洞窟でやり過ごそうとしたところ
その洞窟が音を立てて崩れ出し

受様はその落盤事故で命を落としかけ
魂だけの存在になってしまうのです!!

そんな受様を助けてくれたのは
人語を語るドーベルマン3匹を引き連れ
冥府の王を名乗る攻様でした。

冥府とは彷徨える魂が審判の時を待つ場所で
大怪我を負った受様の身体を治療を請け負ってくれますが
1ケ月は冥府に留まる必要があるというのです。

果たして受様は無事に現世に戻れるのか!?

かつて神隠しにあった受様が冥府の王の攻様と出会った事で
過去を知っていくファンタジックな物語になります。

意味深なタイトルから攻様が受様との間に
何らかの関りがあるのは必定で10年前の神隠しと
どうかかわるのかとワクワクで読み進めていきましたが

攻様が受様にわざとらしいほど冷たいのに
攻様が隠しているものがなかなか見えてこないため
ドキドキよりもモヤモヤな感じでした。

彼らの関りが少しづつ明らかになる事で
受様が引っかかっていたパーツ(伏線)の意味が見えてきて
思ってもみない真実にやられた!! って感じで

2人が互いを大切な存在だと認め
受様が攻様と共にいる未来を選ぶまで
とても楽しく読ませて頂きました (^-^)/

受様が過去失ったのはなぜなのか、
受様の失った記憶に隠された攻様の想いが切なく
そんな攻様の決意を覆そうとする受様が
とっても男前で良かったです。

2

冥府の王

円陣先生なのでマストバイ。麗しい。なんて麗しい表紙。そしてカラー口絵が尋常じゃなく格好いい(攻めのルイ、立ち姿&クール視線★)。ウキウキ読んだものの今一つ盛りあがれなかったため萌にしました。最後とビジュアルは超好きなんだけどなあ。本編330Pほど+あとがき。シリアスよりなファンタジーがお好きな方でしたら良いのでは。

大学の考古学教室で助手として働く伊月。ある日10年前まで住んでいたあたりの古墳調査に同行していた時に、急な頭痛に見舞われたため、一人車に戻ろうとします。途中、雨宿りで入った洞窟で天井が崩れてきて・・と続きます。

攻め受け以外の登場人(?)物は
ケルベロスの分解された犬たち3匹(浅葱、紅、山吹)、麻耶(受けの恋人♀)、佐伯(冥界の住人、受けの元隣人)、元冥府の女王、考古学教室の関係者少々かな。山吹が可愛い♡

++攻め受けについて

受けは10年前に3か月ほど神隠しにあっていた方。いきなり冥府に連れていかれて目覚めたらケルベロス(頭は1)が話しかけてきて、「は?」となりますが、暴れるでも騒ぎたてるでもなく冷静なご様子。一回不思議な目に遭っているからですかね?めっちゃ健気という様子ではなく、ちゃんと考え良い方向に自分の足で進んでいく方という印象を受けました。

攻めは訳アリ冥府の王。冥府に迷い込んだ魂を見つけては、あれこれ聞いて慰め、そっと天界に返る後押しをしてあげるという、むっつり優しい王様です。あからさまにあれこれ優しいってんじゃないんですよね、ツンデレ?優しいってのを見せずにこそこそ優しくしている感じの方です。そうですね、こっちの方の方が健気!地味に健気なんですよ!!!

攻めが健気なのが好みでないのか、今一つはまらなかったですけど、攻め健気が大好物な方には堪らんのでは?と思う一冊でした。そして円陣先生ファンの方には必読の一冊と思います。P39の挿絵(攻め着衣立ち姿)なんか、見た瞬間に「”#&)’’==~」と声にならない悲鳴を上げましたよ。最高です。

5

ネタバレなしがオススメです!

表紙がめちゃカッコ良くて手を取ったのですが、
個人的に大好物な設定が詰まっててハマリました!

正直、タイトルだけを見た印象は、、、
 子供の時に行方不明になって記憶がなくて~~~、
 大人になってから再度異世界に迷い込んで~~~、
 実は子供の時に1度来たことある場所で~~~、
 同じ人に2度恋をするーーーみたいな?
 「今度は絶対忘れない(`・ω・´)キリッ」ってやつでしょ?

こういうの神隠しのセオリーだよねぇ。
とか思ってたら全ッッッッ然違ーーーーーーーう!!!
(失礼な思い込みしやがって ( `д´)⊂彡☆))Д´) パーン)

予想してなかった展開に興奮しながら読みました。
個人的にはネタバレなしで読んで欲しいです。
関係性とか知らないまま読む方が絶対面白い。

予想しなかった関係性に涙したんですよーーー!!!
めっちゃ良かった。好き…。

あ、ひとつだけ先ネタバレ。
表紙のめちゃカッコイイ長髪の王はDTという事実。
めっちゃ美味しいな!と思いました←

評価は神寄りです。
ちょっとご都合主義を感じてしまい掟の意味とは…?
となってしまったので1コ下げました。すみません。

でも、セオリー通りだろうと高をくくってたら
大好きな大好きな設定が急にぶち込まれた興奮堪らん。
小説はこういう出会いがけっこうあるから好き…!!


以下、ネタバレ含む感想になるのでご注意。
(※極力ボカしてるつもり…)


お話はタイトルにあるように冥府が舞台となります。

落盤事故に巻き込まれて死んだかと思ったら、
目を覚ましたら冥府にいた受け・伊月。

冥府の王・ルイ 曰く、
・落盤事故は悪霊の仕業なので冥府に責任がある
・なので生きて現世に返すことは約束する
・身体の損傷が激しいので治すのに1ヶ月かかる
・生者と深く関わるのはご法度なので王に近寄るな
・でも城内なら好きにすごしてていいよ!
とのこと。

で。伊月には過去に3ヶ月神隠しにあった期間があり、
記憶がポッカリと抜け落ち喪失感を抱いていたんですね。
けれど冥府にいるとその喪失感が取り戻せそうな感じで。

ルイが何か知っていると思った伊月は、
過去の記憶を取り戻すべく行動に出てーーーと展開します。


上に書いた神隠しセオリーは踏襲されてるんですよ。
冥府に記憶の鍵があるのもそうだし、
過去の神隠し期間に伊月が冥府にいたのもそう。

でも過去の神隠し期間中の冥王はルイではなかった。

え?え??どういうこと???
じゃあルイと伊月はどこで出会ったの???
ルイが伊月を助けた理由は悪霊以外ってのはわかる。
じゃあルイと伊月の接点はーー?となるのが面白い。

基本的に伊月視点で物語が進むんですが、
時々走馬灯のような別視点が挟まれるんですね。

これがルイの過去の記憶だとすぐわかるんですが、
もぅもぅ!切なくてキューーーーってなるんです!!
冥王になる前のルイと伊月の関係、
ルイにとって伊月がどれだけ特別か、
ルイにとって伊月をどれほどの存在か、
大きくて重い重い感情が流れててめっちゃ萌えました。

ルイにしろ、伊月にしろ、
相手を想うからこそエゴがぶつかり合ってしまって。
特にルイは自己犠牲が過ぎるので切ないんですよ!!

ルイの弱さ。
伊月の怒り。
どちらにも共感出来て涙腺が緩んでしまう(;////;)

明らかになっていく2人の関係性がド性癖なので、
走馬灯のように流れる記憶はハァハァしてました←
(まさかの萌えの伏兵!ありがたや!)

ルイは死者。
伊月は生者。
この違いもグッと胸を抉ってきますね。
どうやっても一緒には生きられません。

全体的に伊月のほうが強く前向きな印象でしたね。
やっぱり生があるっていうのは満ちてるのかな…。
未来がある現世と見送る日々の冥府では大きな隔たりを感じました。

あ~良かった。
風呂敷畳みがご都合主義なところもあったけれど、
伊月の選択もラストの余韻もすごく良かったです!

3

時を越えた謎解きラブストーリー

再会・幼なじみ・異世界ものです。

2度の神隠しに遭った伊月と、幼なじみの親友・類(ルイ)が10年の時を経て冥府で再会することから話が始まっていくんですけどね、これがまー最初から謎が多い。
・伊月が昔遊んだゲームの世界観の冥府。
・なぜか冥府内に見覚えのある部屋。
・過去に伊月の身に起きた神隠しと現在の神隠しの謎。
などなど。最初から違和感だらけの幕開けです。

でもこれはまだまだ序の口。伊月がなぜ冥府にやってきたのかとか、過去の神隠しと現在の神隠しの関連性や、伊月の抜け落ちた記憶……バラバラに散りばめられたパズルのピースが1つに合わさっていき、これまで隠されてきた伊月を取り巻く謎が紐解かれていきます。


1つだけ言っておきますと、冥王こそが伊月の親友だった男・ルイです。
彼がなぜ冥王になったのか、親友のときの記憶を失っていたのは何故か。…とかね、10年前の過去から現在までの伊月の知らない隠された真実がすごくドラマチックです。

親友を愛する強い気持ちから、このドラマが始まりました。
冥王ということは人間ではないということ。伊月は人間です。身を置く場所が異なる2人は、本来交わってはいけないルールがあるのですが、これを破ってまで伊月を守りたかった冥王・ルイ。
己の肉体が人間界になくても、伊月の中に自分の記憶がなくても、伊月を常に想い見守り、恋をし続けた優しい男の切なくて熱い一途な姿に、胸がギュッとなるのを抑えられません。

再会した2人の気持ちが通い合ったとしても、この恋情が許されるのは伊月の魂が冥府に存在できる1ヶ月間のみ。今の2人では禁断の恋にしかならないのです。
いつか別れがきてしまう2人の恋愛が辿る道筋は光か闇か、幸せか悲しみか…。互いに想い合う2人の未来は明るいものであって欲しいな、と。

それを受けての物語の結末に私はウルッときてしまいまして……彼らにとって時間という隔たりは何の障害にもならないのだと、改めて絆の強さ・愛の深さを感じました。終章の情景は幻想的でとても煌めいていて素敵でした。

もしかすると落とし所は色々とあったかも知れない。でも私は2人の立場を思えばこれは最善だったかなと思います。


あとがきにて作者さんが、「書くのが大変だった」と仰っていました。
…これはそうだろうなと思います。私もこのストーリー、複雑で繊細なお話だなと読みながら凄く感じていたので、作者さんの言葉にはすごく納得です。

物語の背景…現在・過去軸の出来事もそうだし、世界観もそうだし、そこに絡む2人の秘めた恋心(これも現在・過去の世界線がある)にしてもそうだし、気持ちが通い合ったあともね…これまた色々とあるんです。
作者さんはかなり物語の構築に試行錯誤されたんじゃないでしょうか。それでもこの複雑なストーリーをゴチャつかずまとめているのは凄い。独特の世界観や登場人物(ワンコたち含む)も面白かったです。

深くて一途な恋物語に浸りたい方におススメの作品です^ ^

3

神隠し、運命の恋

ルイ×伊月


個人的に現実と幻想のギリギリのラインを歩くという感じで、
かなり面白いと思う。


伊月が古墳の発掘調査中に落盤事故に遭って、
目が覚めたら冥府に迷い込む。
そこで助けてくれるのは、
ケルベロスたち?
なんと冥府の王様で、
イケメンで、カリスマ性があるルイ。

伊月の危機にはすぐに駆けつけて守ってくれるよね?
愛なんだね?

そのルイの傲慢さとクーデレっぷりがたまらない。

伊月は十年前にもこの冥府に来たことがあるとう疑惑が浮上して、
彼の神隠しの謎や意味が明らかになっていく。

その中で、

2人の過去には、
心の中にはさまざまな感情が渦巻いているのだろう。

ルイの奥に秘められた切ない感情がバキッとくる!

それに伊月がルイの偉大な愛情に翻弄される様子が愛しくて、
快楽の中に身を委ねるところが超萌える!

2人が向き合いながら、
中に眠っていた感情を解き放つ姿には感動だし、

ルイはあくまで冥府の王でありながら、
愛という感情がからみ合っているので、
個人的に2人の関係は背徳感や禁断に近い感じがする。
なんだがワクワクする。

円陣闇丸先生のイラストが、
冥府の王とケルベロスの超美麗でカッコイイ姿がギュッと詰まっていて、
もう見たことないぐらいヤバい!
それに伊月の穏やかな雰囲気も、最高で、私、めちゃくちゃ好き!

2人の成長と再生によって、
ひとつの世界では叶わない恋や絆が生まれる。
この作品の世界にどっぷり浸って、ハマってしまいました。

3

ストーリーとしては王道だが。

円陣さんホイホイされてお買い上げ。
櫛野さん作品はファンタジー物が多いイメージがありますが、今作品もファンタジー物。タイトルから推測できる通り、冥府の王、のお話です。






主人公は考古学者の伊月。28歳。
彼は10年前に彼の住まう集落が土砂災害に遭い、両親が急逝。
その時に、伊月は3か月間、行方不明になっていた。神隠しともいわれたが、行方不明になっていた時の記憶は一切ない。

ある日、伊月は著名な考古学者である恩師とともにその山に研究のために赴くことに。そしてそこで、伊月は再びがけ崩れに巻き込まれてしまいー?

というお話。

目が覚めた時、伊月をお世話してくれていたのは犬。
話す犬を見て伊月はびっくりするけれど、その3匹の犬たちはケルベロスだという。そして彼らが仕える主は、冥府の王・ルイ。ルイ、そしてケルベロスたちに手厚くサポートしてもらいながら、実体の身体のけがが治るまでという期限付きで冥府に滞在することになるが…。

うん。
ルイと伊月は、何かしらの繋がり、因縁があるんだろうなあ、と。早い段階でそう読めてしまうわけですが、でも、当の伊月にはルイに関する記憶が一切ない。この二人のつながりは一体?と、その謎ときも含んだ展開でした。

ちょっと激しいネタばれになるので、少し下げます。おいやな方はここでストップされてください。




*******************************************

ルイは、伊月の幼馴染の類。
過酷な幼少期を過ごした類にとって、伊月はまさにお日さまのような存在だったんだろうなと。

伊月だけは幸せに生きてほしい。
自分はどうなってもいい。伊月だけは。
そんな伊月への深い愛情が、怒涛の様に流れ込んできて思わず落涙しました。だからこそ、ルイはどんな手を使っても伊月に現世に戻ってほしかった。ぐるぐるしてるっていうのか、めんどくさいというのか、でもそこにルイの伊月への想いがきちんと存在しているのでめっちゃ萌えました。

そこに華を添えるのが円陣さんの挿絵。
ワーッと叫びたくなるほどの美麗イラストです。ヤバいです。カラーの口絵が最高すぎて、じっくりと眺めてしまいました。円陣さんの画集、出してはいただけまいかと切望しています。

登場人物も、そう多くはありません。が、どの人もめっちゃ良いの。ケルちゃんズはもちろん、女性が登場しますが(ネタバレ回避で詳細は書きません、ぜひとも手に取って読んでいただきたいです)彼女もいい。そして、類の養母も。

子を亡くし、夫の愛人の子を引き取らざるを得なかった彼女の苦しみがなんとも切なかった。類に対する言動は許されるものではありませんが、彼女の哀しみに寄り添ってくれる人がいたなら、と思わずにいられませんでした。

本誌はずっとシリアス展開っていうのかな。シリアスすぎはしませんが、コミカルな要素はほぼなし。そんな中、コミコミスタジオさんで購入するといただける特典の小冊子が…!めっちゃよかった。
これから買われる方にはぜひともコミコミさんで買ってほしいなと思わせる素敵な特典でした。

ストーリーとしてはよくあるお話、というか王道の展開です。
が、良い意味で王道のそれをなぞっていて、そこに櫛野先生らしいエッセンスが加わった、そんな1冊。評価で悩みましたが、円陣さんの美麗イラストも拝見できたので、ちょっぴりおまけして萌え×2で。

4

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