条件付き送料無料あり!アニメイト特典付き商品も多数取扱中♪
kanba no onimotsuchan
作家買い。
九重さんといえばモフモフ、あるいはファンタジー色の強い作品を書かれる作家さまのイメージが個人的に強いのですが、今作品もそのイメージを損なうことのない作品でした。
ネタバレ含んでいます。ご注意ください。
神さま、が、人間界を管理している世界。
人間たちは自分の欲のままに人を傷つけ、殺し合い、奪い合う。
あまりの醜さに、そんな人間たちの世界を壊してしまおう、とするのが、この世界を作った神さまであるチヌイ。
滅ぼされる側の人間の一人である山荷は、神の怒りを鎮めるための生贄として選ばれ捧げられるがー。
山荷、という男の子は、まさに薄幸ちゃんです。
九重さんの描く薄幸ちゃんて、本当に可哀そうな身の上で読んでいてちょっぴり萎え萎えになることもありますが、山荷もそう。男たちの外道っぷりに、チヌイでなくても滅してやろうかと思ってしまうほどです。
あっさりと人を殺めるチヌイですが、そんなチヌイに何とか笑ってほしくて奮闘する山荷だけれど…?
バックボーンとしては、もう、はっきり、しっかりドシリアスです。
ドシリアスな設定のお話なのに、ストーリーとしては非常にコミカルです。その大きな理由の一つが、山荷の性格。彼は亡き父の言いつけである「いつでも笑顔を」をモットーにしているからでして。でも、子どものころから客を取らされていた山荷には大人の男を喜ばれる術は「自分の身体」しかないと思っている。自分の命も身体も厭わない自己犠牲の塊でありながら、でもいつもニコニコしているので、見方によってはちょっと怖いかもしれません。
そのシリアスさとコミカルさが、さながらジェットコースターのように心を揺さぶってくるのです。
そしてチヌイの方も。
神であり、彼の思い一つですべてを滅することもできる。
が、そうなってしまったのには理由があってー。
切ないのにドシリアスなのに、コミカル、というアンバランスさが今作品のキモでしょうか。
山荷のもともと着ていた服はとある事情でなくなってしまい、彼はフルチンです。そんな彼に、チヌイは衣類を与えますが、この服がさー、誰チョイス?というダサさです。笑えます。
個人的に、九重さんのほんのりと漂うシリアスさとかダーク感は結構好きなのですが、今作品はそれがちょっと振り切れてるなー、という感じ。苦手な方はもしかしたらとことん苦手かもしれません。
あともう一点言わせていただけるのであれば、山荷には泣いてほしかったなと思いました。いつも笑顔の彼ですが、それはもちろん彼の性格もあるのだろうとは思います。でも、悲しかったり辛かったりすることもあるはずで、チヌイの前だけでは、心の底にある物をぶちまけて欲しかったな、と。
山荷が薄幸ちゃんなので彼救済のお話なのだと思って読み進めましたが、今作品はチヌイが救われるお話なのだと。読後、そんな風に思いました。
ファンタジーが好きなので、作家さん買いするお一人です。今回も神様と生贄という大好きな設定だったので、迷わず購入しました。
お話は、村を救うために生贄になった幸薄い青年と人間とその世界を作った神様の、愛を見つけて救済されるシリアス系でした。
救済されると書きましたが…ホノボノ系では全くなく、自分たちが楽しむために勝手に人間を作り、醜いからと勝手に絶望して殺しまくる…。神様とは名ばかりの存在が恐ろしく、一つも萌えられませんでした。
そして受けの青年も、異常な前向きさが逆に怖くて。いつもいつも笑顔なのが、悲しい過去のせいで心を病んだようにも見えて…楽しめませんでした。
一応のハッピーエンドでメデタシメデタシなのですが、メイン2人のキャラに全然入り込めず、求めていた癒しにも到達できず…。残念ですが、この評価となりました。