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1997~2001年にビブロスから出版された『あふれそうなプール』シリーズの文庫版です。
ビブロス版の方で既にレビューを書いてしまったので、こちらではビブロス版との違いについて書こうと思います。
収録されているのはビブロス版の5巻と6巻の内容丸ごと、そして今回描き下ろされた漫画です。
描き下ろし漫画は15ページなのですが、シリーズ本編が終わってからのお話且つ文庫本2巻の描き下ろし漫画の続きなので、読むのは本編を全部読んで文庫本の2巻の描き下ろし漫画を読んでからをお勧めします。
入谷が出演した映画が人気になって、最近は恋人がいるのかという質問をよく受けるようになった入谷。
心中では「いる」と答えたいのですが、それは俳優「入谷鉄央」には不利になる、と木津に止められます。
木津は相変わらず男前で、恋人としての入谷は何としても守るが、役者としての入谷は入谷が自分で守れ、と言います。
その後同じ質問を受けた入谷がTVで答えたのは…やはり入谷も男前でした。^^
好きになった男と親友が険悪で、自分の存在を無視して張り合っている。
同じところまで降りて来いと挑発する木津に、後悔するなよと受けて立つ良太。
そんな奇妙な状況にブチギレた鉄央は…とっても男前でした(笑)
鉄央の男っぷりに惚れぼれします。
荒んだ付き合いの結果しっぺ返しをくらい痛い思いし、友情を諦めない鉄央に目が覚める良太。
もう大丈夫…そんな風に思えたはずだったけど…、
今度は家庭の事情で木津にタイ(国外)行きの話がもちあがり…。
子供の頃って、こういう様々なままならない事柄に悩んだり怒ったり、
理不尽に苦しめられることがある。
高校時代の遠距離は、友情ならともかく恋愛なら離別を意味するくらい大きな出来事だろうし、二人の関係も危うくなります。
常に父親に振り回されて、二人の弟の面倒をみつつ、苦労している母を支え、不自由をしいられる。
そんな環境の中で木津は一人、早く大人にならざるを得なかった。
その上今度は国外で仕事を手伝えときたものだから、たまったもんじゃない。
何もかもが面倒になり、すべてを…鉄央も含めて何もかも切り捨ててやろうかと考えるまでにいたります。
クールに見えても心の中では嵐が吹き荒れているのです。
大人びているからといって、中身が本当に大人なわけではないですものね。
相談もせず、誰にも頼らない木津を見て鉄央は「そうやってお前は俺を殺すんだな。」と、人は一人では生きられないんだと諭します。
木津を心配する友達が何人もいることを、気付こうとしない木津に教えてあげるのです。
そして彼らが出した結論は…。
恋に愛に友情に…素晴らしい青春の2年間、ここに完結です。
出会えてよかったと思えた素晴らしい作品でした!
この3巻ですが、あふれそうなプール・スピンオフ「HIKONE」と
読み切り「手当たり次第にオスを刺す 君は最悪のキス」同時収録です。
「HIKONE」…評価 萌×2
“あの人は俺たちをこの世に繋ぎ止める圧倒的な鎖なんだ”
木津のお友達、彦根明良(アキラ)の荒れた中学時代のお話です。
家庭に居場所のなかった彦根は単独で暴走族の輩を個別に襲撃し、怒りを発散させていたが、罠にかけられチームのリーダー鷹巣に監禁されます。
他の暴走チームもまた彦根に制裁を与えたがっていた為、粛清ゲームにかけられることになり…追い詰められる彦根。
弱さを認め、怒りを抑えることをできなかった彦根の慟哭を鷹巣が受け止めるまでのお話です。
これは一応非BLかな? でも彦根は可愛いし、鷹巣はカッコいいので話自体は残酷なんですが(粛清ですからね)最後はホッとできます。
そんな彦根も高校性になり、鷹巣が最後につぶやく言葉に悶えさせられる。非BLでも妄想力でニヤニヤさせられた作品。(笑)
キーワードは、十代・族・制裁・監禁・粛清。
「手当たり次第にオスを刺す 君は最悪のキス」
…評価 シュミ外(ゴメンネ萌ヲ見出セナカッタヨ)
“俺とあいつの地獄への道行”
傲慢な轡とクールな真条の暴力的なお話。(共に高校生です。)
轡(くつわ)は政治家の父を持ち、マンションに一室を与えられたボンボン。
傲慢で、幼馴染の同級生大矢を教室で好き勝手に抱いて放置したり
(これ、真条の前でやるんです)やりたい放題です。
ゴロツキに真条を襲わせ、弱ったところを襲って自分のモノにしようとするのですが、真条もまた凶暴な悪だった(笑)
殺す勢いでやり返して轡のキスは最悪だと、「女にはならないけど、道連れになってやってもいい。」と、まさかの地獄への道行を約束する。
これもある種の愛!凶悪なコンビで将来が恐ろしい相棒誕生のお話でした(笑)
キーワードは暴力・道連れ。
※あふれそうなプール文庫版は各巻末に鉄央と木津が大人になってからのおまけ描き下ろしもあります。