孤独な神竜は黒の癒し手を番に迎える

kodoku na shinryuu ha kuro no iyashite wo tsugai ni mukaeru

孤独な神竜は黒の癒し手を番に迎える
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神4
  • 萌×25
  • 萌5
  • 中立0
  • しゅみじゃない3

--

レビュー数
4
得点
55
評価数
17
平均
3.4 / 5
神率
23.5%
著者
寺崎昴 

作家さんの新作発表
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イラスト
ヤスヒロ 
媒体
小説
出版社
三交社
レーベル
ラルーナ文庫
発売日
電子発売日
価格
ISBN
9784815532765

あらすじ

天を操り恵みをもたらす、霊脈イオナドの神竜。だがここ数年、悪天候が続いており、その怒りを鎮めるべく黒髪・黒い瞳の呪われた子、クロウが生贄として捧げられた。 山頂に辿り着いたクロウが出会ったのは傷ついた美しい男、人の姿をした神竜バラウルだった。彼は生贄など求めてはいないと言うが、クロウが治癒魔法を施すと不思議と天候は回復。 一方、バラウルに何かを命じられるとクロウはかつてないほどの喜びに満たされて…。 癒しのDom/Subファンタジー。

表題作孤独な神竜は黒の癒し手を番に迎える

霊脈イオナドの神竜
神竜に捧げられた生贄,18歳

その他の収録作品

  • イナオドの神竜たち
  • あとがき

レビュー投稿数4

ユニークで面白い

変化球ついたDom・Sub作品。面白かったです。
オリジナル性があったのに難しく無くて読みやすくてスルッと読めたのが嬉しかったです。オメガバのような運命の番要素もあり、2度美味しい感じでした^ ^

Dom・Subというと、支配と従属がワンセットなのはお馴染み。それが番となる相手のみに有効となる関係で…というのが、このストーリーの要になっています。
神竜バラウルと癒しの力を持つクロウは、クロウが生贄としてバラウルに捧げられたことをきっかけに出会いますが、「番」だとビビッときたのはバラウルだけ。クロウはバラウルに仕えて役に立ちたい気持ち一択で奮闘していきます。

クロウがバラウルに惹かれていくのも時間の問題。というのも、バラウルがクロウにめっちゃ優しい…。クロウは生贄になる前は、村人から総無視されていて不憫な境遇で過ごしてきので、優しいバラウルに温かい気持ちや愛を抱くようになるのは自然な流れと言えます。だけど、クロウはこの感情の答えが分からないし、バラウルに好きだと告白されても、自分たちは「番」だと聞かされても、その場ですぐに答えが出せるほど自分の気持ちに整理がついていません。

ここで褒めるべきは、バラウルの行動。
支配欲でクロウを服従させることだって出来るのに、ちゃんとクロウの気持ちを尊重してあげています。番という関係であっても、そこに相手を愛している気持ちが伴っていなければ意味がないと、無理やりクロウの気持ちを奪うことをしなかった。Dom・Subの本能に依拠しないという気持ちこそがバラウルのクロウへの愛。…めちゃくちゃ良いヤツだよ、バラウル!


バラウルの嫉妬や感情がそのまま天候に左右されるというのが、ユニークな設定で面白かったです。男でも女でもクロウに接触すると天候が荒れるって何やねん(笑)あと、不安定な発情コントロールがうまくいかないと天気が荒れるとも。……つまり、クロウと両想いになることでしか安定的な天候調整がうまくいかないってことなんですよね。
天候の安定はクロウが握っていると言っても過言じゃない。番ケンカしないように気をつけないとですね^ ^


生贄からの出会いが愛に発展し…というのはよくあるパターンですが、そこにDom・Subや番設定が入ることで、またひと味違ったオリジナル性が出ていたと思います。
基本的には溺愛ものだと思います。意外にもバラウル視点が多くて、クロウへのジクジクした愛を強く感じました。溺愛好きな私は満足です。


最後は2人が未来永劫共に生きていくんだと分かる素敵なエピソードが綴られていました。読後感の良い結末にホッコリとしました。

3

竜と人間のDom/Subユニバース

今回はイオナド山の神竜と生贄に選ばれた青年のお話です。 

生贄であった受様が攻様の隣で幸せを掴むまでの本編と
攻視点での後日談を収録。

霊脈イオナドの麓のガルズ村は村人の多くが銀髪青眼で、
霊脈の恩恵により誰もが3才を過ぎれば
魔法が使えるようになります。

ところが受様は村人の両親から生まれるも
黒髪黒眼で3才になっても魔法が仕えず
村人から凶兆、呪われた子と呼ばれるのです。

6才を過ぎると治癒魔法だけは使えるようになりますが
両親が相次いで亡くなり、自給自足の生活を強いられた上に
原因不明の頭痛にまで悩まされるようになった受様は
生きる事に憂うようになります。

そんな時に村長が山の天候の乱れるのは
山に棲む神竜の怒りのためだと
受様に生贄となるよう命じるのです。

生贄の条件は18の年になる頃まで純潔であり
身体の成長とともに頭痛や倦怠感などの不調が現れる者で
受様は村のためにと村長の命に従うのです。

受様は数日分の水と食料のみでイオナド山頂を目指しますが
慣れない山登りに中腹で休むことにします。

そこで鳥達が騒ぐ場所を覗き込むと
見た事のない金髪で顔立ちの整った大柄な男性が
怪我をして倒れているのを発見するのです。

受様の呼びかけに目覚めた男性の瞳は赤く
更に受様を魅了しますが
彼が受様を睨みつけて誰何すると激しい雷鳴が轟き
土砂降りの雨に変わってしまいます。

しかも男の放った言葉によって
受様は脳を揺さぶられるような感覚を覚えるのです。
この不思議な男性はいったい何者!?

神竜としての力が定まらない攻様と
攻様への生贄となった受様のDom/Subユニバースです♪

受様が見つけた美丈夫こそがイオナドの神竜であり
今回の攻様になります♪

受様は攻様の傷を治癒魔法で癒し
攻様こそが神竜だと知って生贄になろうとしますが
攻様は霊脈の魔力で生きているために
そもそも食べる必要性すらないのです。

居場所のない受様は攻様の傍にいたいと願い、
攻様は自分を恐れない受様を面白いと
共にいる事を許すのです。

私は好き作家さんの新作はあらすじ未読で購入するため
本作がDom/Subユニバースと知らずに読みだしたのですが

本作の設定では
Dom/Subの概念はあまり世間に浸透しておらず
概念を理解しているのは攻様のみなので
攻様は当初から受様は自分の番であると知ってもいます。

受様は素直に攻様大好き♡って感じなのですが
攻様は受様が攻様に従うのは
Subという本能故では!?とぐるぐるして
天候を乱したりするのがとっても面白かったです。

異種族のDom/Subユニバースは初めてでしたが
攻様のためにと頑張る受様が
攻様の隣に並び立つに相応しいと認められ
受様が攻様の隣で幸せになるまでワクワク&ドキドキ
楽しく読ませて頂きました。

1

domsub入門編

 最初から最後までほっこり。
 しっかりDom/Subユニバースという訳じゃない(もうひとつの性別〜とかサブドロップ〜みたいなややこしいワードはない)から、「domsubならよく分からないしやめとこうかな……」って人でも気軽に読める。
 マイナスな感情・感想は特にない平和な話だった。
(邪龍、悪魔扱いするあと男には少しだけモヤっとしたけど)
 エピローグの痴話喧嘩が可愛すぎる。民の「雷雨だけど、どうせ一瞬で虹がかかる笑」みたいに思われてるのも可愛い。

 本文とは関係ないが、セリフのカギカッコが半角な上にカギカッコ前に空白入れているせいで、隣の地の文とズレているのが気になった。電子だけ?

0

シリアスとほのぼののバランスが絶妙。

作家買い。
寺崎さんの新刊は、竜が登場するファンタジーものでもあり、Dom/Subものでもあるという、1冊で何度も美味しいストーリー。ということでレビューを。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。





神竜と呼ばれる竜がいて、彼らは天候をつかさどっている。
神竜が機嫌を損ねると天候が荒れ、なのでときどき生贄を捧げている、という世界観のお話です。

クロウは黒髪に黒い瞳を持つ18歳の青年。
彼の住まう村は、人々は銀色の髪に青い瞳を持って生まれてくる。ゆえに、黒い髪に瞳を持つクロウは「呪われた子」と呼ばれ村人たちから忌避されていた。しかも、魔力を使うことで人々は火や水を扱えるがクロウにはその能力はなかった。両親はすでに亡く、孤独と飢餓に付き纏われながら生きてきたが、そんなクロウに告げられたのは、神竜の生贄になれというものだった―。

クロウが可哀想で、でも薄幸受けちゃん大好物なので序盤から一気にこの作品の持つ世界観に引きずり込まれる形で読み始めました。

とはいえ、神(正確には神ではないですが)に捧げられる薄幸受けちゃん、ってBLではテッパンな設定でもあって、よくあるお話かな?とも思いつつ。けれど、今作品はその王道なお話とは一線を画す展開です。

その理由の一つが、Dom/Subという因子。
が、私が知っているDom/Subものとも、少し違う設定でした。あとがきで寺崎先生も書かれていますが、オメガバとかDom/Subものは、作家さま、あるいはその作品ごとに細かい設定がちょいちょい異なります。それが面白さでもあるのかな?

神竜・バラウルとクロウは出会ってすぐに惹かれ合いますが、その理由は…、と続きます。

寺崎さん作品らしいファンタジー要素を盛り込みつつ、二人が少しずつ心通わせていく展開で、序盤から推測したようなシリアスさはほぼありません。この二人のやり取りが非常にハートフルだからして。

が、ほのぼのなだけでもない。すれ違い、勘違い、そしてクロウの過酷すぎる過去の環境などが加わり、切なさも甘さも加味されて、そのバランスが秀逸でした。

この二人はとある理由から早々に身体の接触をするに至りますが、これがまたエロい。ただ、Dom/Subものだからか?バラウルの口調が命令口調だったのが個人的に萎えポイントでした。バラウル自身は非常にナイスガイなので、あくまで「その時」だけではあるのですが、まあ、この辺りはお好み如何といったところでしょうかね。ただ、SMとかDom/Subものは、二人の信頼関係や深い愛情あってこそ身体的な痛みすら昇華する、というものだと思っているので、今作品のキーポイントである「Dom/Subもの」という部分に今一つしっくりこない感がありました。

が、クロウの過去や、二人のすれ違い、終盤に巻き込まれるトラブル、を経て、最後の二人の姿にほっこりするやら笑えるやら。最高な終盤でした。

そして挿絵を描かれているヤスヒロさん。
初めてお見掛けする絵師さんでしたが、絵柄がとっても綺麗で、作品のイメージにもぴったりで、めっちゃ良かった。

王道のそれに、寺崎さんのエッセンスが加わった、優しく温かな作品でした。

4

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