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paranoia escape
ストーリーはいたって普通です。
体以外に自分の魅力が無いと思ってるし、それ以外に関係を築く方法が分からない受けのシン。
「誰かに自分を好きになってほしい」と願いながらも不特定多数のセフレを持つことをやめられない。
そんな受けがたまたま出会った好みの外見の男性が攻めのマキくん。
本当に劇的な出会いでも無いしなんのきっかけもなく、単に好みってだけのシンプルな理由で「この人に選ばれたい」と思うようになる。
マキはマキで「面倒な関係お断り」みたいなスカしたやつなんですが、「俺なんて体だけしか無いから」と自虐的なことをサラリと言ってしまうシンをほっておけなくなってしまい、「普通の恋愛の練習」と称してデートしたりするうちにシンにハマっていきます。
言ってしまえば、いつの間にか攻めの方がズブズブに受けを好きになってしまうBL王道ストーリーなのです。
でも私は妙にこの作者さんの描く絵が性癖に刺さってしまうようで、特に攻めを艶かしく描いてらっしゃるなぁと。
普通受けにトーン貼りがちなのに、この作者さんは攻めのまぶたや唇にトーン貼るんですよ。
めっちゃ色気がプンプンです。
目線の送り方や髪型の変化バリエも攻めに特化してるし、服装とかも含めてとにかく攻めの魅せ方すごいなぁと。
セックスのときも、
スカしてた攻めが受けのテクによって早くイカされてしまい情けない感じ→とろけた顔してた受けが掛かってきた電話に出たことで「すぐ動けるってことは演技だったの?」と疑い出すという、なんとも攻め寄りな心理描写。
こういう展開、私にはとってもツボでした。
攻めの性格もカッとしやすくキレやすいし嫉妬深い直情型で、クールぶってるのに分かりやすいから可愛く見えてしまう。
この作品はとにかく攻めを魅力的に描くことを意識して作られてるんだなぁと。
これで同じくらい受けにも力を入れてくれればなぁ。
設定としては可哀想な子だから、もっと掘り下げて欲しかったです。
個人的に今後が気になる作家さんになったので、次作を楽しみにさせていただきます。
誰かに本気で愛されたいのにいつもセフレ止まりになってしまうシンが、花屋のお兄さん・マキに一目惚れするところから始まるお話でした。
花を買ったり手入れの仕方を聞いたりして順調に仲良くなるものの、気持ちを伝えるより先に身体の関係を持とうとしてしまう恋愛不慣れなシン。
恋をしてもどうやって進展させたらいいかわからない様子にちょっぴりハラハラしたけれど、いきなりフェラされてもマキは怒りも驚きもしないし恋愛をするための練習相手になると言い出した時点で、このふたりは拗れることなくくっつくんだなーと想像できてしまいました。
普通にデートしたりセックスしたり、嫉妬したり勘違いしたり…色々とエピソードはあったのですが、どれもあっさりめだったのであまり印象に残らず…。そして頭の中で考えていることを見ている部分が多くて、行動を文章で説明されている感じになってしまっていたのがもったいなかったな、と。
身体のラインがすごく綺麗に描かれていたり感情によっての表情の描き分けが上手いなと思うところが多かったので、余計に残念に思ってしまいました。
でも最後にはふたりが幸せなところに着地して、少し先の未来も一緒にいるのを見ることができたのは嬉しかったです。