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kono te migi
1ヶ月に渡る物語の完結です。
とーーっても濃厚なストーリーでした。
前巻で感じていた疑問の回収と、かずとと歩和のBL展開、歩和をレイプしていた奴らへの制裁に終始するだろうと思っていたら、それに加えて新たな問題も出てきて、これがもう…本当に苦しい。
前巻で感じた疑問解決を1つだけ。
歩和は未来でかずとに消されて、過去に戻ったことになっていました。かずとは過去の"かずと"なので、当然歩和の記憶がないのですが、歩和に触れて名前を呼ぶと、それまでの歩和と過ごしてきた未来の記憶を全部取り戻しました。そして過去だから歩和がレイプされたという事実もありません。
しかし歩和がレイプされることを回避した結果別の被害者が出ることになり、その事件の顛末とその後の加害者たちとの一悶着が、最後の最後まで続きます。結構なページ数あるので、この事件の完全な幕引きは一筋縄じゃいきません。そしてかずとと歩和を苦しめる問題が別で発生するので、気分的にはずっとダークモードです。
ストーリー的に、シリアス・ダークが8割で、2人のあまあまが2割ほど。しかもミルフィーユ状に交互にやってくるので、全然あまあまに浸れない(泣)
2人に関わる様々な登場人物の、怨恨・愛憎・復讐・憎悪が絡み合っていくストーリー展開は実にしんどい…。何度、もう…勘弁してよと思ったことか。これだけのボリュームですから、サラッと流してくれません。メンタルの弱い私は何度も心が折れそうにました。作者さんドSなのかな…かずとと歩和に試練を与え過ぎじゃないですか?(^^;
でもですね。2人の味方となる歩和の継父が本当にオアシス!彼の存在は神でした。もう大好き。
深くて詳細な描写で彼らの心を追い詰めていく構成は確かにツラいけど、でもそれがあるからこそ救済も深い。やっと2人が心から安心できる状況になったときは、やっと解放されたね…おめでとう。と安堵の気持ちで胸がいっぱいでした。
クズでバカで憐れで欲深く利己的で救いようのない人間たちに振り回されて、平穏な生活を壊された2人が本当に不憫。でも彼らはやり直した世界で、“消せる力”を使わずして乗り越えました。
消せる力はそんなに重要じゃなかった。消せる力は物理的に相手を消滅させるただの手段でしかなく、心に負った傷や悲しみまでは、掌の力をもってしても消せないのです。
心も身体も傷付けられたことがたくさんあったけど、共に悩み、手を取り、慈しみ、深く愛し合い…2人が重ねてきた経験や想いは一層深い絆で結ばれるようになったことでしょう。“消せる力”を持っていたとしても、この2人の固い絆は消すことができない尊いものなんだなと思いました。
お互いに信頼し合った愛が根底にあったから、胸くそ悪い事件が2人を襲ったとしても、その先にハッピーエンドがあると期待の気持ちを持って読み終えることができました。
シリアスとダークな要素満載でしたが、登場人物たちの心理描写、ストーリー展開と構成は非常にすごい。
掌の不思議な力は、かずと以外にも持つ人物が現れました。その人物が誰なのか気になりますよね?…でもそれは、ぜひ「このて 右」を読んで確認して下さいね^ ^
「このて 左」のかずとの表紙と「このて 右」の歩和の表紙。表紙を繋げると2人が手を繋いでいて2冊で一対になっている構図が素敵です。
最後。歩和の記憶障害についての描写がありました。半日に一回かずとに名前を呼んでもらわないと記憶を失ったままになるとのこと。彼らは「離れないよう傍にいろ」ってことなんだね、と話していました。
2冊の表紙は2人の姿そのもの。だって2人は心身ともにニコイチだからです。
「どうかこの2人にとって掌の力が素晴らしい結末への導きとなりますように」と願った「このて 左」読後の私の思いが、見事に叶った素晴らしいエンディングでした。極彩色を帯びた幸せな2人に、喜びと温かい気持ちで胸がいっぱいです。
「このて」の下巻にして完結編。
上巻は「このて 右」、で、下巻の今作品のタイトルは「このて 右」。
このタイトルの意味が、読み進めるごとに分かってくる仕様になっています。
上巻でハナの正体に気づいた一人。
そして、ハナ、もとい歩和の壮絶な過去に対面した一人は―。
というところから下巻はスタートします。
その人それぞれが持つ「正義」「正しさ」そして「愛情表現」は多種多様なわけで、どれが正解、というものはない。そして、そのことを描くために今作品ではレイプであったり不倫だったりというバックボーンを用いて描いていっているので、とにかく痛いですしどんよりとした気分になる。
が、そこに一人が持つ能力を加えることで、シリアスなだけではなく、痛いだけでもなく、独特な作品に仕上がっていくのがさすが朝丘先生というべきか。
ドシリアスなバックボーンなのですが、今作品が描いているのは深い愛情です。愛した人を守るために自分ができることは何か―。
時にすれ違い、間違いながら、彼らはそれでも自分の正義と愛を信じてまっすぐに歩く。不器用な彼らの想いが、読んでいてぐっと胸に迫ってくる。
そして、作中、あれ、このSSは誰視点…?と思うエピソードが盛り込まれていますが、その描き方も秀逸でした。主人公はあくまで一人と歩和ですが、彼らを取り巻く周囲の人たちの感情がひっそりと描かれているさまが秀逸。
歩和の過去、周囲を取り巻く人物たちがあまりに外道な中、彼の義父の存在はまさに正義です。彼のお話も読んでみたいと思いますが、BLにはなりえないのが残念。
「このて 左」の表紙は一人、そして「このて 右」の表紙は歩和。
二人が繋いでいる「て」にも、表情にも、萌える。
ファンタジー要素を盛り込みながら、意外なほどリアル。
一人、そして歩和という男の子たちが現実にも居そうな等身大な男の子たちだからかも。
いつでも、どこでも、何度でも。
彼らは出会い、そして恋に堕ちる。
唯一無二の存在。
「このて 右」を読んだときには思いもしなかった結末に圧倒されました。
人によっては苦手な因子がてんこ盛りなので注意が必要かと思いますが、一つのお話として読んだときにこれほどまでに刺さる作品もそうそうない。萌える、萌えない、という次元を超えて、めちゃめちゃ面白く、読みごたえのある作品でした。
前巻でメリバ(人によってはバドエン?)な終わり方を選択した2人。あの海岸から歩和がレイプされる日に戻っていた。そして歩和の名前を聞いたことをきっかけに一人も全てを思い出した。
2人は前回の選択を教訓に、違う道を選ぶように生きていくが、全てが大円団とはいかなくて…。
人生は思うようにはいかないんだよと朝丘先生から諭されるようでした。やり直しの人生を送っても結局他人を変えることは出来ない。片山たちは所詮クズのまま。そして立場や見方が変われば人の印象だって変わる。ホントに本を通してだけど人生勉強をさせてもらっているような気分でした。
やり直しの生き方をしているのだから前回のような終わり方はしないはず…!という僅かな望みだけでどうにか完走出来ました(¯―¯٥)
まだ未消化な部分も多いのでレビューを書くことを躊躇ったのですが、1度目の感想で言うとこんな感じです。でも結末を知って読むのではまた違った感想も抱けそうなので、繰り返し読むのにピッタリな本かな、と思っています。
上巻読んでからひと月以上経ってました。
下巻のあらすじを読んで彼等の向かう先がどうなるのか凄く心配でした。
評価も凄く迷ったのですが、伏線を丁寧に回収してて個人的には満足でしたので神評価と致しました。
『このて 右』はやはり「一人とハナ」の続きでした。簡単に言うなら「一人と歩和」で海で消えた2人が過去に戻ってやり直すお話です。
ただこの過去があの時間軸のお話なのか、または違う時間軸なのかは本人たちにも分かっていません。
こちらの過去では歩和がレイプされて無いし、一人も警察に罪に問われることもしていません。2人で慎重に過去の出来事を回避しようと生きるのですが、上手く躱したこともあれば違う形で降り掛かることもありました。
そして違う形を取りながらも必ずことは起こるのです。なんて残酷で現実的な世界観なんだろうと唖然としました。
それぞれの正義でもって行動する人々のなんと身勝手なことかと嫌悪感も覚えました。
途中辛かったのは歩和が攻撃的になって一人とすれ違ってしまったことでしょうか?
同じことを経験して「消す」ということがどういうことか学べた一人と、狭い世界でしか物事を考えられない歩和は年齢と経験の差が出たのかと思いました。この辺りが本当に読んでて苦しくなりました。
『このて 右』には「ひとひかり」の中に指の名前が付いた章があるんですが、一人と歩和以外の第三者視点で描かれているんです。このお話とは全く関係ないエピソードが書いてあるのに、サラッと2人に関わって来るのが凄いと思いました。このお話の本質を際立たせていました。
不倫して愛人と妻を殺してしまう夫の話と、一人の策略によって愛人と妻とも別れた斉城の対比が感慨深かったです。
2人が生き直した世界での歩和をレイプした犯人たちの末路、娘を思って行動を起こした父親と父親の愛情を信じた娘、斉城との恋を終わりを一人への嫉妬と恨みに暴走した女性。
生き直した世界は2人だけの甘やかな箱庭ではなく、否応無しに他者と関わらざるおえない残酷で優しい世界でした。
個人的には歩和の義父である久家が好きなキャラでした。一人に語ったどうして歩和の母親と結婚したのかという話がとても深かったです。
対して一人の母親の話には驚きました。どうして一人という名前を付けたのかだとか、一人がずっと罪悪感を感じてた弟のこととか書いてあり、彼女がどういった人だったのかが良く理解出来ました。
一人と歩和には幸せになって欲しいと心から思いました。決して読んでて楽しい作品じゃないし重い内容ですが、読み応えがある良作だと思いました。
下巻にあたる、このて右、ですが。
このて左での引っ掛かりポイントが、ちゃんと回収されていて読後はめちゃくちゃ良かったです。
朝丘さんの作品は「あめのかえるところ」で、私には向いてないかも…と思っていましたが、本作品もそちらより。にも関わらず素晴らしいという感想なのです。
いわゆる萌や胸にグッとくる、というものではないものの、物語としての骨格がしっかりしていて、すごく広い範囲を描いているのに矛盾がない。
上巻では、コレBL小説の必要あるのかな?とも思いましたが、下巻で起こる出来事、その内容にちゃんと活かされていて、あぁ男女ものではちょっと難しいだろうなってところもあり、うまく組み立てられていました。
そして、究極に大切に想い合えている一人と歩和。
彼らの関係はそんじょそこらのCPが太刀打ち出来ないんじゃないかと思わされました。
そして歩和の義父がなんとまぁ良い役目で、そして尊敬すべき人物として描かれます。
対象的に、一人の上司の斎城は、、、いや、こういう人いるよね、確かにいる。しかも決定的には悪者にならないっていう…。
凄くリアルなのにパラレルワールドや非科学的なことまで出てくる不思議なお話でした。
ただ、BL小説として私が求めるものとはちと違ったので神には出来ませんでした…
受けが情緒不安的すぎて…感情の起伏についていけませんでした。
許せないことは許せない、殺したい、消したいと綺麗ではないドロドロとした感情をストレートに言える子なのは好感が持てるけど、けど…私の中で首を傾げてしまう部分が多かったです。
あと言葉遣いで躓くことが何度かありそれも物語に入り込めない一因でした(「久家さま」は畏まりすぎだし…とか)。
あと何より私は斉城さんという人間を理解できない。ずるくてだらしなくて上司として信頼できる姿があったとしてもそれにしてもマイナス。
ラストも不倫相手と元妻が仲良くするなんてあるか…?都合良すぎでは?と。またその2人とも交流をしている歩和のこともまた理解できない。歩和がそういう人間なんだと物語を通して分かっても、読者としての感情は置いてきぼりで私だけずっと憤っている、ずっと許せないと思っている。私の価値観とは違うんだなと。そういう意味で趣味じゃない〜中立評価。
とりあえず恋愛ものとしてみると、うーん。です
恋愛の起承転結を期待するとしんどい。
メイン二人の思考が偏りがちで、共感できたら面白いのかもしれないけど、私は難しかった。
守ってもらってる事に思うとかがあるなら、もう少し自衛を頑張ろ。って思うかなぁ
消してくれてありがとう。でなく、消す事で苦しい思いをさせてごめん。って思える子が好きっす
もう二度とあんな思いさせない。って思える子がいいなぁー