いまさらお前のいない夜はいやだ

5分後に孵るのを待ってる

5hungo ni kaeru no wo matteru

5分後に孵るのを待ってる
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神29
  • 萌×222
  • 萌9
  • 中立3
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
13
得点
263
評価数
64
平均
4.2 / 5
神率
45.3%
著者
チ点日子 

作家さんの新作発表
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媒体
漫画(コミック)
出版社
一迅社
レーベル
gateauコミックス
発売日
電子発売日
価格
ISBN
9784758024570

あらすじ

世話焼きの孝己は、いつでもどこでも寝てしまう体質の沙世と幼馴染同士。
家族のように生まれ育ってきたが、物心ついた頃から沙世へ特別な想いを密かに寄せていた。
大学生になり同居を始めるも、お世話係として変わらない日々。…ひとりでは何もできない沙世が自分にだけ縋ってくるようそばに寄り添いながら……。
お互いが何よりも大切な存在であると分かりつつも、幼馴染以上にはならない二人。
恋を知らない沙世とは一線を超えられず、持て余した熱は夜な夜な外で発散していた。
一方、自分の知らない匂いをつけて帰宅してくる孝己に沙世は、幼い頃のとある出来事を思い出して――。

【描き下ろし19Pあり】

表題作5分後に孵るのを待ってる

沙世の幼馴染で大学生
大学生

同時収録作品5分後に孵るのを待ってる

孝己の友人兼セフレ(リバ※性描写なし)
大学生 (リバ※性描写なし)

同時収録作品5分後に孵るのを待ってる

その他の収録作品

  • 描き下ろし

レビュー投稿数13

同じ愛じゃなくても

久々にお腹にずっしりじんわりくる作品でした。

絵柄が個性的で可愛くて、ストーリーにかなりマッチしていて大好きです。

作中でハッキリ明言はされていないのですが、さよはいわゆるアセクシャルなのかなと思いました。そもそも恋愛感情が生じない。たかきはそれを「まだ」目覚めていないだけ、いつかはもしかして……と騙し騙し期待してしまう。そんな様子が卵からの孵化を願うという形で表現されているのだなと感じました。
ここまでの事情を踏まえるとバッドエンドまっしぐらか!?といった感じなのですが、ご安心くださいちゃんとハッピーエンドです。


さよはたかきに対して「いつかおまえと名前のない家族になりたい」と感じていて、これはもはや人類の最上級の愛だよな…と思います。同時に、たかきは性欲と恋愛感情を含んだ愛でさよを見つめ続けているわけだからままならなくて悲しいな…とも。
間違いなく愛し合ってるのに形が上手くピッタリになれない苦しさがあります。

たかきはセフレがたくさんいて、男も女も攻めも受けもで性的に乱れた生活をしているのですが、事の発端は幼少期に受けた性暴力です。(ハッキリした描写ではないのですが苦手な方はご注意を)
この際に恐怖と共に感じた「ずるい」という感情が今まで読んだとこがないものでおお…となりました。
さよに全部をしたいけど、さよが大事だから酷いことをしたくない。酷いことの中に普通の性的なことも含まれて…というところで、さよの体質や性質よりむしろたかきの苦悩がこのお話の最大の難所だったわけですね。
性欲って同じ熱量で向け合っていないと普通に暴力なんだなって再認識できてハッとしました。

ちなみに作中で2人の性行為はあります。さよは肉体的な反応はあれど恋愛的に好きな人としている高揚はないので、いわゆるBLらしいラブラブちゅっちゅセックス!的な派手な盛り上がりはないわけですが、その辺の塩梅がかなり上手くて好きです。
(淡々としているけど全然物足りないわけじゃなく…補足ですが作者さんが同人作品として出しているちょっと後のお話?でもうちょっとその辺りも関係が進んでいるようです。えっちだった…)

恋愛感情を抱かないことは当然病気ではなく、治る治らないのそれじゃないので、さよは最後まで恋愛や性行為にはピンと来ないのですが、そもそもの性格が男前なのでしっかりとたかきを受け止めて2人の人生を生きていきます。

お互いの献身が身を結んで、2人なりの愛に落とし込まれていく様子が本当に素晴らしかったです。刷り込みって悪いことじゃないですよね。そこに至る過程にはずっとお互いの意思があったわけですから。


最後にさよがプロポーズ的な宣言をして卵(リアル)が割れて2つの黄身が寄り添っている描写で終わるのですが、本当に良かった…!と涙が出ました。

全体的にセリフや表現がかなり上手くて、めちゃくちゃ刺さりました。きっと何度も読み返す作品だなと思います。


すごい愛の物語でした。

0

依存でも刷込みでも二人はこのままでいい

大学生の孝己は幼馴染みの沙世と暮らしている。沙世はいつでもどこでも突然眠ってしまう病気で、孝己はまるで母親のように微に入り細に入り沙世の面倒を見ている。
沙世がいつでも自分を頼れるように、優しくくるむようにして日々を過ごしてきたけれど、そういう意味で沙世を好きな気持ちを持て余す。
一方で沙世の方も、孝己が自分の前から去ったらどうなる?などと考えるようになる。このままで居たい気持ちとのせめぎ合いが丁寧に丁寧に描かれたお話。

絵柄に派手なところはないのに不思議な魅力があって、最後まで集中して読みました。最後まで読んで、それからもう一回初めから読みました。
日常が淡々と描かれていますので見逃してしまいそうですが、出来事的にも心情的にも結構なドラマが内包されていて、2回目読んだときに沙世の成長(というかジャンプアップ)を思い知り、よくよく考えたらクズでヘタレな孝己の方が沙世に救われていることを再認識しました。
お互いがお互いを必要としていてつなぎ止めたくて、これは依存なんだろうか、刷込みなんだろうか、でも完成形ならばもうずっとこのままでいいよね、と思わされました。
象徴的なのが、孝己が沙世に言った「俺より一日早く死んでね」という言葉です。孝己は最後まで看取りたいんですね。沙世を残して自分が先に逝くのは心配で、さりとて沙世のいない世界で生きたくはないから「一日早く」なのですね。深い。
「5分後に孵るのを待ってる」というタイトルも、よく練られていて深いと思いました。

脇キャラの蜂須賀くん、出番が少ししかないけど、孝己のセフレで親友で、二人の関係もよく知っていて、同じ学部の沙世のために講義のノートをとってくれる(孝己の依頼)やさしい人。見た目とのギャップでとてもモテそうだけどセフレは孝己だったという、こちらにもドラマがありそうでとても良かったです。
同じく脇キャラのたつきちゃん、キャラが激しすぎて出番一瞬なのに強烈な印象。孝己のことをタカシと呼ぶのは何故なのか分からず色々謎のままでした。こちらは逆に居なくても支障なかったような。

0

自分の傍にいてほしいから、で十分だよ

 ラフなタッチではあるのですが、とても印象的な瞳の描き方と間の取り方で物語にぐっと引き込まれました。ナルコレプシー的な症状を持つ沙世への刷り込みの結果を、孵化に例えるのがユニークでもあり、ちょっぴり切なくもあり。こんな特殊な条件が揃っていなければ、ありえない関係性だったかもしれない。でも、そういう運も含めて人生なのだと思っています。きっかけとか、意味とかを考えてはいけないわけではないけれど、お互い相手を必要としていて手放したくないのならそれだけでいいじゃない、と2人の肩を叩きたくなりました。

0

旨味

同人誌からの商業化作品としてとっても良い塩梅でした。同人誌からの作品は曖昧な完結が多い気がするという勝手な先入観を抱いているのですが、商業でよく見る設定や展開ではない作家さんの描きたいものがストレートに描かれている同人作品の旨味もしっかりあり、かつまとまりが良くすっきりと完結しています。強めの設定(病気)も悲劇的にしすぎず、かといって軽く描くわけでもなく、漫画がうまいなぁ、と。登場人物の描きわけもひっそりと上手だし。派手ではない良さがある。しみじみ。

0

『好き』に対しての価値観

独特な絵と「場所や時間関係なくどこででも寝落ちてしまう」という特殊な体質を持つため、ひとりでは何もできない受けという新しい設定に惹かれ購入しました。
今作品がチ点日子先生にとってデビュー作だと聞いてびっくりするほどの高クオリティです!

ほとんど植物状態な沙世(受け)。
体質のせいで常に眠たそうな雰囲気を発しているため、勘違いしそうですが、実はかなり男前。思っている事は、はっきりと言える健気な子です。

そんな沙世とは違い、孝己(攻め)は過去のトラウマや沙世に対しての歪んだ感情のせいで、何事も曖昧にしたいタイプのヘタレです。
しかし、沙世の事は何より大切にしたいという事が物語が進むにつれひしひしと伝わります。そして、沙世を大切に思うあまり、自分の「汚い」部分を必死に隠そうとする孝己に泣けてきます。

そんな二人は、性格も経験も『好き』の価値観も全く違いますが、お互いがお互いの側にいたいと強く思うことだけは一緒・・・そんな二人の関係性がどう変わっていくかが描かれる不思議なお話です。

こちらは、何度も読み返すほど大好きな作品なので、ディープな作品をお求めの方は是非読んで見てください!

1

かわいい

表紙が可愛くて一目惚れして買いました。買ってよかったです。

"性行為=恋愛のゴール、愛情の表現の最上位"的に描かれることが多くなるのが恋愛漫画の常ですが、これはそんな感じがしなくていいなと思いました。性行為をどうするかが2人の交際においての争点でしたが、それはたいしたことではないというふうに描かれているのが面白かったです。好きでお互い以外ないから一緒にいたい。たとえインプリンティングだとしても。一緒にいる為の手段の1つが性行為であるというのは面白いなと思います。一緒にいる為に価値観を擦り合わせていくのは恋人やパートナーとでなくても必要なことです。性行為の有無についてがそれに該当している話は新鮮でした。

性行為がゴールになるのが悪いとか、不快だとか思っているわけではありませんが私個人の問題としてごく稀に押し付けがましく感じることがあるのでこの作品には救われたような、新しい視点を見せてもらったような気がします。大好きです

3

近すぎて見えないモノ

幼馴染の距離感ってどういう感じだったっけ…?と、考えてしまうくらいとても距離が近いふたり。でもそれは物理的な近さで、心が微妙にすれ違ってしまう様子はまるで親子のようで…そんな不思議な関係を続けていた孝己とさよが共に気持ちを変化させていく、そんなお話だったなと思います。

ネックになっているのはさよの病気なのだけど、孝己はそれを通してさよを見ているから深く踏み込めない部分があって。
さよをいつまでも子ども扱いしているのはそういうところからきているのだなと感じたし、さよもその施しのような孝己の行動に逆らわないのでいつまでも変わらなかったんだな、と。

病気のことを抜きにして向き合ったときに、さよの心は成長していて感情も変化していることを認めざるを得なくなった孝己の動揺はとても人間くさくて、表面を取り繕っているように見えた彼の素が見えたのが良かったです。

色々なところに少しずつ気持ちのズレがあったり、習慣づけられた生活によって動き出せないもどかしさがあったり。
想像していたよりずっと重いお話でしたが、でも愛情深いふたりのやり取りに温かい気持ちにもなって。
ずっと近くにいたふたりだけれど、同じ場所にたったこれからが本当の始まりなのかもしれないなと思いました。

すごく不思議な魅力があって、他にはあまり無いような独特な世界観を楽しむことができた作品でした。

0

きれいにまとまる感情だけではない

二人の関係性にしっくりくるオチで読了後の余韻も非常に心地よかった。
二人の布団にくるまれているような安心感とちょっとの痛みがこちらにも伝わってきて最高!

0

孝己くんの歪み具合がいい!

作者さんのTwitterやpixivでイラストを見てて雰可愛いなと思ってたら単行本が出たので購入しました。

解釈が難しかったのですが面白かったです。なにより雰囲気がいい。こういうお話を求めてましたとても好みです。

たかきくんの重さには適わないと思いますがそれでもさよくんもしっかり重いし離れてほしくないと思っているのが可愛かったです。
一見ピュアな感じにも思えるストーリーですが、たかきくんの歪み具合のおかげでダークな雰囲気もあります。そこが更にいい。
たださよくんが卵から孵った状態がどんな状態を指すのかがまだよくわかっていないのでまた読み直して考えてみようと思います。でもそこを抜きにしてもまた読み返したいなと思う素敵な作品でした。

0

不思議な感覚

なんとも不思議なんですが、心地よくてあっという間に読み終えました。
相手に愛を感じていてもその気持ちが直接的に行為には
結びつかないこともありますもんね。
大切だからこそ自分の手で汚したくなくて、自らをどんどん縛っていて。
でもお互いへの独占欲も確かにあって。

軽やかな作風と対照的に想いが重い2人でした。

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