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michidure encore
以前より大ファンの作品なのですが、いつまでも好きで続きを待望する気持ちが収まらないのでレビュー。単話は配信停止されていますが、収録されている電子雑誌はまだ購入できるみたいです。
突如再会したら傍若無人さMAXになっていた高校吹奏楽部の元部長・美山と、素っ気ない対応をしつつも彼を放っておけない元後輩・立丸の話、第1話。
何より魅力的なのは、ろじ先生節炸裂の小気味良い掛け合いと、立ち止まって考えさせられる言葉の数々。その行き来によるこの作品特有のメリハリある空気感に惹き込まれます。中でも
「生きることに意味がなくても 生きるためには理由がいるの!」
という美山の台詞がずっと頭に響いて離れません。
限界の一歩手前で踏みとどまって得た気づきが美山のワガママ大魔神の裏付けとなっています。整ったビジュアルの美山が涙目に顔を歪め、一つひとつに芯を込めた魂の叫び(=今までできなかった「甘え」)に、立丸と読者は彼を憎めなくならざるを得ないと思います。
立丸の幼少期回想まで組み込まれ2人の背景や行動原理がしっかりと提示されており、ある種読み切りのように作品世界が完成されています。
それも1話分だけでここまで熱量を高められるほど魅力的に感じられる理由だと思うのですが、連載1話なのでもちろん語られていない部分も多く。
なぜ美山は立丸の家を知っていて、彼の元に転がり込むのを選んだのか? なぜ高校生の美山は音楽と遊ぶのをやめてしまったのか? 何より、始まった2人の生活はどうなっていくのか…? まだ知りたいこと読みたいことが沢山あります!
ろじ先生は著作物を取り戻されたとのこと。複数の継続作品を抱えられお忙しいと思いますが、いつかどこかでこの作品の続きが読めることを切に願っております。