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ai wo shiranai kyoudai ha
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
『お互いを認めて生きていく』
そこが何よりも大切な事だったなぁと。
愛を知らない兄弟は、黒田と出会い
愛を知るんだと期待して読み進めました。
けれど2人は愛を知るに至らない。
でもそれで良いのだと
認めてくれたのが、黒田
この人が居ないと2人の世界は
誰にも認めて貰えず、、
愛を知るために永遠に誰かを
求め続けたかもしれない。
黒田が、そのままでいいんだと
2人の欠けた感情も、繋がりも全て受け入れると。
そんな風に思ってくれる人間がいると知れただけで
2人はほんの少しだけ生きやすくなったかもしれない。
そして、茜も最後は
『自分は明を特別に想いたいんだろうな』
って自分の感情を知ろうと、
向き合おうとするのが見える。
それだけでも、黒田が2人に与えた
ものって物凄く大きなものだと思う。
黒田に認めてもらって
これから2人は知らない感情を
知っていくのかもしれないと思うと
その先の2人を見てみたいなぁと思った。
愛を知らない兄弟と善良な同級生。
不思議な話だった。
仲が良すぎる兄弟にごく普通の男の子が放り込まれた三角形。
何かドロドロするのかと思えばそういうのではなく、ドロドロする感情が芽生えないから困っているみたいなそういう話。
これだけ「分からないこと」を言語化できるのに分からないってどういうことなんだろ。
実際こういうことは起こりうるのか、どういう状態なのか、興味はつきない。
ただ、この三人の物語はこの一冊がまるごと序章に過ぎないのではないかとは思った。
10年後20年後どうなっているのか、一緒にいるのか、離れ離れか、何か変化はあるのか…見てみたいなと思う。
初読みの作家さまでしたが(もしかして、今作品がデビュー作でしょうかね?)、表紙が綺麗で思わずジャケ買い。ジャケ買い、久々にしたなあとか思いつつ。
表紙に3人の男の子が描かれていますが、真ん中の赤い髪の男の子が受け、その彼を挟むようにいる男の子たちが攻めさんという3Pもの。
んー。
「3Pもの」と書きましたが、そうと聞いてイメージするそれとは若干毛色が異なる、というのか…。三角関係、とも言えるし、そんな単純な関係でもないという斬新な設定のお話でした。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。
高校生の黒田くんは、新学期に伴うクラス替えで一人の男の子と同じクラスになる。赤い髪をした、茜という名の同級生。いつも転寝をしていて、寡黙で、今まで接点など何もなかったが、ある日、突然茜に手を触られる。その触り方にセクシュアルなものを感じた黒田くんだったが、その翌日、茜に誘われる形で身体の関係を持ってしまい―。
というお話。
と、書きましたが、今作品の序盤は黒田くん×茜のシーンから始まっているのではありません(ちなみに黒田くんは表紙の黒髪の彼)。出だしは、黒田くんとの絡みではなく、緑色の髪の男の子・明とのセックスシーンからスタートします。
明は茜を「にーちゃん」と呼んでおり、んん?兄弟間の愛憎か?と思わせる出だしなのです。
明は、茜の従兄弟。
とある理由で茜の家に引き取られ兄弟のように育てられた、という男の子なのですが。
明と茜が身体を重ねる理由。
明という存在がありながら、茜が黒田くんを誘いセックスに至った理由。
そういうものが、読み進めていくうちに少しずつ見えてくる、そんなストーリー展開です。
読み始めたとき、いろいろ予想したんですよね。
茜は明に求愛されていて身体の関係を断り切れないんじゃないか、とか。
黒田くんのことがずっと好きで、ビッチさんを装って誘ったのかな、とか。
が、その予想を斜め上に行く、斬新なストーリーでした。
今作品は黒田くん視点で進むからでしょうか。彼が主人公、彼の恋の成就の物語、のように感じるんですね。読者は黒田くんの感情に沿って、読み進めていく。が、今作品は黒田くんの恋の成就の物語ではありません。ネタバレになりすぎちゃうので詳細は書きませんが、黒田くんはBLにおける恋の成就という視点でいうと完全に脇キャラです。
明と茜。
この二人には、他者が入る隙間のないほどの絆がある。
そしてそれを、本人たちが分かっていない。
主人公が当て馬という斬新なストーリーはめちゃめちゃ面白かったですが、んー、もう一声ほしかった感も否めなかった。
彼らが人として大切なものを欠損している。
その理由がきちんと描かれていたらなお良かったなあ、と思いました。
明を手放した母親。
一切登場することのない茜の両親。
その辺りが、彼らの心の闇のキーとして描かれていたら、あるいはもう少し萌える作品になった気がしました。というか、その部分が描かれていないので、明と茜の二人の欠損した部分が上滑りしてる感が否めない。
さらに言うと、
茜はとにかくよく寝る。
明も茜も全然勉強しないのにテストでは好成績を収める。
という描写がありますが、こういう描写って必要だったのかなあ…。それよりももう少し彼らの心の中に迫る描写が欲しかったなと。まあ、完全に好みの問題ですが。
そしてもう一点。
黒田くんが茜に惹かれた、その理由が全く分からなかった。彼の茜への恋心という部分が今作品のキモなのですが、そこがあやふやなので全体的に締まりがない。
色々書いてしまいましたが、面白くないわけでは決してないんですよ。
むしろ斬新だし、既視感ありありのストーリーとは一線を画すストーリー展開に引き込まれる感じもある。
次回作も期待したい、そんな作家さまでした。
物憂げな表情を浮かべる茜と笑顔の明。
表紙の対象的な表情に惹かれ、手に取った作品でした。
お話を読み進めてその関係性が表紙にとても良く現れているなと感じました。
恋人のように寄り添っているのは黒田なのに、どこか彼の印象は薄め。
茜と明の間には他人の入る余地のない深い繋がりがあり、それを3人共が関わり合いを通じて受け入れていくようなお話でした。
愛する感情を知らない、というか
あらゆる「普通だったら」という標準装備的な感情がわからないふたりのことがとても不思議に感じて
そういう人たちもいるんだな、とこれまで知ることがなかった世界を見ることができました。
今後この3人はどうなっていくのかな?とその先がとても気になるお話でした。