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攻・渋谷潤一
受・羽曳野佑
隣のおじいちゃんから「東京に行き、ある会社で働いて欲しい」という依頼を受ける羽曳野。
超一流の商社にコネで押し込まれ、配属された課ではツンケンな隣人の渋谷と、やけに馴れ馴れしい宮川がいました。
渋谷は羽曳野を胡散臭げな目で見ています。
偶然隣に引っ越してきて、偶然中途採用で自分の課に配属されてくる…アヤシイ、と。
同じように宮川も、羽曳野の存在を奇妙な視線で観察しています。
やたらとプライベートを聞き出そうとしつこかったり、と。
田舎でのんびり暮らしていた羽曳野は、都会の生活でも田舎と同じように、隣人から味噌を借りようとしますが…都会人で色々と秘密のある渋谷にとっては、羽曳野の行動があからさまに怪しく思えるんですよね。
でも次第に羽曳野は自然体でコレなのだと気づき、誘われた自炊の食事を楽しむように。
宮川は重役の息子で、ある思惑があり、羽曳野を手に入れよう(味方にしよう)…と強姦しようとします。
逃げ出してきた羽曳野は、誤解した渋谷に
「あてつけがましい」
「取り入るならこれくらいさせろ」と強姦されてしまいます。
渋谷もまた、隠したい事があり、羽曳野を誤解していました。
羽曳野に頼み事をした老人との関係を疑われ、利害関係にある宮川と渋谷は、それぞれ取り込もうとしたり突き放そうとしたり。
宮川には抵抗し、渋谷には抵抗し切れなかったのは、隣人・同僚としての付き合いの中で、渋谷を好きになっていたからです。
でも渋谷は羽曳野の言う「好き」を信じきれない。
老人が亡くなり、渋谷が姿を消し、羽曳野と老人の「約束」が明らかにされます。
おじいちゃんは遺産を託したかったのではなくて、羽曳野を孫に残したかったんですね、きっと。
年の離れた友人として羽曳野を信頼したからこそ、孫にもそういう人間関係を残したかったんじゃないかと。
まさか恋人をあてがうつもりは無かったはずです(笑)。
ミステリっぽく展開するので、ドキドキ感がすごくあります。
一体羽曳野は何者なの?
渋谷は?
と気になって気になって、どんどんページをめくってしまいました。
羽曳野が潔くてカッコイイ。
でも色っぽくて、凄く好きなタイプの受でした。
丸ごと1冊、表題作です。二人は同じ会社でデスクは隣同士、住む部屋も隣同士で、徐々に親しくなっていき…という展開です。
羽曳野の目線でストーリーは進むのですが、羽曳野自身にも謎があるのですが、語らないので終盤まで分かりません。
羽曳野は、大谷の「おじいちゃん」に何を頼まれたのか。
羽曳野は、会社の先輩・宮川や役員達に、誰と間違われたのか。
渋谷は、なぜ会社の人間が嫌いなのか。羽曳野への態度を急変させたのは何故か。羽曳野をどう誤解したのか。
その謎が恋愛方面にも影響してしまい、羽曳野は渋谷に強姦されてしまいますし、羽曳野が渋谷に好きだと告白した後でも信じてくれません。
羽曳野が渋谷に避けられ辛い目に遭っている間、最初襲った宮川が羽曳野に親切にしてくれます。最初は渋谷と対峙する場面があるかと思ったのですが、ただの善人で終わってしまい、ちょっと拍子抜けでした。
渋谷が羽曳野を信じることができたのは、中森弁護士に事情を聞いてからというのが、ちょっと素っ気無く思いました。羽曳野の告白に揺さぶられたんじゃないのかい…。二人が惹かれた経緯も、なぜ友人じゃなくて恋愛になったのか、ノンケ同士であるからこそ納得がいまいちできませんでした。
謎が多いのでイラついてしまう方もいるかもしれませんが、私は楽しめました。ただ、謎に対して、恋愛の話がちょっと弱いと感じました。羽曳野と大谷おじいちゃんの田舎でのやりとりも、短いものしかなく、もうちょっと大谷氏が羽曳野を信用に足ると思った描写が強く欲しかったです。女性キャラの登場がなく、良くも悪くも男だけしか出て来ない作品だという印象でした。
ミステリ好き、サラリーマン好きの方にお勧めします。あと、羽曳野は大人でオトコマエなので、男前な受け好きにもお勧めです。