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切ない、そして、リアル。
心は相手を想ってやまないのに、離れるしかない。という、切なさの極み・・・。
鈴木の恋心が痛みを伴って揺れる描写が秀逸なのですが、人の心の機微をこんなにも掬い取って表現しきる井上佐藤さんの力量にひたすら感服。
例えば、
鈴木が自分のスタジオでレッスン中、目の前にいる生徒さん(男性)と杉木を比べてしまい『ちゃんとアイツを抱きしめときゃ良かった』と思うモノローグと表情や、ノーマンとのレッスン後、杉木のことを想い『気ぃ抜くとすぐに会いたくなる』とこっそり杉木のスタジオ近くに行こうとする際に鈴木の心に浮かぶ二人の甘い場面。
なんだかもういじらしいというか、鈴木がいかに杉木を愛しく想っているかが伝わるシーンになっていると思います。
かたや杉木も鈴木が世界ヘ羽ばたけるように万全の態勢を敷いて強力バックアップ。
杉木が最大限できること全てを鈴木に与えている状態。
互いに相手を特別で愛しいと感じているのは間違いないのになぜこんなにも辿る道が違うのか・・・。
男性同士の勝負の在り方や、リスペクトが行き過ぎた神格化、そもそも異性愛者なのでそこから生まれる肉体的・心理的な葛藤。その他諸々互いを思い遣るが故の方向性の違い。
そんないろいろをすっ飛ばして結ばれる(良い意味で)BLファンタジーな作品が多い中、異端な作品。
でもそうした物語展開がとってもリアル。
結果的に『10DANCE』は他作品との差別化をはかれたのではないかな、と。
そして、魅力の大きな源泉の一つになっているのは“大人の男性が先に進めない/進まない”という展開に他ならないと個人的に思っています。
私は6巻まで巻数を重ねたBLで体を重ねていない漫画を他に読んだことがありません。
時折、受け攻めどちらでもいいから一度セックスしてから考えませんかー?という即物的な脳みそをもつ私が叫ぶこともあります(笑)
でも、丁寧に二人の想いを積み重ねてきた『10DANCE』がそうした展開になるほうが不自然極まりないので、一読者としては二人の(ある種)純愛を見守る気持ちでページをめくるのみ。
最後のレッスンは真夜中の外でのダンス。
噴水の前で「ジジィになってもこの8ヶ月は忘れないな」の鈴木の言葉と杉木の表情。
二人の思い出とともに描かれるダンスシーンは美しさと切なさが読者の感情を揺さぶる名シーンです。
恋愛パートもダンスパートも素晴らしくて紙面から目が離せません。
物語としては新たな登場人物が現れたり、互いに新しいコーチのもとレッスを重ねる日々へと変化していきます。
次巻が待ち遠しくて仕方ないのですが、来年の発売のようですね。
二人の関係性がどのように変わっていくのかはもちろん、周囲の登場人物の関わり方も楽しみ。アキちゃん、ちょっと気付きつつある?
特装版の小冊子ですが、
そうきたか!!の一言です。
読者の気になる「どっちがどっち?!」にこんな風に応えてくれるとは!!
特装版、ものすごくお薦めです!
収録してあるカラーもとっても素敵。特に地下鉄の電車のキスシーンがカラーになってお目見えしたことに感涙。美しい。眼福です。
神評価、連打できるものなら超連打。
『10DANCE』の6巻目。
6巻は通常版と特装版が同日発売されましたが、ぜひとも特装版を買ってほしいなあ…。特装版は本誌+48Pの小冊子付きですが、この小冊子が神なのです。
カラーイラストや井上佐藤先生の仕事場(本邦初公開らしいです)などが収録されていますが、見どころはBLらしい萌えがたっぷり詰まった漫画が収録されているから。本代とは別に810円の別途料金が発生しますが、カバーも可愛いし、内容も良いし、興味のある方は是非。
ということで本誌のレビューを。
ヤバい。
めっちゃ良かった。
泣きそうになった。
5巻の終わりで自分の恋心を封印した二人。
その裏で、杉木は鈴木のために手をまわしていて―。
もうね、杉木の鈴木に対する深い愛に涙がこぼれそうでした。
どんなに実力があっても世界選手権で1位を取れない自分。
自分に足りないものは何か。
そんな不条理な思いを、鈴木にしてほしくないんだな、って。
実力だけでは手に入れられないものがあることを痛感している。ずっと一線で闘い抜いてきた彼だからこそ知っている裏の世界を補うために、鈴木に贈りたかったものが、今巻で描かれています。
そしてそれと並行して、杉木が鈴木を世界チャンピオンにしたかった、その理由らしきものもうっすらと見えてきました。
あ、え、そういうこと…?
やだ、その理由にも泣きそうなんですけど…。
恋心を封印して、練習のときも今まで感じていた「何か」を感じなくなった二人。けれど、封印したつもりでも、繋がっている「何か」がお互いにある。大人ゆえ、男同士ゆえ、自分の感情を持て余す二人が、今後どういう展開を迎えるのか非常に気になります。
凄く素敵だなと思ったのは、彼らが深夜の講演で練習していた様を見ていたおっちゃんたちの描写の仕方。
おそらくおっちゃんたちにはダンスの知識なんてなくて、踊っている二人のダンサーが高名なダンサーだということも知らなくて、でも、彼らの踊っている姿が心に残った。それだけ、杉木&鈴木のダンスが素晴らしいものだったのだと。心から楽しんで、踊っていたのだろうと。
そういう二人の心情を描くツールとして描かれていたのだろうと、そう思うのです。
4人での練習も解消し、お互いの恋心を封印した彼らは道を分かつことになりましたが、今作品で新たに登場してきたキャラもいて、今後どうなるのかなと気になります。
読後、6巻の表紙を改めて眺めると、また杉木の心情が胸に迫ってきて泣きそう。
めっちゃ良かった。次巻が早く読みたいです。
待ってました第6巻!
5巻がとても気になるところで終わっていたのでその後の展開を楽しみにしていました。
2人の間に横たわる事実は同じものでも、それを2人がどう噛み砕き歩んでいくのか、そこにそれぞれの人間性が見うけられたのがとても良かったです。
いちばん心に残ったのは、2人がそれぞれの間の細い糸を感じるシーンでした。
もう相手とのつながりを失ったと思ったときに見えたその細い糸を、消えないように、途切れないようにという2人の心情に胸を打たれました。
そして本編では、正反対な2人それぞれにクセのある人物が関わってきました。
当て馬?のような存在になるのかどうなのか…。
今後の展開も楽しみです。
そしてこの最新巻を読むために改めて1巻から読み返しましたが、人体の描き方に妥協がなく、どんだけ時間をかけて作り上げてるのか…と今さらですが感動しました。
2022年の7巻発売(予定)が今から待ち遠しいです。
電子版購読。
10種のダンスで競う「10ダンス」に挑む杉木信也と鈴木信也。
経緯を忘れたので5巻まで読み直して6巻購読。
6か月の蜜月が終わって、またライバルになる二人。
気になる杉木の怪我、今後に影響しそう
パトロンが付いて、新しいパートナーと組むことになるお互い。
別れの晩、杉木から夜の街ダンスに誘う。
回想しながらお互いに恋情を押し殺して無言で踊る、躍動感あふれる絵は三次元化して誌面から飛び出てきそう。
社交ダンスは求愛のボディランゲージだから、二人が踊る場面に高揚感溢れるのは、言葉が無い求愛を交わす場面だからだと思う。
ダンスの終り際に「愛している」と囁いて別れる場面が綺麗です。
新しいパートナー・ノーマンに「体の中の杉木を全部捨てろ」と言われて動揺する鈴木。
これからの展開が気になる、次は22年に発刊・・。
少し不安要素ありの「続く」でした。
特装版を電子で購入。
スタンディングオベーションで神です。
んでもって、ここでマルダー一族のマクシミリアンさんが出てくるとは!
「オオカミの血族」収録の「gloria」、本当大好きなんです。そこで当てとして<マックス・マルダー>が登場するのですが、ご本人登場でよろしいのかな?マルダー家はご兄弟も多そう(今巻では三男)。「gloria」の塚本さんから釣り目フェチになっていたとしたら、杉木に惹かれるのも当然で。塚本さんも人の話聞かない人だったからなぁ。塚本さんにしたかったこと、いっぱい杉木がされちゃうのかしらん。(チョットカワイソウ棒)
5巻では不穏なままto be continued…となりましたが、今6巻は、こちらが顔を赤らめるほど、大の男二人が絆を確かめ合っちゃってます。物理的な距離が出来上がってしまった分(でもそれは鈴木が世界へ飛び出すための必須なんですよ)、どうなることかと思いました。けど、この巻のクライマックスというべき#33「he is beautiful」鈴木・杉木の、お互いに感じ合い、紡いでは伸びる繊細な想いの糸とダンスの躍動感がマッチした時、どんな濡れ場のシーンより極上のエロティシズムを実感しました。二人のワルツは街をダンスホールにも、純白のシーツの海にもくるくると変化させます。官能=ポルノではない。悲しいかな、挿入が人間対人間の恋慕の最終確認でも実はありません。。。しなる指先、唇、視線で堪能できる愛の形はあり、それを「画」という静止の空間で、ダンスというこの上なく表現力があるが、それ以上に作家の技量を以てして完成させる「漫画」の力が漲った渾身の愛の数ページは、私にとってはどんなSEXシーンをも凌駕するものでした。
そして、「第三の男」が登場するわけですが、これがチョー楽しみです。
くはー、これはちょっとしたお稽古事でも「踊り」をされたことのある方はあるあるだと思うんだけど、一子相伝スタイルでもない限り、同じお師匠さんについて個人の成長なんてあり得ないんです。。。寝食を惜しむほどのダンス馬鹿や、プロを目指す方は、皆、優秀な指導者たちのコピペで満足するなんてことはなく、きら星の何か一つでも盗んで自分の表現やテクニカルの糧にしたい、と日々貪欲に鏡に向かってる。杉木と鈴木のLOVEさ加減にどっぷりと浸って忘れてましたが、杉木という強烈な型を、ノーマンがどのように破ってラテン男を成長させてくれるのか!もう楽しみで仕方ありません。
特装版特典?での競技プロ先生方のコメント集!エイトロールはマジむずい!とくに昭和ニスト達は「♪チェッチェッコリ」の毒牙を浴びているので、腰(というか使うのは体全体なのだけど)を全方向∞の形で動かすこと自体に理解力が追い付かない(ごめん昭和ニスト達)。私も未だに習得できてません。ラテンとつく踊りにはこれ必須、舞台に上る第一歩から違いが出てくるので、もっとヤニ下がらねば!と、精進いたす次第です。
あと、杉木の眼力ビームは健在。安産型の佐市さんがカワイソウですが、ここに愛の重さがあってもう顔面赤らむ。好きじゃん。大好きじゃん。
鈴木よ!とにかく全てをしゃぶりつくせ!!!!
6巻が発売されたと同時にこの作品を知り、1巻から貪るようにあれよあれよとここまで読み終わってしまいました。
表紙からはもうお互いの恋慕がひしひしと伝わってそのくちびるーーー!!!!と叫んでしまいそうなのに話の展開はもう、焦ったいわ苦しいわのオンパレードでした。
嘘をつけない想いを募らせていった2人の深夜のダンスレッスン。口には出さない代わりに手が触れたところからはストレートに愛が伝わる。もうなんてロマンチックなんだ。数ページに渡るこのしーんはもう涙なしには読めません。
冬の丸ノ内のを歩くたびわたしは2人を思い出すのだろうな。
W信也の恋模様については他のみなさんのレビューが素晴らしいので、わたしはダンスシーンについて少々。
なんといってもめっちゃ感動的な、W信也の深夜のダンス。いつもの公園から丸の内仲通りを抜けて、東京駅前に至った時に夜明けの光が射す、連続見開きで踊る身体と二人の思い出がダイナミックに展開して、ぶわっと思いが溢れます。
「内心グラグラの失恋野郎」(byアーニー)の帝王のダンスが変化したのを具体的に見せる、房ちゃんと踊るフォックストロットや、マーサとのダンスの幸福感。
そして! 元チャンピオン・ノーマンと踊って「かわゆいガールフレンド」にされちゃっているラブリー鈴木 クルン クルクル、のところでブフォッと吹き出しちゃいました。1巻の「こどもがたくさんうめそう」と対比してもナルホドって唸ります。杉木先生とノーマンのダンスの違いについて考えてる際の「キモい想像」(byラブリー)!マッチョのドレス姿!!大好きです!!!!
本誌で連載も追いかけていますが、単行本でまとめて読むと、細部の書き込みや背景のこだわり、すごい加筆されていて、読後の充実感半端ないです。ああ、早くも7巻が待ち遠しい〜
そう、いったん離れる二人。鈴木は杉木を愛していると自覚したのに、杉木のそれはそうではなかった(いい意味で!?)
評価としては神しかあり得ない、素晴らしい作品。読後すぐでも、何度でも読みたくなる作品。ダンスのポーズ、動きも素晴らしいけど、キャラクター達の表情や仕草、台詞も素敵。
ダンスを追求するが故、そして相手のことを想う故別れるしかなかった二人。
このあとはダンスメインのストーリーになると予告がありましたが、二人のダンスレッスン、競技会への関わり方にも変化が見られます。
お互いに別のコーチをつけ、世界を目指す。二人の関係とともにダンスからも目が離せません。
購入したのは特装版です。レビューはこちらに。
さて、想いが通じた!となるとやっぱりダメだ、となるWシンヤ。
ヤキモキさせてくれる!
ただ、私の個人的意見/スタンスとして、初めっからずっと…
この2人、ヤらなくていい
そして、今回は杉木が鈴木にできる全ての事、ということで、ダンス界の頂点たちを鈴木の元に集める、という展開になってきた。
これね…
私的にスゴイ既視感なのよ。コレよコレ!っていうね。
むかしのマンガ、◯香智子先生の「パートナー」。
私が社交ダンスに激ハマりした根源のコミックスですが、コレも初めはマツリカという女の子がダンス界で勝ち上がっていく、というストーリーで、勝負と恋愛と、のいかにもな少女マンガだったんだけど。
後半フランツという男とそのバックグラウンドの力が影響してくるあたりからメッチャ政治的展開になってくるのよね。
とはいえ、リアルタイムで読んでた時は深い部分はわからなかったんだけど、今「10DANCE」を読む事で、ダンス界っていうのはスポーツの要素もあるんだけど、実はヨーロッパの上流階級の力関係/政治色が色濃い、というのをバッチリ思い出したのよ。
今回、ダンス界というものを知り尽くしている杉木が、持てる全てのツテで最上級のコーチ、ブレーン、パトロンを鈴木につける。
このことの意味がすごくよくわかる!
つまりは、ザ「政治」。
これは大変に刺激的です。
さて、BL的には。
ラブシーン的なものはありません。だけどよりキリキリするような、ムズムズするような。
私はもはやBL展開よりダンス漫画として読んでるんで、今巻でまたBLの匂いが強まったことに逆にちょっと戸惑ってる。
ナニも進んでないのに、むせ返るように官能的な2人の心の中。
BLとダンスとどっちに比重?
微妙だよね。
私としては、杉木が手配した鈴木を取り巻く最上級のパトロンチーム、彼らのダンス界/上流階級・超富裕層のネットワーク、影の影響力/政治力がむっちゃ興味ある!
次巻、それぞれ最強の「教官」を得て技術的に、それ以上に強力な後ろ盾を得ての立場的にどう進化するか。
まずダンス中心に期待したい。
小冊子も込みで萌2評価です。本編だけだったら今回は少し甘さは物足りなかったですね。杉木、鈴木双方にとって5、6巻は大きな転換期だったんでしょう。鈴木にパトロンがついたり、新しいパートナー・ノーマンが現れたり、鈴木の周りは杉木の陰のお膳立てによりどんどん世界が広がっていきます。もちろん、それらはすべて鈴木の確かな才能があってこそ得られたもの。杉木はあくまで鈴木がより多くの人の目に留まるよう尽力しているだけのつもりなんでしょうね。
本編だけだと甘さが足りないと言いましたが、本来2人がダンスをお互いに教え合うきっかけとなった10danceへの挑戦という意味では、現実的な展開だったとも思います。冷静とはいえ鈴木に惚れ込んでいる杉木の意見、教え方だけでなく、今後も長く世界に通用するためには他のプロの目も必要でしょうし。それでも新しいキャラ達はまったく杉木と無関係なわけではなく、皆杉木の息がかかっていますから、鈴木は杉木自身とは離れながらもある意味杉木に見守られていると言えるのではないでしょうか。まずは鈴木が真に世界に通用するようになってから、ゆっくり2人のことを考える展開でもいいのかもしれないですね。小冊子は糖度が高かったので甘さを補えました。