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kimi ni kurumatte
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
母親から虐待を受け逃げるように寮に入った伊織。
古くて汚い寮だが、さまざまな人が集まり家族のように助け合って暮らしている。
そのわちゃわちゃした雰囲気がすごく良かったです。
ごはんを作るのが上手なみんなのママ(イケおじ風大学生)、Hな?日本語を操るウェーデンからの留学生、女装っこののんのんなどとても賑やか。
そしてみんな個性的で、でも悪い人がいない。奔放に見えながらもお互いを思いやっている。そんな暖かい場所が、居場所を求めてやってきた伊織を包み込む受け皿になっています。
そこで出会ったアキと交流を深め、やがて友情だけではなく人生の中でお互いを必要とするカップルになっていく、そんなお話でした。
伊織の母親がひどすぎましたが、彼が寮とアキという心のよりどころを得るあったかいお話で、ほっこりしました。
飛鳥大に通う政秋、通称アキと伊織のお話です。アキと伊織は他の学生と一緒に、築80年の金蘭寮に住んでいます。
伊織は引っ越し早々、部屋に大量のぬいぐるみを入れて、早速ぬいぐるみとの同居生活を始めます。
金蘭寮のみんなは、ママと呼ばれる料理上手な貞広、ジェンダーレス男子の利保、通称マルティンの仙太郎、スウェーデンから来たラーシュ等、個性豊かな学生が集まっていますが、ともかく仲がいいです。
伊織のぬいぐるみとの同居生活、ぬいぐるみの収集癖は、何か理由があるのではとみんな気づきますが、伊織のぬいぐるみは日々増えていきます。
伊織が一番大切にしているぬいぐるみ、きなこを通して、伊織と母親との過去が明かされますが、子供には酷なものを背負わせていると思いました。
帰国子女故、何でも直球で伝えるアキですが、アキの場合は不思議と嫌みがありません。
先生のあとがきで「安全基地」「心の拠り所」のことに触れていますが、伊織がようやく安全な場所を見つけられたことが本当によかったです。
心に問題を抱えているのはアキなのか伊織なのか。
読み進めるとアキにも心の闇を抱えていて、誰とでも仲良くなれる才能あるように見えて、本当は大切なものが欲しいという闇?希望?を持っていましたね。
本当に大切なものが一つあれば、人は強く生きられるのでしょうか?
アキは伊織が羨ましいし、伊織はアキが羨ましい。
お互い、足りないところを補い合う関係っていうのもアリだよなと思ってます。
ぬいぐるみを捨てられない、そしてぬいぐるみで心の隙間を埋めるという表現がこの作品にとても合っていて、すごく考えさせられました。
伊織は大学を卒業しても、アキたちと一緒に楽しく暮らして欲しい。
自分の経験を活かして、虐待ボランティアみたいな仕事につくのも良いなと思ってます。
大学生二人のお話。家族問題とそこから抜け出す希望を描くのに絶妙な年齢だと思いました。二人とも心に問題を抱えてるんですが、この一冊では伊織が中心。アキの方も深掘りできれば面白そうだなあと期待したけどそちらはさらっと。伊織の母親がとってもムナクソでした。
伊織の心の傷は母親から植え付けられたもの。もう少し子供だと経済面とかどうしようもないし、見ていられなかったんじゃないかな。やっと逃げ出せて、居場所が見つかりそうになったところで母親登場。もう少し大人だと傷が癒えてたかもしれないし、自分を騙す術を身に付けていたかもしれないけど、まだ生々しいままで受け止めきれません。ここで支えになるアキが良い。
他にも関わるキャラたちが、自分の行動を「自己満」と自覚してるのがすごく良かったです。BL漫画だからHしてたけど、友情で終わっても綺麗で納得な二人でした。
一つ気になったのは、Hシーンで二人の中にカッコイイ方が挿れるっていう先入観があった点。男同士なのにカッコイイ方が攻め、可愛い方が受け、っていう思い込みはどこからきたの?って考えると男女に行きつくので萎えます。そこはBLだなあって感じでした。
表紙の雰囲気から伊織はもっと可愛らしい子というか、愛嬌があって誰が見ても放っておけないような子なんだろうなぁと想像していました。でも実際には違っていて、確かにぬいぐるみを山ほど買い込んで部屋に雑然と並べている様は一見可愛らしいけれど、本人は母親と2人きりだった世界からやっと抜け出した、人とどう付き合っていいか戸惑ってばかりの頼りない子供なんですよね。
今日のお母さんは機嫌が良い日だろうか、悪い日だろうか。母が帰宅する足音を聞く度に緊張する日々を、彼は一体何年過ごしたのでしょう。大人でも他人の機嫌に左右されるのはストレスなのに、幼い子供がその環境で何年も過ごす苦痛は計り知れません。恐らく母親がきなこを捨てようとしなければ、彼の収集癖もここまで酷くはならなかったんじゃないかな。どれだけ買い込んでも大人が本気になれば、ぬいぐるみなど一瞬で捨てることができてしまう。他に紛れさせきなこを守るため、また、万が一きなこを捨てられても寂しさを紛らわせるように増やしてしまうのかなと思いました。
一方でアキは、伊織とは対照的に物を持たない主義。それも単なる性格ではなく彼の育ちから来ているんですね。親の仕事で海外を転々とした過去。大切なものができても置いていかなければならないなら、最初からつくらなければいい。高いコミュ力も異国の地で必然的に身に付けたもの。すっきりした部屋、万人受けする態度は彼が強いられてきたものだったのです。そんな2人が初めて親元を離れて、自由な寮生活を謳歌した結果、自分のことで精一杯だった日々から他人に目を向け、大切にしたいと思える人を見つけた。BLでありながら、生き辛さを抱えた現代人に刺さる作品だったのではないかと思います。
「ごめんなさい おかあさん」で、嗚呼またトラウマ作品か…と、思ってしまったのは残念。家庭問題や家族の死ネタ作品が多すぎる…
そんな諸々のトラブルに対する周りの対応はやや踏み込み過ぎで怖いなと思うところもあり。伊織にはたまたまこのアプローチで解決になったから良かったものの、危ういなぁ。
その辺のモヤモヤはさておき、桃子先生は夏の汗だく畳エッチが相変わらずうまい!!!6話ラストから7話にかけてのムワッと感、恋にムズムズする雰囲気が大好き!伊織も秋も相手が大切だという気持ちを真っ直ぐ言葉に出すタイプで、キュンとします。
電子おまけ漫画1枚 グミの話
萌〜萌2
security blanket、またの名は「ライナスの毛布」。
そういえば昔、ライナスは父親から虐待を受けていたせいで、毛布が手放せなくなったという悲しい逸話を聞いたことがあります。
真偽の程は定かではありませんが。
大学入学に伴って、家を出た伊織。
向かう先は「金蘭寮」。
築80年くらいの、廃校になった木造校舎を再利用したかのような建物。
そこでの新しい出会いと生活に、伊織は戸惑いながらも…。
建物自体古い上に、男子寮ということもあって汚れ放題。
歴代の入寮者たちが積み重ねて来たゴミとも見紛う諸々のものたち。
伊織が住むことになった西館の面々は、みんな明るくて楽しくて大家族のよう。
料理上手で家庭菜園も手掛けるママ(見た目はちょび髭イケメン)に、おとこの娘ののんのん、スウェーデンからの留学生で日本に詳しいラッセに、眼鏡とぽっちゃりボディで隠れているけれど、実は一番のイケメンらしいマルティン、そして伊織と同じ年の帰国子女・アキ。
ママの作ったごはんをみんなで食べて、夜が更けるまでみんなでわいわい。楽しそう。
そんな優しい人たちに囲まれた環境で、伊織が強くなっていくさまが描かれていました。
父に捨てられて不安定になった母との2人暮らしで、幼い頃から心に負担ばかりがかかっていた伊織にとって、ぬいぐるみは心のバリケード。
心に触れられたくない、傷付けられたくないという思いが強くなればなるほど、ぬいぐるみの量も増えていく。どう見ても異様です。
心をガッチガチにガードした状態から、少しずつバリケードを崩していくときに、必ず寄り添ってくれるのがアキで。
困ったときにどこからともなく来てくれる、つらいときにそばにいてくれる、まるでスーパーマンのような存在に、伊織が惹かれていくのも納得。
アキの方も心に傷があって。
親の仕事の都合で海外を転々とせざるを得なかった高校までの生活。
簡単に順応しているようで、吐き出せずに飲み込んだ不満が澱のように溜まっていたんだなあ。
アキはミニマリストだけど、極端なミニマリストというのは心が助けを求めていることもあって、執着を持たないようにすることで無気力になったり、物が増えるだけで息苦しさを感じる強迫観念が出たり。
伊織がアキの頭を撫でたい衝動に駆られるのは、そういう部分を無意識に察知していたからじゃないかなあと思いました。
お互いの傷を舐め合うんじゃなくて、伊織には「バリケードがなくても、もう誰も傷付けないし、傷付けさせない」という安心を、アキには「もうどこにも行かなくていいし、お別れもない」という確固としたつながりを与えることで、本当の意味で解放し合える。
そんな関係を築いていく2人と、周囲の優しさに胸が温かくなりました。
読み終わって、深いため息が出ました。
重いテーマなのに、ここまで優しくてあたたかい作品に仕上げられていたおかげで、しあわせな気持ちで満たされました。
ふわふわ可愛いお話かと思ったら、意外とセンシティブ。
人間不信の伊織が『金蘭寮』の仲間たちと関わる事で成長していく姿を描いており、切なくなったりキュンとしたり胸が苦しくなったり……と、とにかく心揺さぶられました。
主人公の伊織は、幼少期から母親に虐待されたことで愛着障害を抱えた青年です。(多分そう)
そんな伊織の唯一の友だちは「きなこ」で、部屋はぬいぐるみでいっぱい。
伊織はそんな自分を恥ずかしく思っているのですが、寮生達はそのままの伊織を受け入れ、温かく迎え入れます。
料理担当ママ、ジェンダーレスのんのん、スウェーデンから来たラッセ、太っちょマルティン……そして、帰国子女のアキ。
この個性的な寮生達が、とにかく温かくて優しい。
寮生達とのわちゃわちゃには、ほっこりさせられました。
この素晴らしい仲間達が愛着障害を抱えているであろう伊織のサポート役になってくれるのですが、特に人タラシのアキ。
アキが伊織にとっての「安全基地」。
アキがストレスから伊織に意地悪してしまった時は正直ムカつきましたが、アキも完璧じゃない普通の人間なんだなと思いました。
全部捨ててきたアキにとって、伊織が一番大切なものになっていく姿が胸熱。
伊織の母親は病気だと思う。
寂しさからの執着かもしれないけど、子どもは都合のいい時に親の寂しさを埋める道具じゃないよ。
アキが母親に現実を突きつけた事は良かったと思うし、これが治療のきっかけになってくれればと思います。
アキと一緒に眠り、泣き、それがカタルシス効果を生む。
そして、自然に恋に落ちていく……その過程が丁寧な心理描写と共に静かに描かれています。
お互いが負担を与えないように〝受け〟を考えていたところは可愛くてキュンとしました。
なんて優しい子たちなんだろう。愛しい。
温かい体温、心臓の鼓動、帰りたい場所。
たくさんの大切なものを見つけた伊織の心の成長が泣ける。
もがきながら懸命に生きることも、青春を謳歌していることに繋がりますよね。
あぁー、若いっていいなあ。(しみじみ)