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1994年―――。あの夏、ふたりの香りに満ちた部屋で……。
shiosai no futari
まず94年という時代設定がいいですね。戦前の昭和や大正、もっと遡って江戸時代などの作品はそこそこありますが、昭和の終わりや平成初期をあえて今描く作品はかなり貴重なんじゃないでしょうか。令和になった今から見て、目に映るものがそこまで大きく変わったわけではないけれど、スマホじゃなくてポケベルだったり、キャラクター達が好きだという芸能人や作家の名前が当時流行ったものだったり、細かいところに時代の移り変わりが感じられるのもまた趣があるなぁと思いました。
リアルさを追求し過ぎて糖度が低くなりあまり萌えられない、というのは商業BLをそれなりの数読んできた方なら一度は体験したことがあるのではないかと思います。が、この作品は現実味と萌えがしっかり両立していました。ノンケで奥さんとまだ離婚していない身で、最初は快楽への好奇心、欲求不満から比奈岸と寝てしまう屋敷。ギャンブル好きで借金があり、教職に対して大した熱意もなく、嫌になったら飛べばいいと考えている比奈岸。どちらも理想的な男性とは言い難い。でも、2人はそんな汚い部分も晒し合いながら、いつか冷めることも分かった上で、本気の恋愛を見せてくれました。再会した時の2人の表情に、当時本当に楽しかったんだなぁと。最後はまた希望を持たせてくれる終わり方だったので、想像が膨らみますね。
骨太の絵柄から、ずっとこの作家さんは男性だと思い込んでいました。しかし違ったんですね(後書きで判明)。
高校の先生同士。風紀に厳しいながらも生徒想いの先生、比奈岸。そこへやってきたちょっと問題児の教師、屋敷。
屋敷はゲイで、最初は仕事に興味がない風だが、面倒見役の比奈岸の元、次第に意欲をもって先生をやるようになる。
同時に、二人で飲みに行くなど仲良くなる中で、比奈岸が、実は夫婦仲がうまくいっていなかったり、意外な性癖を知ることになる。
ノンケのはずの比奈岸だが、仕事仲間というだけでなく次第に恋愛に。。
というお話。
距離が近づいたり離れたり、本気になるのが怖い屋敷と、男同士ならではの葛藤など、リアルに伝わってきます。
そして、ほんのりとハッピーを匂わせるようなラストもよい。
久しぶりに読み応えのある作品でした。おすすめです。
絵もストーリーも緻密に描写されていて
何度も胸を締め付けられました。
90年代という時代設定だからこその「モノがもつ重み」を感じました。
素晴らしい作品に出会うことができ、作者様に感謝です。
『ばらとたんぽぽ』がわりとギャグ強めだったので
こんなにリアルなお話を読ませていただけてとても嬉しいです。
冒頭で比奈岸先生が口うるさい印象を持ってしまいましたが(すみません)
あんな風に心を砕いて来たから人気者の先生になったんでしょうし
屋敷も肉欲だけじゃなく惹かれていったのでしょうね。
屋敷の過去、恋愛とも言えない体だけの遍歴は
もしかしたら男性同士であれば少なくないのかもしれません。
初めて本気で追いかけたい相手が比奈岸先生だったのは
とても人間味がある人物故納得です。
ドノンケかと思いきや、ソッチに興味あるとかつけ込まないわけないし
後ろの才能もあったとか…エロいです……。
(最初は屋敷が抱かれる側なのも萌えました)
屋敷の逃げ癖というのは正直私にはわからない感覚なのですが
比奈岸先生にだけは約束したにも関わらず
いつか来る終わりに怯えてしまうのはどうしようもないのかな…。
屋敷の根っこは簡単には変われなくても
比奈岸先生はちゃんと愛してくれて腹を括ってくれたように思えたのですけどね。
エピローグでは4年後のわりに比奈岸先生の結構なシワがまたリアルです。
4年の間にあれこれあったのが意外にもアクティブで驚きました。
それだけショックだったということですね。
最後の電車のシーンで物語の余白を感じさせる演出、小憎らしい!
二人の未来を信じたいのですが本当のところはどうなのか気になり、
ここは是非はっきりさせて欲しかった…。
確かに時代を感じてしまう時代背景ではあります。
古めかしい、でもそれで敬遠してしまうのはもったいない骨太な作品だと思います。
よかった……。切なくてきゅんとした…。何度も読んでしまう。
『ばらとたんぽぽ』で作者のストーリー展開や心理描写の腕は信頼していたので、気楽に読み始めたらどんどん惹きこまれて、最後はじぃぃぃーんとしてしまって…。しばらく余韻に浸ってました。
絵柄は青年漫画のように骨太だけど、中身はしっかりBLです。包容力のある年上のノンケ受けと、真剣に相手と向き合うことを恐れてすぐに逃げようとするゲイ攻め。少しの好奇心と諦めかけていた劣情に流されて始まってしまった二人でしたが、思いをぶつけあった濃密で儚い時間は、戸惑いと束の間の高揚感がせめぎ合うガチ恋でした。先が見えない不安を打ち消すように、「今が幸せならええやん?」ってセリフ。これほど切なく効果的に響いてきたのは久しぶり…。
手のかかるタチの悪ガキが性癖?の比奈岸は理想的な受けキャラだったなぁ。後半、ちょっとしたことですぐに距離を取ろうとする屋敷のワンコ化がたまらないです。人混みで手を繋いでしまって、比奈岸に謝るシーンにきゅーん…。思わずぎゅーってしてあげたくなっちゃった笑
1994年に出会ってから6年後の二人、そして現在はどうしているのでしょうか。エンディングも映画的な終わり方で凄く好きです。
電子版の最後に収録されている特典漫画に笑っちゃいました。思うところがありすぎて笑
劇画タッチなのでお話に興味がなければ3泊4日かけても読み終われないんじゃない?と思うほど真っ黒な紙面でおのずと 萌え なんてものは見つかるはずもなくただただ濃い男の冷めた日常を読まされていきます
しかも 今どきの子に言ってもわからない「吉田戦車」「ポケベル」「ラジカセ」
とんだ三種の神器(?)が出てくるわ ←吉田戦車さん人だけどw
燃えるものを持たず逃げることばかりだったクズ男が 面倒くさいがフツーのおっさんにつかまって何かを知っていく だいぶ男臭い話なんだけど悪くない ないんだけど
感想を一言で言ってしまえば
尻切れトンボ
だってだっただって
いつ別れたのか?
なぜ別れなきゃいけなかったのか?
なんで再会できたの?
そのあとどうなったのか?
それまでしっかりままならない二人の関係を書いていたのに ウソみたいに捲られて放り出されたら ねぇ? (*゚Д゚*)ビックリダョ
【女帝】【女帝-花舞】(作:倉科遼/画:和気一作)にドハマリしてた時期があって読み込んでたからか作画的にはなにも問題なかったんだけどな……
これで完結なのはちょっと残念
皆さまのレビューにある通り、「画力」は大変素晴らしい。圧倒されるものがありました!
小物の描き方・背景や、人物の描写
そして、蛇行の一切の無いコマ割り。
アングルの見せ方、など全てが将来、
有望株を約束された安定感ある実力派。
大変好ましい!
が、
「 画力」はあるのに、圧倒的に「魅力 」
が、無い!
これはあくまでも女性読者が大半を占め
BLマンガなのですよ?
小説では得られない 【 ビジョン =
ビジュアル 】をコミックに求める時の必
須要素としての " 美 "
の魅力が、圧倒的に欠落している。
繊細のカケラも無いあまりに劇画チックなおっさん二人を正視できずに、通読に苦労しました。( 笑 )
いや、劇画チック好きですよ。 どんなタッチでもいいからそこに読者を意識した美学の存在が欲しいんです。
「キラキラ・現実から乖離した絵柄 」に辟易した読者層を狙ったわけでは無いにしても、著者の絵柄の個性を相殺してでも " 美 の魅力" という、ベクトルを打ち込んで欲しかったです。
あくまでも個人的感覚なのですが、
評価を大きく二分してしまう事になる、【 絵柄で勝負する「 賭け 」】を、内包する危うさが非常に惜しく思えました。
それほどに素晴らしい作品だったので。
続編を切望すると同時に、次回には、
" 美ジョン " も、期待しています!
ん〜なんかすごくずっしりしたものが腹の底に収まったような気分。
評価は「萌」にしましたけど、読み応え強烈。
ですがやはり絵柄や時代設定などなど、万人受けは厳しそうな気がするんですよね。
絵でいうと。
屋敷さん。第一印象で私はある政治家に似てると思ってしまい、その後はもうその人にしか見えず、そこが読む上で余計な情報になって読みづらさを感じてしまった…
そこはリアル系絵柄の危険な側面だなと思った。
時代は1994年。海の見える小さな町で。
「まだ同性愛が今ほど受け入れられてない時代」と記事にありましたが、本作を読むと今だってやっぱりまだ受け入れられてないように感じられて、その意味でこの物語が「昔の話」じゃなくて正に今と地続きな物語と感じられる。
2人が濃密な関係に深まった後でやはり、やはりという言葉を使うのが適切かわからないけれど、やはりこの後別れたのか、という展開もリアルな感覚として沁みてくる。
ひととき出会い、近づき、感情に抗い、欲望に負け、意図を持ってつながり、そして時が経ってお互い変わっていく…
ここからは私の勝手な読み方ですが。
「エピローグ」の時。屋敷の方はまたもしかしたら…もしよかったら…っていう想いがあるようにも見える。
だけど比奈岸の方は…
屋敷によって男同士の関係を知って、「さすらい」を知った…だからさすらい続ける…
今とこの時代の違いって、周囲の理解度というより当事者たちの心持ちなんじゃないだろうか。
今は自分たちの幸せや未来は「ある」/勝ち取れるという気運があるような。でも昔は「未来はない」「何も生み出さない」的な感覚が当事者自身にあったと思う。
自分たちはさすらう根無し草…そんな感覚を。
そんな寂しさ、諦め、それでも生きていくその強さ。
そのあたりのリアリティが読み応えにつながっていると感じました。
この劇画タッチの絵柄。青年誌のヒューマンドラマかゲイ向け漫画か?と最初は思いました。でもこういうタイプの絵でBLデビューできる方は実力者なんじゃないか?って読みは見事に大当たりでした。星とか花とかキラキラしたBL補正一切無しですからストーリー内容で勝負するしかない。
でもこの絵柄がリアリティがあって本当にこういうおっさんいそうだなって思わせる所がまた良い。いつも読んでるような30後半でも奇跡の美中年!みたいなのも好きだけども。色々なタイプを楽しめるのがBLの良いところだなあ。
でもこれは正真正銘のBLでしたね。途中からとっても甘くなります。先輩風吹かしてた受けが途中からもろく可愛くなっちゃうのが良かった。ラストはちょっとほろ苦い大人のラブストーリー。皆様のレビューで死にネタかとビクビクしてましたがそうではなかったので安心しました。
やけぼっくいに火がつく可能性がないのかどうか後から読み返してじっくり検証したいです。とりあえず一読した印象で神。絵は上手いです。劇画っぽいので映画を見たような気分になれます。あとねー、やはり90年代の空気を肌で知ってる人には楽しめるお話だと思います。色々懐かしい!
ファンタジーにちょっと食傷気味の方におすすめのリアリティのある骨太ストーリーです。
追記…検証しました。これはどちらにもとれるラスト。ハピエン主義の私はヨリを戻す方に一票。あの夏の花火のような美しい青春の日々は戻ってこなくても大人の年齢なりの穏やかな愛を刻んでいけるさ。2人なら。窓からのちっちゃい海とか攻めが受けの写真をジーっと見つめるシーンが好きでした。受けの比奈岸先生にメロリンラブ。私が。自分の中の弱さを知りながら努力を継続して強くあろうとする姿勢に感動。攻めの屋敷と同じくマブいぜ!と思います。作家買いしたい漫画家が1人増えました。次作も絶対買う。
普段電子媒体のものはあまり手に取らないのですが、pixivでドはまりし、電子も購入している『ばらとたんぽぽ』の作者さんである遠浅さんのデビューコミック。ということで発売を心待ちにしていました。
ネタバレ含んでいます。ご注意ください。
1994年、4月。
規模の小さい学校に、一人の教師が赴任してくる。名前は屋敷。
屋敷の指導を任されたのが、先輩教師である比奈岸。
この二人の恋を描いた作品です。
かつてマンモス校で教師をしていた屋敷が、田舎の小さな学校に赴任になったのはとある理由があってー。
遠浅さんて男性なんですかね?
いやいや、女性でも男性でもどっちでも良いのですが、感性が凄く独特っていうのかな。
甘々な、そして青い恋を描いた作品ではありません。
BLというよりは、どちらかというと青年誌のような作画であり、ストーリーです。恋愛感情、というよりは、身体の関係から入る感じ。
それが、すごくエロいとかそういう感じではないんですよね。男性ならではの即物的な快楽を求める「性」が淡々と描かれていくのですが、これがちっとも、まったく、全然嫌ではない。
個人的に身体から入る関係ってあまり好きではないのですが、これが遠浅さんの才能というかセンスなのかも。即物的に身体を重ねては行きますが、エロに特化しているのでは決してなくて、この関係から、二人が少しずつ心を通わせていく過程が緻密に描かれてくのです。
屋敷という青年は、逃げ癖がある。
嫌なことにぶつかると、それを乗り越えようという気迫がない。
一方の比奈岸先生は、熱血教師です。
生徒にまっすぐに向き合い、口うるさく指導する。
これが私生活でも全く同じ。
で、比奈岸先生は、優しく、忍耐強く、一本気が通っている男性ではありますが、彼は閉じられた扉を自分から空けることはできない。「しない」のではなく、「できない」のだと思いました。
怖いから。
自分を拒否されるのが怖い。だから相手の判断を待つんですね。
一方の屋敷は扉を閉めてしまう。
嫌なことがあったら、相手が嫌になったら。
そこから逃げてしまう。
でも、彼もまた、怖いんじゃないかな。
自分を否定されるのが怖い。
全く違う性質の様でありながら、根っこはおんなじだなあ、と。
でも、そんな2人が、お互いという存在を得たことで少しずつかみ合っていく。成長していく。もう燃えるものなどないと思っていた「何か」に、火がついた。その過程が実に痛快で、なんとも萌えます。相手を愛しているから、手放したくないから。
そして、自分を受け入れてほしいから。
オッサンの恋なんですよ。
決して美しくもなく、若くもなく、けれどだからこそ相手を欲しもがき続ける彼らの恋心にギュギュ―ンと萌えが滾りました。
今作品は屋敷×比奈岸というCPではありますが、序盤に、一回だけですが比奈岸が屋敷を抱くシーンがあります。同軸リバなので、苦手な方は注意が必要かもです。
で。
これねえ、終盤がとにかく秀逸だなと思いました。
二人は屋敷が左遷された「とある理由」をきっかけに破局の危機を迎えます。
迎えますが、この出来事をきっかけに、二人は本音でぶつかることができた。
一般的なBLであれば、雨降って地固まる、になり、「ハイ、二人は幸せになりました。ちゃんちゃん」で終わるシーンだと思うんですよ。
が。
ああ、そうきたかー!
っていうね。
こういうところが、遠浅さんて男性作家さんなのかな、と思う所以ではあるのですが、この終盤のエピソードが、個人的にはめっちゃ好き。
絵柄とか、ストーリーとか、あるいは二人の濡れ場とか。
いわゆる、甘々で、ほのぼのなBL作品とは一線を画していますが、そこにきての、この終盤。
もしかしたらお好みが分かれるかも。
が、個人的にはめっちゃドツボに突き刺さる終わり方でした。
あ、そうそう。
舞台が1994年ということで、非常に懐かしいというかノスタルジーを感じる作品でした。小物の描き方、使い方が非常にお上手です。ポケベルとか、ルーズソックスとか。リーゼントとか。
もしかしたら、まだ生まれていない腐姐さまもいらっしゃるかもね。
でも、その時代を知っている身としてはじんわりとその時代を思い出す、そんな作品でした。
その小物の描き方と同じように、登場人物たちの内面の魅せ方もすごくお上手です。目線、しぐさ、そして彼らが見ている「もの」。そういったちょっとした描写で端的に彼らの内面を読ませる。
屋敷が比奈岸に出会ってすぐに比奈岸の腕が描かれていますが、その腕一本で、屋敷が比奈岸に性的な感情を抱いたことをうかがわせる。
あと秀逸だなと思ったのが「潮騒」というタイトル。作中、海がちょいちょいと描かれています。二人の関係、海の描写、そしてタイトル。なんともセンスが良いなあ、と感じます。
ちょっと凄い作家さんだな、というのが正直な感想。
『ばらとたんぽぽ』も、紙媒体で出版して欲しいな。
次回作も楽しみに待っていようと思います。