アスク・ミー・ホワイ

ask me why

アスク・ミー・ホワイ
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神43
  • 萌×212
  • 萌1
  • 中立2
  • しゅみじゃない5

--

レビュー数
18
得点
268
評価数
63
平均
4.4 / 5
神率
68.3%
著者
古市憲寿 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
雲田はるこ 
媒体
小説
出版社
マガジンハウス
レーベル
発売日
電子発売日
価格
ISBN
9784838731114

あらすじ

今年No.1ロマンチック・ストーリー
装画は雲田はるこさん。

過去はね、変えられるはずなんだよ。
もしかしたら、未来よりもずっと簡単に

初めて港くんと会ったのは、大寒波が到来した冬の日だった。
港颯真・元俳優。写真週刊誌のスキャンダル報道によって、彼は、
少し前に芸能界から姿を消した。
ヨーロッパの街を転々としていたようが、
ここアムステルダムに住み始めたという噂は本当だったのだ。

初めはブルーやグレー、
途中から淡いピンクが重なったり。
彩りはあるけど、虹色と括れなくて、
すごく好きな世界でした。ーーー乃木坂46 高山一実

心も、身体も、酒も、誤解も。
溶け始めた瞬間が、最も艶めかしく、
意識の奥底を温める。
この物語には、人々の瘡蓋を溶かす、
蒼い陽射しがある。 ----リリー・フランキー


表題作アスク・ミー・ホワイ

27歳,元俳優
アムステルダムの日本料理店勤務

同時収録作品アスク・ミー・ホワイ

ベーシスト
27歳,元俳優

レビュー投稿数18

やっと読めました!

アムステルダムを舞台にした、日本人2人のBL。

雲田先生のお表紙からして、もう哀愁感が漂ってきて、切な系BLなのかなと思ったら、たしかに切なさはありましたがとても繊細な純愛BLが丁寧に描かれているように思えました。

あと、既存のBLレーベルではないせいか、人と人との恋愛が自由に描かれていて、後半で「僕」が港くんとの関係をはっきりさせておきたくなったときに関係を尋ねて、「セッ…しなくても一緒にいられる関係」的な返答があったのに、個人的にはキュンとしました。


普段、えちありきのBL小説を読みなれているせいか、とても新鮮というか。
そうだよ、恋ってこういうのもありだよ!! とハッとさせられましたし、結局最後まで致さず、2人はそれぞれの道を円満に進もうとする、決してメリバではなく、希望の持てる余韻エンドがとても良かったです。

あわよくばいつか、その後の2人を読んでみたい。

そう思えた1冊でした。

0

ブロマンス寄りのBLという感じ

BLソムリエ‍アンリ54世氏がYouTubeで紹介してたので読んでみましたなんと、この作品、何故にBLレーベルではない?と言いたくなるような作品。ブロマンス寄りのBLという感じです
.
お話の舞台はアムステルダム。彼女とオランダに移住した主人公が彼女に振られ破局し、1人で鬱々と飲食店の仕事をしながら生きていたある日、不祥事で芸能界を引退した港に出会い、主人公の日常が港を中心にガラッと変わり始めます‪(ᯅ̈ ).。o
.

俳優時代に唯一の親友にハメられ(?)俳優生命を絶たれアムステルダムに行き着いた港君。傷心した彼の心を癒したいと思う一般人のヤマト。ヤマトの港を思うこの気持ちはただの有名人に近づけたと思うミーハー心や優越感なのか。それでも港にとって嘘偽りなく港自身を受け入れて寄り添ってくれるヤマトに港は心を許し始めます
.
自分は港が『俺のこと絶対裏切らないって誓える?』みたいなシーンで『わかりません、人は変わるものだから、でも今港君の力になりたいと思ってる。それじゃダメですか?』といったところ好きだった。(ざっくり記憶だけど)嘘をつかれて傷心した港だからこそ安っぽい『yes』を言わず、わからないと言う港いいね。
.
お前も俺を理解してくれないのか、のところの、理解できるわけないじゃないですか。ただ港君に幸せになってもらいたいだけです。も良かったなあ
.
この作品の冒頭で、悲しい話なんかな。と見せかけて、最後でそういうことか〜。というハッピーなオチも良かったです。オチから冒頭に繋がるやつですね。一般小説枠だけど、だからこそ図書館とかで借りれるのでオススメできるなあと思いましたふたりの中に流れる恋人とも友人ともいえる甘すぎない空気感が良いです。

0

心が震える美しさ

ずっと気になっていた作品、やっと読めました。
非BL作品ということですが内容はしっかりとBLだと思います。
でも恋愛の部分だけを記しているわけではなく、さまざまな感情を織り交ぜたストーリーになっているという点で非BLなのかなと感じました。

港との出会いでヤマトの日常はこれまでと違うものになったけれど
それが必ずしも恋愛に繋がっているわけではない、というのが美しかったです。
例えばこれが、港に恋をしたことでこれまでの何ら変わりない毎日が楽しく思えるようになったヤマトの話だったら…
ここまで心を動かされることもなかったでしょう。

日本での暮らしに不満があったとしてもそれなりの安定を捨てて移住する決断は簡単ではなかったはずで
その支えになっていた元カノにも結局裏切られてしまい、異国の地での慣れない暮らしに心も折れかけて…
港に出会うことがなければ腐ってしまったかもしれないな、と。
そんな日々の中で彼との出会いがヤマトの中で一歩を踏み出すことへのエネルギーとなったのが素晴らしかったなと思いました。

繋ぎ止める愛や永遠を求めるのではなく、その時その一瞬を大切にしたいと思うヤマトの心が痛いほどに伝わってくることに感動し、そして何だか無性に泣きたくなりました。
愛する人と離ればなれになるかもしれない時に、冷静にそっと背中を押すことはなかなか出来るものではないから。
港もヤマトがいるからこそ、また踏み出そうと思えたのでしょうね。
支えになる相手が居るって心強いものなんだな、としみじみ思いました。

終始ヤマト目線で進んでいくお話の中で港の気持ちがわかるものが
タイトルにもなっている曲だというのが本当に上手いな、と。
ぎゅっと心を掴まれて、更にこの作品に引き込まれたのを感じました。

とても美しくて、でも現実的な苦しさもきちんと伝えてくれるようなとても素敵な作品でした。

2

映像化して欲しい作品

あの古市さんが書く恋愛小説ってどんなの?
表紙が雲田はるこ先生なの?
めっちゃ気になるやん!って事で買った、のに積んでた本。
やっと読んだら、めちゃくちゃいい話じゃないかーーーー!泣いてしまった。

薬物疑惑で芸能界ドロップアウトした若手俳優 港くんと
付き合ってた彼女にオランダ移住しようと言われてついて来たのに、浮気されてここに居る意味見失ってるヤマトくんのお話。
あるキッカケで2人は出会って積極的な港くんのおかげで急速に仲良くなっていく。
港くんはゲイ、ヤマトくんはノンケ。
だけど、キラキラ芸能人オーラのある港くんに
ドキドキしっぱなしのヤマトくん。
一緒に居ると楽しいし、バイトあるのに港くん優先して当日欠勤してしまう事しばしば。
この気持ちは、恋愛的な意味じゃないって何回も自分で確認してる。(不安になってる時点でラブの意味で好きだよ)

セレブと一般人の非日常なストーリーって
ふと、ローマの休日みたいじゃね?って今思い浮かんだ。身分違いの恋的な。
切なさは同じだけど、このお話の結末の方が未来がある感じで私的にすごく好みでした。
反響によっては、続編もと言われていたそうで是非続き書いて欲しい。

古市さん、ワイドショーに出られているだけあってその体験や感じられた事をお話に組み込まれているのかなって思いました。
あと、他の小説に比べて時事ネタや固有名詞、作品名、ブランド名がとっても出て来たのもびっくりしました。確かに、どんなブランドを身に付けてるかでキャラクターがわかりやすくなったり、曲名でイメージ膨らんだりするかぁーと思ったり。
読んだ後に、ビートルズのアスク・ミー・ホワイ聴きながら歌詞見て更にジーンときました。

映画化してくれないかなー。
めっちゃ観たい。
勝手に港くん誰がいいかはもう考えてます。

3

悲しくないのに泣きたくなる

出版時から気になっていた作品でしたが、やっと読めました。
TVで見かけるあの方が作家さんとは知らなかった。(本業は社会学者だそう)
雲田はるこ先生が好きなので表紙も大変お気に入りです。
非BL作品ですが、中身はガッツリ男性同士の恋愛のお話でした。

物語の始めから、相手の港が遠く離れた場所に居る存在であることや会えて良かったと過去系で書かれていて、これは失恋のお話なのかも…とちょっと心がザワザワ。
文章はとても読みやすく、難しい単語などもなくスイスイ読み進められました。

アムステルダムには行ったことがありませんが、冬の厳しさや建物の古さ、夏の日の長さなど想像しながら読むのが楽しかったです。

ヤマトと港は他人から友人へ、友人からゆっくりと恋人関係になります。
普段BLを読み慣れてる者としては、非常にもどかしかったです。
早く恋愛関係になってくれーと思いながら読んだので、かなりページを捲るのが速くなってたと思う。

ヤマトの目線から感じられる港がとても美しくスマートかつセクシーで萌えました。
あまりに美しい造形をしていて、いい香りがして、フレンドリーにされたら同性であろうが好きになっちゃうよね、わかるよ〜などと頷きながら読む。
港の言動に一喜一憂しちゃうヤマトがとても可愛らしく思えました。

港目線では語られないので、ヤマトの事をどう思ってるのかなかなか分からなくて、もどかしいし不安でした。
俳優をするくらい素敵な男が、本当にヤマトを好きになるのかなって。
こんな不安が最後まで残ったままだったんですが"ASK ME WHY"の歌詞の和訳を読んで一安心。
良かった、港はまたアムステルダムに帰ってきてまた一緒の時を過ごせるねと思えました。

「あらゆる関係は永遠ではない」のだけど、「それでも誰かをずっと愛してみようと誓う」の言葉が切ないような温かいような不思議な余韻を残す作品でした。

3

どこか遠くの世界での、彼らの幸せを願っています

作家さんと作品テーマが気になって読みました。
ヤマトの目線で紡がれるアムステルダムの街並みは、行ったことのない場所なのにどんな風景か想像できてしまう、そんな文章でした。

このような言葉で表現するのはあまり良くないと思いますが、ヤマトくんはとても日本人らしい日本人の青年です。
偏見の目に晒されることを恐れ、自分が人を傷つくことを恐れ、また傷つけられることを恐れる。
アムステルダムという土地で1人逞しく、とまでは言いませんが彼なりに自分の人生に言い訳をしながらも努力をして、1人のありふれた、普通の日本人(異国の人間)として生きていました。
そんな彼の目の前に現れる湊さんは、職業柄もありますが、彼に無いものばかり持っています。
でもそんな彼にもないものは沢山あります。

お互い自分自身に不満があって、それでも言い訳して、そうやって言葉を交わして、少しずつ距離を詰める。
空気を読む、察する、を美徳とする日本において、言葉の大切さがすごく伝わってきました。

非BLということで商業BLをメインジャンルにしている人には少し手を取りづらい作品かと思いますが、買って、読んで絶対損は無いです。

アムステルダムという、想像もつかない異国で過ごす、彼らの日々をぜひ読んでいただきたいです。

2

アムステルダムの恋

BLじゃない本を探していて、カバー絵が素敵すぎて買ってしまった作品です。

個人的に冒頭で結末を匂わせるような描写がある書き方はそれに捕らわれて好きじゃないのですが、切ない思いを持って読み始めました。

薬物スキャンダルとゲイ疑惑で芸能界を去ったイケメン俳優の港と
彼女とアムステルダムに移住して相手の浮気で振られたレストラン勤務のヤマトがだんだん恋をしていく過程が素敵でした。

ヤマトは、大学入試からずっと思い通りにならない人生に後ろ向きで、同棲していた恋人をイケてないオヤジに寝とやれたことを恨みに思う根の暗そうな青年というイメージでしたが、港と出会ってからの心情が恋する乙女チックでかわいらしかったです。

ちょっといいレストランで待ち合わせたときに、ブラックスーツで現れた港を見たヤマトが胸きゅんした後に、ほかのパーティーのために装ったついでだったと知ってがっかりしてしまうところなんて、もう恋だよね、無自覚だけど…という場面に読んでいるこちらもキュンしました。

後半で、新しいことに踏み出すのに躊躇するヤマトに対して港が言った言葉がいいなと思います。
「同じ才能を持った二人がいたら勇気のあるほうが勝つ」というもの。
才能があるかどうかわからないけれどそれがわかるのは動き出してからなのだから勇気を出して挑戦したほうが勝ちだというのを心に留めておきたい言葉だと思いました。

4

表紙絵とマッチするような儚さを持つ内容

読んだあと悶絶しました。
冒頭は特に何の変哲もないストーリーでしたが、後半から怒涛の萌でした。   
特に、旅行から先のシーン!
作者さんがtvでも活躍されている有名な方だったので暇つぶし程度に読みましたが、なかなかハマれるストーリーで、つい、読む手が止まらなくなってしまいました。
イラストも雲田はるこ先生の仕上げということでやわからな物語にマッチしていてイメージが容易に湧くと思います。個人的には好みのお話でした。

4

二人の関係性を示すセリフに撃ち抜かれた

一週間くらい余韻に浸りたい、なんかもうめちゃくちゃに泣きたくなる作品だった。

主人公のヤマト目線で語られる一人称小説で、独り語り感が強い文章。柔らかく繊細な描写で入り込みやすく、作品世界に没頭すると時間の流れがゆったりしているように感じる。リアルと二次元の融合具合が独特で、世界観の構築が素晴らしかった。

冒頭から時事ネタの羅列で雑念が入りそうになるが、たぶん自身の中に在るこの雑念もこの作品を読む上で必要な要素なんじゃないかと思う。まさに“今”だから出てくる意見が多くあり、鮮度が高いが普遍的でもあると感じた。

ヤマトは気の毒になるほど気を遣って異国の地で生きている。対する港は、最初はよく分からない。だがセリフは論理的と見せかけておいて屁理屈を織り交ぜ、軽い毒を吐く。そこから推察する精神状態は、少々荒んでいたんじゃないかな。港につられたのか、一緒にいるときのヤマトのモノローグは皮肉が分かりやすかった。
そこから交流が深まるにつれ、港のセリフはポジティブなものばかりになっていく。ヤマトのネガ思考を、視点を変え発想を転換し前向きな解釈を述べる。ヤマトもまたつられるようにして、考え方や物事の捉え方がプラス方向へと変わっていった。

非BLカテだが、ヤマトは後半かなり恋愛脳に近い状態で、ずっと港との関係性に悩んでいる。ベッドシーンまであるのには驚いたが、その翌朝に港から与えられた答えで撃ち抜かれた。
「セックスに失敗しても気まずくならない関係」
!!!
関係性を示す言葉で、今までで一番衝撃を受けた。もう言葉にならない。すごい。

最後まで読み終わり、再度序章を読む。初読み時は悲恋の匂わせかと思われたそれが、その先の幸せが見える独白に変わっている。
ラストの歌の歌詞、うっかり調べて涙腺が決壊した。

4

作品全体の雰囲気が素敵

正直作家さんのことはあまり好いてはいなく、でも読まずに批判なんて出来るはずもない……と読んでみたのが始まりでした。
読了した今、白旗を掲げて呻きつつこのレビューを書いている次第でございます。

序盤でいきなりキスとかしちゃうんだ!? と、ドキドキしながらページを捲るも、その後は逆にもどかしいくらいに関係が進展せず、何度「いやもうそれは恋だから! 恋なんだから……!!」と背後からヤマトくんを突き飛ばしたくなったことか……。

港くんの危うくて不安定なのに決断力のあるところとか、ヤマトくんの優しいようで優しくないとこや臆病だったり欲張りだったりするところが、すごく人間的で、読み終える頃にはめちゃくちゃ二人が好きになってしまったので、あのエンドで本当に良かったという気持ち……!!!

個人的にドキドキしたシーンは、ベーシストとのプレイをベッド下で聞く羽目になったヤマトくんのシーン。あと、終盤のAV流しつつの不埒な絡みが良かったです……(具体的すぎる感想)
想いを通じ合わせてからのヤマトくんの甘えっぷり、めちゃめちゃに可愛いので、ほんと何度でも言いますがこのエンドで良かった……!!!!

めでたく今年読んで良かった本の1冊になりました!!

5

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