ミスTy
abaie aishite
※設定上「ひかりTVブック限定特典版」の所でレビューしていますが、私はKindleで通常の完全版を購入しています。
凡乃ヌイスさんの作品を読むのは短編入れて4作目ですが、彼女持ちのノンケを略奪するような描写がよくあり読み手を選ぶと思います。ところがこちらの作品だけは女性の影が無いので、多くの方が安心して楽しみやすいと思います。
ストーカー客に狙われているソウ(受)、匿って貰おうとした官能作家の大塚先生は仕事の関係で海外に。代わりに紹介された先生の知り合い津雲(攻)の元で過ごす事になるけれど、なんだかいけ好かない残念なイケメンで…?
前半は会話のやり取りやデフォルメキャラなど表現面も楽しい二人の日常、少しずつ距離が縮まって行く過程に萌える明るくほのぼのしたラブコメ展開です。
ソウを想って放った津雲の言葉はソウを怒らせ、彼は出て行ってしまう。明かされていくソウの過去、津雲の側を去ったソウには魔の手が…後半はシリアスめの展開でメリハリが効いています。
・いい感じになってきた所で二人を引き離す
・登場人物の人格を作り上げる悲しい過去
・受けが襲われるピンチ、助けて攻め!
↑二人の幸せを願っているハズなのに、出てくると何故か嬉しい展開シリーズ3連発。今まで幾度とこれらの展開を見てきたか…BLのド定番だけれどやっぱり好きですね。
もちろんそれらを乗り越えた先には、ハッピーエンド&両想いHが待っているから幸せなのだ。過去が影響して自分を偽って来たソウが、津雲には本当の自分を見せられるように、本当良かったね…。
優しい母親に息子は確かに愛されていた、ところが父親が出て行って母は変わってしまった。幸せだった頃の描写があるからこそ、壊れてしまった親子の関係により悲しみを感じる。
この過去が物語に重要な役割を果たすトラウマである事は解っていますが、「ごめんね」と言う母親の悲しそうな表情を見ていると、それでも寄り添おうとする息子を心の在処として一緒に生きる事は出来なかったのかな、と思ってしまいました…フィクションの人物に言っても仕方ないし、この辛さが良さでもあるんだけれどね。
支えてくれたおばあちゃんとの暖かい会話も良かったです、大塚先生と言いお年寄りも微笑ましく上手く描かれているなと思いました。
序盤の妄想シーンの緊縛、言葉責め、咥えろetc…心が汚れている私はどうしてもその妄想のようなSMチックなHシーンが、現実であるのを期待しちゃうじゃないですか(^-^;
そこは少々残念でしたが、ウリとしての偽りのソウと両想いになった後の本当のソウとのHシーンの差異と変化が良かったです。
変なクセも無くBLのお約束展開が多い読みやすい印象。今時の凝った話をお求めの方には物足りないかもしれないけれど、コミカルからシリアス、甘い、切ない、Hシーン、どれもやり過ぎず足りなすぎず各種程良く回れるので、特に初心者さんや王道好きさんにオススメです。
最後に明らかになるのはソウの本当の…あとがきのこんがり日焼けした大塚先生もイケてました(笑)。
ストーカーから逃げるために、常連の作家先生(おじさま)のところにお世話になろうと思ったら、先生の同業者のイケメンのところに預けられた男娼くんの話。
ストーリーはほぼほぼ二人の世界で進行していきます。他の登場人物もいますが、みんなモブ(元々匿ってもらおうと思っていた作家先生も一瞬しか出てこない)。
設定的には萌えそうなんですが、、なんだろう、、キャラクターにあまり色気がなく、サラッと読んでしまいました。
受ちゃんは辛い過去があったりしますが、この辺も比較的サラッとしてます。キッカケとなった、ストーカーとの話も薄め。もう少し大きな事件?があってもよかったなと思います。