電子限定
immoral na yasashii kare
ストーリーがすごく良かった。真面目で恋を知らない役者が、内面がちょっとひねくれたゲイに出会ってお互いを救う話って感じです。受の内側に空いた穴を攻が埋める感じのお話が好きなら読んで損はないと思います。絵もうまい。ハッピーエンドで読後感もいいです。本編終了後二人がいちゃつくだけの話が読みたくなる。
ただもう少し攻くんが受くんのどこがどう好きという理由を説明してくれたらより良かったなあと思う。背景などの書き込みを重要視する人には向かないかな。
こねくり回した解釈をしてしまいがちですが、全部書いた後にもっとあっさり読んでもいいのかな〜と思ってしまった。
綺羅星を演じる彼のように。
タイトルの彼は羽瀬の事だろうから、以下、分かりにくいレビュー…羽瀬の母音が彼と同じなのが好きです。インモラルな優しい羽瀬。
必要以上に彼らのパーソナルな部分に踏み込まないけど、かわりにどうでもいいような情報は公開されている。羽瀬のお風呂は綺麗とか。それを"どうでもいい"と切って捨てない彼のお話でもある。
彼のフォロワー数は知っているのに、名前すら知らない。名前が出てこない登場人物が苦手で、その理由は人生が与えられていないような気がするからだったのだけど、彼については学生時代も仕事に対する姿勢も好きな人も知っている。
そういった細かな情報が"本当"かというと、必ずしもそうではないかもしれなくて。こうありたい自分を積極的に作った結果の"本当"は本当なのか。
恋する人の"本当"を知りたいというのも本当。
主役の名前が出てこない構造自体を楽しめた作品でした。以前から野良おばけさんの事をSNSで知っていたので手に取りましたが、もっと上手いこと刺さりそうな層に届くといいな。電子限定か〜
主人公は、役者。
彼のやり方は、演じるのではなく「成る」こと。
今彼が取り組んでいる役は暴力団の鉄砲玉。ボスに焦がれている男「川瀬」だ…
そんな時、隣室のベランダから聞こえてきた軋む音。ベランダで隣人が男同士でヤっていたのだ。
ゲイを初めて見た「川瀬」は、「川瀬」になりきるためにこの隣人が必要と思い、ノンケのくせにこの隣人・羽瀬と行為をしようとする…
だがもちろんどうにもならないわけで。
でも、このことで羽瀬と奇妙な友情が芽生えるのだ。
羽瀬は聞く。なんで役者になったの?
自分より役になる。オレはオレでいなくていい。
その言葉通り、彼は「川瀬」の次は「エリック」になり「綺羅星渉」になり。
一方羽瀬の過去は正に「虐げられるマイノリティ物語」そのもの。
そこを生き延びてきたせいか、いつもうす笑いを浮かべて本心を晒さないような表情で。
どこまでも「違う」2人は、いざ肌を合わせようとして仲違いしてしまうが…
役者は自分が無であるようでいて役作りには「自分の」やり方を押し通す。
羽瀬は、嫌われ差別され否定された自分を捨てる事で自由になろうとする。
羽瀬のことを知りたい、惚れた男だから。
…と告げる役者を受け入れる羽瀬。
…とうまくまとまるわけだけど、正直「惚れた男だから」のくだりはBL飛び道具というか、やっぱりそういう終着点ですか…という感じでしたが。
自分自身、という呪縛の物語であることが面白かったのに、やっぱり恋愛で終わるのね、というちょっとしたガッカリがあったわけだけど。
絵柄は少しクセがあると思います。
また、受けはビッチ設定なのでワンナイトセックスをしています。それでいて攻めとの甘々なシーンなどはないんですよ〜残念。
インモラルとやさしい、二つの一見相反するようなキーワードがタイトルに入っています。
1冊まるまる、このカップルのお話です。舞台劇を見ているようなお話で、隣人同士の二人にかなりフォーカスした描き方。
俳優で、真面目な僕(名前不明)。役に入ってその人物になりきることで、自分を保っている。一方、行きずりの男性と自室で夜な夜なHしている隣人。その色気と、なんでも受け流して泰然としているようなところに惹かれたのか、徐々に仲良くなります。ふしだらな彼と、真面目で何も包み隠さない自分。
友人としての付き合いにも見えますが、ある日仕事で落ち込んだ俳優の彼は、隣人を押し倒してしまう。。
H特化でもなく、少女漫画的恋愛でもない、二人の少し暗い青年の恋が荒削りなタッチで描かれていて、骨のある作品でした。
今後にも注目したい作家さんです。