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sonogo no koukyuu wo tobidashita toaru sokushitsu no hanashi
ようやく前作で婚姻まで持ち込んで幸せになったのかと思ったのに、また波瀾万丈なストーリーに引き込まれてしまいました。
相変わらずリケルメがリードを溺愛していて、贈り物とかを送ってくる為にラウルが嫉妬して2人はすれ違ってしまいます。
でも、2人は歩み寄って美しい島で熱い夜を過ごすんです。
でも、この島に来た事がキッカケでリードに横恋慕する人物が現れてしまいます。
更にラウルの娼館通いと元娼婦との間の隠し子騒動が持ち上がってしまいます。
リードに頼られる男になりたいラウルと、一緒になって解決して行きたいリードとの間で、またまたすれ違ってしまうのです。
そして、ラウルとリードが政略結婚で、ラウルは実子に王太子になって欲しいと言うデマが流れてしまって…。
これ、読んでいると黒幕が誰か読者なら薄っすら気が付くと思います。でも、ラウルがリードを苦しめたくないと真実を言わない事で、更に追い詰めてしまうのがとっても焦ったく思いました。
ラウルと甥のセドリックの関係が微妙になったのも、やはり先の黒幕が暗躍していました。
前作に比べて長さが半分で、登場人物も絞られているので読みやすかったと思います。
ラウルはリケルメに対して劣等感を持っているようでしたが、私はリードが言うように100人を助ける為に1人を犠牲にするような賢王のリケルメより、101人を助けようと悩み続けるラウルの方に魅力を感じました。
「後宮を飛び出したとある側室の話」続編で、電子専門作品になります。
一応、今作だけでも読めるように書かれているんですけど、登場人物が多いので、前作を読んでからの方が理解しやすいと思います。
あと単純に、前作を踏まえて読んだ方が絶対萌えると思います。
で、こちら、前世が日本人だった記憶を持つ青年・リード。
大国アローロの王・リケルメの側室だった彼が、王宮を出奔して攻めと出会い、今度はオルテンシアの王太子妃となるまで。
と、主人公の数奇な運命に萌えたのが前作。
今作では、王太子妃として幸せを掴んだ主人公の、その後になるんですね。
蜜月で幸せ真っ只中かと思いきや、リードに言い寄る当て馬登場でラウルがやきもきしたり、隠し子騒動が勃発して、二人にスレ違いが生じたりー・・・って所でしょうか。
個人的にですね、出来上がってるカップルのその後のイチャ甘と言うのが大好きだったりします。
いや、ガチで、丸々一冊ひたすらイチャついててくれるだけで、最高だと思ってます。
序盤ですが、そんな私の望みどおりの展開。
ちょっとした喧嘩なんかもありつつ、二人がひたすらイチャついててくれます。
えーと、リケルメから誕生日のプレゼントが山ほど届き、リードの誕生日すら知らなかったラウルはふてくされる。
で、二人で視察と言う名の、要は新婚旅行なんかに出掛けちゃって、こう仲直りエッチみたいな。
いや、散々リードを抱き潰しちゃって「悪かった。加減が効かなくて」と、ソッポを向くリードにしょぼくれながら謝るラウル・・・みたいなエピソードがニヤニヤさせてくれます。
もう本当、二人のイチャ甘を延々と綴ってくれる続編が、もっと出ればいいのに。
が、ここから不穏な展開。
ラウルの従兄弟で他国の王族の一員・ルイスが現れリードに言い寄りと、ラウルをやきもきさせるんですね。
更に、ラウルに隠し子騒動が勃発し・・・と続きます。
これ、わりとスレ違いが深刻な上に、王位継承者たる子供が現れた事で、周囲からジリジリと圧力をかけられるリードが切ないです。
ただ、逃げずに自分の責任を果たそう、そして、悩みつつもラウルを信じようと、前を向いて頑張るリードに心を打たれるんですよ。
切ないのですが、悩み迷いつつも懸命に前を向く主人公の姿が素敵なのです。
素敵なのですが、逆にイラついちゃうのが攻め・ラウル!
この隠し子騒動ですが、実は完全に誤解だったりします。
そんなワケで、さっさと誤解だと告げてリードを安心させてあげればいい気がするんですよ。
でも、ラウルは安心させるどころか、逆にあやしい行動ばかりして、更にリードを傷付ける・・・。
いや、彼は彼で真摯に色々動いてるのですが、別に誤解だと言う事は言っちゃっていいじゃん?
これ、ずっと黙ってた理由ですが、実はリケルメへの対抗心なんですよね。
伯父上なら、一人なんとか出来ると思って、みたいな。
いやいやいや、それはダメでしょ。
器がちっさすぎるでしょと。
そりゃ、心配かけたくなかったと言うのも本当でしょうが、もうすでに心配かけまくって泣かせてるじゃん!
う~ん・・・。
これ、完全に個人の好みなんだと思うんですよ。
こういう受けが大好きすぎて、ちょい情けなくなっちゃう攻めがお好きな方も多いと思う。
彼の成長も、また見処だと思う。
でも、受け贔屓の私としては、こんだけリードを傷付けてる時点で「死刑!」みたいな。
そもそも、当て馬(リケルメ)が魅了的すぎるんですよ。
前作でも彼の魅力に参っちゃったんですけど、今作でも、少ない出番に反してこの存在感。
いや、攻めとの対比で大人の包容力あふれるキャラなったんでしょうけど、今回もシビれちゃいましたもん。
ああああ、リケルメ格好よすぎーーー!
いや、好みの問題ですけど。
あと、前作ではちょいくどくどしいと感じる所があったんですけど、文章がとても洗練されて読みやすくなっていました。
と、ちょっぴり攻めにイラつく部分はあったんですけど、全体的には好みで楽しく読めました。
続篇は、先の作品を超えにくいものなのか・・。
長篇を得意にする作家もいますが、この著者さんは、デビュー間もないせいなのか、筋書きは面白いのに、今一、キャラの魅力に萌切れないものを感じました。
先の巻で、リケルメと初恋の人=リディとの愛は実らず、リディは他の側室の気持ちを考えたり、飽きられる前に去りたいなどなど、リードに未練はありましたが、「リケルメを愛しているから離れたい」とすり抜けて逃げていきました。
この巻の作品の中心人物は、芸術愛好家のラウルのいとこ、ルイス。
リケルメの後宮で、迷子になった時にリードに助けられて以来、初恋の人、リードを理想の人としてずっと恋慕し続けていた。でもリケルメの寵姫なので、及ばぬ恋だとリードを諦めて、出世欲強い生母の計らいで他国の姫と政略結婚。二人の子が生まれたのに、いまだに腰が落ち着かないルイス。
南の海に居る旅先のラウルとリディに、ルイスは挨拶に伺います。リードが今も変わらず美しいことを知って驚く。
その後、ルイスは、ラウルから王位継承権を奪おうと策を練り、ラウルを罠にはめていきます。共謀者は、人気者のバレリーナ。
巻末、ルイスとリードが夜、湖上のボートで話しあう場面で、ボートが転覆して沈んで行く泳げないリードを水中で誰かが助けます。リードには、リケルメが助けに来たように見えた・・というくらい、リードの中のリケルメの存在は未だ大きいまま。気が付いた後で確認して、実はラウルに助けられたことを知ります。
事件は、無事に解決できたのですが、萌ない物語だった。
ラウルは常にリケルメと比較されます。
リケルメの養子として嫁いているので、いつでもリードは里帰りが可能です。
不器用なラウルは、リケルメをなかなか追いこせない。
リードとラウルに今一つ感動出来なかったのが、少し残念。
登場人物を広げ過ぎたのと、説明を丁寧にしようとして、絞りこんで削ぎ落しきれなかったからかもしれません。
広く浅くになって居て、ぼやけてしまったような気がしました。
次作の続篇に期待します。